Hothotレビュー
性能が向上しメモリも12GBとなった新ハイエンドGPU「GeForce RTX 3080 Ti」
2021年6月2日 22:00
NVIDIAは6月3日より、Ampereアーキテクチャを採用するハイエンドGPU「GeForce RTX 3080 Ti」を発売する。
この発売に先立ち、同GPUを搭載したビデオカードのリファレンスモデルとなるFounders Editionをテストする機会が得られたので、新たなハイエンドGPUの実力をベンチマークテストで確かめてみた。
12GBのGDDR6Xメモリを搭載するGeForce RTX 3080 Ti
GeForce RTX 3080 Tiは、Ampereアーキテクチャに基づいて、8nmプロセスで製造されたGPUコア「GA102」を採用するハイエンドGPU。同じGPUコアを採用するGeForce RTX 3080とGeForce RTX 3090の間に投入されることになる。
GeForce RTX 3080 TiのGA102コアでは、80基のStreaming Multiprocessor(SMs)が有効化されており、10,240基のCUDAコアや、80基のRTコア、320基のTensorコアが利用できる。Founders EditionのGPUブーストクロックは1,665MHzで、TGP(Total Graphics Power)は350W。
VRAMには、19Gbps動作のGDDR6メモリを12GB搭載。GPUコアとVRAMは384bitのメモリインターフェイスで接続されており、912GB/sのメモリ帯域幅を実現している。バスインターフェイスはPCI Express 4.0 x16。
【表1】GeForce RTX 3080 Tiの主な仕様 | |||
---|---|---|---|
GPU | GeForce RTX 3080 Ti | GeForce RTX 3080 | GeForce RTX 3090 |
アーキテクチャ | Ampere(GA102) | Ampere(GA102) | Ampere(GA102) |
製造プロセス | 8nm | 8nm | 8nm |
SMs | 80基 | 68基 | 82基 |
CUDAコア | 10,240基 | 8,704基 | 10,496基 |
RTコア | 80基(第2世代) | 68基(第2世代) | 82基(第2世代) |
Tensorコア | 320基(第3世代) | 272基(第3世代) | 328基(第3世代) |
テクスチャユニット | 320基 | 272基 | 328基 |
ROPユニット | 112基 | 96基 | 112基 |
ブーストクロック | 1,665MHz | 1,710MHz | 1,695MHz |
メモリ容量 | 12GB(GDDR6X) | 10GB(GDDR6X) | 24GB(GDDR6X) |
メモリスピード | 19.0Gbps | 19.0Gbps | 19.5Gbps |
メモリインターフェイス | 384bit | 320bit | 384bit |
メモリ帯域幅 | 912GB/s | 760GB/s | 936GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
消費電力(TGP) | 350W | 320W | 350W |
GeForce RTX 3080 Ti Founders Edition
GeForce RTX 3080 TiのNVIDIA純正モデルであるFounders Editionは、外観的にはGeFoce RTX 3080 Founders Editionのデザインを流用しており、ユニークなエアフローを実現するGPUクーラーや、12ピン補助電源コネクタを備えた、2スロット仕様のビデオカードとなっている。
画面出力端子には、HDMI 2.1(1基)とDisplayPort(3基)を搭載。付属品にはPCI-E 8ピンコネクタ×2系統を12ピンコネクタに変換するアダプタが付属している。
テスト機材
GeForce RTX 3080 Tiの比較機材には、1つ下のモデルとなるGeForce RTX 3080のFounders Editionを用意した。
両ビデオカードを動作させるベース機材には、8コア16スレッドCPU「Ryzen 7 5800X」を搭載したAMD X570環境を用意。グラフィックスドライバについては、GeForce RTX 3080 Tiにはレビュアー向けの「466.54」、GeForce RTX 3080にはテスト時点での最新版「466.47」をそれぞれ導入している。
テスト時のビデオカードの動作仕様と、そのほかの機材については以下の通り。
【表2】各ビデオカードの動作仕様 | ||
---|---|---|
GPU | GeForce RTX 3080 Ti | GeForce RTX 3080 |
ビデオカードベンダー | NVIDIA | NVIDIA |
製品型番 | Founders Edition | Founders Edition |
ベースクロック | 1,365MHz | 1,440MHz |
ブーストクロック | 1,665MHz | 1,710MHz |
メモリ容量 | 12GB(GDDR6X) | 10GB(GDDR6X) |
メモリスピード | 19.0Gbps | 19.0Gbps |
メモリインターフェイス | 384bit | 320bit |
メモリ帯域幅 | 912GB/s | 760GB/s |
パワーリミット | 350W | 320W |
【表3】テスト機材一覧 | ||
---|---|---|
GPU | GeForce RTX 3080 Ti | GeForce RTX 3080 |
CPU | Ryzen 7 5800X(8コア16スレッド) | |
CPUパワーリミット | PPT:142W、TDC:95A、EDC:140A | |
CPUクーラー | ASUS ROG RYUJIN 240(ファンスピード=100%) | |
マザーボード | ASUS TUF GAMING X570-PLUS [UEFI=3801] | |
