西川和久の不定期コラム

第8世代Core搭載15.6型2in1 HP「ENVY 15 x360/15-cn0004TU」

ENVY 15 x360

 日本HPは6月22日、第8世代Kaby Lake Rプロセッサを搭載するENVYシリーズの13型ノートPCと、15.6型の2in1を発表した。

 編集部から後者が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

360度パネルが回転する2in1

 今回発表されたのは、13型のノートPC「ENVY 13」と、15.6型の2in1「ENVY 15 x360」。どちらも第8世代Kaby Lake-Rプロセッサ、タッチ対応IPSパネルを搭載する。

 後者の2in1は、x360のネーミングからも読み取れるように、パネルが360度回転し、タブレット、テント、スタンドモードに変形できるタイプだ。

 構成によって4モデルが用意され、Core i5-8250U/8GB/1TB HDD+Optaneメモリ16GB搭載の「15-cn0004TU」、ストレージを256GB SSD+1TB HDDに変更した「15-cn0000TU」。後者をCore i7-8550Uにした「15-cn0001TU」、加えてメモリを16GBにしたのが「15-cn0002TU」となっている。

 税別価格は順に106,800円、114,800円、127,800円、147,800円。パネルなどほかの仕様は同じだ。

 手元に届いたのは下位モデルの「15-cn0004TU」。おもな仕様は以下の通り。

HP「ENVY 15 x360 / 15-cn0004TU」の仕様
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ15.6型1,920×1,080ドット、光沢あり、10点タッチ対応
プロセッサCore i5-8250U(4コア8スレッド/1.6~3.4GHz/キャッシュ6MB/TDP 15W)
メモリDDR4-2400 8GB
ストレージ1TB HDD+Optaneメモリ16GB
グラフィックスIntel UHD Graphics 620/HDMI 2.0、Type-C(DP-Alt Mode対応)
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2
インターフェイスUSB 3.0×3(内1つType-C)、SDカードスロット、約92万画素Webカメラ、音声入出力、指紋センサー、アクティブペン
バッテリ/駆動時間3セルリチウムイオン/約10時間
サイズ/重量約359×245×19~20mm(幅×奥行き×高さ)/約2.11kg
販売価格106,800円(税別)

 プロセッサは、第8世代Kaby Lake-RのCore i5-8250U。4コア/8スレッドでクロックは1.6GHzから3.4GHz。キャッシュは6MBでTDPは15W。Core i5としては、上位に8350U(最大3.6GHz)もあるが、それなりに強力なSKUだ。メモリはDDR4-2400で、8GB×1。

 ストレージは少し変わっていて、1TB HDD+Optaneメモリ16GB。個人的には、初めてOptaneメモリ併用のHDDを使ったが、後半のベンチマークテストからも分かるように、明らかに速い。もちろん体感速度もSSDのような動作で、大容量と速度を兼ね備えたソリューションと言えよう。

 反面、容量が256GB程度で良ければ、SSDを使った方がコストパフォーマンスが良いと思われる(16GBタイプはamazon調べで約6千円)。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載。

 ディスプレイは、15.6型IPS式光沢ありのフルHD(1,920×1,080ドット)。10点タッチに対応し、360度パネルが回転。タブレット、テント、スタンドモードに変形が可能だ。外部出力用にHDMI 2.0とType-C(DisplayPort Alternate Mode対応)を装備。アクティブペンも標準で付属する。

 ネットワークは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2。このサイズで有線LANがないのは残念。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×3(内1つType-C)、SDカードスロット、約92万画素Webカメラ、音声入出力、指紋センサー。Bang & Olufsenとの共同開発のオーディオを搭載しているのでサウンドにも期待できる。

 3セルリチウムイオンのバッテリを内蔵し、駆動時間は約10時間。サイズ約359×245×19~20mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.11kg。本体色はナチュラルシルバーのみ。価格は、今回のモデルで税別106,800円だ。

前面。パネル中央上に約92万画素Webカメラ。上左右は気持ち狭額縁
背面。前後にゴム足。メモリやストレージにアクセスできる小さいパネルは無い
左は電源入力、USB 3.0、電源ボタン、音声入出力、SDカードスロット
右はHDMI、USB 3.0(Powered)、Type-C、指紋センサー、音量±ボタン
斜め後ろ。中央にHPのロゴ。アルミニウムボディで質感も高い
タブレットモード
スタンドモード
テントモード
キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。タッチパッドは1枚プレート型
キーピッチは実測で約19mm。とくにいびつな並びはない
付属のアクティブペン使用中。質感重量共にありがちなボールペンなどと変わらずスムーズに反応する
付属のACアダプタとアクティブペン。ACアダプタのサイズは約60×60×30mm、重量166g。アクティブペンは単6電池1本

 筐体はアルミニウムで質感は高く、ENVYシリーズにぴったりな雰囲気を醸し出す。ただし、重量は2kgを少し超えるため、とくにタブレットモードでは、片手で持つにも両手で持つにもズッシリ重い。

 前面はパネル中央上に約92万画素Webカメラ。上左右は狭額縁設計だ。左サイドに電源入力、USB 3.0、電源ボタン、音声入出力、SDカードスロット。右サイドにHDMI、USB 3.0(Powered)、Type-C、指紋センサー、音量±ボタンを配置。指紋センサーはWindows Hello対応。

 なお画面出力は、本体のディスプレイ、HDMI、Type-C(DisplayPort Alternate Mode)により、3画面同時出力が可能になっている。

 付属のACアダプタのサイズは約60×60×30mm、重量166g。アクティブペンは単6電池1本を使用する。重量はバッテリ込みで16g。筆圧感知は1,024段階。

 ディスプレイは、15.6型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)の光沢タイプ。発色、明るさ、コントラスト、視野角すべて良好。品質の高いパネルが使われている。輝度最小でも暗めの室内であれば十分見える明るさだ。

