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約3.4万円の激安14.1型ノートPCがどこまで使えるか試してみた

FFF SMART LIFE CONNECTED「FFF-PC03B」3万3,800円

 FFF SMART LIFE CONNECTEDは、3万3,800円の低価格14.1型ノートPC「FFF-PC03B」を2月25日に発売した。

 CPUに「Celeron 5205U」、ストレージにeMMCが採用されており非力感は否めないものの、SATA接続のM.2 SSD、2.5インチSSD/HDDを増設可能なスロットが用意されており、USB Power Delivery対応USB Type-C端子を装備するなどインターフェイスも充実。処理性能をある程度割り切れれば、サブノートとして活用できそうな高コスパマシンだ。

Comet Lakeの「Celeron 5205U」を採用

 「FFF-PC03B」はOSにWindows 10 Pro、CPUにCeleron 5205U(2コア2スレッド、1.9GHz)を採用。メモリは4GB(LPDDR3-2133)、ストレージは64GBのeMMCを搭載している。

 eMMCはSSDに比べて読み書き速度が遅いが、本製品は拡張スロットカバーを開ければ、SATA接続2.5インチSSD/HDD(7mm)、SATA接続M.2 SSD(Type 2280)用のスロットが用意されている。本製品用にわざわざSSDを購入するのは本末転倒だが、手頃なSSDを持っていればストレージの速度を大幅にスピードアップ可能だ。

 ディスプレイは、14.1型フルHD IPS液晶 (1,920×1,080ドット、156ppi、約250cd/平方m、色域非公表、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応)を搭載。ディスプレイ上部には30万画素のWebカメラが内蔵されている。

 インターフェイスは、USB 3.0 Type-C(USB Power Delivery対応)、USB 3.0、Mini HDMI、microSDメモリーカードスロット、Gigabit Ethernet、3.5mmヘッドフォンジャックを搭載。通信機能はWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)、Bluetooth 5.1をサポートする。

 本体サイズは334×220×21.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.4kg。5,000mAh(37Wh)のバッテリが内蔵されており、バッテリ駆動時間は約8.8時間、充電時間は約3時間とされている。

 なお、本製品には256GBのSATA接続2.5インチSSDが増設済みの「FFF-PC03B-WPS25SSD256、480GBのSATA接続2.5インチSSDが増設済みの「FFF-PC03B-WPS25SSD480」もラインナップされている。ストレージ増設後の故障は保証対象外となるので、価格より万が一の保証を重視するならSSD増設済みモデルを選んだほうがいい。

