エプソンダイレクト「Endeavor MR6500」
~コンパクトボディのCore i7搭載マシン




エプソンダイレクト 「Endeavor MR6500」

9月下旬 出荷開始

価格:BTO


 エプソンダイレクトは、Intelの最新CPUであるCore i7およびCore i5を搭載するデスクトップPCの新モデル「Endeavor MR6500」を発売した。コンパクトなミニタワーケースを採用するとともに、88,200円からという安価な価格が魅力の製品だ。今回、いち早くEndeavor MR6500を試用する機会を得たので、詳しく紹介していこう。


●Lynnfield全3モデルを選択可能

 Endeavor MR6500は、Lynnfieldこと最新のCore i7およびCore i5を搭載しながら、高さを抑えたミニタワーケースを採用することで、優れたパワーとコンパクトさを兼ね備えたマシンとなっている。

 エプソンダイレクトのマシンは、CPUの種類やメインメモリ、HDD容量などの選択はもちろん、搭載グラフィックカード、光学式ドライブ、その他周辺機器など、マシンを構成するパーツのほとんどを自由にカスタマイズできる点が大きな特徴で、もちろんEndeavor MR6500にもその特徴は受け継がれている。

 まず、搭載可能CPUは、Core i7-870、Core i7-860、Core i5-750と、9月8日にIntelが発表したばかりの、Lynnfield全3モデルを網羅。パフォーマンス重視ならCore i7 870、コスト重視ならCore i5 750と、目的や予算に応じて選択できる点は嬉しい。

 もちろん、その他のパーツも同様だ。メインメモリは最大4GBまで選択できるし、HDDは最大1.5TBまで対応するとともに、最大3台のHDDを搭載したり、RAID構成を選択することも可能。さらに、光学式ドライブも、最大2台まで搭載可能だ。

 ビデオカードは、GeForce 9500 GT、Radeon HD 4850、FirePro V3750の3種類から選択可能。ハイエンドゲームにも対応するフラッグシップモデル「Endeavor Pro7000」のような、ハイエンドGPUも含む豊富な選択肢が用意されているわけではないが、コストパフォーマンス重視のミドルレンジをターゲットとしていることを考えると、納得できる範囲内だ。

 ちなみに、今回試用したマシンの構成は、表にまとめたとおりであった。

【表】Endeavor MR6500試用機のスペック

CPUCore i7-870
メモリPC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2(Samsung M378B5673DZ1-CH9)
HDD1TB(Seagate Barracuda 7200.12 ST31000528AS)
光学式ドライブDVDスーパーマルチドライブ(PLDS DH-16AAS)
ビデオカードRadeon HD 4850(Sapphire HD4850 512M GDDR3 PCI-E)
OSWindows Vista Home Premium SP1
(Windows 7優待アップグレードキャンペーン対応)

CPUには、Core i7 870をはじめ、Lynnfield全3モデル全てがBTOで選択可能メインメモリは、SAMSUNG製のDDR3-1333対応2GBモジュール「M378B5673DZ1-CH9」を2枚搭載。BTOでは1GB、2GB、4GBの3種類から選択可能試用機では、グラフィックカードはSapphire製の「HD4850 512M GDDR3 PCI-E」を搭載。他に、GeForce 9500GT、FirePro V3750搭載カードも選択可能だ
HDDには、Seagate製の1TBドライブ「 Barracuda 7200.12 ST31000528AS」を搭載。1.5TBドライブの選択も可能光学式ドライブには、PLDS製のDVDスーパーマルチドライブ「DH-16AAS」を搭載。DVD-ROMドライブも選択可能

●Intel P55 Express搭載の、オリジナルmicroATXマザーボードを採用

 Endeavor MR6500では、microATX仕様のオリジナルマザーボードを採用している。裏面に印刷された型番は「IPMIP-BM」。チップセットは、もちろんIntel P55 Expressが採用されている。

 用意されているインターフェイスは、PCI Express x16×1、PCI Express x4×1、PCI×2、SATA×6。PCI Express x4スロットは、エッジフリータイプとなっているものの、コネクタ後方にコンデンサが取り付けられており、SLIやCrossFireXなどのサポートは考慮されていないと言える。

