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Macの神アプリ「Yoink」でファイルのドラッグ&ドロップを快適にしよう!

 Macでファイルやフォルダの移動を効率化したいなら、「Yoink」を使ってみましょう。画面の隅にファイルやフォルダの「一時置き場」を作成できるので、ドラッグ&ドロップ操作が実に快適になります。また、Yoinkはファイルやフォルダ以外にもさまざまなものを格納したり、使いやすいようにカスタマイズしたりすることも可能です。ここでは、Yoinkの基本的な使い方や一歩進んだ活用方法を解説していきます。

画面の端に表示される「一時置き場」が、ファイルやフォルダのドラッグ&ドロップ操作を快適にしてくれます

ファイルやフォルダを移動しやすく

 Macでファイルやフォルダを移動するときに、操作しづらく感じたことはないでしょうか。

 たとえば、AのフォルダからBのフォルダへファイルを移動したい場合、通常は両方のウィンドウを開いてファイルをドラッグ&ドロップしますが、画面の狭いMacでは2つのウィンドウが重なり合ったりして調整が必要な場合があります。

 また、逆に画面の広いMacではファイルやフォルダを長距離ドラッグするのが大変に感じるときもありますし、Mission Controlを使って複数の操作スペースで作業しているときはデスクトップ間のファイル移動が難しい場合があります。

 そんなときに活用したいのが、デスクトップの端にファイルやフォルダの「一時置き場」を作ることができるYoinkです。

 Finder上でファイルやフォルダを移動したいときに、一時的にYoinkで作成したウィンドウ内に置くことで、ファイルやフォルダのドラッグ&ドロップ操作を快適に行なうことができるようになります。

 AからBのフォルダへファイルを移動する場合を例にすれば、まずはファイルをYoinkのウィンドウへドラッグ&ドロップします。

 そして、移動先のフォルダを開いてYoinkのウィンドウからファイルをドラッグさせれば移動は完了です。あらかじめ2つのフォルダを「ドラッグ&ドロップしやすいように」開いておく必要がないのです。

Yoinkは、Mac App Storeから入手可能です。本記事執筆時点の価格は、1,300円です
Yoinkを起動すると画面の左端に小さなウィンドウが表示されます。ファイルを移動したいときは、そのウィンドウにドラッグ&ドロップします。ウィンドウが隠れてしまっても、ドラッグ操作を始めると表示されます
ドラッグ&ドロップが完了すると、ウィンドウにサムネイルが表示されます。この時点では、ファイルの場所は変わっていません
ファイルを移動させたいフォルダなどを開き、Yoinkのウィンドウからファイルをドラッグ&ドロップすれば移動は完了です。操作が終わると、Yoinkのウィンドウから自動的に項目が取り除かれます
Yoinkのウィンドウ内にはファイルやフォルダをいくつも置いておくことができます
複数のファイルをまとめて置くことも可能です
ファイルにマウスカーソルを重ねると、サムネイルの隣に3種類のマークが表示されます。一番目の[×]を押すと、ファイルがウィンドウから削除されます
2つ目の目のマークを押すと、ファイルをクイックルックで表示します。マークをクリックする代わりに[スペース]キーを押してもクイックルックが可能です
3つ目の鍵マークを押すと、ファイルがロックされます。ロックされたファイルは、ウィンドウの右下にある[全ての項目を消去]を押しても消去されません。もう一度鍵マークをクリックするとロックが解除できます

ファイルやフォルダ以外もサポート

 Yoinkで扱えるのは、ファイルやフォルダだけではありません。

 選択した文字列やSafariで表示しているWebページ内の画像など、さまざまなものを一時的に置くことができます。

 たとえば、インターネットで情報取集をしているときに文章や画像をいったんYoinkに入れておけば、あとでメモなどに貼り付けるなどして効率的にまとめられます。

 また、Yoinkには、クリップボード(コピーやカットした内容)の履歴も格納できます。

 初期設定では最大12項目を保存できますが、設定を変更すれば36項目まで増やせます。少し前にコピーしたテキストを再度ペーストしたくなったときに即座に呼び出せるのはとても便利です。

 クリップボードの履歴は、Yoinkウィンドウの歯車ボタンや画面上のメニューバーのYoinkアイコンを押すと現れるメニューから[クリップボード履歴]を選ぶことで確認できます。

テキストを選択してからYoinkのウィンドウにドラッグ&ドロップすると、そのテキストを一時的に保存できます
保存したテキストは、ほかのアプリにドラッグ&ドロップして貼り付けることができます
同様の操作は画像でも可能です。Safariなどで表示されている画像をYoinkに一時保存したあと、ほかのアプリに貼り付けることができます
Yoinkはクリップボードの履歴を保存する機能があります。ウィンドウ左下にある歯車のマークから[クリップボード履歴]を選びましょう
クリップボードの履歴一覧から項目を選ぶと、その項目がYoinkのウィンドウ内に入ります。それをドラッグ&ドロップで目当ての場所に貼り付けましょう
クリップボード履歴は、歯車マークだけでなく、メニューバーアイコンから確認することも可能です
Yoinkのウィジェットを使ってクリップボード履歴を活用することもできます。Yoinkのウィジェットでは、履歴にある項目をクリックしたあと、貼り付けたいアプリ上でペースト操作をすることで貼り付けられます

設定をカスタマイズして使いやすさUP

 Yoinkは標準設定でも十分便利ですが、設定をカスタマイズすることでさらに使いやすくなります。

 まず、Yoinkのウィンドウの表示場所や大きさは、Yoinkウィンドウにある歯車マークをクリックするだけで変更できます。

 特にデスクトップ上のファイルやDockなどと重なったりして見えにくくなる場合は、自分好みの位置やサイズに変えると良いでしょう。

 また、環境設定ウィンドウを開けば、Yoinkの挙動をカスタマイズできます。

 たとえば、[振る舞い]タブの中央にあるプルダウンメニューから[ドラッグを開始したら、マウスカーソルの位置に]という項目を選ぶと、マウスカーソルのすぐそばにYoinkのウィンドウが現れ、素早く項目を入れることができます。

