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ミニPCなのに拡張性にビビる。Panther Lake搭載になった「MS-03」

MS-03

 MINISFORUMの「MS-03」は、196×189×48mmの小型筐体に、最新のPanther LakeことCore Ultraシリーズ3プロセッサを搭載したミニPCだ。現在直販サイトで予約を受け付けており、価格はベアボーンで13万399円からとなっている。

  • Core Ultra 5 336H ベアボーンキット: 13万399円
  • Core Ultra 5 336H メモリ32GB+1TB: 23万1,999円
  • Core Ultra 9 386H ベアボーンキット: 17万8,399円
  • Core Ultra 9 386H メモリ32GB+1TB: 27万1,999円

 片手で持てるサイズでありながら豊富なネットワークインターフェイスや拡張性を持ち、同社が「ミニワークステーション」と位置づける初代の「MS-01」登場からはや2年半が経った。今なお初代と同じ筐体を踏襲する本機だが、ロマンが詰まったスペックは相変わらず、発表から実機開封までワクワク感をもたらしてくれる。早速見ていこう。

初代MS-01からの変遷

 本題に入る前に、初代のMS-01からMS-03までに登場した「MS-A1」、「MS-A2」、「MS-R1」も交えて比較してみよう。ここでは、筐体が大型となり電源も内蔵、若干性格が異なる「MS-S1 MAX」と「MS-02 Ultra」を省いておく。

 表にすると分かるように、MS-01登場からほぼ同じ筐体を踏襲する本シリーズだが、意外にも搭載するプロセッサ能力で性格が差別化のポイントになっている。たとえば、

  • MS-A1はM.2 SSDを4基積めるが、MS-01にあったPCIeスロットやSFP+がない
  • MS-A2はMS-01よりCPUがはるかに強力だが、USB4がなくCPU内蔵GPUが弱い
  • MS-R1はそもそもCPUアーキテクチャもOSも異なる

といった具合に、MS-01以降に登場した機種はどれも一長一短があり、MS-01と同じ性格でそっくりそのまま入れ替えられる機種はなかったのだ。もっとも、これがMSシリーズがロングセラーになった理由だともいえ、実際、記事執筆時点でもMS-01のベアボーンが注文できる状態だ。

モデルMS-03MS-A2MS-01MS-R1
CPUCore Ultra 9 386H
Core Ultra 7 356H
Core Ultra 5 336H
Ryzen 9 9955HX
Ryzen 9 7945HX
Core i9-13900H
Core i9-12900H
Core i5-12600H
CIX CP8180
メモリDDR5-7200 (最大128GB)
※出荷仕様DDR5-5600
DDR5-5600 32GB
64GB(最大96GB)
DDR5-5200 32GB
なし(ベアボーン、最大64GB)
LPDDR5-5500 32GB
64GB (オンボード、ECC対応)
SSD1TB
なし(ベアボーン)
1TB
なし
1TB
なし
1TB
512GB
なし(ベアボーン)
ストレージPCIe 5.0 M.2 1基(2280、U.2対応)
PCIe 5.0 M.2 1基(2280/22110)
PCIe 4.0 M.2 1基(2280/22110、x1接続)
PCIe 4.0 M.2 1基(2280、U.2排他)
PCIe 3.0(BIOS設定で4.0可) x4 2基(2280/22110)
PCIe 4.0 M.2 1基(2280、U.2排他)
PCIe 3.0 x4 1基(2280/22110)
PCIe 3.0 x2 1基(2280/22110)
M.2 2280/22110(PCIe 4.0 x4) NVMe SSD
拡張スロットPCIe 4.0 x16(x4レーン接続)PCIe 4.0 x16(x8レーン接続、分割対応)PCIe 4.0 x16(x8レーン接続)PCIe 4.0 x16(x8レーン接続)
USBUSB4 2基
USB 3.2 Gen 2 2基
USB 3.2 Gen 1 1基
USB 2.0 2基
USB 3.2 Gen 2 Type-C 2基
USB 3.2 Gen 2 1基
USB 3.2 Gen 1 3基
USB 2.0 1基
USB4 2基
USB 3.2 Gen 2 2基
USB 3.2 Gen 1 1基
USB 2.0 2基
USB 3.2 Gen 2 Type-C 2基(DisplayPort Alt Mode対応)
USB 3.2 Gen 2 3基
USB 2.0 4基
モニター出力HDMI 2.1HDMI 2.1HDMI 2.0HDMI 2.0
有線LAN10G SFP+ 2基(Intel X710)
10G RJ45 1基(RTL8127)
2.5G RJ45 1基(I226-LM)
10G SFP+ 2基(Intel X710)
2.5Gigabit Ethernet 2基(RTL8125+I226-V)
10G SFP+ 2基(Intel X710)
2.5Gigabit Ethernet 2基(I226-LM+I226-V)
10G RJ45 2基(RTL8127)
無線LANWi-Fi 7、Bluetooth 6.0Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3
音声出力3.5mm音声入出力3.5mm音声入出力3.5mm音声入出力3.5mm音声入出力
ACアダプタ約240W約240W約180W約180W
本体サイズ196×189×48mm196×186×48mm196×186×48mm196×189×48mm
ツールレス筐体