【表1】FFF-PC03Bのスペック
製品名FFF-PC03B
OSWindows 10 Pro(バージョン2004)
CPUCeleron 5205U(2コア2スレッド、1.9GHz)
GPUIntel UHD Graphics(300~900MHz)
メモリLPDDR3-2133 SDRAM 4GB
ストレージ64GB eMMC(SATA接続2.5インチSSD/HDD[7mm]、SATA接続M.2 SSD[Type2280]増設可能)
ディスプレイ14.1型フルHD IPS液晶 (1,920×1,080ドット、156ppi、約250cd/平方m、色域非公表、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応)
通信Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)、Bluetooth 5.1
インターフェイスUSB 3.0 Type-C(USB Power Delivery対応)、USB 3.0×2、Mini HDMI、microSDメモリーカードスロット、Gigabit Ethernet、3.5mmヘッドフォンジャック
カメラ30万画素
バッテリ容量5,000mAh(37Wh)
バッテリ駆動時間約8.8時間(JEITA2.0準拠)
バッテリ充電時間約3時間
本体サイズ334×220×21.1mm(幅×奥行き×高さ)
重量約1.4kg
セキュリティセキュリティロックスロット
同梱品ACアダプタ、電源ケーブル、USB Type-C to USB Type-A変換ケーブル、Mini HDMI to HDMI変換ケーブル、ストレージマウンタ、ストレージ用ネジ、保証書
カラーブラック
価格3万3,800円
本体天面。非光沢仕上げで手脂などはほとんど目立たない
本体底面。ネジ2本で拡張スロットカバーを開けられる
ディスプレイ面。ディスプレイ上部に30万画素Webカメラが内蔵
87キーの日本語キーボードを採用。キーボード奥には、左から電源ランプ、CapsLockランプ、NumLockランプ、ステレオスピーカー、マイク×2(内1つはノイズキャンセル用)が内蔵
本体前面と本体背面
右側面にはmicroSDメモリーカードスロット、3.5mmヘッドフォンジャック、USB 3.0、Gigabit Ethernet、左側面にはUSB 3.0、電源端子、Mini HDMI、USB 3.0 Type-C(USB Power Delivery対応)、セキュリティロックスロットを装備
USB Type-CはUSB Power Deliveryに対応
USB Type-Cケーブル1本で映像出力、電力供給可能
拡張スロットカバーを開けると、ストレージ用スロットが2つ現われる
ストレージスロットはSATA接続2.5インチSSD/HDD(7mm)、SATA接続M.2 SSD(Type2280)に対応
ディスプレイの最大展開角度は実測約138度
貸出機のパッケージには、本体、ACアダプタ、電源ケーブル、USB Type-C to USB Type-A変換ケーブル、Mini HDMI to HDMI変換ケーブル、ストレージマウンタ、ストレージ用ネジ、保証書が同梱されていた
ACアダプタのコード長は実測約150cm、電源ケーブルの長さは実測約130cm
ACアダプタの型番は「SOY-1900210」。仕様は入力100-240V~1.2A、出力19V 2.1A、容量40W
貸出機には、USB Type-C to USB Type-A変換ケーブル、Mini HDMI to HDMI変換ケーブルが同梱。低価格ノートPCでアクセサリが充実しているのはうれしい
ストレージを装着するためのマウンタとネジ類
本体の実測重量は1,373.5g
ACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測287.7g
システム情報
主要なデバイス
初回起動時のCドライブの空き容量は35.56GB
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITY、FULL CHARGE CAPACITYともに37,000mWhと表示された

タッチパッドは押圧力が強め

 「FFF-PC03B」のキーボードは、キーピッチが実測20mm前後、キーストロークが実測1.6mm前後。キーピッチがフルサイズキーボードより広いので、ちょっと違和感がある。打鍵感は正直かなり安っぽいが、タイピング速度に影響をおよぼすほどではない。

 個人的に一番気になったのがEnterキーの右にPrintScreen、Pauseキーが配置されていること。PrintScreen、Pauseキーはほかのキーに統合し、Enterキーを右に移動したほうがよいと思う。そうすれば「[」、「]」キーをほかのキーと同じ幅にできる。

キーピッチは実測20mm前後
キーストロークは実測1.6mm前後
Fキーの押圧力は実測0.54N前後
【表2】キーボードの押圧力の一例
FキーEnterキーSpaceキー
FFF-PC03B0.54N0.57N0.58N
STYLE-14FH057-i5-UXEX0.48N0.5N0.55N
mouse X4-R50.48N0.54N0.45N
DAIV 7N0.5N0.55N0.5N
dynabook V80.51N0.54N0.5N
13インチMacBook Air0.51N0.51N0.53N
ZenBook 13 UX325EA0.53N0.5N0.51N
13インチMacBook Pro0.51N0.54N0.5N
One-Netbook A10.61N0.55N0.56N
MUGAストイックPC30.51N0.46N0.47N
DAIV 4N0.55N0.55N0.58N
LG gram 2-in-10.6N0.6N0.6N
16インチMacBook Pro0.55N0.55N0.55N
ZenBook Duo0.56N0.54N0.55N

