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性能が向上しメモリも12GBとなった新ハイエンドGPU「GeForce RTX 3080 Ti」

 NVIDIAは6月3日より、Ampereアーキテクチャを採用するハイエンドGPU「GeForce RTX 3080 Ti」を発売する。

 この発売に先立ち、同GPUを搭載したビデオカードのリファレンスモデルとなるFounders Editionをテストする機会が得られたので、新たなハイエンドGPUの実力をベンチマークテストで確かめてみた。

12GBのGDDR6Xメモリを搭載するGeForce RTX 3080 Ti

 GeForce RTX 3080 Tiは、Ampereアーキテクチャに基づいて、8nmプロセスで製造されたGPUコア「GA102」を採用するハイエンドGPU。同じGPUコアを採用するGeForce RTX 3080とGeForce RTX 3090の間に投入されることになる。

 GeForce RTX 3080 TiのGA102コアでは、80基のStreaming Multiprocessor(SMs)が有効化されており、10,240基のCUDAコアや、80基のRTコア、320基のTensorコアが利用できる。Founders EditionのGPUブーストクロックは1,665MHzで、TGP(Total Graphics Power)は350W。

 VRAMには、19Gbps動作のGDDR6メモリを12GB搭載。GPUコアとVRAMは384bitのメモリインターフェイスで接続されており、912GB/sのメモリ帯域幅を実現している。バスインターフェイスはPCI Express 4.0 x16。

【表1】GeForce RTX 3080 Tiの主な仕様
GPUGeForce RTX 3080 TiGeForce RTX 3080GeForce RTX 3090
アーキテクチャAmpere(GA102)Ampere(GA102)Ampere(GA102)
製造プロセス8nm8nm8nm
SMs80基68基82基
CUDAコア10,240基8,704基10,496基
RTコア80基(第2世代)68基(第2世代)82基(第2世代)
Tensorコア320基(第3世代)272基(第3世代)328基(第3世代)
テクスチャユニット320基272基328基
ROPユニット112基96基112基
ブーストクロック1,665MHz1,710MHz1,695MHz
メモリ容量12GB(GDDR6X)10GB(GDDR6X)24GB(GDDR6X)
メモリスピード19.0Gbps19.0Gbps19.5Gbps
メモリインターフェイス384bit320bit384bit
メモリ帯域幅912GB/s760GB/s936GB/s
PCI ExpressPCIe 4.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 4.0 x16
消費電力(TGP)350W320W350W

GeForce RTX 3080 Ti Founders Edition

 GeForce RTX 3080 TiのNVIDIA純正モデルであるFounders Editionは、外観的にはGeFoce RTX 3080 Founders Editionのデザインを流用しており、ユニークなエアフローを実現するGPUクーラーや、12ピン補助電源コネクタを備えた、2スロット仕様のビデオカードとなっている。

 画面出力端子には、HDMI 2.1(1基)とDisplayPort(3基)を搭載。付属品にはPCI-E 8ピンコネクタ×2系統を12ピンコネクタに変換するアダプタが付属している。

GeForce RTX 3080 Ti Founders Edition。表面側には、ブラケット側へ排気する冷却ファンを搭載
カード裏面。表面側から吸気して裏面側に排気する冷却ファンを搭載
カードの占有スロット数は2スロットで、カード長は約285mm
画面出力端子には、DisplayPort 1.4a(3基)と、HDMI 2.1を備える
補助電源コネクタは独自の12ピン
PCI-E 8ピンを12ピンに変換するアダプタが付属
GeForce RTX 3080 Ti Founders EditionのGPU-Z実行画面
GeForce RTX 3080 Founders Edition(写真下側)と並べたところ。カードサイズは同等で、外観的な差異も少ない
ブラケット部のカラーリングが異なるなど細かな違いはあるが、画面出力端子などのインターフェイスに違いはない

テスト機材

 GeForce RTX 3080 Tiの比較機材には、1つ下のモデルとなるGeForce RTX 3080のFounders Editionを用意した。

 両ビデオカードを動作させるベース機材には、8コア16スレッドCPU「Ryzen 7 5800X」を搭載したAMD X570環境を用意。グラフィックスドライバについては、GeForce RTX 3080 Tiにはレビュアー向けの「466.54」、GeForce RTX 3080にはテスト時点での最新版「466.47」をそれぞれ導入している。

