富士通「LIFEBOOK SH76/E」
~光学式ドライブ内蔵13.3型ノートで世界最薄を実現



富士通「LIFEBOOK SH76/E」

発売中

価格:オープンプライス



 富士通は、13.3型ワイド液晶搭載モバイルノート「LIFEBOOK SH」シリーズの新モデル「LIFEBOOK SH76/E」を発売した。従来モデルからボディデザインを一新するとともに、光学式ドライブを内蔵する13.3型液晶搭載ノートPCとして世界最薄ボディを実現。重量も軽く、本格モバイルノートとしての魅力が大きく高まっている。なお、今回試用したのは試作機のため、製品版とは細部やパフォーマンスなどが異なる可能性がある。

●光学式ドライブ内蔵で最厚部23.2mmの薄さを実現

 これまでのLIFEBOOK SHシリーズは、極端な薄型化や軽量化といった尖った仕様を持つモバイルノートではなく、スペック面とモバイル性能のバランスに優れる製品というイメージが強かった。おそらく、メインとなるユーザー層をビジネスユーザーとしていたことも、大きく影響していたものと思われる。

 しかし、今回新たに登場した「LIFEBOOK SH76/E」(以下、SH76/E)は、これまでのLIFEBOOK SHシリーズの印象を、いい意味で打ち崩すものとなっている。それは、ボディを見れば一目瞭然で、SH76/Eでは、光学式ドライブを内蔵する13.3型液晶搭載ノートとして、世界最薄のボディを実現しているのだ。

 本体の高さは、16.6~23.2mmと、最厚部でも23.2mmしかない。前方が薄く、後方が厚い、くさび形のボディとなっており、非常にシャープな印象を受ける。また、見た目だけでなく、手に持った印象でも非常に薄いと感じ、光学式ドライブが搭載されているというのが疑わしく感じてしまうほどだ。

 筆者が利用しているソニーのVAIO Z VPCZ11(VAIO Zシリーズの前モデル)も、光学式ドライブ内蔵で圧倒的な薄さを実現するモバイルノートとして人気を集めた。ただ、そのVPCZ11でも厚さは23.8~32.7mmで、SH76/Eはもっと薄いのだ。双方を横に並べると一目瞭然だが、SH76/Eは旧VAIO Zの本体部分のみの厚さとほぼ同等ということがわかる。

 本体のフットプリントは、316×223mm(幅×奥行き)。従来モデルと比較して、幅が6mm、奥行きが5mmほど小さくなっており、薄くなっただけでなく、全体的にサイズがコンパクトになっている。

 また、軽さもSH76/Eの特徴で、本体重量は公称で約1.34kg、実測でも1,345gと、光学式ドライブ内蔵13.3型液晶搭載ノートとしてはかなり軽い。従来モデルからの比較では、一気に300gほど軽くなっており、手に持った瞬間に軽いと感じるほど。こういった特徴によって、従来モデルとは全く別物と言っていい製品へと進化しているわけだ。

 ボディの薄型化および軽量化は、ボディ素材の見直しや、内部の基板の小型化などによって実現されている。ボディ素材は、液晶パネル面こそプラスチック素材を利用しているが、天板及び底面はマグネシウム合金、パームレスト部にはアルミニウム素材を採用。また、内部の基板も従来より25%ほど小型化するとともに、内部パーツの配置なども見直すことにより、従来モデルからの大幅な薄型化と軽量化を実現。しかも、従来よりも大幅な薄型化を実現しながら、天板からの約200kgf全面加圧試験をクリアする優れた堅牢性も維持している。

天板部分。素材にマグネシウム合金を採用し、薄型ながら全面加圧約200kgfの堅牢性を実現フットプリントは316×223mm(幅×奥行き)と、従来モデルより小さくなっている本体正面。液晶パネル部はラッチレス構造ですっきりしている
左側面。手前から奥に向かって高さが増しているが、それでも16.6~23.2mmと非常に薄い背面。中央下部にはバッテリが取り付けられている右側面。こちらに光学式ドライブが搭載されている
VAIO Z旧モデル(VPCZ11、右)との比較。VPCZ11よりも薄型となっているこの薄形ボディながら、DVDスーパーマルチドライブを標準搭載する本体重量は、公称約1.34kg、実測で1,345gと非常に軽い

●従来モデル同様モバイル・マルチベイを搭載

 これだけの薄型化を実現しながら、従来モデルの特徴を維持している部分もある。それは、光学式ドライブが着脱式となっており、本体に用意されている「モバイル・マルチベイ」に取り付けられているという点だ。

