西川和久の不定期コラム

2019年モデルとはまったく別物! Core i7-10750HとGTX 1650搭載で約1.53kgの「マウス DAIV 5P」

DAIV 5P

 マウスコンピューター株式会社は9月3日、クリエイター向けノートパソコン「DAIV 5P」の2020年モデルを発表した。編集部より実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。

従来モデルから約500gの軽量化にも関わらずバッテリ容量2倍!

 DAIV 5Pの2019年モデルは、15.6型フルHD液晶、CPUはCore i7-9750H、GPUにGeForce GTX 1650を搭載し、メモリ8GB、ストレージSSD 256GB+HDD 1TB。サイズ約360×243.5×20.3mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.1kg、バッテリ駆動時間は約7.4時間というスペックだった。

 iGPUのみのノートパソコンより1ランク上の位置づけで、ゲーミング用ほどは高性能でないものの、GPUパワーが必要なクリエイター用の製品だ。

 今回ご紹介する2020年モデルは、プロセッサを第10世代にした上で、マグネシウム合金製筐体とリチウムポリマーバッテリ採用し、従来モデルから約500gの軽量化。厚さも20.3mmから17.9mmへと約11%薄型化している。ノートパソコンで500g違えば、かなり印象が異なるのは言うまでもない。軽くなってもバッテリ容量を2倍とし、DAIVブランド最長の約18.5時間駆動を実現した。

 つまり2020年モデルは、プロセッサの世代替わり+α的なものでなく、完全に設計が異なるマシンに生まれ変わっている。おもな仕様は以下のとおり。

マウスコンピューター「DAIV 5P」の仕様
プロセッサCore i7-10750H(6コア12スレッド/2.6GHz~5.0GHz/キャッシュ 12MB/TDP 45W)
メモリ16GB(16GB×1/PC4-21300、1スロット最大32GB)
ストレージNVMe SSD 512GB
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)、非光沢、NTSC比約72%
グラフィックスIntel UHD Graphics /GeForce GTX 1650(4GB)
ネットワークGigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5
インターフェイスUSB 3.0×3(1基はType-C)、USB 2.0、100万画素Webカメラ、microSDカードスロット、HDMI、音声入出力
バッテリ駆動時間約18.5時間
サイズ/重量356×233×17.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.53kg
税別価格139,800円(Office Home & Business 2019搭載モデル164,800円)

 プロセッサは第10世代Comet LakeのCore i7-10750H。6コア12スレッドで、クロックは2.6GHzから最大5.0GHz。キャッシュは12MB、TDPは45W。一般的なノートパソコンに使われている末尾がUのTDP 15Wタイプより高性能SKUだ。

 メモリはPC4-21300の16GB。1スロットで最大32GBまで対応するが、シングルチャンネル動作となる。はじめから16GBはうれしいが、シングルチャンネルなのは残念なところ。ストレージはNVMe SSD 512GB。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載。

 グラフィックスは、プロセッサ内蔵UHD Graphicsと、TuringアーキテクチャのGeForce GTX 1650(4GB)。外部出力用にHDMIを装備している。ディスプレイは、非光沢の15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)。仕様によるとNTSC比約72%(参考値sRGB比換算約102%)の色域とのこと。

 ネットワーク機能は、Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×3(1基はType-C)、USB 2.0、100万画素Webカメラ(Windows Hello対応)、microSDカードスロット、音声入出力。Type-CはDisplayport Alternate ModeやPDには非対応だ。

 バッテリ駆動時間は約18.5時間。サイズ356×233×17.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.53kg。内容のわりに意外と軽めか。税別価格は139,800円。構成を考慮するとコストパフォーマンスは高いと言えよう。

 カスタマイズにも対応し、Windows 10 Pro、メモリ32GB、SSD 512GB(高速版)、1TBなどへ変更が可能だ。

前面。パネル中央上にWebカメラ。狭額縁なのがわかる
斜め後ろから。放熱用のスリットが並んでいる
左側面。ロックポート、Gigabit Ethernet、USB 2.0、USB 3.0、音声入出力、microSDカードスロット
右側面。電源入力、HDMI、USB 3.0、Type-C。パネルはこの傾きが最大
キーボード。88キー日本語バックライトつきキーボード。タッチパッドは1枚プレート式。左上にタッチパッドオン/オフがある(梱包時のシートをそのまま貼ってある状態)
キーピッチは実測で約18mm。仕様上キーピッチ約18mm、キーストローク約1.4mm
底面。手前左右のスリットにスピーカー。前後に1本バーのゴム足
横から。各コネクタのサイズから結構薄いのがわかる。キーボードが手前に傾く仕掛けはない
ACアダプタのサイズは約138×63×25mm、重量338g、出力19V/4.74A
重量は実測で1,525g

