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子どものAppleデバイスを管理!Macでペアレンタルコントロールを上手に設定しよう

 Apple製品は、子どものデバイス利用を見守る機能、いわゆる「ペアレンタルコントロール」の機能が充実しています。MacやiPhone、iPadといったApple製デバイスの使用状況をチェックしたり、必要に応じて使用制限をかけたりできます。その設定を行なうために用いるのが、「スクリーンタイム」および「ファミリー共有」という2つの機能です。

以前のmacOSでは、「システム設定(旧称:システム環境設定)」内に[ペアレンタルコントロール]という項目がありましたが、macOS 11 Big Sur以降は[ファミリー共有]と[スクリーンタイム]という項目から設定する仕様に変わっています

子どものデバイスはどうやって管理する?

 親が子どものデバイス利用を管理したいと思ったとき、最新のApple製品では「スクリーンタイム」と「ファミリー共有」という2つの機能を利用します。

 スクリーンタイムは、デバイスの使用状況(アプリの使用時間やインターネットの使用状況)をチェックできる機能で、子どもか大人かに関係なく、すべてのユーザーが自分の使用状況を確認するのに役立ちます。

 さらにこの機能では、デバイスにさまざまな利用制限をかけることができます。たとえば、アプリの使用時間を制限したり、成人向けサイトの閲覧を制限するといった内容です。

 つまり、子どもの使うデバイスに対して、スクリーンタイムで適切な設定を行なえば、それだけで利用制限をかけることが可能なのです。

 ただし、この方法では、子どものデバイスの使用状況を遠隔でチェックできません。また、子どもが複数台のデバイスを持っている場合、包括的に管理することもできません。そこを補ってくれるのがファミリー共有の機能です。

 ファミリー共有を使えば、保護者のデバイスから子どものデバイス使用状況をチェックしたり、デバイスの使用制限を変更したりできます。

 また、「iPhoneでもiPadでも、すべてのアプリで使用時間を1時間までに制限」というように、子どものデバイスを包括的に管理することが可能になります。

スクリーンタイムは、デバイスの利用時間を振り返ることができる機能ですが、デバイスに各種の制限をかけることもできます
ファミリー共有は、家族のデバイス利用を管理するための機能です。ペアレンタルコントロールの機能だけでなく、サブスクリプションサービスの使用権を家族で共有することも可能です

子ども用アカウント作成時の注意点

 ファミリー共有のペアレンタルコントロールは、18歳未満の子どもが対象となります。それ以上の年齢の場合は、ペアレンタルコントロールを行なうことができません。

 ペアレンタルコントロールを行なうには、まず子どものアカウントを自分のファミリーに追加することから始まります。子どもがこれからApple IDを取得する場合は、まずアカウントの作成から始めましょう。

 Apple IDの作成方法は、子どもが13歳未満かそれ以上かによって変わってきます(日本の場合。年齢は国によって異なります)。

 13歳未満の場合、子ども自身でアカウントを作成することができませんので、保護者が「お子様用アカウント」を作成する必要があります。「お子様用アカウント」として作成したアカウントは、自動的にファミリーに組み込まれます。

 一方、13歳以上の場合は、子ども自身でアカウントを作成できます。作成時の注意点として、必ず正しい生年月日を入力してもらうようにしましょう。

 先ほども説明した通り、18歳以上だとペアレンタルコントロールの対象外になってしまうためです。無事アカウントの作成が完了したら、ファミリー管理者がファミリー共有への参加を依頼します。

 なお、子どものアカウントをファミリーから削除したいときも、13歳未満かどうかで方法が変わってきます。13歳以上のアカウントであれば、いつでもファミリーから除外できます。

 しかし、13歳未満の「お子様用アカウント」は、単にファミリーから除外するという操作ができません。お子様用アカウントは必ずどこかのファミリーに所属するというのが、Appleのルールだからです。

 お子様用アカウントをファミリーから外す場合は、そのアカウントを別のファミリーに移動させるか、アカウントの削除を行なう必要があります。

子どものアカウントを追加するには、最初に「システム設定」の[ファミリー]項目で[メンバーを追加]を選びます。13歳未満の子どもの場合は、[お子様用アカウントを作成]を選びましょう
お子様用アカウントの作成には、クレジットカードが必要です。すでにApp Storeなどの支払い用にクレジットカードが登録されている場合は、セキュリティコードを入力します
子どもの名前と生年月日を入力し、メールアドレスの登録(またはicloud.comアドレスの取得)と進めていきます
お子様用アカウントの作成は、iPhoneやiPadでも可能です。アカウント作成後、ペアレンタルコントロールのための質問が表示されますが、ひとまず[あとで設定]にしても構いません
13歳以上の子どもは、本人がApple IDを作成します。アカウントを作成したら、ファミリー管理者がファミリーに招待します
お子様用アカウントを別のファミリーに移したい場合、まず移動先となるファミリーの管理者が、お子様用アカウントの登録依頼を行ないます
すると、元のファミリー管理者に通知が届きます。表示に従って[承認]を行なうと、お子様アカウントが移動します

複数人の保護者を設定できる

 ファミリー共有には、ファミリー管理者以外の成人アカウントを保護者として設定する機能があります。たとえば自分の配偶者を保護者に設定すれば、子どものデバイス利用を2人で見守ることができます。

