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Macに強力なビデオ会議の新機能!macOS Sonomaで実装

 macOS Sonomaでは、ビデオ会議の新機能として発表者を目立たせることができる「プレゼンターオーバーレイ」を初搭載。これまでは「mmhmm」などのサードパーティ製ソフトを使うしかなかったプレゼン資料と発表者の映像の合成が、標準機能として搭載されました。また、画面共有がよりスムーズに行なえるようになったり、ハンドジェスチャで3Dエフェクトを追加できるリアクション機能が搭載されたり、より柔軟にビデオ映像やエフェクトのコントロールが行なえるようになっています。これらの新機能を活用することで、標準のFaceTimeだけでなく、ZoomやTeamsといった主要なビデオ会議ソフトでのビデオ通話がより便利に行なえます。

プレゼン資料に発表者の映像を合成

 すべてのMacやiPhone、iPadに標準搭載されている「FaceTime」は、Appleデバイス間で無料でビデオ通話(またはオーディオ通話)ができる便利なソフトです。家族や友だちとおしゃべりするだけではなく、ビジネス会議に利用している人も多くいるでしょう。

 新しいmacOSが登場するたびに、FaceTimeは新しい機能を搭載して進化してきました。特に、2021年にリリースされたmacOS Monterey以降は新型コロナ感染症拡大の影響で重要性を増したリモートワークへの対応を強化するため、AndroidまたはWindowsユーザーの参加や、画面共有、FaceTime通話をデバイス間で引き継げるHandoffが可能に。

 昨年のmacOS Venturaでは自分のiPhoneを超高画質なWebカメラとして利用できる「連係カメラ」の機能が搭載されたのは記憶に新しいところです。そして今年、2023年9月末にリリースされた最新macOS Sonomaでは、FaceTimeのみならず、ZoomやTeamsといった代表的なソフトを用いてビデオ会議する際に便利な機能が数多く搭載されています。

 言い換えれば、macOSのシステム全体にわたって、ビデオ会議機能が大幅に強化されているのです。その例としてまず紹介したいのが、macOS Sonomaで新しくなったメニューバー項目です。

 FaceTimeやZoom、Teamsといった代表的なビデオソフトを起動するとメニューバーに[ビデオ]ボタンが出現しますが、macOS Sonomaではこのボタンをクリックするとカメラの映像を確認したり、利用可能なビデオエフェクトの強弱などを設定したりすることができます。ビデオ会議をスタートする前に、映像の写りを素早く確認するのに便利です。

macOS Sonomaでは、メニューバーの[ビデオ]ボタンをクリックすると、カメラ映像の確認や、ビデオエフェクトの調整が行なえます

プレゼンターオーバーレイの使い方

 次に紹介したいのが、macOS Sonomaの目玉機能の1つである「プレゼンターオーバーレイ」です。この新機能を使えば、画面共有をした際にプレゼン資料だけを画面に表示するのではなく、プレゼン資料の上に発表者の姿を重ねて表示することが可能。

 発表者のリアルタイムの映像をプレゼン資料と一緒に映し出せるので、よりリアルなプレゼンを行なうことができます。これはAppleシリコンを搭載したMacでのみ利用可能な新機能ですが、これまで「mmhmm Studio」など有料の外部サービスを使って行なうしかなかったことが、macOSの標準機能で実現可能になったのです。

 プレゼンターオーバーレイを利用するには、ビデオ会議中にメニューバーの[ビデオ]ボタンから[画面共有]ボタンを選択するだけです。すると[発表者オーバーレイ]という項目が表示されるので、オーバーレイのサイズを[大]または[小]から選択。次に、画面共有するものを[ウインドウ][アプリ][画面]から選べば、プレゼン資料と一緒に発表者の映像が映し出せれます。

 オーバーレイのサイズを[大]にした場合は、発表者の映像が大きく前面に表示され、共有画面は別レイヤーで発表者の背後に表示されます。発表者にスポットライトを当てたい場合はこちらを選択すると良いでしょう。

 一方、[小]を選んだ場合は、共有画面が全体に大きく表示され、発表者の映像は共有画面上に表示された吹き出し(小さな円形のフレーム内)に映し出されます。こちらはプレゼン資料をしっかりと見せる場合に向いています。

 なお、この吹き出しの位置は、ドラッグ&ドロップで移動できます。また、吹き出しの外にわずかにはみ出すこともできるので、発表者がスライドを指差すことも可能となっている点がユニークです。

[画面共有]のボタンをクリックすると、[発表者オーバーレイ]が表示されます。ここでオーバレイのサイズを選択して、画面共有の対象を[ウインドウ][アプリ][画面](デスクトップ全体)から選びます
[ウインドウ]を選択した場合は、画面共有したいウィンドウにポインタを合わせて、中央に表示される[このウインドウを表示]をクリック。共有中のウィンドウの左上には画面共有中を示す紫色のアイコンが表示されます
オーバーレイのサイズを[大]にして、Keynoteのプレゼンスライドを共有している図です。相手の画面には背景にスライド画面がフレームとして配置され、発表者がその前面に表示されます。共有した画面の位置は左右に移動できます
オーバーレイのサイズを[小]にした場合です。相手には共有したウィンドウ全体が表示され、発表者はウィンドウ内の吹き出しに映し出されます。吹き出しの位置はドラッグ&ドロップして移動できます

