Hothotレビュー
約3.4万円の激安14.1型ノートPCがどこまで使えるか試してみた
2021年3月8日 09:50
FFF SMART LIFE CONNECTEDは、3万3,800円の低価格14.1型ノートPC「FFF-PC03B」を2月25日に発売した。
CPUに「Celeron 5205U」、ストレージにeMMCが採用されており非力感は否めないものの、SATA接続のM.2 SSD、2.5インチSSD/HDDを増設可能なスロットが用意されており、USB Power Delivery対応USB Type-C端子を装備するなどインターフェイスも充実。処理性能をある程度割り切れれば、サブノートとして活用できそうな高コスパマシンだ。
Comet Lakeの「Celeron 5205U」を採用
「FFF-PC03B」はOSにWindows 10 Pro、CPUにCeleron 5205U(2コア2スレッド、1.9GHz)を採用。メモリは4GB(LPDDR3-2133)、ストレージは64GBのeMMCを搭載している。
eMMCはSSDに比べて読み書き速度が遅いが、本製品は拡張スロットカバーを開ければ、SATA接続2.5インチSSD/HDD(7mm)、SATA接続M.2 SSD(Type 2280)用のスロットが用意されている。本製品用にわざわざSSDを購入するのは本末転倒だが、手頃なSSDを持っていればストレージの速度を大幅にスピードアップ可能だ。
ディスプレイは、14.1型フルHD IPS液晶 (1,920×1,080ドット、156ppi、約250cd/平方m、色域非公表、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応)を搭載。ディスプレイ上部には30万画素のWebカメラが内蔵されている。
インターフェイスは、USB 3.0 Type-C(USB Power Delivery対応)、USB 3.0、Mini HDMI、microSDメモリーカードスロット、Gigabit Ethernet、3.5mmヘッドフォンジャックを搭載。通信機能はWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)、Bluetooth 5.1をサポートする。
本体サイズは334×220×21.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.4kg。5,000mAh(37Wh)のバッテリが内蔵されており、バッテリ駆動時間は約8.8時間、充電時間は約3時間とされている。
なお、本製品には256GBのSATA接続2.5インチSSDが増設済みの「FFF-PC03B-WPS25SSD256、480GBのSATA接続2.5インチSSDが増設済みの「FFF-PC03B-WPS25SSD480」もラインナップされている。ストレージ増設後の故障は保証対象外となるので、価格より万が一の保証を重視するならSSD増設済みモデルを選んだほうがいい。
製品名 | FFF-PC03B |
---|---|
OS | Windows 10 Pro(バージョン2004) |
CPU | Celeron 5205U(2コア2スレッド、1.9GHz) |
GPU | Intel UHD Graphics(300~900MHz) |
メモリ | LPDDR3-2133 SDRAM 4GB |
ストレージ | 64GB eMMC(SATA接続2.5インチSSD/HDD[7mm]、SATA接続M.2 SSD[Type2280]増設可能) |
ディスプレイ | 14.1型フルHD IPS液晶 (1,920×1,080ドット、156ppi、約250cd/平方m、色域非公表、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応) |
通信 | Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)、Bluetooth 5.1 |
インターフェイス | USB 3.0 Type-C(USB Power Delivery対応)、USB 3.0×2、Mini HDMI、microSDメモリーカードスロット、Gigabit Ethernet、3.5mmヘッドフォンジャック |
カメラ | 30万画素 |
バッテリ容量 | 5,000mAh(37Wh) |
バッテリ駆動時間 | 約8.8時間(JEITA2.0準拠) |
バッテリ充電時間 | 約3時間 |
本体サイズ | 334×220×21.1mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約1.4kg |
セキュリティ | セキュリティロックスロット |
同梱品 | ACアダプタ、電源ケーブル、USB Type-C to USB Type-A変換ケーブル、Mini HDMI to HDMI変換ケーブル、ストレージマウンタ、ストレージ用ネジ、保証書 |
カラー | ブラック |
価格 | 3万3,800円 |
タッチパッドは押圧力が強め
「FFF-PC03B」のキーボードは、キーピッチが実測20mm前後、キーストロークが実測1.6mm前後。キーピッチがフルサイズキーボードより広いので、ちょっと違和感がある。打鍵感は正直かなり安っぽいが、タイピング速度に影響をおよぼすほどではない。
個人的に一番気になったのがEnterキーの右にPrintScreen、Pauseキーが配置されていること。PrintScreen、Pauseキーはほかのキーに統合し、Enterキーを右に移動したほうがよいと思う。そうすれば「[」、「]」キーをほかのキーと同じ幅にできる。
Fキー | Enterキー | Spaceキー | |