 保護者は「お子様用アカウントの作成」や「子どものスクリーンタイムの確認、設定の変更」、「購入のリクエストなどに対する承認」を行ないます。

 保護者の追加/削除はいつでも設定できますが、設定できるのはファミリー管理者だけです。ファミリー管理者は必ず保護者を兼ねることになります。

ファミリー管理者は、ファミリー内のほかの成人アカウントを保護者として設定できます

子どものデバイス利用を制限

 続いて、ペアレンタルコントロールの具体的な内容を確認していきましょう。子どものスクリーンタイムを有効にすると、「システム設定」の[スクリーンタイム]項目で子どものスクリーンタイムを確認できます。

 [App使用状況][通知][持ち上げ/再開]は、子どもの使用状況をチェックするための項目です。子どもがどんなアプリをどれくらいの時間使っているかを確認できます。

 その下にある[休止時間][App使用時間の制限][通信/通話の制限][常に許可][コンテンツとプライバシー]の5項目は、デバイスに各種の制限をかけるための項目です。

 個々の設定を行なう前に、その下にある[スクリーンパスコードを使用]をオンにしてパスコードを設定しておきましょう。パスコードを設定しないと、子どもが設定を変更できてしまいます。

 また、個々の設定を行なうよりも前にパスコードを設定しておかないと、重要なボタンが表示されないという仕様があります(詳しくは下記の画像をご覧ください)。

 ペアレンタルコントロールでどのような制限をかけるかは、子どもの年齢や育児に対する考え方によって変わってくると思います。一つひとつの項目をじっくりと検討しながら設定していきましょう。

[スクリーンタイム]項目の一番上にある[ファミリーメンバー]の欄で、使用状況をチェックしたり制限を設定したいアカウントを選びます
[App使用状況]項目では、そのユーザーがどんなアプリを何分使っているのかを確認できます。前の画面で[Webサイトデータを含める]をオンにしておけば、閲覧したWebサイトの滞在時間も分かります
個々の制限を設定する前に、[スクリーンタイムパスコードを使用]をオンにしましょう。パスコードは4桁の数字です
[休止時間]項目では、デバイスを使用できない時間を設定します。スケジュールで休止になる時間を設定しましょう。なお、[休止時間中にブロック]をオンにしておかないと、子どもが休止時間の警告を無視できてしまいます。忘れずオンにしておきましょう)
[App使用時間の制限]では、特定のアプリごと、あるいはアプリのカテゴリごとに使用時間を設定できます。[制限を追加]ボタンから設定していきましょう
たとえばゲームの使用時間を制限したいときは、[ゲーム]にチェックを入れ、使用時間を入力します。さらに[使用制限終了時にブロック]にも忘れずにチェックを入れておきます。このチェックを忘れると、子どもが警告を無視できてしまいます(この項目も、先にパスコードを設定しておかないと表示されません)
休止時間やアプリの使用制限時間を超えると、子どものデバイスにこのような画面が表示されます。子どもが[時間延長の許可を求める]のボタンを押すと、延長リクエストが保護者に通知されます
[通信・通話の制限]項目は、子どものコミュニケーションを制限するのに使用します。子どもの連絡先を保護者が監視・編集できるようにする機能もあります。子どものプライバシーも尊重しながら、運用方針を考えましょう
[常に許可]項目では、常に利用できるアプリを設定します。休止時間を超えたり、アプリの使用制限時間を超えたときでも、ここで設定したアプリだけは利用できるというわけです
[コンテンツとプライバシー]は、コンテンツのレーティングやデバイスの機能制限など、さまざまな設定を行なう項目です
たとえば、アダルトサイトの閲覧を制限したいときは、[コンテンツ制限]→[Webコンテンツ]で[成人向けWebサイトを制限]を選ぶといいでしょう
[環境設定の制限]の中にある、[パスコードの変更を許可]や[アカウントの変更を許可]は、オフにしておくのがおすすめです。子どもが勝手に別のアカウントをつくって切り替えてしまうといった事態を防げます

購入を制限する機能もある

 ファミリー共有のペアレンタルコントロールでは、コンテンツの購入を承認制にする機能もあります。

 この機能をオンにしておくと、子どもがApp Storeなどでコンテンツを購入しようとしたとき、保護者全員に通知が届きます。保護者の誰か1人が承認すれば、子どものデバイスへのインストールが始まるという流れです。

 この機能では、有料コンテンツだけでなく、無料のコンテンツ/アプリをダウンロードしたときにも承認が必要になります。

子どもの購入を制限したいときは、[購入と承認のリクエスト]項目で、[購入に対して承認を必要とする]をオンにします
子どもがコンテンツを入手しようとするとこのような表示になります。[承認を求める]をタップすると保護者にリクエストが届き、保護者が承認するとダウンロードが始まります

機能はあくまでも補助

 こうしたペアレンタルコントロールの機能は、家庭内でデバイスの使用ルールを話し合うためのきっかけとして、また話し合いで決まったルールを守ってもらうための補助的なものとして捉えるのがおすすめです。

 保護者が一方的に制限をかけることは可能ですが、子ども自身が納得していなければ、根強い抵抗感を抱くことになるでしょう。なんらかの抜け道を見つけ出し、自分の欲求を隠れて満たそうとするかもしれません。

 そうならないためには、やはり対話が重要になってくるのではないでしょうか。保護者と子どもが互いに納得する形で、ペアレンタルコントロールを運用していきましょう。