 タッチもアクティブペンもスムーズに反応する。ペンには2つのボタンがあり「HP Pen Control ソフトウェア」で、それぞれ機能を割り当てられる。

 キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチは約19mm確保されている。15.6型とフットプリントが十分広いため、いびつな並びもない。打鍵感は少しクリック感があるといったところか。

 本体に傾斜がなく机などと並行なので、個人的には若干入力しにくい。タッチパッドは1枚プレート型だ。パームレストも含め十分広く、使いやすい。

 振動やノイズは、試用した範囲ではとくに気にならなかった。発熱は、ベンチマークテストなど負荷をかけるとキーボードやパームレストなどで全面的に熱を持つ。一部が熱くなるのはありがちなパターンであるが、全面的に熱を持つのはあまり見かけないパターンだ(HP CoolSenseオフ)。

 サウンドは、BANG & OLUFSENのロゴは伊達ではなく、パワー、品質ともにGood。もちろん「ノートPCとしては」だが、これだけ鳴りっぷりが良いと聴いてて気持ち良い。

 ただし、後述する「BANG & OLUFSEN AUDIO」をオフにすると、音痩せするので常時オンのまま使用するのをおすすめする。また右サイドに音量±ボタンが独立してあるのもスマホのようで扱いやすい。

Optaneメモリが効いてHDDながらも意外とサクサク作動

 OSは64bit版のWindows 10 Home。スタート画面(タブレットモード)は1画面。HP JumpStartやHP Command Centerなどがプリインストールされている。

 デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ。ストレージがHDD+Optaneメモリなので、操作感はHDDとSSDの間のような、ちょっと奇妙な雰囲気だが、サクサク作動する。

 ストレージは、Intel Rapid Storage Technologyのパネルを開くと分かるように、1TB/7,200rpm/128MBのHDD「SEAGATE ST1000LM049」とIntel Optane 16GBメモリとのコンビネーションで、1ボリュームになっている。Cドライブのみの1パーティションで、約911.94GBが割り当てられ、空き879GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。

スタート画面(タブレットモード)は1画面。HP JumpStartやHP Command Centerなどがプリインストール
起動時のデスクトップは壁紙のみの変更
デバイスマネージャ/主要なデバイス。1TB/7,200rpm/128MBのHDD「SEAGATE ST1000LM049」+Intel Optane 16GBメモリ。Wi-FiとBluetoothはIntel製
ストレージのパーティションはCドライブのみの1パーティションで、約911.94GBが割り当てられている
Intel Rapid Storage Technology。1TB HDD + Intel Optane 16GBメモリで1ボリューム

 プリインストールのアプリケーションは、「BANG & OLUFSEN AUDIO」、「HP Audio Switch」、「HP Command Center」、「HP ePrint SW」、「HP JumpStart」、「HP Smart」。

 「HPヘルプとサポート」フォルダに「HP Documentation」、「HP PC Hardware Diagnostics Windows」、「HP Recovery Manager」、「Recovery Media Creation」、「HP Support Assistant」。そして「マカフィーリブセーフ」。同社のツール系がおもな構成となっている。

HP JumpStart
HP Command Center
BANG & OLUFSEN AUDIO
HP PC Hardware Diagnostics Windows

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下の通り。

ベンチマーク結果
PCMark 10 v1.0.1457
PCMark 10 Score2,928
Essentials7,475
App Start-up Score8,477
Video Conferencing Score7,443
Web Browsing Score6,620
Productivity4,273
Spreadsheets Score5,845
Writing Score3,125
Digital Content Creation2,135
Photo Editing Score1,743
Rendering and Visualization Score1,922
Video Editting Score2,908
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,102
Creative Accelarated 3.03,655
Work Accelarated 2.04,378
Storage4,441
3DMark v2.4.4264
Time Spy384
Fire Strike Ultra241
Fire Strike Extreme455
Fire Strike959
Sky Diver4,310
Cloud Gate7,638
Ice Storm Extreme43,971
Ice Storm60,558
CINEBENCH R15
OpenGL43.00 fps
CPU627 cb
CPU(Single Core)147 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード920.042 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト159.372 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード538.467 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト161.887 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード131.654 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト161.838 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード118.328 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト73.601 MB/s
BBench(ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能)
バッテリ残量7%まで10時間17分57秒

 多くはCore i5-8250U/iGPU相当のスコアだが、ストレージだけは16GBのOptaneメモリが効いているのか、HDDではなく、SSD並みのスコアが出ている。体感速度もストレスを感じず操作でき、なかなか優秀だ。

 バッテリ駆動時間は仕様上で約10時間なので、ほぼそのままの値。輝度最小でもそれなりに見えるので、実作動時も大幅に変わることはないだろう。なお、ほかのモデルは最大約11時間と1時間増えている。


 以上のようにHP「ENVY 15 x360 / 15-cn0004TU」は、15.6型フルHDで360度回転するパネル、Core i5-8250U、8GBメモリ、そしてOptaneメモリとコンビネーションのHDDを搭載した2in1だ。アクティブペンや3画面同時出力対応など、きっちり仕様を抑えているのもポイントが高い。また用途や予算に応じて、さらに上位3機種から選べるのもGoodだ。

 仕様上とくに気になる部分もなく、第8世代Coreプロセッサを搭載し、ルックスもクールで15.6型な2in1を探しているユーザーにおすすめしたい逸品と言えよう。