 メインメモリ用のDIMMスロットは4本用意されており、BTOでPC3-10600 DDR3 SDRAMを最大4GBまで選択可能。ハードウェア的には最大8GBまで搭載可能だと思われるが、選択可能OSが32bit版Windows Vista(または、Windows Vista Businessダウングレード扱いの32bit版Windows XP Professional)のみとなっているための措置と考えていいだろう。PATAやFDDなどのレガシーポートは省かれている。

 バックパネルのインターフェイスは、USB 2.0×6、Gigabit Ethernet、IEEE 1394、キーボード・マウス接続用のPS/2ポート、サウンド入出力に加え、パラレルポートが用意されている。この点から、個人用途だけでなく、ビジネス用途もターゲットにしていることがうかがえる。

 オンボード機能は、Gigabit Ethernet対応の有線LAN、IEEE 1394、HDオーディオなどで、必要最小限にとどめられているという印象だ。

microATX仕様のオリジナルマザーボードを採用。チップセットはもちろんIntel P55 Express拡張スロットは、PCI Express X16×1、PCI Express X4×1、PCI×2。シリアルATAは6ポート。パラレルATAやFDDポートは省かれている
メインメモリ用のDIMMスロットは4本用意されている。BTOではメインメモリは最大4GBまでだが、ハード的には8GBまで対応していると思われるバックパネル部には、USB 2.0×6、Gigabit Ethernet、IEEE 1394、キーボード・マウス接続用のPS/2ポート、サウンド入出力に加え、パラレルポートも用意されている

●小型ながらメンテナンス性に優れるミニタワーケース

 Endeavor MR6500のケースは、Endeavor MR6000で採用されているものと同じミニタワーケースだ。179×396×368mm(幅×奥行き×高さ)と、奥行き、高さともミドルタワーケースよりもコンパクト。ブック型省スペースPCとの比較ではかなり大きいが、拡張性の高さも考慮すれば、十分省スペースと言える。また、正面と上部がブラックで、左右側面がホワイトのデザインは、自宅やオフィスなど置き場所を選ばないスマートさが好印象だ。

 内部ベイは、5インチベイ×2(空き1)、3.5インチシャドウベイ×3(空き2)と、コンパクトさの割にはなかなか豊富。また、3.5インチシャドウベイは90度ほど横に回転できるようになっており、HDDの着脱も楽に行なえる。ちなみに、5インチベイの下には3.5インチベイも存在するが、ここには専用のメモリカードリーダが取り付けられており、その他のパーツを取り付けることはできない。

 ケースファンは、リアに8cm角の排気ファンを搭載。静音性もまずまずで、稼働中にファンがうるさいと感じることはほとんどない。左側面パネルには、CPU用吸気ダクトが用意されており、リアの8cmファンと合わせ、内部換気も問題なさそうだ。電源ユニットは、DELTA製の350Wユニット「DPS-350AB13」が搭載されている。Endeavor MR6000の300Wユニットよりも容量が増えており、よりハイエンド構成にも対応できるように配慮されている点は嬉しい。

本体正面。コンパクトなミニタワーケース。デザインもスマートで、どこに置いても違和感がないだろう前面にはUSB 2.0×3とヘッドフォン・マイクの各端子に加え、メモリカードリーダを標準で備える左側面。側面は左右ともカラーがホワイトとなる
背面。こちらは特に特徴はなく、一般的なミニタワーケースとほぼ同じだ左側面パネルを開けた状態。奥行きも396mmと短く、ドライブベイとマザーボードが一部重なっているドライブベイは、5インチ×2、3.5インチシャドウ×3を用意。5インチベイ下の3.5インチベイは、メモリカードリーダ専用で、使用できない
3.5インチシャドウベイは、90度ほど横に回転でき、簡単にHDDの着脱が可能リアの8cm排気ファンは、比較的静音性に優れており、騒音もそれほど気にならない
付属していた109日本語キーボード。キーが大きく、タッチはやわらかい。他に、コンパクトキーボードやワイヤレスキーボードも選択可能付属の光学式スクロールマウス。こちらも、マイクロソフトレーザーマウスやコードレスマウスなどを選択できる