---|---|---|---|
FFF-PC03B | 0.54N | 0.57N | 0.58N |
STYLE-14FH057-i5-UXEX | 0.48N | 0.5N | 0.55N |
mouse X4-R5 | 0.48N | 0.54N | 0.45N |
DAIV 7N | 0.5N | 0.55N | 0.5N |
dynabook V8 | 0.51N | 0.54N | 0.5N |
13インチMacBook Air | 0.51N | 0.51N | 0.53N |
ZenBook 13 UX325EA | 0.53N | 0.5N | 0.51N |
13インチMacBook Pro | 0.51N | 0.54N | 0.5N |
One-Netbook A1 | 0.61N | 0.55N | 0.56N |
MUGAストイックPC3 | 0.51N | 0.46N | 0.47N |
DAIV 4N | 0.55N | 0.55N | 0.58N |
LG gram 2-in-1 | 0.6N | 0.6N | 0.6N |
16インチMacBook Pro | 0.55N | 0.55N | 0.55N |
ZenBook Duo | 0.56N | 0.54N | 0.55N |
タッチパッドはストロークが浅い点は好みだが、押圧力がやや強いと感じた。もう少し押圧力を軽くしたほうが、クリックするさいに指がずれて誤操作することがないと思う。ただし、タッチパッドは母指球などの広い面積では反応しないような制御は入っている。押圧力に慣れれば快適に操作できるようになるはずだ。
Webカメラの画質はかなり厳しめ。また、画角が狭いのでビデオ会議などで相当寄った画になってしまう。ある程度の画質を必要とするビデオ会議に参加するさいには、スマートフォンのインカメラを利用したほうがよさそうだ。
sRGBカバー率は実測63.2%と狭め、音質も割り切りが必要
本製品は、14.1型フルHD IPS液晶 (1,920×1,080ドット、156ppi、約250cd/平方m、非光沢)を搭載している。色域は公表されていないが、カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測したところ、sRGBカバー率は63.2%、Adobe RGBカバー率は47.1%、DCI-P3カバー率は46.8%という値が出た。色域はかなり狭いと言わざるを得ない。
一方サウンド面についても、ボリュームが小さめで、音質も価格なりのレベルだ。低中高域全体で音が弱々しく、分解せずとも小さなスピーカーが搭載されていることを推察できる。また、本製品はスピーカーがキーボード奥に、やや左寄りに内蔵されているので、音が左寄りで再生される点も気になった。音楽を楽しむならヘッドフォンや外付けスピーカーは必須だ。
新しいEdgeに置き換えると意外とキビキビと動作
最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。今回は総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2506」、3Dベンチマーク「3DMark v2.16.7117」、CPUベンチマーク「Cinebench R23.200」、「Cinebench R20.060」、「Cinebench R15.0」、3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク」、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.1」を実施した。比較対象としては、19万800円(税別)の「MUGAストイックPC3」のスコアを転載した。下記が検証機の主要な仕様と、ベンチマークの結果だ。
FFF-PC03B | MUGAストイックPC3 | |
---|---|---|
CPU | Celeron 5205U(2コア2スレッド、1.90GHz) | Celeron N3350(2コア2スレッド、1.10~2.40GHz) |
GPU | Intel UHD Graphics(300~900MHz) | Intel HD Graphics 500(200~650MHz) |
メモリ | LPDDR3-2133 SDRAM 4GB | LPDDR4-2133 SDRAM 4GB |
ストレ-ジ | 64GB eMMC | 64GB eMMC |
ディスプレイ | 14.1インチ、1,920×1,080ドット(156ppi) | 14.1インチ、1,920×1,080ドット(156ppi) |
TDP | 15W | 6W |
OS | Windows 10 Pro 64bit バージョン2004 | Windows 10 Home 64bit バージョン1909(Sモードは解除) |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 334×220×21.1mm | 333×224×22mm |
重量 | 約1.4kg | 約1.35kg |
FFF-PC03B | MUGAストイックPC3 | |
---|---|---|
PCMark 10 v2.1.2506 | ||
PCMark 10 Score | 1,875 | 1,185 |
Essentials | 4,348 | 3,083 |
App Start-up Score | 4,449 | 3,030 |
Video Conferencing Score | 4,080 | 3,411 |
Web Browsing Score | 4,529 | 2,837 |
Productivity | 3,200 | 1,962 |
