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モニター内蔵ミニPCってどう使うの?AOOSTAR「G-FLIP AI370」を試す
2025年12月18日 06:04
AOOSTAR「G-FLIP AI370」は、かなりユニークな機能を備えたミニPCである。なんと5型の液晶モニターを内蔵しており、そこにデスクトップ画面などを表示できるのだ。今回はこの内蔵モニターの使い勝手や機能性、またこうしたモニターを本体に搭載することで、どういった使い方ができるようになるのかなどを検証していこう。
表示できる情報は外部モニターと同じ、文字やアイコンは小さめ
AOOSTARは、多くのミニPCをラインナップするメーカーの1つだ。スタンダードなミニPCのほか、M.2 SSDスロットを3基装備する「GEM10」シリーズ、システム情報などを表示できる小さなモニターを搭載する「GEM12+」シリーズなど、他社ではあまり見かけないユニークな機能を搭載するモデルもラインナップしている。
今回紹介する「G-FLIP」シリーズでは、搭載CPUが異なるいくつかのモデルをラインナップしているが、今回検証したのはRyzen AI 9 HX 370を搭載する上位モデル、G-FLIP AI370だ。試用したのがベアボーンPCタイプだったので、検証時は2基の16GBメモリ(PC5-44800対応)と、1TBのM.2 SSDを組み込み、Windows 11をインストールした。
| メーカー | AOOSTAR |
|---|---|
| 製品名 | G-FLIP |
| OS | Windows 11 |
| CPU(コア数/スレッド数) | Ryzen AI 9 HX 370(12コア24スレッド) |
| 搭載メモリ(空きスロット) | DDR5 SODIMM PC5-44800 16GB 2基(なし) |
| ストレージ(インターフェイス) | 1TB(PCI Express 4.0 x4) |
| 拡張ベイ | PCI Express 4.0対応M.2スロット 1基 |
| 通信機能 | IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax/be、Bluetooth v5.2 |
| 主なインターフェイス | 2.5GbE 2基、HDMI 1基、USB 4 2基、USB 3.2 Gen 2 2基、USB 2.0 2基、Oculink |
| 本体サイズ(実測値) | 132×132×74mm |
| 重量(実測値) | 898g |
| 実売価格 | 18万8,300円(Amazon.co.jp) |
G-FLIP AI370は一般的なミニPCと違って、やや厚みのある筐体を採用しているが、これは5型の液晶モニターを天板に搭載しているからだ。手前にヒンジを装備しており、背面から手前に向かって液晶部分を起こすような感じでセッティングする。最大角度は60度でロック機構はなく、無段階で調整が可能だ。ただし角度が小さい状態だと、内蔵モニター部分が倒れてもとに戻る。
内蔵モニターの下にはCPUクーラー用の吸気口があり、利用時は左右側面の排気口からやや暖かい風が流れてくる。こうした構造もあり、電源を入れている状況では内蔵モニターは立てておいたほうがよさそうだ。
内蔵モニターの解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)で、タッチ機能にも対応する。内蔵モニターを上下左右さまざまな角度から見たが色の変化はほとんどなく、透明感と立体感に優れた、美しい映像を楽しめる。パネルサイズが小さいこともあって、相対的にはかなりの精細感がある。
外部モニターを接続していない状態では、内蔵モニターにUEFIの画面が表示され、設定なども単独で行なえる。HDMIなど映像出力ポートを通じて別のモニターを接続すると、そのモニターと内蔵モニターでマルチモニター環境を作る。ディスプレイの位置やスケーリングなども、Windows 11の設定アプリから行なえる。こうしたことから考えると、この内蔵モニターは一般的なモニターと同じ扱いということが分かる。
HDMIなどで接続している外部モニターと内蔵モニターで、グラフィックス性能が変わるかを検証したのが下記のグラフだ。3DMarkのFire StrikeとTime Spyの結果を見る限り、性能の違いはないようだ。内部モニターでも外部モニターと同様、プレイしようと思えばPCゲームも楽しめる。
ただパネルサイズが5型とかなり小さく、設定アプリからのスケーリングも175%までしか設定できないこともあり、アイコンや文字のサイズはかなり小さめだ。基本的には外部モニターをメインとして使い、内蔵モニターにはメーター式のシステム情報や天気など、テキストではなく大きめのグラフィックスで情報が表示されるタイプのアプリを配置するほうがよいだろう。
ただだからと言って、テキストを表示させる作業にまったく使えないということはない。たとえばファイルサーバーPCの監視用なら、こうした内蔵モニターでも十分だ。別途モニター用のスペースを用意する必要がないので、設置場所の自由度も高まる。
