~Core i7-860搭載で10万円を切るコストパフォーマンスマシン |
マウスコンピューター 「MDV ADVANCE ST 7000B」 |
マウスコンピューターは、コードネーム「Lynnfield」でおなじみのIntelの最新CPU「Core i7」および「Core i5」の発表に合わせ、それら最新CPUを搭載するデスクトップPCの販売を開始した。今回はその中から、Core i7-860搭載のパフォーマンスデスクトップ「MDV ADVANCE ST 7000B」を紹介しよう。
●Core i7-860を搭載
9月8日に発表された、Intelの最新CPU「Core i5」および「Core i7」シリーズは、Core 2シリーズを置き換える、新たなメインストリームCPUとして投入された製品だ。多和田新也氏のコラムでも詳しく解説されているように、Nehalemアーキテクチャを採用し、DDR3-1333対応のデュアルチャネルメモリインターフェイスやPCI Expressインターフェイスを内蔵している点や、新しいCPUソケット「LGA1156」対応の新パッケージを採用している点、チップセット間のインターフェイスにDMIを採用している点などが特徴となっている。ラインナップとしては、Core i7シリーズとして、2.93GHz動作の「Core i7-870」と、2.80GHz動作の「Core i7-860」の2モデル、Core i5シリーズとして、2.66GHz動作の「Core i5-750」の3製品が用意される。
マウスコンピュータでは、Core i5-750およびCore i7-860を搭載する低価格モデル「LUV MACHINESシリーズ」と、Core i7シリーズの搭載が基本となる「MDV ADVANCE ST/GTシリーズ」を用意。
また、シリーズ内でも、搭載CPUや搭載グラフィックカードなどの違いで細かな製品ラインナップを用意している。とはいえ、各製品ともスペックが固定となっているわけではなく、細かなスペック面はBTOで自由にカスタマイズできる。例えば、今回取り上げるMDV ADVANCE ST 7000Bでは、CPUとしてCore i7-860の搭載が基本となっているものの、BTOでCore i5-750やCore i7-870も選択可能となっている。細かな製品ラインナップが用意されているのは、細かなパーツ選択を行なうことなく、手軽に目的のスペックを選択するための配慮と考えていいだろう。
ちなみに、今回試用した製品のスペックは、表にまとめた通りとなっていた。これは、MDV ADVANCE ST 7000Bの基本構成となる。実際に搭載されていたパーツの型番もあわせて紹介しておく。ただし、HDDや光学式ドライブなどの採用製品は、出荷時期によって変更され、今回のパーツ構成と異なる場合も十分に考えられるため、参考として見てもらいたい。
MDV ADVANCE ST 7000B基本スペック | |
---|---|
CPU | Core i7-860 |
メモリ | PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2(KING MAX FLFE85F-B8KG9) |
HDD | 750GB(Samsung HD753LJ) |
光学式ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ(LG Electronics GH22NS50) |
グラフィックカード | GeForce GTS250(ECS NGT-S250-1GMU) |
OS | Windows Vista Home Premium SP1(Windows 7アップグレードキャンペーン対応) |
●マザーボードは、MSI製のIntel P55マザーを採用
MDV ADVANCE ST 7000Bでは、LGA1156対応チップセットである「Intel P55 Express」搭載のMSI製マザーボードを採用している。マザーボードの型番は、基板上の印刷から「P55-SD60」と確認できる。この型番のマザーボードは、MSIのホームページに情報が掲載されていないものの、基板の構造を見る限りでは、同じくIntel P55 Expressを搭載する「P55-GD65」から、一部機能を省いた廉価版に相当するものと思われる。
用意されているインターフェイスは、PCI Express x16×2、PCI Express x1×2、PCI Express x4×1、PCI×2、SATA×6、FDDで、PATAは省かれている。メインメモリ用のDIMMスロットは4本用意されており、PC3-10600 DDR3 SDRAMを最大8GBまで搭載可能。バックパネルのインターフェイスは、USB 2.0×6、Gigabit Ethernet対応の有線LAN、キーボード・マウス接続用のPS/2ポート、サウンド入出力のみとなっている。
オンボード機能は、Gigabit Ethernet対応の有線LANやHDサウンドなど。マザーボード上には「Dual GbLAN」という表記も見えるが、搭載する有線LANは1系統のみ。P55-GD65に搭載されているIEEE 1394やeSATAコネクタ、VRM部のヒートシンクなども省かれている。ちなみに、マザーボード上には、「SLI & CrossFireX」との記述があり、SLIおよびCrossFireXへの対応が期待できる。
●豊富なドライブベイを備えるミドルタワーケース
MDV ADVANCE ST 7000Bで採用されているケースは、Core 2 Quad搭載のミドルスペックマシンなど、これまでに同社が発売している製品でも採用されている、ミドルタワーケースだ。見た目やサイズはごく一般的なミドルタワーケースだが、5インチベイ×3(空き2)、3.5インチベイ×2(空き2)、3.5インチシャドウベイ×3(空き2)と、豊富なドライブベイを備えており、拡張性に優れる点が特徴だ。ちなみに、ケース内部を見ると、5インチベイは4個あるように見えるが、最下段にはUSB 2.0×2やヘッドフォン・マイクの前面端子や電源ボタン、LEDが埋め込まれたパネルが取り付けられているため、実質利用できる5インチベイは3個となっている。
ケースファンは、背面の12cm排気ファンが1個のみ。3.5インチシャドウベイ前方にも12cmファンを取り付けるスペースが用意されているが、標準ではファンは取り付けられていない。また、左側面には、CPU上部のダクトに加え、拡張スロット部分のメッシュが用意されており、ケース内部の換気は比較的スムーズに行なえそうだ。また、電源ユニットには、HEC製の「HEC-450TW-TF」という450W電源を搭載している。
ドライブベイが固定のため、ドライブ類の着脱時には左右の側面パネルを外す必要がある点や、側面パネルが手回しネジではなく一般的なネジで固定されている点は少々残念だが、全体的には大きな不満はない。