Spreadsheets Score | 3,488 | 2,084 |
Writing Score | 2,936 | 1,848 |
Digital Content Creation | 1,288 | 748 |
Photo Editing Score | 1,549 | 721 |
Rendering and Visualization Score | 770 | 470 |
Video Editting Score | 1,795 | 1,237 |
PCMark 10 Modern Office Battery Life | 6時間26分 | 10時間39分 |
3DMark v2.16.7117 | ||
Time Spy Extreme | 非対応 | 非対応 |
Time Spy | 非対応 | 非対応 |
Port Royal | 非対応 | 非対応 |
Fire Strike Ultra | 非対応 | 非対応 |
Fire Strike Extreme | 非対応 | 非対応 |
Fire Strike | 545 | 365 |
Wild Life | 1,393 | - |
Night Raid | 非対応 | - |
Sky Diver | - | 1,262 |
Cinebench R23.200 | ||
CPU(Multi Core) | 814 pts | - |
CPU(Single Core) | 431 pts | - |
Cinebench R20.060 | ||
CPU | 313 pts | 197 pts |
CPU(Single Core) | 165 pts | 104 pts |
Cinebench R15.0 | ||
OpenGL | 24.82 fps | 13.40 fps |
CPU | 140 cb | 86cb |
CPU(Single Core) | 74 cb | 46 cb |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク | ||
1,280×720ドット 標準品質(ノ-トPC) | 1,975(設定変更を推奨) | 1,112(設定変更が必要) |
1,920×1,080ドット 標準品質(ノ-トPC) | 1,077(設定変更が必要) | 533(動作困難) |
SSDをCrystalDiskMark 8.0.1で計測 | ||
1M Q8T1 シーケンシャルリード | 246.151 MB/s | 309.517 MB/s |
1M Q8T1 シーケンシャルライト | 129.832 MB/s | 238.636 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルリード | 223.778 MB/s | 285.447 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルライト | 128.117 MB/s | 221.473 MB/s |
4K Q32T16 ランダムリ-ド | 16.718 MB/s | 66.834 MB/s |
4K Q32T16 ランダムライト | 28.525 MB/s | 67.354 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリ-ド | 23.998 MB/s | 8.575 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 26.086 MB/s | 20.614 MB/s |
「Celeron 5205U」を搭載するFFF-PC03Bはベースクロック、TDP、内蔵グラフィックスが優れているだけに、MUGAストイックPC3に対して、Cinebench R20.060のCPUで約1.59倍に相当する313 pts、Cinebench R15のCPUで約1.63倍に相当する140 cb、3DMarkのFire Strikeで約1.49倍に相当する545、PCMark 10の総合スコアで約1.58倍に相当する1,875、ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク(1,920×1,080ドット)で約2.02倍に相当する1,077を記録している。
発売時期が異なるので両者に優劣をつけることに意味はないが、プラス約1万円でこれだけ性能差が開くのだから、FFF-PC03Bのコストパフォーマンスも高いことは間違いない。
実際に使ってみた感想としては、古いEdgeを使っていると結構緩慢な挙動となることもあったが、新しいEdgeをインストールすると、意外とキビキビと動作する。多くの画像が含まれるサイトの表示も待たされ感は少ない。Webブラウズ、動画視聴、オフィスアプリの利用などであれば快適とは言えないまでも、十分実用的な速度で利用できると思う。
スペックをわかって購入するならコスパ優れる選択肢
当然のことながら、本製品は決して高性能なノートPCではない。また、筐体の質感も高いとは言えない。しかしWebブラウズ、動画視聴、オフィスアプリの利用を実用的な速度でこなせる処理能力を持ち、また、ストレージを増設するスロットを用意するなど拡張性にも配慮されている。かぎられたコストで真面目に設計されているというのが率直な感想だ。
筆者は本製品を万人にすすめるつもりはない。64GBのシステムストレージはすぐに容量不足になる可能性が高いので、初心者がはじめて購入するノートPCとしては避けたほうがいいと考える。ただしある程度PCに詳しい方がスペックを理解して購入するなら、コスパという点ではよい選択肢だ。筆者も余っている2.5インチSSDがあるので、気軽に扱える寝モバ用PCとして1台ほしいと思う。