メモリ | DDR4-3200 16GB×2(2ch、22-22-22-52、1.20V) | |
システム用SSD | Samsung SSD 980 PRO(NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | |
アプリケーション用SSD | CORSAIR MP600 1TB(NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | |
電源 | Thermaltake Toughpower Grand RGB 1050W Platinum(1,050W/80PLUS Platinum) | |
グラフィックスドライバ | GeForce Game Ready Driver 466.54(27.21.14.6654) | GeForce Game Ready Driver 466.47(27.21.14.6647) |
OS | Windows 10 Pro 64bit(Ver 21H1 / build 19043.1023) | |
電源プラン | バランス | |
Resizable BAR | 有効 | 有効 |
モニタリングソフト | HWiNFO64 Pro v7.04 | |
ワットチェッカー | ラトックシステム RS-BTWATTCH2 | |
室温 | 約24℃ |
ベンチマーク結果
それではベンチマーク結果をみていこう。
実施したテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」、「Forza Horizon 4」、「DIRT 5」、「フォートナイト」、「レインボーシックス シージ」、「Apex Legends」、「オーバーウォッチ」、「Call of Duty: Black Ops Cold War」、「サイバーパンク2077」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「ウォッチドッグス レギオン」、「Horizon Zero Dawn」、「Godfall」、「Microsoft Flight Simulator」、「Blender Benchmark」、「V-Ray Benchmark」。
今回のテストにおいて、画面解像度を自由に変更できるゲームでは、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3通りの画面解像度でテストを実施している。
3DMark
3DMarkでは、DirectX 12テスト「Time Spy」、DirectX 11テスト「Fire Strike」、Vulkanテスト「Wild Life」、DirectX Raytracing(DXR)テストの「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を実行した。
GeForce RTX 3080 Tiは、Time Spyで6~7%、Fire Strikeで5~9%、Wild Lifeで8~9%、それぞれGeForce RTX 3080を上回った。DXRを用いるテストでのアドバンテージは、Port Royalで約9%、DirectX Raytracing feature testで約12%となっている。GPU負荷の高いテストになるほどスコア差が拡大する傾向が見られるが、下位モデルとの差はおおむね1割弱程度のようだ。
VRMark
VRMarkでは、DirectX 11テスト「Orage Room」、DirectX 12テスト「Cyan Room」、5K解像度テスト「Blue Room」を実行した。
GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルのスコアを比較してみると、Orange Roomでは差がつかず、Cyan Roomで約6%、Blue Roomで約9%、それぞれGeForce RTX 3080 Tiがリードしている。Orange Roomで差がつかないのはCPUのボトルネックによるものだが、ここでも下位モデルとの差は1割弱程度となっている。
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に固定してテストを実行した。
GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約4%、WQHDで約5%、4Kで約9%だった。比較的GPU負荷が低いため、低解像度ではCPUがボトルネックになりがちなテストなのだが、一方でメモリ帯域幅が効くテストでもあるためか、フルHD解像度から下位モデルに差をつけている。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画品質を「高品質」に固定してテストを実行した。
GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約3%、WQHDで約4%、4Kで約7%。GPU負荷的には先に紹介したファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークより高いのだが、同テストよりメモリ帯域幅の効果が薄いためか、下位モデルとの差は縮小している。
PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator
PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator(以下PSO2 NGS CC)では、簡易グラフィック設定を「6:ウルトラ」に固定して、ベンチマークテストを実行した。
両GPUとも、すべての解像度で快適にプレイできる基準とされる10,001を超えており、GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約2%、WQHDで約9%、4Kで約16%だった。