また個人的には、Steamのゲームサーバーとして使うのもおもしろそうだと思った。Steamには、ネットワークで接続した機器にゲーム画面をミラーリングしてリモートプレイできる「Steam Link」という機能がある。スマホや最近増えてきたAndroid搭載ゲーム機でこの機能を利用すれば、SteamのPCゲームをベッドなどに寝転んだ状態でも楽しめる。
たとえばSteamのゲームライブラリをG-FLIPにインストールし、丸ごと旅行先に持っていけば、旅先でもSteamのPCゲームをプレイできる。さらにG-FLIPの内蔵モニターはタッチ操作にも対応するし、後述するが指紋認証機能もある。ゲームサーバーとして使うだけであれば、持ち運ぶのはG-FLIPとACアダプタだけでよい。
もちろん一般的なミニPCやノートPCでも同じようなことはできるが、G-FLIP単体で済むならそのほうが軽く、そして小さいので持ち運ぶ荷物も少なくてすむ。
ミニPCとしてはかなり高性能、メモリやSSDの組み込みもラク
Windows 11をインストールして実際の使用感を検証したところ、Ryzen AI 9 HX 370をCPUとして採用するだけあって日常的な使い勝手は良好だ。Windows 11や各種アプリは快適に動作し、不満を感じる場面はない。
また動作音はかなり小さく、負荷が小さいアイドル時や軽作業時はほぼ無音状態と言ってよい。負荷が高くなっても軽い風切り音が「サーッ」と鳴る程度であり、作業が終わればすぐに静かな状態に戻る。
一般的なアプリの使用感を検証できる「PCMark 10 Extended」では、総合Scoreが7,500を超えており、CPU内蔵GPUを利用するスタンダードなミニPCの中ではトップクラスに位置する。3D描画性能を検証できる「3DMark」の結果も同様だった。
実際のPCゲームのベンチマークテストは3つのゲームで行った。解像度はいずれもフルHDに設定し、「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク」ではグラフィックス設定を[標準品質(デスクトップPC)]と[高品質(デスクトップPC]に設定してScoreを比較した。
「F1 24」では[低]と[高]、「サイバーパンク2077」でも[低]と[高]に設定したときの平均fpsを比較している。またこれらのタイトルではフレーム生成機能に対応するので、フレーム生成機能を有効にしたときの平均fpsも計測した。
ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマークでは高品質設定で[やや快適]、標準品質設定で[快適]と、まずまずの結果だ。グラフィックス描画の負荷が低いF1 24では、[高]と[低]のどちらでも平均fpsで60を超えるスムーズな描画が可能。
描画負荷が重いサイバーパンク2077ではさすがにかなり厳しい場面が増えてくるのだが、フレーム生成を有効にすると60fpsを超える。ゲームサーバーとして使う場合でもなかなか心強い結果だ。
内部へのアクセスは容易。インターフェイスも十分
最後に、拡張性とインターフェイスを見てみよう。試用したモデルはベアボーンPCであり、メモリやM.2 SSDを組み込まなければPCとして利用できないため、気になるところだろう。そしてG-FLIPでは、底面を固定している4本のネジを外すだけで底面を外し、メモリスロットやM.2スロットにアクセスできる。
ただしこの底面パネルには、メモリやM.2 SSDを冷却するためのファンが固定されている。底面パネルをむりやり引っ張ってファンの電源ケーブルが断線しないよう、慎重に作業したい。
前面に搭載するUSBポートは2基のUSB 3.2 Gen 2ポートと1基のUSB4ポートという構成。背面には2基のUSB 2.0ポートと1基のUSB4ポートを装備する。背面にもUSB 3.2 Gen 2ポートが欲しいところだが、そこはUSB4ポートにUSBハブを接続して補おう。
ディスプレイ出力端子は前述した2基のUSB 4ポートに加え、HDMIを搭載し、合計3台の外部モニターを接続可能だ。内蔵モニターを加えると、最大で4台のマルチモニター環境を作れる。ミニPCとしては平均的なスペックであり、この台数で困るということはまずないだろう。またOCuLinkを搭載しており、外付けのGPUユニットを使ってグラフィックス性能を強化することも可能だ。
タッチ対応内蔵モニターを活用すればさまざまな使い方が
Ryzen AI 9 HX 370を搭載することで実現した高い基本性能はもちろん、内蔵モニターによる使い勝手の強化もあり、数多く存在するミニPCの中でも魅力ある1台に仕上げられているように思う。内蔵モニターはタッチ対応で指紋認証機能も備えることを考えると、前述したサーバー的な使い方なら本体のみで運用することも可能だ。ミニPCの初心者はもちろん、いろいろと変わった使い方をしてみたい上級者まで、幅広いユーザーにお勧めできる優れたモデルと言ってよいだろう。


































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