西川和久の不定期コラム
Kaby LakeとGeForce搭載のバランス良好な13.3型ノート「ZenBook UX310UQ」
2016年12月29日 06:00
ASUSは12月7日に、ノートPC 3モデルを発表した。この内2モデルはIntelの第7世代Kaby LakeのCore i5を搭載した最新鋭機だ。今回はディスクリートGPU内蔵の上位モデル「ZenBook UX310UQ」を試用する機会を得たのでレポートをお届けしたい。
第7世代Kaby LakeとディスクリートGPUを搭載
ZenBook UX310UQのプロセッサはKaby Lake世代のCore i5-7200U。2コア4スレッド、クロック2.5GHzから最大3.1GHz。キャッシュは3MBでTDPは15W。メモリはDDR4-2133で8GB。ストレージはSSD 256GB。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載している。
プロセッサが第7世代になったのでその進化が気になるところだが、実は第6世代のSkylakeとほとんど変わっていない。SkylakeのCore i5-6200Uと比較して違うのはクロック(2.3~2.8GHz)と、内蔵グラフィックスの名称(Intel HD Graphics 520)が主な部分。対応メモリやTDPなどはほとんど同じだ。とは言え、クロックは最大3GHzを超えており、純粋なパワーアップが期待できる。
【表】ASUS「ZenBook UX310UQ」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-7200U(2コア4スレッド、クロック2.5~3.1GHz、キャッシュ3MB、TDP 15W) |
メモリ | DDR4-2133 8GB |
ストレージ | SSD 256GB |
OS | Windows 10 Home |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 620、NVIDIA GeForce 940MX(2GB) |
ディスプレイ | 13.3型1,920×1,080ドット(非光沢)、タッチ非対応 |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1 |
インターフェイス | USB 3.0 Type-C、USB 3.0、USB 2.0×2、SDカードスロット、92万画素Webカメラ、HDMI、音声入出力 |
サイズ/重量 | 323×223×18.35mm(幅×奥行き×高さ)/1.4kg |
バッテリ駆動時間 | 約9時間(3セルリチウムイオン) |
税別店頭予想価格 | 109,800円前後 |
ディスプレイは、非光沢の13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには非対応だ。外部接続用としてHDMI出力を備えている。グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 620とMaxwellアーキテクチャのNVIDIA GeForce 940MX(2GB)。ノートPC用900MXシリーズの中では最上位となる。
ネットワークは有線LANがないが、IEEE 802.11ac無線LANとBluetooth 4.1に対応。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Type-C、USB 3.0、USB 2.0×2、SDカードスロット、92万画素Webカメラ、音声入出力。サウンドは、Harman Kardonとコラボレーションしたオーディオ技術「SonicMaster」を採用している。USBに関しては全種類入りとなる。
サイズは323×223×18.35mm(幅×奥行き×高さ)、重量1.4kg。3セルリチウムイオンを内蔵し、バッテリ駆動時間は約9時間。税別店頭予想価格は109,800円前後となっている。
なお、同時に発表されたZenBook UX330UAは、本製品と比較して、メモリがDDR4-2133からLPDDR3-1866へとスペックダウン、ディスクリートGPUなしとなったモデルだ。本来その分、安くなるはずだが、「Office Home and Business Premium プラス Office 365サービスが添付」となるため、税別店頭予想価格129,800円と、逆に高くなっている。
筐体はクロームっぽい暗めのシルバー。金属製で安っぽさは皆無。天板はクォーツグレーのメタル素材とスピンフィニッシュのヘアライン加工を施され、全体的にクール&ソリッドでカッコいい。重量は実測で1,351g。1kgを切っていないものの、持ち上げると割と軽く感じる。全体のバランスが良いのだろう。
前面は中央上に92万画素Webカメラ。裏はメモリやストレージなどにアクセスできる小さいパネルはない。左側面は、電源入力、USB 3.0、HDMI、USB 3.1 Type-C、音声入出力。右側面は、USB 2.0×2、SDカードスロット、バッテリ/Power LEDを配置。付属のACアダプタは、サイズ約75×75×27mm(同)、重量236gと少し大きめ。プラグの部分が折り畳めないのはカバンなどに入れる時、邪魔でほかのものに引っかかったりもするため、マイナスポイントか。
ディスプレイは13.3型のフルHD。非光沢なので目に優しい。明るさは少し暗めだが用途的に十分(通常物撮りする時、背景の白が白飛びするように露出を設定すると、パネルの明るさ最大では色が飛び気味になるが、本機ではそうならなかった)。発色、コントラストも文句なし。視野角は広くIPS式とは明記されていないが、角度があっても色が変わらないのでIPS式だと思われる。なかなか高品質なパネルだ。ただヒンジの傾きが上に掲載した写真の左/右側面の角度で最大となる。使い方や設置場所にもよるだろうが、もう少し自由度が欲しい。