画面共有の開始やウィンドウの切り替えがスムーズに

 macOS Sonomaでは、画面共有がよりスムーズに行なえるような改良も図られています。前述のようにメニューバーの[ビデオ]ボタンから画面共有を開始しなくても、ビデオ会議中に共有したいウィンドウをアクティブにして、ウィンドウ左上隅にある緑色のボタンを長押しします。

 すると、[ウインドウを◯◯と共有]または[(アプリ名)を◯◯◯と共有]というメニューが表示されるので、選択するとそのウィンドウやアプリの画面共有を開始できます。すでに画面共有を開始している場合は、共有を中断することなく複数のウィンドウやアプリを追加することも可能です。

 ウィンドウを追加するには、まだ共有していないウィンドウ左上隅にある緑色のボタンを長押ししてメニューから画面共有を選択するだけです。また、このメニューから[◯◯を置き換え]を選択すると、共有中の画面を切り替えることもできます。

 加えて、複数の画面を共有している際にメニューバーの[ビデオ]ボタンをクリックすると、画面共有中の複数のウィンドウがサムネイル表示されます。このメニューには[ウインドウを追加]や[共有を停止]ボタンがあるので、さらに共有したいウィンドウを追加したり、画面共有を終了したりすることができます。

 なお、複数の画面共有と前述のプレゼンターオーバーレイを併用することも可能です。

ビデオ会議中に開かれているウィンドウ左上の緑色のボタンを長押しすると、メニューから[ウインドウを◯◯と共有]または[(アプリ名)を◯◯と共有]が表示されるので、ここから画面共有を開始できます。2つ目以降のウィンドウを追加で共有する場合も同様に行なえます
メニューバーの[ビデオ]ボタンをクリックすると、現在共有中の画面をサムネイルで確認できます。また、このメニューから新機能のプレゼンターオーバーレイを開始することもできます
画面共有中に[ビデオ]ボタンのメニューから[ウインドウを追加]をクリックし、開かれているウィンドウにカーソルを合わせて[このウインドウを追加]を選択すると、さらにウィンドウを追加することができます。また、画面共有を終了したい場合は[共有を停止]をクリックします

拡張現実エフェクトを用いたリアクションとジェスチャ操作

 macOS Sonomaのビデオ会議の新機能の中でも特にユニークなのが、リアクション機能です。これは、ハートマークやバルーンなどの3Dの拡張現実エフェクトを自分の映像に挿入して、感情や気分を表現できるもの。

 ビデオ通話中にメニューバーの[ビデオ]ボタンをクリックして[リアクション]の項目からアイコンを選択したり、ハンドジェスチャをしたりすることで表示できます。現在用意されているリアクションは、[ハート][いいね][よくないね][バルーン][雨][紙ふぶき][レーザー][花火]の8種類。

 なお、この機能はFaceTimeのほか、ZoomやTeamsなどでも利用できますが、Appleシリコンを搭載したMac、またはiPhoneの「連係カメラ」利用時のみ有効になる機能です。

メニューバーの[ビデオ]ボタンから[リアクション]の脇にある[>]を展開すると、8種類のリアクションアイコンが表示されます。クリックすると、自分の映像に3Dの拡張現実エフェクトを追加できます
一部のリアクションはハンドジェスチャで呼び出せます。両手でハード型のジェスチャをすると[ラブ]、親指のサムズアップで[いいね]のリアクションが画面に大きくアニメーション表示されます

連係カメラの機能向上でより使いやすく

 macOS Sonomaのビデオ会議機能では、Apple Studio DisplayやiPhoneを「連係カメラ」として使っている際に、映像の構図やエフェクトを柔軟にコントロールできるようになっています。

 たとえば、本人を常にフレームの中心に配置できる[センターフレーム]は[メイン]と[ウルトラワイド]から画角を選択可能に。また、ビデオ会議中に背後を人が通った際などにフォーカスやセンタリングがずれてしまうといった現象も従来より改善されています。

 さらに、センターフレーム機能がオフに設定してある場合でも、Apple Studio DisplayやiPhone XRまたはXS以降を利用している場合には、カメラのズーム倍率をスライダで手動調整したり、顔認識による「再センタリング」機能によって適切なフレーミングを設定できます。

macOS Sonomaでは、連係カメラのセンターフレームの画角を[メイン]とより広角な[ウルトラワイド]から選択できるようになりました。自分の顔の位置に合わせてフレームが追随するセンターフレームの効果は、ウルトラワイドのほうがより実感できます
センターフレームの機能をオフにした状態でプレビュー画面にカーソルを合わせると、カメラのズーム倍率の切り替えボタンと倍率を手動で調整するスライダ、フレームの中心に顔が来るようにズーム倍率とパンを再設定する[再センタリング]ボタンが利用できます
ズームの倍率はスライダのドラッグでも変更可能で、利用しているiPhoneのモデルによって最大3倍や6倍のズームも可能です。大きく拡大した場合も、[再センタリング]ボタンをクリックすれば、およそ1倍前後の倍率で顔が中心に来るようにフレーミングが自動的にリセットされて調整されます
Appleシリコン搭載MacのFaceTime HDカメラと連係カメラによるカメラエフェクトは「Zoom」など外部のビデオ通話ソフトでも利用できます。ただし、ソフトに搭載されたバーチャル背景機能が有効になっていると、リアクションなどが正しく表示されないことがあります