西川和久の不定期コラム
20万円を切るRTX 3070搭載の高性能ゲーミングPC「パソコン工房 LEVEL-R049-iX7-TASH」
2021年3月9日 06:55
Intelのデスクトップ用第11世代CPUは執筆時点で未だ市場に出回っていない。したがって、Intel環境で高性能なゲーミングPCを組むには、第10世代のComet Lakeと強力なdGPUの組み合わせが必要となる。今回は、これに該当するマシンが編集部から送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
Core i7-10700とGeForce RTX 3070を搭載したミドルタワー
現在、ノートPCは第11世代Tiger Lakeを搭載したマシンで賑わっているが、デスクトップ用の第11世代Rocket Lakeは現時点で発表はされているものの、市場にはまだ出回っていない(2021年第1四半期に登場予定)。したがって、超高性能なマシンを組むには、Comet LakeベースのCore i7/i9と、強力なdGPUを組み合わせることになる。
Comet Lakeのデスクトップ向け上位SKUは、Core i7-10700/i7-10700K、またはCore i9-10900/i9-10900Kとなるだろうか。一方dGPUはNVIDIAとしてはGeForce RTX 3070/3080/3090などがハイエンド向けとなっている。
今回ご紹介するマシンは、これらハイエンドパーツの組み合わせとしては下位となる、Core i7-10700とGeForce RTX 3070を搭載したミドルタワー。同社のLEVEL∞ Rシリーズだ。もちろん下位と言っても、一般的なマシンとは比較にならない爆速。おもな仕様は以下のとおり。
パソコン工房「LEVEL-R049-iX7-TASH」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i7-10700(8コア16スレッド/2.9~4.8GHz/キャッシュ 16MB/TDP 65W) |
チップセット | Intel Z490 Express |
メモリ | 16GB(8GB×2)/DDR4-2666 DIMM (PC4-21300)/4スロット空き2 |
ストレージ | SSD 480GB、HDD 2TB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
グラフィックス | GeForce RTX 3070(8GB GDDR6) |
ネットワーク | Gigabit Ethernet |
インターフェイス | USB 3.1×2(1基はType-C)、USB 3.0×5(上面×1/背面×4)、USB 2.0×2(上面×2)、DisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1、音声入出力 |
拡張スロット | PCI Express 3.0 x16×2(空き1)、PCI Express 3.0 x1×3(空き2) |
拡張ベイ | 5インチベイ×3(空きなし)、3.5/2.5インチ兼用内蔵ベイ×4(空き2) |
電源 | 700W 80PLUS Bronze認証 |
サイズ | 約190×477×432mm(幅×奥行き×高さ) |
付属品 | 日本語キーボード、マウス |
価格 | 17万8,880円(税別)から |
プロセッサは第10世代Comet LakeのCore i7-10700。8コア、16スレッド。クロックは2.9GHzから最大4.8GHz。キャッシュは16MB、TDP 65W。チップセットはIntel Z490なので、BIOSさえ対応すれば第11世代も搭載可能なはず。後でプロセッサをアップグレードし、さらに高速化する楽しみもある。
メモリはDDR4-2666 DIMM(PC4-21300)の8GB×2で計16GB。メモリスロットは4つあり、この状態で2つ空きとなる。OSは64bit版Windows 10 Home。2004だったので、この範囲でWindows Updateを適応し評価している。ストレージはSSD 480GBとHDD 2TB。DVDスーパーマルチドライブも搭載。
グラフィックスは第2世代RTXアーキテクチャ、AmpereベースのGeForce RTX 3070(8GB GDDR6)。外部出力用にDisplayPort 1.4a×3とHDMI 2.1×1を装備している。出力解像度は、DisplayPort 1.4aで最大4K/12bit/HDR/240Hz。DisplayPort 1.4aまたはHDMI 2.1で最大8K/12bit/HDR/60Hz。デュアルDisplayPort 1.4aで最大8K/HDR/120Hz。消費電力は220W。
ネットワークはGigabit Ethernet。インターフェイスは、USB 3.1×2(Type-A×1/Type-C×1)、USB 3.0×5(上面×1/背面×4)、USB 2.0×2(上面×2)、音声入出力。
拡張スロットは、PCI Express 3.0 x16×2が空き1(ただし空きのほうはx4動作)、PCI Express 3.0 x1×3が空き2。拡張ベイは5.25インチベイ×3が空きなし、3.5/2.5インチ兼用内蔵ベイ×4が空き2。電源は700W 80PLUS BRONZEを搭載している。サイズ約190×477×432mm(幅×奥行き×高さ)のミドルタワーだ。
178,880円(税別)からとなる。最近、第11世代Tiger Lake搭載ハイエンドノートPCの価格はこのレンジが多く、内容を考えると、相対的に安く思えてしまう。
カスタマイズでOS(Windows 10 Pro)、CPUクーラー、メモリ、SSD、HDD(3rdを含む)、光学ドライブ、電源などを選択可能だ。
筐体のサイズはミドルタワー。基本ブラックだが、アクセントにメタリックなレッドが使われなかなかカッコいい。重量は不明だが、内部の写真からもわかるように、シンプルな構成なので、設置などで持ち上げてもズッシリとした重い感じではない。
全面は上部にDVDスーパーマルチドライブのみ。USBなどを隠すパネルはない。上部手前にリセットスイッチ、USB Type-A×3、音声入出力、電源ボタン。この大きさになると、机の下へ設置することが多いだろうから、コネクタ類がこの位置にあるのは扱いやすい。
背面はUSB Type-A×2、PS/2、USB Type-C、USB Type-A×3、Gigabit Ethernet、音声入出力。GeForce RTX 3070にHDMI、DisplayPort×3。
ネジ2本外せば側面パネルが開き、内部にアクセスすることができる。プロセッサの右側にメモリスロット×4、うち2つが使用中。プロセッサの下に未使用のM.2スロット。拡張スロットは、PCI Express 3.0 x16×2、PCI Express 3.0x1×3。うちx16はdGPUに使用、またその横にあるx1はdGPUが覆ってしまうので実質使用できない。もう1つのPCI Express 3.0 x16はx4動作となる。dGPUとマザーボードはMSI製だ。
