西川和久の不定期コラム
LTE対応で3万円切りの高コスパ8型Androidタブレット「MediaPad M5 lite」
2019年5月22日 11:00
ファーウェイ・ジャパンは、Kirin 710を搭載するAndroidタブレット「MediaPad M5 lite」の8型モデルを5月17日に発売した。Wi-FiモデルとLTEモデルが用意されているが、今回は後者の試用レポートをお届けしたい。
NPU対応のKirin 710を搭載した8型タブレット
MediaPad M5 liteシリーズは、10.1型モデルが昨年(2018年)の11月に発売されているが(ファーウェイ、2,048段階筆圧ペン対応の10.1型タブレット参照)、搭載するSoCはKirin 659(4コア/2.36GHz+4コア/1.7GHz)であり、今回の8型モデルよりも1世代ほど古く、画面は小さくなるものの8型のほうが最新というじゃっかんわかりにくい状況になっている。
MediaPad M5 lite 8型のおもな仕様は以下のとおり。
【表】MediaPad M5 lite(8型)のスペック | |
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SoC | Kirin 710(4コア/2.2GHz+4コア/1.7GHz) |
GPU | Mali-G51 MP4 |
メモリ | LPDDR4X 3GB |
ストレージ | 32GB |
OS | Android 9(Pie)+EMUI 9 |
ディスプレイ | 約8型IPS式1,920×1,200ドット(283ppi) |
ネットワーク | IEEE 802.11ac無線LAN、Bluetooth 4.2 |
対応バンド | FDD-LTE : B1/3/5/7/8/18/19/20/26/ TDD-LTE : B40/41 W-CDMA : B1/2/5/6/7/19 GSM : 850/900/1,800/1,900MHz |
インターフェイス | USB 2.0、microSDカードスロット、Nano SIM、ステレオスピーカー(Harman Kardonチューニング)、4マイク、3.5mmステレオミニジャック |
カメラ | 背面1,300万画素(AF)、前面800万画素(FF) |
センサー | 加速度/顔認証センサー、GPS/Glonass/BDS/A-GPS(LTEモデルのみ) |
バッテリ | 約5,100mAh、ビデオ再生10.6時間/音楽再生62時間 |
サイズ/重量 | 約122.2×204.2×8.2mm(幅×奥行き×高さ)/約310g |
カラー | スペースグレー |
税別店頭価格 | 22,880円前後(Wi-Fiモデル)、26,880円前後(LTEモデル) |
SoCはオクタコアのKirin 710(4コア/2.2 GHz+4コア/1.7 GHz)で、GPUとしてMali-G51 MP4内包する。Kirin 659の後継に相当し、Arm Cortex A73をベースにしたTSMCの12nmプロセスで製造され、上位SoCのkirin 970/980同様、AI用のNPU(Neural Processing Unit)を実装している。
メモリはLPDDR4Xの3GB、ストレージは32GB。OSはAndroid 9 (Pie) + EMUI 9を搭載。ローエンドながらAndroid 9とNPUが使えるモデルとなる。ディスプレイは8型IPS式で解像度は1,920×1,200ドット(283ppi)。
ネットワーク機能は、IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2。またLTEモデルはNano SIMスロットを装備する。対応バンドは上記の表のとおりだ。
そのほかのインターフェイスは、おもに充電用のUSB 2.0、microSDカードスロット、Harman Kardonチューニングのステレオスピーカー、4マイク、3.5mmステレオミニジャック。センサーは加速度/顔認証センサー、GPS/Glonass/BDSを内蔵する。A-GPSはLTEモデルのみの対応だ。カメラは背面が約1,300万画素(AF)、前面は約800万画素(FF)。
約5,100mAhのバッテリを内蔵し、駆動時間はビデオ再生で10.6時間、音楽再生で62時間。サイズ約122.2×204.2×8.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量約310g。カラーバリエーションはスペースグレーのみ。
税別店頭価格はWi-Fiモデルで22,880円前後、LTEモデルで26,880円前後と、LTEモデルでさえ税込でも3万円を切る。内容を考えるとかなり安いほうだろう。
筐体は8型で狭額縁を謳っているものの、それほどベゼルを切り詰めているという印象はない。背面はスペースグレーで質感は価格を考えれば悪くない。幅約12cm、重量312gなので、ギリギリ片手で持ち続けられる大きさと重さといったところ。
前面は、縦位置時、パネル中央上に約800万画素前面カメラ。ナビゲーションはソフトウェア式。背面は、左上に1,300万画素の背面カメラ。上下のスリット(横位置時左右)にスピーカー。左側面にmicroSDカード/Nano SIMカードスロット、下側面右寄りにUSB 2.0。右側面に音量±ボタンと電源ボタン。上側面に3.5mmステレオミニジャックを配置。
カードスロットは、奥がNano SIMカード、手前がmicroSDカードとなる。付属のUSB接続の充電用ACアダプタのサイズは約40×40×22mm(幅×奥行き×高さ、プラグ部含まず)。重量は41gで出力5V/2Aだ。
8型IPS式のディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角など、すべて問題なし。色温度の設定も可能だ。未だに安価なノートPCでTNパネルを搭載しているメーカーは見習ってほしいところ。解像度は1,920×1,200ドットで画素ピッチは283ppiだ。