PSO2 NGS CCでは、これまでのテストに比べGeForce RTX 3080 Tiが高解像度時に大きな差をつけているのだが、このスコア差は両GPUのパフォーマンス差をそのまま反映したものではない。
PSO2 NGS CCは、フレームレートの差が実際よりも大きくスコアに反映される仕様となっている。これを説明するため、NVIDIAコントロールパネルで最大フレームレートを30fps、60fps、120fpsに制限したさいのスコアと、PSO2 NGS CCの最大フレームレートである179fpsで動作させたさいのスコアを取得。30fps設定を基準とした場合のスコア差とフレームレート差の比較グラフを作成した。
テストに使用したGPUはGeForce RTX 3080 Tiで、可能な限りフレームレートが上限に張り付くよう、フルHD解像度で簡易グラフィック設定を「1:最低」に設定してテストを実行した。
上記の結果をみると、ベンチマークスコアの差は、フレームレート差の2乗近い数値になっていることがわかる。ここで扱っているフレームレート差は設定値であって実測値ではないためズレが生じているが、PSO2 NGS CCのスコア差はフレームレート差の2乗であると考えてよいだろう。
これに基づいて、フルHDで約2%、WQHDで約9%、4Kで約16%であった両GPUのスコア差をフレームレート差に換算すると、フルHDで約1%、WQHDで約4%、4Kで約8%となり、ここまでに実施したほかのテストと大差のない結果となる。
Forza Horizon 4
Forza Horizon 4では、描画品質を最高の「ウルトラ」に固定して、ベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約1%、WQHDで約1%、4Kで約5%。平均200fpsを超えるWQHD以下の画面解像度ではCPUがボトルネック気味で、両GPUの実力差が十分に反映されていないようだ。
DIRT 5
DIRT 5では、描画品質を「Ultra High」に設定し、レイトレーシング(Raytraced Vehicle Shadows)有効時と無効時の2通りでベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、レイトレーシング無効時はフルHDで約1%、WQHDで約3%、4Kで約12%で、レイトレーシング有効時はすべての画面解像度で約7%だった。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックスAPI「DirectX12」で描画品質を「最高」にした設定と、それをベースにレイトレーシングとDLSSを有効化した設定で、フレームレートの測定を行なった。
レイトレーシング無効時は、フルHDでは下位GPUよりやや低いフレームレートを記録したGeForce RTX 3080 Tiだが、これはCPUのボトルネックによるものであり、WQHDで約6%、4Kでは約9%の差をつけて下位モデルを上回っている。
レイトレーシング関連の項目を最高品質に設定した場合、GeForce RTX 3080 TiはフルHDで約9%、WQHDで約8%、4Kで約8%の差をつけている。レイトレーシング処理の負荷が高い条件では、RTコア数の差がフレームレートに反映されているようだ。
レイトレーシングに加え、DLSSを「バランス」設定で有効化した場合では、フルHDで約2%、WQHDで約4%、4Kで約11%の差をつけ、GeForce RTX 3080 Tiが下位モデルを上回った。
レインボーシックス シージ
レインボーシックス シージでは、描画品質「最高」をベースに、レンダリングのスケールを100%に設定してベンチマークモードを実行した。グラフィックスAPIは「Vulkan」を利用した。
GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約2%、WQHDで約4%、4Kで約8%だった。
Apex Legends
Apex Legendsでは、設定可能な描画品質を最高にして、フレームレートを測定した。なお、テスト時は起動オプションにより、フレームレート上限を標準の144fpsから300fpsに引き上げている。
フルHD解像度では両GPUの間にフレームレート差はついていないが、WQHDで約3%、4Kでは約6%、それぞれGeForce RTX 3080 Tiが下位モデルを上回った。
オーバーウォッチ
オーバーウォッチでは、描画品質を最高の「エピック」に設定しつつ、レンダー・スケールを100%に固定してフレームレートを測定した。
ここでは、GeForce RTX 3080 TiがWQHDで約9%、4Kでは約11%の差をつけて下位モデルを上回った。フルHD解像度では両GPUの間に差がついていないが、これはオーバーウォッチのフレームレート上限である400fpsに到達しているためだ。
Call of Duty: Black Ops Cold War
Call of Duty: Black Ops Cold Warでは、描画品質を設定できる限り最も高くした設定をベースに、レイトレーシングを無効にした設定と、すべて「ウルトラ」にした設定、DLSSを「バランス調整済み」で有効化した設定の3通りで、平均フレームレートの測定を行なった。
レイトレーシング無効時のGeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約2%、WQHDで約4%、4Kで約8%だった。
レイトレーシングをウルトラ設定で有効化した場合のGeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約1%、WQHDで約4%、4Kで約4%。レイトレーシングを有効化したCall of Duty: Black Ops Cold WarではCPU性能への要求が増加するようで、フルHD時は両GPUともGPU使用率が90%を割り込んでいる。