 筐体はマグネシウム合金製でシルバー。なかなかメタリックな感じでカッコいい。このクラスのわりに厚み17.9mm。そして重量は実測で1,525gということもあり、持ったときに見た目と合わずズッシり重く感じず、逆に少し軽い気がする。

 前面はパネル中央上にWebカメラ。その分上だけ少し太めだが狭額縁なのがわかる。左側面にロックポート、Gigabit Ethernet、USB 2.0、USB 3.0、音声入出力、microSDカードスロット。右側面に電源入力、HDMI、USB 3.0、Type-Cを配置。裏は手前左右にスピーカー用のスリットと前後に1本バーのゴム足。付属のACアダプタは、サイズ約138×63×25cm(幅×奥行き×高さ)、重量338g、出力19V/4.74A。

 15.6型のディスプレイは非光沢で眼に優しく、明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。パネルの傾きは左側面(もしくは右側面)の写真が最大となる。

 i1 Display Proを使い特性を測定したところ最大輝度は267cd/平方m。標準の明るさ120cd/平方mは、最大から-5が134cd/平方m、-6が108cd/平方m。したがって前者で計測している。黒色輝度は0.166cd/平方m。つまり、(目視可能かは別として)若干黒が浮く。リニアリティは、R・G・B各色いいものの、Bだけ結構外れている。この関係で補正前はかなり白っぽかった。

測定結果1/白色点と黒色輝度
測定結果2/R・G・Bのリニアリティ

 キーボードは88キー日本語。オフ+2段階バックライトつきだ。ただし15.6型でテンキーなしのわりにキーピッチは18mmと若干狭い。その分、いびつな並びやキーピッチが狭くなると言った不都合はない。また[Enter]キーの外側にキーがあるのは好みの分かれるところだろう。個人的にはこのキートップがシルバーで刻印が半透明っぽいのはバックライトオフ(もしくは日中でオン)時に刻印が見づらくなるので苦手だ。

 タッチパッドは1枚プレート式。左上にオン/オフのエリアがある。パームレストも含め面積はかなり広く確保されており扱いやすい。

 振動やノイズは、負荷をかけると後ろ側面から空気が出て、結構ファンの音がする。このとき、発熱はキーボード上のスペースがおもに熱くなるものの、キーボードやパームレストまでは降りて来ないので問題はない。

 サウンドは、スピーカーが裏(少し側面が斜めだが)にあるため、机などに反射して(ほぼ)間接音として耳に届く。パワーはあと倍はほしいだろうか。幅があるのでステレオ感はあるものの、レンジが狭く、迫力不足、抜けもよくない。音楽や映像の再生だと欲求不満になるだろう。

PCMark 10/BATTERY/Modern Officeで13時間17分駆動!

 初回起動時、スタート画面(タブレットモード)は1画面。ユーザーサポートグループがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプルだ。構成が構成なだけに何をしても快適に作業できる。

 ストレージはNVMe SSD 512GBの「ADATA SX6000PNP」。仕様によると、読み取り2,100MB/s、書き込み1,500MB/s。CrystalDiskMarkのスコアもほぼそのまま出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約475.7GB割り当てられ空き440GB。

 Wi-FiとBluetoothはIntel製。Gigabit EthernetはRealtek製だ。GeForce GTX 1650は、CUDAコア896、4,096MB/GDDR6。

スタート画面(タブレットモード)。1画面。ユーザーサポートグループがプリインストール
起動時のデスクトップは壁紙の変更のみとシンプル
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはNVMe SSD 512GBの「ADATA SX6000PNP」。Wi-FiとBluetoothはIntel製。Gigabit EthernetはRealtek製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約475.7GB割り当てられている
NVIDIAコントロールパネル。CUDAコア896、4096MB/GDDR6

