西川和久の不定期コラム
第8世代Core搭載15.6型2in1 HP「ENVY 15 x360/15-cn0004TU」
2018年7月9日 11:00
日本HPは6月22日、第8世代Kaby Lake Rプロセッサを搭載するENVYシリーズの13型ノートPCと、15.6型の2in1を発表した。
編集部から後者が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。
360度パネルが回転する2in1
今回発表されたのは、13型のノートPC「ENVY 13」と、15.6型の2in1「ENVY 15 x360」。どちらも第8世代Kaby Lake-Rプロセッサ、タッチ対応IPSパネルを搭載する。
後者の2in1は、x360のネーミングからも読み取れるように、パネルが360度回転し、タブレット、テント、スタンドモードに変形できるタイプだ。
構成によって4モデルが用意され、Core i5-8250U/8GB/1TB HDD+Optaneメモリ16GB搭載の「15-cn0004TU」、ストレージを256GB SSD+1TB HDDに変更した「15-cn0000TU」。後者をCore i7-8550Uにした「15-cn0001TU」、加えてメモリを16GBにしたのが「15-cn0002TU」となっている。
税別価格は順に106,800円、114,800円、127,800円、147,800円。パネルなどほかの仕様は同じだ。
手元に届いたのは下位モデルの「15-cn0004TU」。おもな仕様は以下の通り。
HP「ENVY 15 x360 / 15-cn0004TU」の仕様 | |
---|---|
OS | Windows 10 Home(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型1,920×1,080ドット、光沢あり、10点タッチ対応 |
プロセッサ | Core i5-8250U(4コア8スレッド/1.6~3.4GHz/キャッシュ6MB/TDP 15W) |
メモリ | DDR4-2400 8GB |
ストレージ | 1TB HDD+Optaneメモリ16GB |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620/HDMI 2.0、Type-C(DP-Alt Mode対応) |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2 |
インターフェイス | USB 3.0×3(内1つType-C)、SDカードスロット、約92万画素Webカメラ、音声入出力、指紋センサー、アクティブペン |
バッテリ/駆動時間 | 3セルリチウムイオン/約10時間 |
サイズ/重量 | 約359×245×19~20mm(幅×奥行き×高さ)/約2.11kg |
販売価格 | 106,800円(税別) |
プロセッサは、第8世代Kaby Lake-RのCore i5-8250U。4コア/8スレッドでクロックは1.6GHzから3.4GHz。キャッシュは6MBでTDPは15W。Core i5としては、上位に8350U(最大3.6GHz)もあるが、それなりに強力なSKUだ。メモリはDDR4-2400で、8GB×1。
ストレージは少し変わっていて、1TB HDD+Optaneメモリ16GB。個人的には、初めてOptaneメモリ併用のHDDを使ったが、後半のベンチマークテストからも分かるように、明らかに速い。もちろん体感速度もSSDのような動作で、大容量と速度を兼ね備えたソリューションと言えよう。
反面、容量が256GB程度で良ければ、SSDを使った方がコストパフォーマンスが良いと思われる(16GBタイプはamazon調べで約6千円)。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載。
ディスプレイは、15.6型IPS式光沢ありのフルHD(1,920×1,080ドット)。10点タッチに対応し、360度パネルが回転。タブレット、テント、スタンドモードに変形が可能だ。外部出力用にHDMI 2.0とType-C(DisplayPort Alternate Mode対応)を装備。アクティブペンも標準で付属する。
ネットワークは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2。このサイズで有線LANがないのは残念。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×3(内1つType-C)、SDカードスロット、約92万画素Webカメラ、音声入出力、指紋センサー。Bang & Olufsenとの共同開発のオーディオを搭載しているのでサウンドにも期待できる。
3セルリチウムイオンのバッテリを内蔵し、駆動時間は約10時間。サイズ約359×245×19~20mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.11kg。本体色はナチュラルシルバーのみ。価格は、今回のモデルで税別106,800円だ。
筐体はアルミニウムで質感は高く、ENVYシリーズにぴったりな雰囲気を醸し出す。ただし、重量は2kgを少し超えるため、とくにタブレットモードでは、片手で持つにも両手で持つにもズッシリ重い。
前面はパネル中央上に約92万画素Webカメラ。上左右は狭額縁設計だ。左サイドに電源入力、USB 3.0、電源ボタン、音声入出力、SDカードスロット。右サイドにHDMI、USB 3.0(Powered)、Type-C、指紋センサー、音量±ボタンを配置。指紋センサーはWindows Hello対応。
なお画面出力は、本体のディスプレイ、HDMI、Type-C(DisplayPort Alternate Mode)により、3画面同時出力が可能になっている。
付属のACアダプタのサイズは約60×60×30mm、重量166g。アクティブペンは単6電池1本を使用する。重量はバッテリ込みで16g。筆圧感知は1,024段階。
ディスプレイは、15.6型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)の光沢タイプ。発色、明るさ、コントラスト、視野角すべて良好。品質の高いパネルが使われている。輝度最小でも暗めの室内であれば十分見える明るさだ。
タッチもアクティブペンもスムーズに反応する。ペンには2つのボタンがあり「HP Pen Control ソフトウェア」で、それぞれ機能を割り当てられる。
キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチは約19mm確保されている。15.6型とフットプリントが十分広いため、いびつな並びもない。打鍵感は少しクリック感があるといったところか。
本体に傾斜がなく机などと並行なので、個人的には若干入力しにくい。タッチパッドは1枚プレート型だ。パームレストも含め十分広く、使いやすい。