●フルカスタマイズで、幅広い用途に柔軟に対応できる点が魅力

 では、ベンチマークテストの結果を紹介していこう。今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark Vantage Build 1.0.0」、「PCMark05 Build 1.2.0」、「3DMark Vantage Bulld 1.0.1」、「3DMark06 Build 1.1.0」、カプコンの「DEVIL MAY CRY 4 BENCHMARK」、「BIOHAZARD 5 BENCHMARK」の6種類だ。

 結果を見ると、今回登場した新Core i7の上位モデルであるCore i7-870を搭載しているため、CPU関連の測定結果がかなり良好となっている。DEVIL MAY CRY 4とBIOHAZARD 5の結果は、GPUがRadeon HD 4850とミドルレンジクラスのため、やや厳しい結果となっているが、それでも解像度を低くすれば十分快適にプレイ可能なレベルであり、ゲーム用途にもそこそこ対応できると考えていい。

【表】ベンチマーク結果

Endeavor
CPUCore i7 870(2.93GHz)
チップセットIntel P55 Express
ビデオチップRadeon HD 4850 (Cataryst 9.8)
メモリPC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2
OSWindows Vista Home Premium SP2
PCMark Vantage Build 1.0.0
PCMark Suite6771
Memories Suite4324
TV and Movies Suite5357
Gaming Suite8395
Music Suite5582
Communications Suite6246
Productivity Suite5763
HDD Test Suite5073
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score11568
CPU Score10648
Memory Score10638
Graphics Score15728
HDD Score7927
3DMark Vantage (Bulld 1.0.1) 1,280×1,024ドット
3DMark Score8000
GPU Score6702
CPU Score19185
3DMark06 (Build 1.1.0) 1,024×768ドット
3DMark Score13407
SM2.0 Score4948
HDR/SM3.0 Score5739
CPU Score5476
Windows Vistaパフォーマンス評価
プロセッサ5.9
メモリ5.9
グラフィックス5.9
ゲーム用グラフィックス5.9
プライマリハードディスク5.9
DEVIL MAY CRY 4 BENCHMARK (DirectX 10)

1,920×1,080ドット、標準設定1,920×1,080ドット
MSAA:8X
Texture Resolution:SUPER HIGH
Shadow Quality:SUPER HIGH
Quality:SUPER HIGH
SCENE 188.3082.53
SCENE 277.4557.71
SCENE 3105.48108.82
SCENE 466.8664.58
BIOHAZARD 5 BENCHMARK (DirectX 10)

1,920×1,080ドット、標準設定1,920×1,080ドット
アンチエイリアス:8X
モーションブラー:オン
ベンチマークテストA57.424.1
ベンチマークテストB44.839.6

 ベンチマークテスト中の騒音は、3D関連やゲームのベンチマークを実行している場合には、CPUやGPUのファンの回転数が上がり、音が外に漏れ聞こえてくるものの、うるさいと感じるほどではない。これなら、デスク上に設置して利用したとしても、騒音に悩まされることはないと言っていいだろう。

 Endeavor MR6500の販売価格は、88,200円から。ただし、今回試用した構成は、Endeavor MR6500で用意されているBTOの、ほぼハイエンドの構成となっているため、販売価格は155,400円(2009年10月16日 17:00までの「MR6500発売記念!ハイスペックがお得!キャンペーン」を適用した、10,500円引きの価格)と、やや高価となっている。それでも、スペック面や、定評のある優れたサポート体制などを考えると、この価格も納得できる範囲内。もちろん、コストパフォーマンスを優先したいなら、CPUにCore i5-750を選択すればいい。それでも、十分満足できるパフォーマンスが発揮されるはずだ。

 価格の幅はやや大きいものの、コスト重視からパフォーマンス重視まで、用途に応じて自由にスペックをカスタマイズして購入できる点は、やはり大きな魅力。充実したサポート体制もあわせ、広くおすすめしたい製品だ。

【お詫びと訂正】初出時にマザーボードの製造メーカーを推定して記載しておりましたが誤りでした。お詫びして削除させていただきます。

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(2009年 9月 11日)

[Text by 平澤 寿康]