 しかしそのMS-01がそろそろ退役する予感をさせられるのがこのMS-03だ。表にある通り、MS-03はMS-01の要素をほとんど受け継ぎながらアップグレードを果たしており、劣る要素といえばPCIeスロットが4.0 x8接続からx4接続に変わった点ぐらいだ。PCIe 4.0 x8接続に強いこだわりがないのであれば、MS-03はMS-01の正統後継としてみなすことができる。しかも同じIntelプロセッサだからなおさらだ。

下からMS-01、MS-03、MS-A2。筐体はほぼ共通のため見分けがつきにくい

 そのためか、MS-03の製品ページではMS-01からの性能向上が最初にフィーチャーされている。MS-01で搭載できる最上位のCore i9-13900Hに対し、MS-03最上位モデルに搭載されているCore Ultra 9 386HはCPUのマルチコアで30.5%、シングルコアで16.9%、GPU性能で77.45%の向上を果たしたとしている。

 ただMINISFORUMによれば、これはデュアルチャネルメモリを搭載した際の結果。昨今のメモリ不足の影響により、今回のサンプル機では残念ながら32GBのメモリモジュールが1枚だけ搭載されている状況だった(つまりシングルチャネル)。このため、プロセッサの性能をフルに引き出すことができない。MS-01からの“アップグレード”を考えているならば、メモリを2枚搭載することを念頭に置いておきたい。

付属品など
ACアダプタは約240Wのタイプ

この拡張性はもはやちょっとしたサーバーだ

 続いて、MSシリーズ最大の特徴であるインターフェイスについておさらいしていこう。まずはネットワークのSFP+ポートから。初代MS-01では、ネットワークコントローラにIntel X710を搭載し、光で10Gbps転送が可能なSFP+を搭載していたが、本機もこれを受け継いでおり、SFP+モジュールが利用できる。

 もちろん銅線に対応する10GBASE-Tモジュールを使ってもいいが、モジュール自体が5,000円からとやや高価である上に、MS-03は最初から1ポートの10GBASE-Tを搭載しているので、SFP+を10GBASE-Tとして使うのはもったいない。せっかくなのでここは光ケーブルを使いたい(気持ちの問題)。

 たとえば、比較的安価なOM-3/OM-4 LC規格の光ケーブルを使う10GBASE-SRモジュールなら、日本国内では3,000円強、AliExpressなどなら1,000円以下で入手できる。最長距離も300mとかなり余裕があるので、よほどの豪邸でもない限り家の隅から隅まで届く。家庭内LANで光の息吹を感じることができるのでおすすめだ。

SFP+対応の10GBASE-SRモジュールとOM-3ケーブル

 ちなみにこのSFP+以外にも、Intel I226-LMによる2.5Gigabit Ethernetと、RTL8127による10Gigabit Ethernetも備えている。また、USB4を使って簡易ネットワークを構築することも可能。さらにいえば、無線LANもWi-Fi 7と、MS-01のWi-Fi 6から世代が進化。あらゆる点が強化されたといえるだろう。