 通常、ノートPCの薄型化を実現する場合には、汎用性取り除き、HDDや光学式ドライブなどのパーツも固定式にした方が有利はなず。しかしSH76/Eでは、あえてモバイル・マルチベイを残したまま薄型化を実現。これは、モバイル・マルチベイによる利便性を維持するとともに、従来のモバイル・マルチベイ用のオプションもそのまま使えるようにすることを重視してのことだそうだが、特に従来モデルのユーザーにとって嬉しい仕様と言っていいだろう。

 モバイル・マルチベイには、標準搭載のDVDスーパーマルチドライブに加えて、オプションとして「増設用内蔵バッテリユニット」や「モバイルプロジェクターユニット」が用意されている。また、直販サイト「富士通WEB MART」の直販モデルであるカスタムメイドモデルでは、DVDスーパーマルチドライブだけでなくBlu-ray Discドライブも選択できる。さらに、光学式ドライブを外して本体重量を軽量化できる「モバイル・マルチベイ用カバー」が標準で付属。モバイル・マルチベイ用カバーを取り付けた場合の重量は、公称で約1.22kg、実測で1,230gと、光学式ドライブ搭載時よりも100g以上軽くなる。軽量化を突き詰めたい場合に便利だ。

DVDスーパーマルチドライブは着脱式で、従来モデルでもおなじみの「モバイル・マルチベイ」に取り付けられている超薄型ボディながらモバイル・マルチベイを用意し、付属のDVDスーパーマルチドライブだけでなく、増設用内蔵バッテリユニットやモバイルプロジェクターユニットを取り付けられる
モバイル・マルチベイ用カバーも付属しており、DVDスーパーマルチドライブを外して取り付けることで本体の軽量化が実現できるモバイル・マルチベイ用カバーを取り付けた状態での重量は、実測で1,230gと、DVDスーパーマルチドライブ搭載時より100g以上軽くなる

●薄型軽量タイプの13.3型ワイド液晶を採用

 搭載される液晶パネルは、1,366×768ドット表示対応の13.3型ワイド・スーパーファイン液晶で、サイズや表示解像度は従来モデル同様だ。ただ、採用されているパネルは、従来モデルと異なる薄型軽量タイプのものを採用しており、この点でも本体の軽量化に貢献している。

 薄型軽量パネルとはいえ、表示品質は従来モデルとほぼ同等。上下の視野角が少々狭く、パネル表面は光沢処理が施されているため外光の映り込みがやや気になるものの、発色は非常に鮮やかで、映像コンテンツの表示も申し分ない。また、バックライトにはLEDを採用するとともに、輝度も高く、明るい場所での視認性にも優れる。ちなみに直販モデルでは、市販モデルと同じ光沢パネルに加えて、非光沢処理が施された、ノングレア仕様の液晶パネルも選択可能だ。

 ただ、せっかく世界最薄を実現するという、尖った仕様を実現したのだから、液晶パネルの表示解像度も、より高解像度のものを搭載してもらいたかったように思う。市販モデルではコスト的に難しいかもしれないが、直販モデルでは1,600×900ドット表示対応やフルHD表示対応の液晶パネルを選択できるようにしてもらいたい。この点は、将来の機種での実現を期待したい。

液晶パネルは、、1,366×768ドット表示対応の13.3型ワイド・スーパーファイン液晶を搭載。光沢タイプで発色は鮮やかだが、上下の視野角の狭さと、外光の映り込みがやや気になる液晶パネル部は実測で5mmほどと非常に薄い液晶パネル上部中央には、約30万画素のWebカメラを搭載する

●アイソレーションタイプのキーボードを採用

 キーボードは、従来モデルでは通常形状のキーボードが採用され、直販モデルでは通常形状のキーボードとアイソレーションタイプのキーボードが選択可能となっていた。それに対しSH76/Eでは、通常形状のキーボードは廃止され、アイソレーションタイプのキーボードのみとなった。

 このキーボードは、「ナチュラルフィットキーボード」と呼ばれ、扱いやすさを高める工夫がいくつか盛り込まれている。まず、キー表面が奥(液晶パネル側)に向かって約0.5度傾けられている。これによって、デスクに置いて利用する場合には、本体の手前への傾斜によってキートップがほぼ水平になるとともに、キーの列ごとに段差が生じる。また、キートップも中央に向かってわずかに凹んだ形状となっている。また、アイソレーションタイプのキーボードとしてはキートップサイズも大きく確保されている。こういった工夫によって、従来モデルと遜色のない使い勝手を実現している。実際にタイピングを行なってみても、確かに一般的な水平キートップのアイソレーションキーボードよりも指への馴染みがよく、指を動かしても指やツメが動かした先のキーに当たるといったこともあまり感じなかった。これなら、従来形状のキーボードとほぼ同等の感覚で利用できると考えていい。