前面のドライブベイは、5インチ×3、3.5インチ×2、3.5インチシャドウ×3と豊富に用意されている | 付属キーボード。ややタッチの軽いPS/2接続の109日本語キーボードだ |
付属マウスは、USB接続の光学式スクロールホイールマウスだ | ステレオスピーカーも付属する |
●コストパフォーマンスに優れる堅実なマシン
では、ベンチマークテストの結果を紹介していこう。今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark Vantage Build 1.0.0」、「PCMark05 Build 1.2.0」、「3DMark Vantage Bulld 1.0.1」、「3DMark06 Build 1.1.0」、カプコンの「DEVIL MAY CRY 4 BENCHMARK」、「BIOHAZARD 5 BENCHMARK」の6種類だ。
今回は、適当な比較用PCを用意できなかったものの、十分優れたパフォーマンスが発揮されていると考えていい。筆者は、メインかつテスト用として、Core 2 Quad Q8200搭載マシンを利用しているが、CPUの動作クロックや搭載キャッシュ容量の差が大きいこともあり、体感でもかなり大きなパフォーマンスの差が感じられた。しかも、今回試用した構成では、販売価格が10万円を切ることを考えると、コストパフォーマンスはかなり優れると言っていいだろう。
□ベンチマーク結果hMDV ADVANCE ST 7000B | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
CPU | Core i7-860(2.80GHz) | |||||
チップセット | Intel P55 Express | |||||
ビデオチップ | GeForce GTS 250(WHQL 190.62) | |||||
メモリ | PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2 | |||||
HDD | Samsung HD753LJ | |||||
OS | Windows Vista Home Premium SP2 | |||||
PCMark Vantage Build 1.0.0 | ||||||
PCMark Suite | 5772 | |||||
Memories Suite | 4890 | |||||
TV and Movies Suite | 4634 | |||||
Gaming Suite | 7673 | |||||
Music Suit | 4571 | |||||
Communications Suite | 6070 | |||||
Productivity Suite | 4973 | |||||
HDD Test Suite | 3890 | |||||
PCMark05 Build 1.2.0 | ||||||
PCMark Score | 10026 | |||||
CPU Score | 10095 | |||||
Memory Score | 10498 | |||||
Graphics Score | 17380 | |||||
HDD Score | 5755 | |||||
3DMark Vantage Bulld 1.0.1 1,280×1,024ドット | ||||||
3DMark Score | 8140 | |||||
GPU Score | 6433 | |||||
CPU Score | 39842 | |||||
3DMark06 Build 1.1.0 1,024×768ドット | ||||||
3DMark Score | 15749 | |||||
SM2.0 Score | 6725 | |||||
HDR/SM3.0 Score | 6461 | |||||
CPU Score | 5029 | |||||
Windows Vistaパフォーマンス評価 | ||||||
プロセッサ | 5.9 | |||||
メモリ | 5.9 | |||||
グラフィックス | 5.9 | |||||
ゲーム用グラフィックス | 5.9 | |||||
プライマリハードディスク | 5.9 |
DEVIL MAY CRY 4 BENCHMARK | ||
---|---|---|
1,920×1,080ドット、標準設定 | 1,920×1,080ドット MSAA:S8X Texture Resolution:SUPER HIGH Shadow Quality:SUPER HIGH Quality:SUPER HIGH | |
SCENE 1 | 123.33 | 64.31 |
SCENE 2 | 98.98 | 46.47 |
SCENE 3 | 146.06 | 75.88 |
SCENE 4 | 86.22 | 48.61 |
BIOHAZARD 5 BENCHMARK | ||
1,920×1,080ドット、標準設定 | 1,920×1,080ドット アンチエイリアス:C16XQ モーションブラー:オン | |
ベンチマークテストA | 73.2 | 26.3 |
ベンチマークテストB | 62.2 | 28.7 |
ちなみに、ベンチマークテスト時には、CPUファンが勢いよく回るとともに、3D描画時にはグラフィックカードのファンも勢いよく回るため、比較的大きな騒音が聞こえてくる。最新の3Dゲームをプレイする場合や、動画エンコードなど、CPUやGPUに高い負荷のかかる作業を行なう場合には騒音が気になるかもしれない。ただ、低負荷時にはCPUファンやGPUクーラーの音はそれほど気にならないので、優れた静音性にこだわる場合を除き、特にうるさく感じることはないだろう。
MDV ADVANCE ST 7000Bは、ホワイトボックスマシンということもあり、目立つ特徴があるわけではなく、どちらかというと自作PCにかなり近い仕様の製品だ。また、付属アプリケーションもほとんどなく、ハード・ソフトともに非常にシンプルだ。とはいえ、このシンプルさや、最新CPUをいち早く採用するとともに、発表と同時に出荷するというスピーディーな対応が可能な点も、ホワイトボックスマシンだからこそできることだ。しかも、今回試用した構成であれば、99,750円と10万円を切る安価な価格で購入できるという点も見逃せない。
大手メーカー製PCのような、豊富な付属アプリケーションや手厚いサポートはないため、PC初心者には少々おすすめしづらいものの、中級者以上の方でデスクトップPCの買い換えや追加を考えている人には、十分におすすめできる製品だ。また、自作用として販売されているパーツ類で構成され、全てを買いそろえるよりも安価に済ませられるうえ、当然自分で組み立てる手間もかからないため、Core i5/i7マシンの自作を考えている人にもおすすめしたい。
(2009年 9月 9日)
[Text by 平澤 寿康]