発熱はベンチマークテストや長時間駆動など負荷をかけると、縦位置で上側がほんのりと温かくなる程度だ。
Harman Kardonチューニングのスピーカーは横位置時ステレオになる。驚いたのは8型タブレットとは思えないほどの鳴りっぷりだ。幅以上に音も広がる。もちろんリアルな低音は無理な相談ではあるが、このサイズでこれだけ鳴れば文句なし。音楽も動画もかなり楽しめる。パワーも100%だとかなりうるさい。イヤフォン出力もパワーがあり、サウンドの傾向は似ているものの、少し抜けが悪くなる。
前面カメラは固定フォーカスで約800万画素。背面カメラはオートフォーカスで約1,300万画素。最大出力3,120×4,160ピクセル。Exifによるとf/2.2で焦点距離は3mm。35mm換算で26mmとなっている。
カメラのモードは、ビューティー(効果は0から10まで)、写真、ビデオのほか、プロ、パノラマ、ライトペインティング、HDR、コマ抜き、フィルタ、ステッカー、ダウンロードがある。
設定では、カメラの解像度(13MP/10MP)、動画の解像度(1080p FHD@60fps/1080p FHD/720p HD@ビューティー効果対応、H.265/H.264)に加え、プロモードでRAW対応、GPSタグ、カメラグリッド、ミラー反射(前面のみ)、タイマー、スマイルキャプチャ、オブジェクトトラッキングが選べる。
また、プロモードでは、ISO : 50-1,600、シャッタースピード : 1/4,000-8秒、露出補正 : ±4、フォーカス : AF-S/AF-C/MF、WB : 曇り/蛍光灯/電球/晴れ/固定(2,800-7,000K)の設定が可能だ。オートではAF後、上下のスライドで露出補正、ピンチイン/アウトでデジタルズームに対応する。
機能的にはまったく問題なく、以下の写真のように写りもそれなりだが、スマートフォンと比較して大きいので手ぶれしやすい。手元にいまどきのスマートフォンがあれば、無理してこちらで撮る必要はないだろう。
初回セットアップ
初回セットアップの画面は以下のとおりで、HUAWEI IDなどの設定はスキップして掲載いる。
LTEはシングルSIMなのでDSDS(Dual SIM - Dual Standby)などの設定はなくシンプル。APNを選ぶだけで再起動なしで即使用可能となる。
シンプルでわかりやすいUI
OSはAndroid 9、EMUIは9.0.1。初回起動時、ストレージは32GB中8.99GBが使用中だ(若干の画面キャプチャを含む)。IMEは多言語用としてGboard、日本語用としてiWnn IMEがインストールされている。Android+EMUIは、かなり前から同社のコンビネーションであり、すでに結構こなれており、わかりやすくそして使いやすい。
初回起動時のホーム画面は2画面。Dockに「Playムービー&TV」、「Play Music」、「メール」、「Chrome」、「ギャラリー」。
1画面目はGoogleフォルダ、「Playストア」、「端末管理」、「設定」、「カメラ」。2画面目は「電話」、「連絡先」、「メッセージ」、「テーマ」、「ファイル」、「メモ帳」、「カレンダー」、「キッズモード」、「ヒント」、ツールフォルダ、「ウイルスバスタ」、「AppGallery」、「BetaClub」。
Googleフォルダに「Google」、「Gmail」、「マップ」、「YouTube」、「ドライブ」、「Duo」、「フォト」。ツールフォルダに「天気」、「電卓」、「音声レコーダー」、「時計」、「音楽」、「ビデオ」、「HiCare」、「バックアップ」、「Phone Clone」、「ダウンロード」。
キッズモードは、使用可能なアプリ、アクセス可能なメディアフォルダ、使用時間帯/時間、ブルーライトカットなどの設定が可能で、子供が使う時用のモードだ。
壁紙/ウィジェット/エフェクト/ホーム画面設定は壁紙長押しで行なえる。ウィジェットは、「カレンダー」、「ギャラリー」、「連絡先」、「時計」、「ドライブ」、「Googleメール」、「メモ帳」、「マップ」、「音楽」、「画面ロック」、「高速化」、「設定のショートカット」、「天気」、「電源管理」、「Chrome」、「Gmail」、「Gmailのラベル」、「Google Play Music」、「Musicプレイリスト」、「Sound Search」。
エフェクトは、「デフォルト」、「パースペクティブ」、「スクイーズ」、「ボックス」、「フィリップオーバー」、「回転」、「ページ」、「風車」。
ほどほどの性能と仕様どおりのバッテリ駆動時間
ベンチマークテストは簡易式だが、Google Octane 2.0とAnTuTuベンチマークとの結果を掲載する。Google Octane 2.0は9,269、AnTuTuベンチマークは125,286で51位。
Google Octane 2.0は合格レベルの1万には少し届かず。とは言え、ギリギリ届かないレベルなのでネットなどのアクセスでストレスを感じることもないだろう。AnTuTuベンチマークは3Dが含まれるためさすがに低くなる。なお、Kirin 710はGPU Turboにも対応するが、明示的にオン/オフする手段がなく、その効果は不明だ。
バッテリ駆動時間は、音量・輝度50%音量50%に設定し、Wi-Fi接続でYouTubeの動画を全画面で繰り返し再生したところ、約10時間で電源が落ちた。仕様上、ビデオ再生10.6時間なので、ほぼそのままの結果だ(Wi-Fi併用なのでその分短い)。輝度50%は十分明るく、音量50%は長時間身近で鳴っていると相当うるさい。
以上のように、8型の「MediaPad M5 lite」は、NPU対応のKirin 710を搭載し、画面、サウンドも上々、3GB/32GB、外部メディア対応の上、LTEモデルでも税込3万円切り。コストパフォーマンスの高いモデルに仕上がっている。
仕様上とくに気になる部分もなく、安価で十分に使える8型Androidタブレットがほしいというユーザーにおすすめしたい。