 画面の大きなMacなどで、画面端までドラッグするのが遠いと感じる人におすすめの設定です。

 また、使用しているアプリによっては、Yoinkの表示をオフにしたいと思うことがあるでしょう。

 そんなときは、環境設定ウィンドウの[振る舞い]タブ内にある[無視するアプリ]を開いて、自動的にYoinkが表示されないように設定できます。

 さらに、感圧タッチのトラックパッドを搭載したMacでは、ファイルを強めにクリックしたときの挙動を設定できます。

 4種類から選べるので、自分にとってもっとも便利だと感じるものを設定しておきましょう。

Yoinkのウィンドウにある歯車マーク(またはメニューバーアイコン)にある[ウインドウの位置]項目では、ウィンドウの位置を6種類から選べます
同じく歯車マークからウィンドウのサイズも変更できます。「自動調整(最小)」にすると、項目を1つしか登録していないときは図のようなコンパクトな表示になります
歯車マークから、環境設定ウィンドウを開くことができます。[振る舞い]タブの中央にあるプルダウンメニューでは、どのタイミングでYoinkウィンドウを表示するかを設定できます
[ドラッグを開始したら、マウスカーソルの位置に]という項目を選ぶと、マウスカーソルのすぐそばにYoinkのウィンドウが現れます。ドラッグする距離を短くでき、効率的な操作が可能です
Yoinkを表示させたくないアプリがある場合は、[振る舞い]タブの[無視するアプリ]で設定します。上部にある[アプリごとに開始方法を選択]部分のプルダウンメニューを[手動で]に指定したあと、表示したくないアプリのチェックボックスをオンにします
[感圧タッチ]タブでは、トラックパッドを強めにクリックしたときの挙動を選べます。プルダウンメニュー内に記載されているように、[Shift]キーや[Option]キーを組み合わせることでほかの機能を呼び出すことができます

iPhone/iPadや他のアプリと組み合わせてさらに便利に

 Yoinkは、iPhoneやiPadと組み合わせて使うことでさらに利便性が高まります。

 たとえば、YoinkからiPhone/iPadのカメラを起動し、撮影した画像を直接Yoinkに追加できます。iPhoneで写真を撮ってからMacに転送する手間を省くことができるのでとても便利です。

 また、YoinkにはiPhone/iPadアプリがあり、これらを使ってMacとの連携が可能です。

 iPhone/iPadアプリもMac版アプリと同様、さまざまなアイテムをYoinkに置いておくことができ、連携によって簡単な操作でMacに転送できるのです。

 連携という観点では、ほかのMac用アプリとの連携も注目すべきポイントです。

 たとえば、Mac上でテキストを選択したあとにさまざまなアクションを実行できるユーティリティアプリ「PopClip」と連携させれば、選択したテキストを素早くYoinkに登録できます。

 そのほか、ファイルランチャの「Alfred」と連携して、さまざまな項目をYoinkに送ることもできます。

 これらのアプリを使っている人は、ぜひYoinkを組み合わせて活用し、さらなる効率化を目指してみましょう。

歯車マークから[iPhoneまたはiPadから挿入]を選ぶと、iPhone/iPadで撮影した写真を即座にYoinkに送ることができます
このとき[書類をスキャン]を選ぶと、iPhone/iPadのカメラがスキャンモードで起動し、遠近法の歪みなどを自動で補正できます
iPhone/iPad版アプリ(価格は900円)もあり、コピーしたテキストや画像が自動的にYoinkに追加されます。また、iPad版では、Macと同じようにドラッグ&ドロップでアイテムを追加することもできます
iPhone/iPadアプリを起ち上げた状態でMacから「Hand Off」の操作を行なうと([command]キー+[tab]キー)、iPhone/iPadアプリに登録されているアイテムをMac版Yoinkに持ってくることができます
Mac版ユーティリティのPopClipと組み合わせて使うと、Mac上で選択した文字列を素早くYoinkに送ることができます
PopClipとYoinkを連携させるには、環境設定ウィンドウの[機能拡張]タブから[PopClip Extension インストール]をクリックします(あらかじめPopClipをインストールしておきましょう)

煩雑な操作が驚くほどシンプルになる

 Yoinkは狭い画面でのファイル&フォルダ移動を効率化するためだけのツールと思っている人もいますが、実際は画面サイズに関係なく、あらゆるMacユーザーの操作を快適にしてくれます。

 たとえば、1つのフォルダ内に乱雑に格納されたファイル群を整理したいとき、それらのファイルをいったんすべてYoinkに入れて、そこからフォルダに振り分けていくといった使い方などができるからです。

 この「まずはいったんYoinkに入れる」というステップを経由することで、煩雑なファイル整理を大幅に効率化できるでしょう。

 Yoinkのほかにもファイルやフォルダの一時置き場を提供するアプリはいくつか存在しますが、Yoinkはそのシンプルな見た目と豊富な機能が評価され、長年に渡って定番の座を保っています。

 本記事執筆時点では、Mac App Storeの有料アプリランキングで9位にランクインされており、とても人気のアプリです。

 開発元サイトにアクセスすれば15日間の試用版をダウンロードできますので、興味を持った人はぜひ一度試してみてください。数日間使うと、その快適さを深く実感できるはずです。

開発元のWebサイトでは、15日間使用可能なトライアル版が公開されています。