 テスト時のビデオカードの動作仕様と、そのほかの機材については以下の通り。

【表2】各ビデオカードの動作仕様
GPUGeForce RTX 3080 TiGeForce RTX 3080
ビデオカードベンダーNVIDIANVIDIA
製品型番Founders EditionFounders Edition
ベースクロック1,365MHz1,440MHz
ブーストクロック1,665MHz1,710MHz
メモリ容量12GB(GDDR6X)10GB(GDDR6X)
メモリスピード19.0Gbps19.0Gbps
メモリインターフェイス384bit320bit
メモリ帯域幅912GB/s760GB/s
パワーリミット350W320W
【表3】テスト機材一覧
GPUGeForce RTX 3080 TiGeForce RTX 3080
CPURyzen 7 5800X(8コア16スレッド)
CPUパワーリミットPPT:142W、TDC:95A、EDC:140A
CPUクーラーASUS ROG RYUJIN 240(ファンスピード=100%)
マザーボードASUS TUF GAMING X570-PLUS [UEFI=3801]
メモリDDR4-3200 16GB×2(2ch、22-22-22-52、1.20V)
システム用SSDSamsung SSD 980 PRO(NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
アプリケーション用SSDCORSAIR MP600 1TB(NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
電源Thermaltake Toughpower Grand RGB 1050W Platinum(1,050W/80PLUS Platinum)
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 466.54(27.21.14.6654)GeForce Game Ready Driver 466.47(27.21.14.6647)
OSWindows 10 Pro 64bit(Ver 21H1 / build 19043.1023)
電源プランバランス
Resizable BAR有効有効
モニタリングソフトHWiNFO64 Pro v7.04
ワットチェッカーラトックシステム RS-BTWATTCH2
室温約24℃

ベンチマーク結果

 それではベンチマーク結果をみていこう。

 実施したテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」、「Forza Horizon 4」、「DIRT 5」、「フォートナイト」、「レインボーシックス シージ」、「Apex Legends」、「オーバーウォッチ」、「Call of Duty: Black Ops Cold War」、「サイバーパンク2077」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「ウォッチドッグス レギオン」、「Horizon Zero Dawn」、「Godfall」、「Microsoft Flight Simulator」、「Blender Benchmark」、「V-Ray Benchmark」。

 今回のテストにおいて、画面解像度を自由に変更できるゲームでは、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3通りの画面解像度でテストを実施している。

3DMark

 3DMarkでは、DirectX 12テスト「Time Spy」、DirectX 11テスト「Fire Strike」、Vulkanテスト「Wild Life」、DirectX Raytracing(DXR)テストの「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を実行した。

 GeForce RTX 3080 Tiは、Time Spyで6~7%、Fire Strikeで5~9%、Wild Lifeで8~9%、それぞれGeForce RTX 3080を上回った。DXRを用いるテストでのアドバンテージは、Port Royalで約9%、DirectX Raytracing feature testで約12%となっている。GPU負荷の高いテストになるほどスコア差が拡大する傾向が見られるが、下位モデルとの差はおおむね1割弱程度のようだ。

【グラフ01】3DMark v2.18.7185「Time Spy」
【グラフ02】3DMark v2.18.7185「Time Spy Extreme」
【グラフ03】3DMark v2.18.7185「Fire Strike」
【グラフ04】3DMark v2.18.7185「Fire Strike Extreme」
【グラフ05】3DMark v2.18.7185「Fire Strike Ultra」
【グラフ06】3DMark v2.18.7185「Wild Life/Wild Life Extreme」
【グラフ07】3DMark v2.18.7185「Port Royal」
【グラフ08】3DMark v2.18.7185「DirectX Raytracing feature test」

VRMark

 VRMarkでは、DirectX 11テスト「Orage Room」、DirectX 12テスト「Cyan Room」、5K解像度テスト「Blue Room」を実行した。

 GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルのスコアを比較してみると、Orange Roomでは差がつかず、Cyan Roomで約6%、Blue Roomで約9%、それぞれGeForce RTX 3080 Tiがリードしている。Orange Roomで差がつかないのはCPUのボトルネックによるものだが、ここでも下位モデルとの差は1割弱程度となっている。

【グラフ09】VRMark v1.3.2020「スコア」
【グラフ10】VRMark v1.3.2020「平均フレームレート」

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に固定してテストを実行した。

 GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約4%、WQHDで約5%、4Kで約9%だった。比較的GPU負荷が低いため、低解像度ではCPUがボトルネックになりがちなテストなのだが、一方でメモリ帯域幅が効くテストでもあるためか、フルHD解像度から下位モデルに差をつけている。

【グラフ11】ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画品質を「高品質」に固定してテストを実行した。

 GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約3%、WQHDで約4%、4Kで約7%。GPU負荷的には先に紹介したファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークより高いのだが、同テストよりメモリ帯域幅の効果が薄いためか、下位モデルとの差は縮小している。