 キーピッチは縦横とも約19mmで、キーストロークは約1.7mm。ストロークはやや短く感じるが、しっかりとしたクリック感があり、使いにくさは感じられない。

 ポインティングデバイスは、従来モデル同様、パッド式のフラットポイントと、スクロール操作用の円形のスクロールパッドを用意。フラットポイントは、縦の幅がやや狭いが、それほど使いにくく感じることはなかった。また、左右のクリックボタンの中央には指紋認証用のセンサーも搭載している。

キーボードは、アイソレーションタイプの「ナチュラルフラットキーボード」を採用。従来形状のキーボードは直販モデルでも用意されなくなったキーピッチは縦横とも約19mm。キー自体が大きく、中央部をわずかに凹ませた形状などの特徴により、通常形状のキーボードと遜色のない使い勝手を実現している
キーは、下部がブルーに塗装されているポインティングデバイスは、パッド式のフラットポイントと、スクロール操作用の円形のスクロールパッドを用意。フラットポイントは上下の幅が狭い点がやや気になった。クリックボタン中央には指紋認証センサーを配置

●標準で128GB SSDを搭載

 基本スペックは、従来モデル(SH76/D)から若干の変更が見られる。CPUはCore i5-2520M、チップセットはIntel HM65 Expressと、従来モデルと同じ。それに対しメインメモリは、従来モデルでは標準で8GB搭載されていたが、SH76/Eでは4GB(PC3-10600 DDR3 SDRAM)となった。最大容量は8GBとなる。

 ストレージデバイスは、従来モデルのHDDから、128GBのSSDに変更となっている。採用されているSSDは、東芝製のモジュールタイプドライブ「THNSFB128GMSJ」だった。ちなみに、直販モデルでは500GB/640GB/750GBのHDDに加え、256GB SSDが選択可能。SH76/Eにも、底面から2.5インチHDDが搭載可能なスペースに簡単にアクセスでき、モジュールタイプのSSDもそこに搭載されている。光学式ドライブは、先に紹介したように、着脱式のDVDスーパーマルチドライブが標準搭載され、直販モデルではBDドライブも選択可能となる。

 無線機能は、IEEE 802.11b/g/nおよびWiMAX対応の無線LANモジュールが標準搭載となる。Bluetoothは搭載されない。

 本体側面のポート類は、左側面に電源コネクタ、Gigabit Ethernetポート、アナログRGB出力とHDMI出力、USB 2.0×1、USB 3.0×1、マイク・ヘッドフォン端子が、右側面にExpressCard/34スロットとSDカードスロット、モバイル・マルチベイ、USB 2.0×1の各ポートが用意される。また、本体正面左には、内蔵無線機能のON/OFFスイッチが配置されている。

左側面には、電源コネクタ、Gigabit Ethernet、アナログRGB出力、HDMI出力、USB 2.0×1、USB 3.0×1、マイク・ヘッドフォン端子を配置右側面には、ExpressCard/34スロットとSDカードスロット、モバイルマルチベイ、USB 2.0×1を配置正面左には、内蔵無線機能のON/OFFスイッチを配置
メインメモリは標準で4GB(2GB×2枚)搭載。最大8GBまで増設可能内蔵ストレージは、128GB SSDを標準搭載。試用機では、東芝製のモジュールタイプSSD「THNSFB128GMSJ」が搭載されていた

●スリープ状態を利用し、約8秒の高速起動を実現
専用ユーティリティを利用し、クイックスタート機能の設定が可能。通常のスリープに設定することも可能だ

 SH76/Eには、電源ボタンを押して約8秒と非常に高速で起動する「クイックスタート」と呼ばれる機能が搭載されている。なお、試用機では操作できるまでに約8秒だったが、富士通の測定では最速で約6秒だとしている。

 実はこの機能は、Windowsのスリープ機能を利用したもので、シャットダウンからの起動が約8秒ということではない。ただ、ユーザーがログオフした後にスリープ状態に移行するという点が、通常のスリープと大きく異なる。