 タッチパッドはストロークが浅い点は好みだが、押圧力がやや強いと感じた。もう少し押圧力を軽くしたほうが、クリックするさいに指がずれて誤操作することがないと思う。ただし、タッチパッドは母指球などの広い面積では反応しないような制御は入っている。押圧力に慣れれば快適に操作できるようになるはずだ。

タッチパッドの面積は実測約105×70mm(幅×奥行き)

 Webカメラの画質はかなり厳しめ。また、画角が狭いのでビデオ会議などで相当寄った画になってしまう。ある程度の画質を必要とするビデオ会議に参加するさいには、スマートフォンのインカメラを利用したほうがよさそうだ。

キーボード上部には30万画素Webカメラを内蔵。カメラの動作を示すインジケータは用意されていない

sRGBカバー率は実測63.2%と狭め、音質も割り切りが必要

 本製品は、14.1型フルHD IPS液晶 (1,920×1,080ドット、156ppi、約250cd/平方m、非光沢)を搭載している。色域は公表されていないが、カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測したところ、sRGBカバー率は63.2%、Adobe RGBカバー率は47.1%、DCI-P3カバー率は46.8%という値が出た。色域はかなり狭いと言わざるを得ない。

 一方サウンド面についても、ボリュームが小さめで、音質も価格なりのレベルだ。低中高域全体で音が弱々しく、分解せずとも小さなスピーカーが搭載されていることを推察できる。また、本製品はスピーカーがキーボード奥に、やや左寄りに内蔵されているので、音が左寄りで再生される点も気になった。音楽を楽しむならヘッドフォンや外付けスピーカーは必須だ。

実測したsRGBカバー率は63.2%、sRGB比は63.5%
Adobe RGBカバー率は47.1%、Adobe RGB比は47.1%
DCI-P3カバー率は46.8%、DCI-P3比は46.8%
輝度は約250cd/平方m。室内であれば十分な明るさだ。発色も特に癖はないと思う
IPS液晶だけに視野角は十分広い。真横近くからでもなにが映っているか判別できる
YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大78.2dB(50cmの距離で測定)

新しいEdgeに置き換えると意外とキビキビと動作

 最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。今回は総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2506」、3Dベンチマーク「3DMark v2.16.7117」、CPUベンチマーク「Cinebench R23.200」、「Cinebench R20.060」、「Cinebench R15.0」、3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク」、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.1」を実施した。比較対象としては、19万800円(税別)の「MUGAストイックPC3」のスコアを転載した。下記が検証機の主要な仕様と、ベンチマークの結果だ。