キーボードはアイソレーションタイプで、バックライトをオフ/弱/強に設定できる。キートップや触った感じなどはMacBook系のそれに近く好印象。キーピッチはおおむね約18mm確保され、いびつな並びもない。タッチパッドは1枚プレート型。感度も良く、パームレストも含め十分スペースが隠されているので扱いやすい。
振動やノイズはベンチマークテスト中も含め試用時にはまったく問題なし。また発熱も(季節柄もあるだろうが)高負荷状態でも熱くならなかった。サウンドはHarman Kardonとコラボしたオーディオ技術「SonicMaster」を採用しているだけに、音質・出力ともに好印象。このクラスとしては文句なしといったところか。
このように総じて作りが良く、また抜けもなく、かなり高いレベルで仕上げられたノートPCであり、魅力的な1台だ。
今時のノートPCとしては十分な動作速度
OSは64bit版のWindows 10 Home。Core i5、メモリ8GBでSSDということもあり、動作は軽く速い。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は、1画面+α。ASUSグループにある、「NETFLIX」、「Music Maker Jam」、「tripadvisor」、「MyASUS」がプリインストールアプリとなる。デスクトップは壁紙の変更と、ショートカットが11と海外メーカーの割に多めだ。
ストレージはSSD 256GBの「Micron 1100 MTFDDAV256TBN」。C:ドライブのみの1パーティションで約237GB割り当てられ、空きは192GB。有線LANはなく、Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。NVIDIAコントロールパネルからGeForce 940MXはCUDAコア384、搭載ビデオメモリはGDDR3 2GBというのが分かる。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、スタート画面、ASUSグループにある、「Music Maker Jam」、「MyASUS」、「TripAdvisor」。
デスクトップアプリは、「ASUS」フォルダに「ASUS HiPost」、「ASUS Install」、「ASUS Live Update」、「Splendid Utility」、「USB Charger Plus」、「WebStorage」、「WinFlash」。同社お馴染みのツールだ。
加えて「ASUS GIFTBOX」、「Evernote」、「Foxit PhantomPDF」、「AudioWizard」、「i-フィルター6.0」、「Kingsoft Office」、「KKBOX」、「SmartAudio」、「TearmViewer 10」、「McAfeeリブセーフ」、各デバイスのユーティリティなど。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8のバージョン2/Home(accelerated)、BBench。ディスクリートGPUなので3DMarkの結果を見たい。参考までにCrystalMark(2コア4スレッドで条件的には問題ない)のスコアも掲載した。
winsat formalの結果は、総合 5。プロセッサ 7.5、メモリ 7.5、グラフィックス 5、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15。メモリのバンド幅は13824.20104MB/s。PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は3054。3DMarkは、Ice Storm 51840、Cloud Gate 6482、Sky Diver 5333、Fire Strike 1395。CrystalMarkは、ALU 49748、FPU 52905、MEM 40470、HDD 39733、GDI 15317、D2D 5905、OGL 35474。
winsat formalの総合は5となっているが、これはグラフィックスで足を引っ張られているだけであり、プロセッサ、メモリ、ストレージも7.5以上。またPCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は3千超え。このクラスのノートPCとしては十分な性能だ。3DMarkについては、もともとGeForce 940MXが高性能というわけでもないので、重いゲームには向いていない。
BBenchは、バッテリ節約機能オン、キーボードバックライトオフ、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で46,596秒/12.9時間。仕様上の約9時間を大幅に超えている。ただバックライト最小だと少し暗いので明るくしたとしても、かなりの時間持ちそうだ。
以上のように、ASUS「ZenBook UX310UQ」は、第7世代Kaby LakeとディスクリートGPUを搭載し、メモリ8GB、ストレージはSSD 256GBと、十分な性能を確保している上に、ソリッドでクールな筐体、キーボードバックライト、非光沢で見やすいパネル、良好なサウンドと堅実な作りの13.3型ノートPCだ。
有線LANがないのは残念だが、必要に応じてUSB 3.0でアダプタも接続できるため、特に問題にはならないだろう。Kaby LakeなノートPCが欲しいユーザーに限らず、13.3型でバランスの良いノートPCを求めているユーザーにもお勧めしたい逸品だ。