 通常のスリープでは、利用している状態をそのまま保存し、復帰後に以前の状態そのままで再開となる。それに対しクイックスタートでは、開いていたアプリケーションなどが全て終了され、ユーザーがログオフした状態でスリープに入る。そのため、再開時にはリブートした状態に近い、ほぼクリーンな環境で再開となる。

 もちろん、SSD搭載のため、シャットダウンからの起動も十分に高速なのだが、より高速に起動させたいという場合に活用できそうだ。ちなみにこのクイックスタートは、Windowsのスタートメニューからや液晶画面を閉じてスリープさせた場合には適用されず、電源ボタンを押してスリープに移行させた場合のみの動作となる。また、電源ボタンからスリープに移行させた場合でも、電源を抜きバッテリが切れると通常の起動となるので注意が必要だ。

【動画】電源ボタンを押すと、ユーザーがログオフされスリープに移行する【動画】約8秒で、ほぼクリーンな状態で復帰する

●省電力機能も充実

 従来モデルでも特徴となっていた、充実した省電力機能が搭載されている点もしっかり受け継がれている。キーボード右上には「ECO」ボタンが用意され、このボタンを押すだけで内蔵光学式ドライブや無線機能などを一度にオフにしたり、CPUを低消費電力モードで動作させることが可能。もちろん、省電力モード時の動作設定は自由に設定可能なので、利用状況に応じて対応できる。

 また、液晶パネル下部右側には照度センサーが搭載されており、周囲の明るさを検知してバックライト輝度を調節する機能が搭載されている。周囲が明るい場所では輝度が高く、暗くなると輝度が下がり、見やすさを維持するとともに、消費電力も抑えられる。もちろん、液晶上部に搭載されているWebカメラを利用し、顔認識機能によって本体前の利用者を検知し、利用者がいなくなると画面表示をオフにする「Sence YOU Technology」も引き続き搭載しているので、こちらと併用すれば、より効果的に節電が可能だ。

 他にも、ピークシフト機能や、「省電力ユーティリティ」なども引き続き搭載されている。

【お詫びと訂正】初出時、ゼロワットACアダプタが付属すると記載しておりましたが、秋冬モデルでは付属しておりません。お詫びして訂正いたします。

キーボード右上のECOボタンを押すと、省電力モードに切り替わる省電力モード時の動作は、付属ユーティリティで自由に設定できる液晶パネル右下には照度センサーが搭載され、周囲の明るさによってバックライト輝度を自動で調節する
内蔵Webカメラを利用し、利用者の有無を顔認識機能で判断し液晶画面のオン・オフを自動で行なう「Sense YOU Technology」も引き続き搭載ピークシフト機能も、もちろん搭載ゼロワットACアダプタが付属し、休止やシャットダウン時の消費電力を引き下げる機能も盛り込まれている

●高性能な本格モバイルを探している人にオススメ

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark Vantage Build 1.0.1 1901」と「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、カプコンの「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【絆】」の3種類。いつも利用している「3DMark Vantage Bulld 1.0.1 1901」と「3DMark06 Build 1.1.0 1901」は、今回試用した個体で正常に動作しなかったため省いてある。また比較用として、従来モデルとなるLIFEBOOK SH76/DNと、レノボのThinkPad X1、東芝のdynabook R731/39Bの結果も加えてある。

 LIFEBOOK SH76/ELIFEBOOK SH76/DNThinkPad X1dynabook R731/39B
CPUCore i5-2520M (2.50/3.20GHz)Core i7-2620M (2.70/3.40GHz)Core i5-2520M (2.50/3.20GHz)Core i5-2520M (2.50/3.20GHz)
チップセットIntel HM65 ExpressIntel HM65 ExpressIntel QM67 ExpressIntel HM65 Express
ビデオチップIntel HD Graphics 3000Intel HD Graphics 3000Intel HD Graphics 3000Intel HD Graphics 3000
メモリPC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2PC3-10600 DDR3 SDRAM 4GB×2PC3-10600 DDR3 SDRAM 4GB×1PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2
ストレージ128GB SSD (THNSFB128GMSJ)256GB SSD (THNSFC256GBSJ)128GB SSD (THNSNC128GCSJ)128GB SSD (THNSNC128GMLJ)
OSWindows 7 Home Premium SP1 64bitWindows 7 Professional SP1 64bitWindows 7 Professional SP1 64bitWindows 7 Professional
PCMark Vantage x64 Build 1.0.1 0906a
PCMark Suite11210113261150811170
Memories Suite6303683164166574
TV and Movies Suite4791495345764860
Gaming Suite8789974778548338
Music Suite12780137921346812622
Communications Suite12135128591296112352
Productivity Suite11241131541332612466
HDD Test Suite19853241882413826206
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark ScoreN/AN/AN/A10714
CPU Score9249953192559307
Memory Score99681037985419994
Graphics ScoreN/A648845264819
HDD Score21880318603343635408
3DMark Vantage Bulld 1.0.1 0906a 1,280×1,024ドット
3DMark ScoreN/A197616951941
GPU ScoreN/A156013321535
CPU ScoreN/A990091889398
3DMark06 Build 1.1.0 0906a
3DMark ScoreN/A472937794596
SM2.0 ScoreN/A160512351586
HDR/SM3.0 ScoreN/A187915091802
CPU ScoreN/A368935673557
Windows エクスペリエンスインデックス
プロセッサ7.17.17.17.1
メモリ5.97.55,95.5
グラフィックス5.85.94,75.6
ゲーム用グラフィックス6.26.36,26.2
プライマリハードディスク6.66.76,76.8
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【絆】
1,280×720ドット2008217016342126
1,920×1,080ドット100610738411079