Intel i226-LMによる2.5Gigabit Ethernetと、RTL8127による10Gigabit Ethernetも搭載

 続いてはU.2。これはサーバー用SSDなどに使われるインターフェイスで、SATAコネクタをベースとしたSASのコネクタに対し、さらにPCIe信号ピンを追加したもの。要は「PCIe x4用SSDをケーブルで接続するための規格」なのだが、MS-03は変換基板を用いて、3基あるうちの1基のM.2からU.2に変換して、U.2 SSDを利用できるようにしたわけだ。ただ、U.2は規格上ではSATA/SASのHDDおよびSSDに対応しているが、MS-03のU.2はPCIe専用であるため注意したい。

 ちなみに、U.2のSSDは12Vで給電するため、M.2の3.3V給電では対応できない。そのためMS-03ではマザーボードに付属のケーブルを接続して供給する仕組み。MS-01は電圧の切り替えがスイッチ式だったが、万が一U.2 SSDからM.2 SSDに戻した際にスイッチを切り替え忘れると、高電圧がM.2に注入されSSDを壊してしまう危険性があった。MS-03はケーブルなのでこのミスは発生しないわけだ。

U.2変換基板。ケーブルを使用するため作業ミスによるSSDの電気的破損は起きないだろう

 最後にPCIeスロットだ。MSシリーズはMS-A1を除いた全モデルにLowProfile対応のPCIeスロットを備えているのが特徴の1つ。1スロット分しかなくなおかつLowProfileということで、使えるカードは相当限定されるが、ネットワークカードをさらに増設するのもありだし、レアなビデオカードを挿して活用するのもありだろう。

 このように、MS-03はコンシューマ向けPC離れしたインターフェイスを有したミニPCで、ちょっとしたサーバー並みだといっていい。一般的なオフィス用途で使うよりも、相応の装備を用意して拡張し、好みの環境に仕立て上げるパワーユーザー向けの製品だといえる。

PCIe x16形状で内部的にx4レーン接続のスロットが用意されている
このように拡張カードを取り付けられる

USB4 Version 2.0の対応は難しかった?

 インターフェイスの中で唯一やや残念なのは、USB Type-CがUSB4止まりで、初代のMS-01と同じ40Gbpsが最大である点だ。先にリリースされたMS-02 UltraやMS-S1 MAXがすでにUSB4 Version 2.0に移行していたことを踏まえると、物足りない印象は拭えない。

 ただ、そもそもUSB4 Version 2.0コントローラをつなげられるのか?という話ではある。Core Ultra 7 356HはPCIeを合計20レーンを持っている。その内訳だが、PCIe 5.0x8+PCIe 5.0x4+PCIe 4.0 x4+PCIe 4.0 x4という具合だ。これを本機では

・PCIe 5.0 x8→PCIe 5.0 x4 M.2 2基で利用
・PCIe 5.0 x4→PCIeスロットで利用(4.0制限)
・PCIe 4.0 x4→Intel X710で利用
・PCIe 4.0 x4→RTL8127、I226-LM、PCIe 4.0 x1 M.2、無線LANモジュールで利用

 と、全部使い切ってしまっている。USB4 Version 2.0コントローラでは少なくともPCIe 4.0 x4相当のバス幅が必要なため、それに割り振る余裕が本機にはないことになる。

ブロックダイアグラム(Geminiで生成)

 ちなみにMS-02 UltraはCore Ultra 9 285HX内包のPCIeに加え、チップセット側にもPCIeが20レーン用意されており、それが功を奏してUSB4 Version 2.0の実装を実現している。一方、MS-S1 MAXに搭載されているRyzen AI Max+ 395はPCIeが16レーンしかないが、M.2スロットが少ない上に、Intel X710のようなレーンを食うコントローラがないのでUSB4 Version 2.0の搭載を実現しているのであった。

 ただ、そもそもの話、MS-03はMS-01の筐体を踏襲している以上、USB Type-Cをさらに2基出すためのスペースを捻出するのは、物理的に困難だったのだろう。