キーワード検索でGeForce RTX 3070を使った各社の製品写真を眺めていると、ファンが3つのものが多いなか、本機に搭載しているのはファンが2つ。補助電源は8ピン+8ピン。おそらくMSIの「GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」あたりだろう。
上部に5インチ用のドライブベイ×3。1つがDVDスーパーマルチドライブで使用。2つ余っているが、前面が閉じているため実質利用できない。下に2.5/3.5インチ用ドライブベイ×4。うち2つがSSD(最上部)とHDD(3段目)で使用しているため、空きは2。電源は700Wタイプだ。GeForce RTX 3070のシステム電力要件が650Wなのであまり余裕がない。
ファンは背面に1つ。後はCPUクーラー1つ、dGPUに2つ。振動、発熱、ノイズなどは、構成が構成なだけにそれなりにある。ベンチマークテストなど負荷をかけるとファンの音が耳につくが、発熱はそれほどでもない。
3DMark/Fire Strikeが25,000超えの爆速マシン!
初回起動時、スタート画面(タブレットモード)はフルHDで1画面。とくにプリインストールなどのアプリはない。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ(タッチ対応になってるのは先日のモバイルディスプレイを接続しているため)。構成的に書くまでもなく爆速だ。
SSDは500GBの「Samsung SSD 860 EVO 500GB」。スペックによるとシーケンシャルリードが550MB/s、同ライトが520MB/s。このあたりはゲーミングを考慮してNVMeタイプが欲しかったところだが、コストとの兼ね合いもあるだろう。C:ドライブのみの1パーティションで約464GB割り当てられ空き422GB。HDDは2TBの「ST2000DM008」。D:ドライブに約1,863GB割り当てられすべてフリーだ。
Gigabit EthernetはIntel製。標準構成ではWi-FiやBluetoothは非搭載となる。GeForce RTX 3070は、CUDAコア5,888。メモリはGDDR6で8,192MB。
プリインストールのアプリケーションは、「CyberLink Media Suite」、「Norton Security」、「NVIDIAコントロールパネル」、「WPS Office」、「ユニットコムのお勧め」(リンク集)など。マザーボードのツール系は入っていない。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。バランス的にストレージが弱いので、関係するスコアが低めとは言え、全体的に超高性能だ。3DMarkは言うまでもなく凄まじいスコア。かなり重いFire Strike最後のバトルシーンも、普通に動いている。
試しにSIGMA Photo Pro Ver 6.7.4を使って50枚のRAW現像したところ、CPUでは03:38、dGPUでは01:55とdGPUの圧勝となった。
ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.1.2508 | |
PCMark 10 Score | 6,920 |
Essentials | 9,779 |
App Start-up Score | 13,597 |
Video Conferencing Score | 7,639 |
Web Browsing Score | 9,004 |
Productivity | 8,540 |
Spreadsheets Score | 9,871 |
Writing Score | 7,389 |
Digital Content Creation | 10,768 |
Photo Editing Score | 14,118 |
Rendering and Visualization Score | 15,304 |
Video Editting Score | 5,779 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 5,091 |
Creative Accelarated 3.0 | 6,845 |
Work Accelarated 2.0 | 5,545 |
Storage | 4,964 |
3DMark v2.17.7137 | |
Time Spy | 12,566 |
Fire Strike Ultra | 8,649 |
Fire Strike Extreme | 15,874 |
Fire Strike | 26,363 |
Sky Diver | 55,062 |
Cloud Gate | 58,605 |
Ice Storm Extreme | 204,001 |
Ice Storm | 210,134 |
Cinebench R23 | |
CPU | 9,824 |
CPU(Single Core) | 1,244 |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 561.243 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 369.293 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 399.318 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 349.295 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 311.622 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 232.950 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 36.603 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 95.624 MB/s |
コスパに優れた1台
以上のようにパソコン工房「LEVEL-R049-iX7-TASH」は、ミドルタワーの筐体にCore i7-10700とGeForce 3070を搭載した高性能マシンだ。仕様上気になる部分もなく、うまくまとまっている。ファンの音も構成を考えれば静かなほうだ。
欲を言えば、標準のSSDはNVMeタイプではないため、全体的な性能の底上げを目指してBTOで変更したいところ。いずれにしてもGeForce RTX 3070を搭載した、コスパに優れたミドルタワーを探しているユーザーに使ってほしい1台と言えよう。