【グラフ12】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.3

PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator

 PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator(以下PSO2 NGS CC)では、簡易グラフィック設定を「6:ウルトラ」に固定して、ベンチマークテストを実行した。

 両GPUとも、すべての解像度で快適にプレイできる基準とされる10,001を超えており、GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約2%、WQHDで約9%、4Kで約16%だった。

【グラフ13】PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator

 PSO2 NGS CCでは、これまでのテストに比べGeForce RTX 3080 Tiが高解像度時に大きな差をつけているのだが、このスコア差は両GPUのパフォーマンス差をそのまま反映したものではない。

 PSO2 NGS CCは、フレームレートの差が実際よりも大きくスコアに反映される仕様となっている。これを説明するため、NVIDIAコントロールパネルで最大フレームレートを30fps、60fps、120fpsに制限したさいのスコアと、PSO2 NGS CCの最大フレームレートである179fpsで動作させたさいのスコアを取得。30fps設定を基準とした場合のスコア差とフレームレート差の比較グラフを作成した。

 テストに使用したGPUはGeForce RTX 3080 Tiで、可能な限りフレームレートが上限に張り付くよう、フルHD解像度で簡易グラフィック設定を「1:最低」に設定してテストを実行した。

最大フレームレートを制限した場合のスコア
30fps設定を基準とした場合の「スコア差」と「フレームレート差」

 上記の結果をみると、ベンチマークスコアの差は、フレームレート差の2乗近い数値になっていることがわかる。ここで扱っているフレームレート差は設定値であって実測値ではないためズレが生じているが、PSO2 NGS CCのスコア差はフレームレート差の2乗であると考えてよいだろう。

 これに基づいて、フルHDで約2%、WQHDで約9%、4Kで約16%であった両GPUのスコア差をフレームレート差に換算すると、フルHDで約1%、WQHDで約4%、4Kで約8%となり、ここまでに実施したほかのテストと大差のない結果となる。

Forza Horizon 4

 Forza Horizon 4では、描画品質を最高の「ウルトラ」に固定して、ベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約1%、WQHDで約1%、4Kで約5%。平均200fpsを超えるWQHD以下の画面解像度ではCPUがボトルネック気味で、両GPUの実力差が十分に反映されていないようだ。

【グラフ14】Forza Horizon 4(v1.468.308.2)

DIRT 5

 DIRT 5では、描画品質を「Ultra High」に設定し、レイトレーシング(Raytraced Vehicle Shadows)有効時と無効時の2通りでベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、レイトレーシング無効時はフルHDで約1%、WQHDで約3%、4Kで約12%で、レイトレーシング有効時はすべての画面解像度で約7%だった。

【グラフ15】DIRT 5(v1.0.268012.328)

フォートナイト

 フォートナイトでは、グラフィックスAPI「DirectX12」で描画品質を「最高」にした設定と、それをベースにレイトレーシングとDLSSを有効化した設定で、フレームレートの測定を行なった。

 レイトレーシング無効時は、フルHDでは下位GPUよりやや低いフレームレートを記録したGeForce RTX 3080 Tiだが、これはCPUのボトルネックによるものであり、WQHDで約6%、4Kでは約9%の差をつけて下位モデルを上回っている。

 レイトレーシング関連の項目を最高品質に設定した場合、GeForce RTX 3080 TiはフルHDで約9%、WQHDで約8%、4Kで約8%の差をつけている。レイトレーシング処理の負荷が高い条件では、RTコア数の差がフレームレートに反映されているようだ。

 レイトレーシングに加え、DLSSを「バランス」設定で有効化した場合では、フルHDで約2%、WQHDで約4%、4Kで約11%の差をつけ、GeForce RTX 3080 Tiが下位モデルを上回った。

【グラフ16】フォートナイト(v16.50) - レイトレーシング無効
【グラフ17】フォートナイト(v16.50) - レイトレーシング有効
【グラフ18】フォートナイト(v16.50) - レイトレーシング + DLSS

レインボーシックス シージ

 レインボーシックス シージでは、描画品質「最高」をベースに、レンダリングのスケールを100%に設定してベンチマークモードを実行した。グラフィックスAPIは「Vulkan」を利用した。

 GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約2%、WQHDで約4%、4Kで約8%だった。

【グラフ19】レインボーシックス シージ(Y6S1.3)

Apex Legends

 Apex Legendsでは、設定可能な描画品質を最高にして、フレームレートを測定した。なお、テスト時は起動オプションにより、フレームレート上限を標準の144fpsから300fpsに引き上げている。