 結果を見ると、ほぼ同等スペックの比較機に比べてやや結果が低いようだが、その差は1割に満たず、ほとんど同等のパフォーマンスが発揮されていると考えていい。従来モデルのLIFEBOOK SH76/DNは、CPUにCore i7-2620Mを搭載していることもあり、ややパフォーマンス差があるが、SH76/Eの直販モデルでは、さらに上位となるCore i7-2640Mが選択できるため、パフォーマンスを優先させたい場合には直販モデルがオススメだ。

 次にバッテリ駆動時間だ。SH76/Eには、標準で容量72Whの大容量バッテリーが搭載されており、駆動時間は公称で約13.7時間とされている。また、モバイル・マルチベイに搭載する増設用バッテリを併用した場合には、約18.2時間に延長される。今回は、増設用バッテリーは利用できなかったため、本体に搭載される標準バッテリのみを利用して計測してみた。Windowsの電源プランを「省電力」に設定するとともに、富士通独自ユーティリティの「ECO」モードを有効に、無線LANは有効に、液晶のバックライトを40%の明るさに設定した状態で、BBenchを利用してキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測した。結果は約8時間と、公称値には届かなかったものの、かなりの長時間駆動を確認できた。

 公称の駆動時間は、バックライトを最低にするとともに、無線LANもオフにした状態のものと思われるため、実利用環境とは少々かけ離れたものと言える。ただ、バックライトを40%の明るさにし、無線LANを利用している状態でも約8時間の駆動を確認できたので、バッテリ駆動時間に関しては満足できるレベルが確保されている。増設用バッテリを利用すれば、おそらく10時間を超える駆動時間を実現できるはずで、1日の外出ならACアダプタは不要と考えていい。

付属のACアダプタ。サイズは、モバイルノート付属のものとしては、あまり小さくないACアダプタの重量は、電源ケーブル込みで295gだった容量72Whの大容量バッテリーが標準で付属している

バッテリ駆動時間
省電力設定:電源プラン「省電力」、富士通独自「ECO」モード有効、BBench約8時間00分

 従来のLIFEBOOK SHシリーズは、モバイル用途をターゲットとし、使い勝手に優れるさまざまな特徴がありながら、本体はやや大きく厚く、重量もやや重かったこともあり、あまり注目されることはなかったように思う。しかし、今回登場したSH76/Eは、厚く重いといった従来モデルのイメージが完全に払拭され、非常に薄くて軽い、本格モバイルノートへと進化している。

 最近では、Ultrabookなど、より薄型ボディを強調した製品がいくつか登場しているが、それらと比較しても、光学ドライブを搭載するという点など、十分な魅力がある。外部GPUは搭載しないものの、Sandy Bridge内蔵のグラフィックス機能は十分にパフォーマンスが優れるため、ゲームなどをプレイしない限り描画能力に不満を感じることもないだろう。個人的には、より高解像度表示に対応する液晶パネルが採用されなかった点が残念だが、それを差し引いても優れた魅力が満載だ。

 従来までのLIFEBOOK SH(旧BIBLO MG)ユーザーはもちろんのこと、ビジネスからホビーまで広く活用できる、高性能なモバイルノートを探している人に広くオススメしたい製品だ。

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(2011年 10月 27日)

[Text by 平澤 寿康]