 おもなプリインストールのソフトウェアは、「Control Center」と、同社おなじみ「Windows 10ユーザーガイド」(PDF)、「ハードウェアマニュアル」(PDF)など。

 Control Centerは、画面キャプチャからもわかるように。「EZスイッチ」と「動作モード」に分かれ、前者はバックライトLED/ディスプレイ/その他設定。後者は標準/省エネ/パフォーマンスなどへの設定が可能だ。なお後述するベンチマークテストはすべて標準で行なっている。

Control Center(1/2)
Control Center(2/2)

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R20、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。

 GeForce GTX 1650なので、今年(2020年)何台かレビューしたGeForce RTX 2060 / 2070搭載機にはおよばないものの(3DMarkでざっくり2~3倍差)、それでもiGPUとは比較にならないスコアとなっている。ゲーミング用ではなくクリエイターー用であればかなりいい線ではないだろうか。

 PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは13時間17分(キーボードバックライトオフ。明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。仕様上は最大約18.5時間だが、テスト内容を考えると妥当なところだろう。

ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.1.2506
PCMark 10 Score4,673
Essentials8,348
App Start-up Score11,899
Video Conferencing Score6,620
Web Browsing Score7,387
Productivity7,082
Spreadsheets Score8,112
Writing Score6,184
Digital Content Creation4,684
Photo Editing Score6,290
Rendering and Visualization Score5,810
Video Editting Score2,813
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,563
Creative Accelarated 3.04,300
Work Accelarated 2.04,979
Storage5,028
3DMark v2.12.6964
Time Spy2,399
Fire Strike Ultra1,289
Fire Strike Extreme2,678
Fire Strike5,556
Sky Diver18,062
Cloud Gate24,733
Ice Storm Extreme74,795
Ice Storm71,813
CINEBENCH R20
CPU2,629 pts(7位)
CPU(Single Core)492 pts(1位)
CrystalDiskMark6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード1920.654 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1566.916 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード661.584 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト959.504 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード349.255 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト409.054 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード31.182 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト120.458 MB/s

 最後にクリエイター向けということもあり、動画のエンコードとRAW現像のパッチ処理を少し試した。

 まず動画のエンコードだが、1080p MP4、3分の動画を「WinX HD Video Converter Deluxe」を使い、4K MP4へコンバートしてみた。このアプリはハードウェアエンコーダとして、iGPU/NVIDIA/AMDに対応しているが、NVIDIAで約54秒。チェックなしだと3分44秒と大差となった。

WinX HD Video Converter Deluxe / メインパネル。ハードウェアエンコーダにIntel、nVIDIA、AMDの項目がある
WinX HD Video Converter Deluxe / 出力プロファイル

 次にRAW現像。GPU対応のこの手のアプリでは「Adobe Photoshop Lightroom」が一般的だが、手持ちのカメラの1つが、SIGMA sd Quattroということもあり、「SIGMA Photo Pro」を使いバッチ処理を行なった。環境設定を見るとわかるように、“GPUによる高速化”にも対応している。5枚でのバッチ処理はGPUオンで15秒、オフで30秒と、倍の差だ。

 参考までに筆者が今年購入したNUC@Core i5-10210U(iGPU)で試したところ、GPUオン(iGPUにも対応している)で32秒、オフで37秒と、オンとオフでの差があまりなく、オンで本機のオフとほぼ同レベルとなった。

SIGMA Photo Pro / メイン
SIGMA Photo Pro / 環境設定

 このようにdGPUの有無による処理時間は、動画のエンコードでもRAW現像でもかなりの差があり、この手の処理が中心であれば、本機のような強力なdGPU搭載機は魅力的だろう。


 以上のようにマウスコンピューターの「DAIV 5P」は、15.6型フルHD、Core i7-10750H、GeForce GTX 1650、16GB、SSD 512GBを搭載し、重量約1.5kgのノートパソコンだ。バッテリ駆動時間も12時間超えでスタミナたっぷり。

 唯一シングルチャネル動作が残念なところだが、全体的な完成度は高く、iGPUノートパソコンでは物足らない、おもにクリエイター系のユーザーに使ってほしい1台だ。