 フルHD解像度では両GPUの間にフレームレート差はついていないが、WQHDで約3%、4Kでは約6%、それぞれGeForce RTX 3080 Tiが下位モデルを上回った。

【グラフ20】Apex Legends(v3.0.3.253)

オーバーウォッチ

 オーバーウォッチでは、描画品質を最高の「エピック」に設定しつつ、レンダー・スケールを100%に固定してフレームレートを測定した。

 ここでは、GeForce RTX 3080 TiがWQHDで約9%、4Kでは約11%の差をつけて下位モデルを上回った。フルHD解像度では両GPUの間に差がついていないが、これはオーバーウォッチのフレームレート上限である400fpsに到達しているためだ。

【グラフ21】オーバーウォッチ(v1.60.0.0.82920)

Call of Duty: Black Ops Cold War

 Call of Duty: Black Ops Cold Warでは、描画品質を設定できる限り最も高くした設定をベースに、レイトレーシングを無効にした設定と、すべて「ウルトラ」にした設定、DLSSを「バランス調整済み」で有効化した設定の3通りで、平均フレームレートの測定を行なった。

 レイトレーシング無効時のGeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約2%、WQHDで約4%、4Kで約8%だった。

 レイトレーシングをウルトラ設定で有効化した場合のGeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約1%、WQHDで約4%、4Kで約4%。レイトレーシングを有効化したCall of Duty: Black Ops Cold WarではCPU性能への要求が増加するようで、フルHD時は両GPUともGPU使用率が90%を割り込んでいる。

 レイトレーシングとDLSSを有効化した設定での両GPUの差は、フルHDで約1%、WQHDで約1%、4Kで約4%だった。レイトレーシング有効時に見られたCPUのボトルネックが顕著になっており、WQHD以下のGPU使用率は7~8割程度となっている。

【グラフ22】Call of Duty: Black Ops Cold War(v1.12.2.9239929) - レイトレーシング無効
【グラフ23】Call of Duty: Black Ops Cold War(v1.12.2.9239929) - レイトレーシング有効
【グラフ24】Call of Duty: Black Ops Cold War(v1.12.2.9239929) - レイトレーシング + DLSS

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、レイトレーシングを用いない最高画質設定の「ウルトラ」と、同設定をベースにレイトレーシングとDLSSを有効化した「レイトレーシング:ウルトラ」で、フレームレートの測定を行なった。

 レイトレーシング無効時の両GPUの差は、フルHDで約1%、WQHDで約8%、4Kで約8%だった。

 レイトレーシング:ウルトラ設定時は、フルHDで下位モデルが2%高いフレームレートとなっているが、これはCPUのボトルネックでフレームレートが頭打ちになった結果生じたもので、WQHDでは約8%、4Kでも7%の差をつけてGeForce RTX 3080 Tiが下位モデルを上回っている。

【グラフ25】サイバーパンク2077(v1.22)

アサシン クリード ヴァルハラ

 アサシン クリード ヴァルハラでは、描画品質を「最高」に固定してベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約3%、WQHDで約4%、4Kで約2%だった。

【グラフ26】アサシン クリード ヴァルハラ(v1.2.1)

ウォッチドッグス レギオン

 ウォッチドッグス レギオンでは、描画品質プリセットを「最大」にした設定と、それをベースにレイトレーシングを「最大」にした設定、DLSSを「バランス」で有効化した設定の3条件でベンチマーク結果を取得した。

 レイトレーシング無効時のGeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約6%、WQHDで約7%、4Kで約5%。

 レイトレーシング有効時の差は、フルHDで約6%、WQHDで約6%、4Kで約22%。ゲームの要求VRAM容量が10GBに達する4Kでの大差は、10GBのVRAMを搭載する下位モデルのメモリ容量不足が影響したものと思われる。

 レイトレーシングとDLSSを有効にした場合の差は、フルHDで約3%、WQHDで約3%、4Kで約5%。

【グラフ27】ウォッチドッグス レギオン(v1.4.1) - レイトレーシング無効
【グラフ28】ウォッチドッグス レギオン(v1.4.1) - レイトレーシング有効
【グラフ29】ウォッチドッグス レギオン(v1.4.1) - レイトレーシング+DLSS

Horizon Zero Dawn

 Horizon Zero Dawnでは、描画品質を「最高画質」に設定して、ベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約8%、WQHDで約7%、4Kで約5%だった。

【グラフ30】Horizon Zero Dawn(v1.56)