振動やノイズは、試用した範囲ではとくに気にならなかった。発熱は、ベンチマークテストなど負荷をかけるとキーボードやパームレストなどで全面的に熱を持つ。一部が熱くなるのはありがちなパターンであるが、全面的に熱を持つのはあまり見かけないパターンだ(HP CoolSenseオフ)。
サウンドは、BANG & OLUFSENのロゴは伊達ではなく、パワー、品質ともにGood。もちろん「ノートPCとしては」だが、これだけ鳴りっぷりが良いと聴いてて気持ち良い。
ただし、後述する「BANG & OLUFSEN AUDIO」をオフにすると、音痩せするので常時オンのまま使用するのをおすすめする。また右サイドに音量±ボタンが独立してあるのもスマホのようで扱いやすい。
Optaneメモリが効いてHDDながらも意外とサクサク作動
OSは64bit版のWindows 10 Home。スタート画面(タブレットモード)は1画面。HP JumpStartやHP Command Centerなどがプリインストールされている。
デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ。ストレージがHDD+Optaneメモリなので、操作感はHDDとSSDの間のような、ちょっと奇妙な雰囲気だが、サクサク作動する。
ストレージは、Intel Rapid Storage Technologyのパネルを開くと分かるように、1TB/7,200rpm/128MBのHDD「SEAGATE ST1000LM049」とIntel Optane 16GBメモリとのコンビネーションで、1ボリュームになっている。Cドライブのみの1パーティションで、約911.94GBが割り当てられ、空き879GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。
プリインストールのアプリケーションは、「BANG & OLUFSEN AUDIO」、「HP Audio Switch」、「HP Command Center」、「HP ePrint SW」、「HP JumpStart」、「HP Smart」。
「HPヘルプとサポート」フォルダに「HP Documentation」、「HP PC Hardware Diagnostics Windows」、「HP Recovery Manager」、「Recovery Media Creation」、「HP Support Assistant」。そして「マカフィーリブセーフ」。同社のツール系がおもな構成となっている。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下の通り。
ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v1.0.1457 | |
PCMark 10 Score | 2,928 |
Essentials | 7,475 |
App Start-up Score | 8,477 |
Video Conferencing Score | 7,443 |
Web Browsing Score | 6,620 |
Productivity | 4,273 |
Spreadsheets Score | 5,845 |
Writing Score | 3,125 |
Digital Content Creation | 2,135 |
Photo Editing Score | 1,743 |
Rendering and Visualization Score | 1,922 |
Video Editting Score | 2,908 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,102 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,655 |
Work Accelarated 2.0 | 4,378 |
Storage | 4,441 |
3DMark v2.4.4264 | |
Time Spy | 384 |
Fire Strike Ultra | 241 |
Fire Strike Extreme | 455 |
Fire Strike | 959 |
Sky Diver | 4,310 |
Cloud Gate | 7,638 |
Ice Storm Extreme | 43,971 |
Ice Storm | 60,558 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 43.00 fps |
CPU | 627 cb |
CPU(Single Core) | 147 cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 920.042 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 159.372 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 538.467 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 161.887 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 131.654 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 161.838 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 118.328 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 73.601 MB/s |
BBench(ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能) | |
バッテリ残量7%まで | 10時間17分57秒 |
多くはCore i5-8250U/iGPU相当のスコアだが、ストレージだけは16GBのOptaneメモリが効いているのか、HDDではなく、SSD並みのスコアが出ている。体感速度もストレスを感じず操作でき、なかなか優秀だ。
バッテリ駆動時間は仕様上で約10時間なので、ほぼそのままの値。輝度最小でもそれなりに見えるので、実作動時も大幅に変わることはないだろう。なお、ほかのモデルは最大約11時間と1時間増えている。
以上のようにHP「ENVY 15 x360 / 15-cn0004TU」は、15.6型フルHDで360度回転するパネル、Core i5-8250U、8GBメモリ、そしてOptaneメモリとコンビネーションのHDDを搭載した2in1だ。アクティブペンや3画面同時出力対応など、きっちり仕様を抑えているのもポイントが高い。また用途や予算に応じて、さらに上位3機種から選べるのもGoodだ。
仕様上とくに気になる部分もなく、第8世代Coreプロセッサを搭載し、ルックスもクールで15.6型な2in1を探しているユーザーにおすすめしたい逸品と言えよう。