レイトレーシングとDLSSを有効化した設定での両GPUの差は、フルHDで約1%、WQHDで約1%、4Kで約4%だった。レイトレーシング有効時に見られたCPUのボトルネックが顕著になっており、WQHD以下のGPU使用率は7~8割程度となっている。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、レイトレーシングを用いない最高画質設定の「ウルトラ」と、同設定をベースにレイトレーシングとDLSSを有効化した「レイトレーシング:ウルトラ」で、フレームレートの測定を行なった。
レイトレーシング無効時の両GPUの差は、フルHDで約1%、WQHDで約8%、4Kで約8%だった。
レイトレーシング:ウルトラ設定時は、フルHDで下位モデルが2%高いフレームレートとなっているが、これはCPUのボトルネックでフレームレートが頭打ちになった結果生じたもので、WQHDでは約8%、4Kでも7%の差をつけてGeForce RTX 3080 Tiが下位モデルを上回っている。
アサシン クリード ヴァルハラ
アサシン クリード ヴァルハラでは、描画品質を「最高」に固定してベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約3%、WQHDで約4%、4Kで約2%だった。
ウォッチドッグス レギオン
ウォッチドッグス レギオンでは、描画品質プリセットを「最大」にした設定と、それをベースにレイトレーシングを「最大」にした設定、DLSSを「バランス」で有効化した設定の3条件でベンチマーク結果を取得した。
レイトレーシング無効時のGeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約6%、WQHDで約7%、4Kで約5%。
レイトレーシング有効時の差は、フルHDで約6%、WQHDで約6%、4Kで約22%。ゲームの要求VRAM容量が10GBに達する4Kでの大差は、10GBのVRAMを搭載する下位モデルのメモリ容量不足が影響したものと思われる。
レイトレーシングとDLSSを有効にした場合の差は、フルHDで約3%、WQHDで約3%、4Kで約5%。
Horizon Zero Dawn
Horizon Zero Dawnでは、描画品質を「最高画質」に設定して、ベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約8%、WQHDで約7%、4Kで約5%だった。
Godfall
Godfallでは、描画品質を「最高」に設定し、レイトレーシングを有効にした場合と無効にした場合の2通りで、ベンチマークモードを実行した。
レイトレーシング無効時のGeForce RTX 3080 Tiと下位モデルの差は、フルHDで約9%、WQHDで約10%、4Kで約10%。
レイトレーシング有効時の差は、フルHDで約8%、WQHDで約14%、4Kで約10%。
Microsoft Flight Simulator
Microsoft Flight Simulatorでは、描画品質を最高の「ULTRA」にして、フレームレートの測定を行なった。測定は、羽田空港から関西国際空港へのルートをAIに飛行させ、離陸後3分間のフレームレートを測定している。使用した機体は「Daher TBM 930」。
CPUがボトルネックになりやすいこのゲームでは、4Kで約1%だけGeForce RTX 3080 Tiがリードしてはいるものの、今回の環境では両GPUの間に大きな差はつかなかった。
Blender Benchmark
3DCGソフト「Blender」のオフィシャルベンチマーク「Blender Benchmark」では、OptiXを用いてGPUレンダリングを実行した。
各テストにおけるGeForce RTX 3080 Tiのレンダリング速度は、下位モデルを約11~21%上回っており、トータルでは約14%も高速だった。
消費電力とモニタリングデータ
ワットチェッカーを用いて、ベンチマーク実行中の最大消費電力とアイドル時消費電力を測定した結果が以下のグラフだ。
GeForce RTX 3080 Tiのアイドル時消費電力は66Wで、64Wを記録した下位モデルより2W高い数値となっている。
ベンチマーク実行中の最大消費電力の測定結果は、GeForce RTX 3080 Tiが494~577Wで、459~552Wだった下位モデルより17~42W高い消費電力を記録している。
モニタリングソフト「HWiNFO」を使い、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを「4K/高品質」設定で実行中しているGeForce RTX 3080 Tiのモニタリングデータを取得した。
GeForce RTX 3080 Tiは350W弱の電力を消費しながら、1,800MHz前後のGPUクロックで動作している。冷却ファンのスピードは最大1,935rpmまで上昇しており、各部の最大温度はGPU温度が最大75℃、GPUホットスポット温度は82.9℃、メモリ温度は96℃だった。
特にメモリ温度は高温だが、メモリクロックは終始一貫して2,375MHz(=19Gbps)を維持していることから、サーマルスロットリングは作動していないようだ。
12GBのVRAMが魅力の新ハイエンドGPU
今回のテストにおいてGeForce RTX 3080 Tiは、下位モデルとなるGeForce RTX 3080を1割弱ほど上回るゲーミング性能を発揮した。これは、GeForce RTX 3080とGeForce RTX 3090の中間に投入されるGPUとして順当なものと言えるだろう。また、VRAM容量が10GBから12GBに増量したことは、4Kゲーミングを楽しみたいゲーマーや、クリエイティブシーンでの利用を考えるユーザーにとって魅力的だ。
GeForce RTX 3080 Tiの国内販売価格は17万5,800円からとされている。これはGeForce RTX 3080発売時の価格よりずいぶん高価ではあるが、ビデオカード価格の高騰によってGeForce RTX 3080搭載ビデオカードが20万円以上で販売されている現状では、むしろ下位モデルより安く入手できる可能性がある。
いずれにせよ、GeForce RTX 3080 Tiが確かな実力を備えたGPUであることは確かなので、その性能を必要とするユーザーの手に届くことを期待したい。