Godfall

 Godfallでは、描画品質を「最高」に設定し、レイトレーシングを有効にした場合と無効にした場合の2通りで、ベンチマークモードを実行した。

 レイトレーシング無効時のGeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約9%、WQHDで約10%、4Kで約10%。

 レイトレーシング有効時の差は、フルHDで約8%、WQHDで約14%、4Kで約10%。

【グラフ31】Godfall(v2.4.54)

Microsoft Flight Simulator

 Microsoft Flight Simulatorでは、描画品質を最高の「ULTRA」にして、フレームレートの測定を行なった。測定は、羽田空港から関西国際空港へのルートをAIに飛行させ、離陸後3分間のフレームレートを測定している。使用した機体は「Daher TBM 930」。

 CPUがボトルネックになりやすいこのゲームでは、4Kで約1%だけGeForce RTX 3080 Tiがリードしてはいるものの、今回の環境では両GPUの間に大きな差はつかなかった。

【グラフ32】Microsoft Flight Simulator(v1.16.2.0)

Blender Benchmark

 3DCGソフト「Blender」のオフィシャルベンチマーク「Blender Benchmark」では、OptiXを用いてGPUレンダリングを実行した。

 各テストにおけるGeForce RTX 3080 Tiのレンダリング速度は、下位モデルを約11~21%上回っており、トータルでは約14%も高速だった。

【グラフ33】Blender Benchmark

Blender Benchmark

 レンダリングエンジン「V-Ray 5」オフィシャルベンチマーク「V-Ray Benchmark」では、GPUを用いる「V-Ray GPU CUDA」と「V-Ray GPU RTX」のスコアを取得した。

 GeForce RTX 3080 Tiは、V-Ray GPU CUDAで約14%、V-Ray GPU RTXで約15%、それぞれ下位モデルを上回るスコアを記録した。

【グラフ34】V-Ray Benchmark (v5.00.03)

消費電力とモニタリングデータ

 ワットチェッカーを用いて、ベンチマーク実行中の最大消費電力とアイドル時消費電力を測定した結果が以下のグラフだ。

 GeForce RTX 3080 Tiのアイドル時消費電力は66Wで、64Wを記録した下位モデルより2W高い数値となっている。

 ベンチマーク実行中の最大消費電力の測定結果は、GeForce RTX 3080 Tiが494~577Wで、459~552Wだった下位モデルより17~42W高い消費電力を記録している。

【グラフ35】システムの消費電力

 モニタリングソフト「HWiNFO」を使い、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを「4K/高品質」設定で実行中しているGeForce RTX 3080 Tiのモニタリングデータを取得した。

 GeForce RTX 3080 Tiは350W弱の電力を消費しながら、1,800MHz前後のGPUクロックで動作している。冷却ファンのスピードは最大1,935rpmまで上昇しており、各部の最大温度はGPU温度が最大75℃、GPUホットスポット温度は82.9℃、メモリ温度は96℃だった。

 特にメモリ温度は高温だが、メモリクロックは終始一貫して2,375MHz(=19Gbps)を維持していることから、サーマルスロットリングは作動していないようだ。

【グラフ36】GeForce RTX 3080 Ti のモニタリングデータ

12GBのVRAMが魅力の新ハイエンドGPU

 今回のテストにおいてGeForce RTX 3080 Tiは、下位モデルとなるGeForce RTX 3080を1割弱ほど上回るゲーミング性能を発揮した。これは、GeForce RTX 3080とGeForce RTX 3090の中間に投入されるGPUとして順当なものと言えるだろう。また、VRAM容量が10GBから12GBに増量したことは、4Kゲーミングを楽しみたいゲーマーや、クリエイティブシーンでの利用を考えるユーザーにとって魅力的だ。

 GeForce RTX 3080 Tiの国内販売価格は17万5,800円からとされている。これはGeForce RTX 3080発売時の価格よりずいぶん高価ではあるが、ビデオカード価格の高騰によってGeForce RTX 3080搭載ビデオカードが20万円以上で販売されている現状では、むしろ下位モデルより安く入手できる可能性がある。

 いずれにせよ、GeForce RTX 3080 Tiが確かな実力を備えたGPUであることは確かなので、その性能を必要とするユーザーの手に届くことを期待したい。

GeForce RTX 3080 Tiを最速生レビュー!その速さを体験せよ!!
6月2日(水)22時より、“KTU”加藤勝明氏と“改造バカ”高橋敏也氏によるGeForce RTX 3080 Tiの動作検証番組をYouTubeでライブ配信します。実際のゲームの動き、冷却ファンの挙動、消費電力など、見所一杯の配信にご期待ください。(ライブ終了後は同じURLにて録画版が公開されます)