 また、たとえ本機がUSB4 Version 2.0だったとしても、実はType-CケーブルでUSB4 Version 2.0ポート同士を接続して構築できるネットワークの速度はUSB4同士の2倍とはならず、25Gbps~30Gbps前後で頭打ちになる。ネットワークが売りの本製品では、実装するメリットが薄かったという判断もあったのかもしれない。

本体前面には3.5mm音声入出力、USB 3.2 Gen 2、USB 2.0 2基を搭載
背面インターフェイスはSFP+ 2基、2.5Gigabit Ethernet、10Gigabit Ethernet、USB4 2基、HDMI出力、USB 3.2 Gen 2 2基となっている

ツールレスで容易なメンテナンス

 高い拡張性が特徴であるだけでなく、ツールレスで開閉可能な筐体もMS-03の特徴だ。MS-03は、背面中央にボタンを備えているが、これを押下しながら後ろ側に引っ張ると引き出しのように開き、マザーボードなどにアクセスできる。

 内部のレイアウトはMS-01などと共通だ。前面を手前にして上向きにした場合、左側の手前はメモリ、奥はCPUとなっており、その上部にクーラー機構を備える。右側はPCIeスロットでLowProfile/ハーフレングス対応のカードが装着できる。

ツールレスで開く筐体
本体底面

 拡張カードは従来通り、プラスチックの爪のネジを外してからブラケットを外し、カードをマザーボードに対して水平にスライドして装着するのだが、ブラケットの突起部を入れるのに若干のコツが必要なので慎重に作業したい。また、プラスチックの爪も力の入れ具合によっては破損するので、こちらも力を入れすぎないよう注意したい。

 底面はM.2スロットが3基だ。このうち2基はファンの下にある。中央の2基のM.2はPCIe 5.0 x4接続で、端の1基はPCIe 4.0 x1接続となっている。標準では、ファンの外にあるスロットにSSDが装着されているが、このスロットがU.2と排他利用となる。一方、ファンの下にSSDを装着する場合は、厚さの問題からヒートシンクを外す必要がある。

SSDスロットは3基。中央寄りの2基はPCIe 5.0 x4接続で、端っこの1基はPCIe 4.0 x1接続。なぜか、説明書にも記載がないようなのでここに記しておく
ちなみにSSDスロットへのアクセスはネジ3本で固定されているファンを外す必要がある

 やや残念といえるのは、本体はせっかくツールレスで開けることができるのに、各パーツの着脱は基本ドライバが必要なこと。スペースの問題から実現が難しかったのかもしれないが、次期モデルではさらなるツールレス化に期待したいところだ。

 メモリに関してはDDR5-7200対応のSO-DIMMスロットを2基搭載しているが、標準で装着されているのはDDR5-5600対応の32GBモジュール1枚のみで、つまりはシングルチャネル動作となっている。容量的に十分ではあるのだが、後述する通り、残念ながらCPU/GPU性能をフルに引き出すことはできない。メモリの需給が緊迫している昨今、MINISFORUMとしても苦肉の策だ。

標準の完成品モデルのメモリは32GBモジュール1枚のみ
メモリへのアクセスもネジ3本でCPUファンを外す必要がある。このファンは表裏でエアチャネルが分かれていてユニークだ

Panther Lake違わぬCPU性能を発揮するが……

 最後に、MS-01からどのぐらい性能向上が図れたかテストでみていこう。MS-01については以前測定した項目からほとんど内容が変更しているため、スコアを取得しなおした。また、GPU強化型のCore Ultra X7 358Hとの違いについて気になるユーザーも多いだろうから、以前レビューしたGPD BOXの結果も併記している。

モデルMS-03GPD BOXMS-01
CPUCore Ultra 9 386HCore Ultra X7 358HCore i9-13900H
メモリDDR5-5600 SO-DIMM 32GB×1LPDDR5X-8533 32GBDDR5-5200 SO-DIMM 16GB×2
SSD1TB QLC(YMTC PC41Q-1TB-B)1TB TLC(WD Blue SN5000)1TB TLC(Kingston OM8PGP41024Q-A0)
OSWindows 11 ProWindows 11 HomeWindows 11 Pro