【表3】検証機の仕様
FFF-PC03BMUGAストイックPC3
CPUCeleron 5205U(2コア2スレッド、1.90GHz)Celeron N3350(2コア2スレッド、1.10~2.40GHz)
GPUIntel UHD Graphics(300~900MHz)Intel HD Graphics 500(200~650MHz)
メモリLPDDR3-2133 SDRAM 4GBLPDDR4-2133 SDRAM 4GB
ストレ-ジ64GB eMMC64GB eMMC
ディスプレイ14.1インチ、1,920×1,080ドット(156ppi)14.1インチ、1,920×1,080ドット(156ppi)
TDP15W6W
OSWindows 10 Pro 64bit バージョン2004Windows 10 Home 64bit バージョン1909(Sモードは解除)
サイズ(幅×奥行き×高さ)334×220×21.1mm333×224×22mm
重量約1.4kg約1.35kg
【表4】ベンチマ-ク結果
FFF-PC03BMUGAストイックPC3
PCMark 10 v2.1.2506
PCMark 10 Score1,8751,185
Essentials4,3483,083
App Start-up Score4,4493,030
Video Conferencing Score4,0803,411
Web Browsing Score4,5292,837
Productivity3,2001,962
Spreadsheets Score3,4882,084
Writing Score2,9361,848
Digital Content Creation1,288748
Photo Editing Score1,549721
Rendering and Visualization Score770470
Video Editting Score1,7951,237
PCMark 10 Modern Office Battery Life6時間26分10時間39分
3DMark v2.16.7117
Time Spy Extreme非対応非対応
Time Spy非対応非対応
Port Royal非対応非対応
Fire Strike Ultra非対応非対応
Fire Strike Extreme非対応非対応
Fire Strike545365
Wild Life1,393
Night Raid非対応
Sky Diver1,262
Cinebench R23.200
CPU(Multi Core)814 pts
CPU(Single Core)431 pts
Cinebench R20.060
CPU313 pts197 pts
CPU(Single Core)165 pts104 pts
Cinebench R15.0
OpenGL24.82 fps13.40 fps
CPU140 cb86cb
CPU(Single Core)74 cb46 cb
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノ-トPC)1,975(設定変更を推奨)1,112(設定変更が必要)
1,920×1,080ドット 標準品質(ノ-トPC)1,077(設定変更が必要)533(動作困難)
SSDをCrystalDiskMark 8.0.1で計測
1M Q8T1 シーケンシャルリード246.151 MB/s309.517 MB/s
1M Q8T1 シーケンシャルライト129.832 MB/s238.636 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルリード223.778 MB/s285.447 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルライト128.117 MB/s221.473 MB/s
4K Q32T16 ランダムリ-ド16.718 MB/s66.834 MB/s
4K Q32T16 ランダムライト28.525 MB/s67.354 MB/s
4K Q1T1 ランダムリ-ド23.998 MB/s8.575 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト26.086 MB/s20.614 MB/s

 「Celeron 5205U」を搭載するFFF-PC03Bはベースクロック、TDP、内蔵グラフィックスが優れているだけに、MUGAストイックPC3に対して、Cinebench R20.060のCPUで約1.59倍に相当する313 pts、Cinebench R15のCPUで約1.63倍に相当する140 cb、3DMarkのFire Strikeで約1.49倍に相当する545、PCMark 10の総合スコアで約1.58倍に相当する1,875、ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク(1,920×1,080ドット)で約2.02倍に相当する1,077を記録している。

 発売時期が異なるので両者に優劣をつけることに意味はないが、プラス約1万円でこれだけ性能差が開くのだから、FFF-PC03Bのコストパフォーマンスも高いことは間違いない。

 実際に使ってみた感想としては、古いEdgeを使っていると結構緩慢な挙動となることもあったが、新しいEdgeをインストールすると、意外とキビキビと動作する。多くの画像が含まれるサイトの表示も待たされ感は少ない。Webブラウズ、動画視聴、オフィスアプリの利用などであれば快適とは言えないまでも、十分実用的な速度で利用できると思う。

「Cinebench R23.200」が終了するまでに約25分かかったが、クロック周波数はほぼ1,895MHz前後で大きく変わらなかった。ただしCPU温度はこきざみに上下している(室温23.7℃で測定)
「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク」実行中のキーボード面の最大温度は実測48.4℃(室温22.5℃で測定)
底面の最大温度は47.6℃
ACアダプタの最大温度は43.4℃

スペックをわかって購入するならコスパ優れる選択肢

 当然のことながら、本製品は決して高性能なノートPCではない。また、筐体の質感も高いとは言えない。しかしWebブラウズ、動画視聴、オフィスアプリの利用を実用的な速度でこなせる処理能力を持ち、また、ストレージを増設するスロットを用意するなど拡張性にも配慮されている。かぎられたコストで真面目に設計されているというのが率直な感想だ。

 筆者は本製品を万人にすすめるつもりはない。64GBのシステムストレージはすぐに容量不足になる可能性が高いので、初心者がはじめて購入するノートPCとしては避けたほうがいいと考える。ただしある程度PCに詳しい方がスペックを理解して購入するなら、コスパという点ではよい選択肢だ。筆者も余っている2.5インチSSDがあるので、気軽に扱える寝モバ用PCとして1台ほしいと思う。