 まずはCPUの演算性能を中心に計測するCinebench 2026。ここでは従来のMS-01から大きな進化を遂げており、シングルスレッドでは2割、マルチスレッドでは4割近くも高速で、世代交代にふさわしいスコアを残している。一方GPD BOXと比較すると、マルチスレッド性能で後塵を拝している。Cinebench 2026では純粋な演算のみならずメモリの性能も影響するようになったといわれているが、本機でシングルチャネルになっている点が影響しているとみられる。

Cinebench 2026

 PCの総合性能を評価するPCMark 10でもこの傾向は共通で、総合スコアは8,750と高くMS-01を凌駕しているもののGPD BOXには及ばない。項目別に見ると、PCの基本操作を反映したEssentialsがMS-01から大きく進化していない一方で、生産性スイートのProductivityやコンテンツ制作のDigital Content Creationで差をつけている。MS-01ではSSDがTLCタイプだったが、MS-03ではQLCタイプに変更されている点も影響しているとみられる。

PCMark 10

 また、GPU性能を評価する「3DMark」ではMS-01と拮抗、「ファイナルファンタジーXIV 黄金のレガシーベンチマーク」ではなんとMS-01より遅かった。GPD BOXではGPU規模が大きいので比較するまでもないが、ここでもやはりメモリがシングルチャネルであることがかなり響いている。デュアルチャネルまで拡張すればもう少し高速だっただろうからこの点は惜しまれる。

3DMarkその1
3DMarkその2。MS-01はハードウェアレイトレーシング非対応のため、一部テストを完走できない
FF14もメモリがシングルチャネルであるためスコアがふるわない

 このように、MS-03はメモリがシングルチャネルである点が足を引っ張っているものの、地力はそれなりにあり、デュアルチャネルとDDR5-7200モジュールにアップグレードすれば性能が向上するポテンシャルは秘めているといえる。

MS-01の後継としては及第点。パワーユーザーなら拡張必至

 MS-03は名機として一部エンジニアに親しまれたMS-01の正統な後継機として十分な説得力を持ったモデルだ。初代が築き上げた1.8Lクラスのコンパクト筐体を継承しつつ、最新のPanther Lake世代へと刷新されたことで、ミニワークステーションとしての底力が大きく引き上げられている。

 評価機ではメモリがシングルチャネル構成だったため、ベンチマークにおいてPanther Lake本来のポテンシャル、特にGPU性能やマルチスレッド性能をフルに発揮しきれなかった点は惜しい。DDR5-7200のデュアルチャネル環境を整えれば解決できるが、昨今の事情を考えるとハードルは高い。それでも金に糸目をつけず、性能を重視するパワーユーザーなら、ベアボーンを選択して高速メモリを2枚装着する運用を推奨したい。

 拡張性に関しては、10GbEとSFP+の標準搭載、U.2 SSDへの対応、LowProfile対応PCIeスロットの維持など、MSシリーズならではの“変態的な強み”がしっかりと継承されている。USB4 Version 2.0の見送りはさまざまな制限があったため致し方ないが、ネットワーク主体の実用面で不満が出るケースは少ないはずだ。

 MS-03は、一般的なオフィスやWeb閲覧といった用途向けに設計されたミニPCではない。個人においては、自宅で省スペースな高性能サーバーを運用したいパワーユーザーや、デスク上に高度なネットワーク検証環境を構築したいエンジニアといったマニア層向けだろう。

 また、個人用途にとどまらず、10GbEやSFP+、U.2 SSD対応といったサーバーグレードの足回りとPanther Lakeの演算性能をコンパクトに凝縮している点は、法人市場にとっても魅力的だろう。設置スペースが限られる店舗や工場のエッジAI端末、IoTゲートウェイ、あるいはSOHOのオンプレミスサーバーや仮想化ホストとしても強力な選択肢となり得る。

 ベアボーンキットで13万円台からという価格設定も、これだけのネットワーク機能と拡張性が凝縮されていることを考えればコストパフォーマンスは高いといえる。MS-01からの乗り換えを検討していた人はもちろん、ロマン溢れる小型インフラ環境を手に入れたいと考えていたユーザーの期待に応えてくれる1台だ。