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399ドルで従来のハイエンドより速い「GeForce RTX 3060 Ti」レビュー

 NVIDIAは12月1日、GeForce RTX 30シリーズのミドルレンジGPU「GeForce RTX 3060 Ti」を発表した。

 この発表に先立って、同GPUを搭載するASUS製ビデオカード「ROG-STRIX-RTX3060TI-O8G-GAMING」をテストする機会が得られたので、新世代ミドルレンジGPU搭載ビデオカードの実力をベンチマークテストでチェックしてみた。

399ドルの新世代ミドルレンジGPU「GeForce RTX 3060 Ti」

 GeForce RTX 3060 Tiは、Ampereアーキテクチャに基づいて8nmプロセスで製造された「GA104」コアを採用するミドルレンジGPU。38基のStreaming Multiprocessor(SM)が有効化されており、4,864基のCUDAコアや、152基のテクスチャユニット、38基のRTコア、152基のTensorコアが利用できる。

 VRAMとして、14Gbps動作のGDDR6メモリを8GB搭載。メモリインターフェイスは256bitで、GPUとVRAM間のメモリ帯域幅は448GB/s。バスインターフェイスはPCI Express 4.0 x16で、電力指標のTGP(Total Graphics Power)は200W。

 GeForce RTX 30シリーズにおけるGeForce RTX 3060 Tiの位置付けは、同じくGA104コアを採用するGeForce RTX 3070の下位であり、米国での推定市場価格は399ドルとされている。

【表1】GeForce RTX 3060 Tiのおもな仕様
GPUGeForce RTX 3060 TiGeForce RTX 3070GeForce RTX 2060 SUPER
アーキテクチャAmpere (GA104)Ampere (GA104)Turing (TU106)
製造プロセス8nm8nm12nm
SMs38基46基34基
CUDAコア4,864基5,888基2,176基
RTコア38基 (第2世代)46基 (第2世代)34基 (第1世代)
Tensorコア152基 (第3世代)184基 (第3世代)272基 (第2世代)
テクスチャユニット152基184基136基
ROPユニット80基96基64基
ブーストクロック1,665MHz1,725MHz1,650MHz
メモリ容量8GB (GDDR6)8GB (GDDR6)8GB (GDDR6)
メモリスピード14.0Gbps14.0Gbps14.0Gbps
メモリインターフェイス256bit256bit256bit
メモリ帯域幅448GB/s448GB/s448GB/s
PCI ExpressPCIe 4.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 3.0 x16
消費電力 (TGP)200W220W175W

豪華仕様のASUS ROG-STRIX-RTX3060TI-O8G-GAMING

 今回、GeForce RTX 3060 Tiのテストに用いるのは、ASUSのオリジナル仕様を採用したビデオカード「ROG-STRIX-RTX3060TI-O8G-GAMING」だ。

 3基の冷却ファンを備えた2.9スロット仕様の大型GPUクーラーと、オリジナルデザインの基板を採用し、GPUのブーストクロックを1,665MHzから1,860MHz、パワーリミットを200Wから240Wに拡大して搭載したオーバークロック仕様のビデオカードだ。カードサイズは318.5×140.1×57.78mm(長さ×高さ×厚さ)で、そのサイズはGeForce RTX 3090 Founders Editionに匹敵する。

 ブラケット部のインターフェイスは、HDMI 2.1(2基)とDisplayPort 1.4a(3基)。動作に必要な補助電源コネクタはPCIe 8ピン×2系統で、デスクトップ向けの上位CPU(Core i9、Ryzen 9)と組み合わせる場合、750W以上の容量を備えた電源ユニットの利用を推奨している。

 アドレッサブルRGB LEDを採用するなど、ROG-STRIX-RTX3060TI-O8G-GAMINGは見た目にもこだわって設計されたハイスペックなビデオカードだ。記事執筆時点で販売価格についての情報は得られていないが、平均的なGeForce RTX 3060 Ti搭載ビデオカードよりも高価な製品であることは間違いなく、より高品質なビデオカードを求めるユーザー向けの製品であると言えよう。

ASUS ROG-STRIX-RTX3060TI-O8G-GAMING
カード裏面。ほぼ全面がバックプレートで覆われている
カードの占有スロット数は2.9スロット
補助電源コネクタはPCIe 8ピン×2系統
推奨電源容量テーブル(ASUSの資料を元に作成)
ブラケット部のインターフェイス。DisplayPort 1.4(3基)、HDMI 2.1(2基)
本体上部にアドレッサブルRGB LEDを搭載

 ROG-STRIX-RTX3060TI-O8G-GAMINGには、VBIOSの切り替えスイッチが用意されており、静粛性重視の「Quiet(Q MODE)」と、冷却重視の「Performance (P MODE)」を任意で選択できる。

 また、GPUユーティリティの「GPU Tweak II」を利用することで、標準動作である「Gaming Mode」のほか、ブーストクロックを1,890MHzに引き上げる「OC Mode」や、逆に1,830MHzに引き下げる「Silent Mode」を選択することも可能だ。

 今回のテストにおいて、VBIOSについては「Q Mode」を選択。動作モードは、標準の「Gaming Mode」に加え、「Silent Mode」でベンチマークテストを実施した。

VBIOS切り替えスイッチ
GPUユーティリティ「GPU Tweak II」。標準動作モードであるGaming Modeから、OC ModeとSilent Modeへの切り替えが可能
Gaming ModeのGPU-Z実行画面。これがROG-STRIX-RTX3060TI-O8G-GAMINGの標準の動作モードだ
Silent ModeのGPU-Z実行画面。GPUクロックが引き下げられたほか、パワーリミットも標準(240W)の92%(約221W)に引き下げられている

テスト機材

 GeForce RTX 3060 Tiの比較対象には、1世代前のハイエンドGPUである「GeForce RTX 2080」と、上位モデルの「GeForce RTX 3070」を用意した。GeForce RTX 3070はNVIDIA純正のFounders Edition、GeForce RTX 2080は「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080」でテストを行なう。各ビデオカードのテスト時動作仕様は以下のとおり。

【表2】各ビデオカードの動作仕様
GPUGeForce RTX 3060 Ti (Gaming Mode)GeForce RTX 3060 Ti (Silent Mode)GeForce RTX 2080GeForce RTX 3070
ビデオカードベンダーASUSASUSZOTACNVIDIA
製品型番ROG-STRIX-RTX3060TI-O8G-GAMINGROG-STRIX-RTX3060TI-O8G-GAMINGZT-T20800G-10PFounders Edition
ベースクロック1,410MHz1,380MHz1,515MHz1,500MHz
ブーストクロック1,860MHz1,830MHz1,710MHz1,725MHz
メモリ容量8GB (GDDR6)8GB (GDDR6)8GB (GDDR6)8GB (GDDR6)
メモリスピード14.0Gbps14.0Gbps14.0Gbps14.0Gbps
メモリインターフェイス256bit256bit256bit256bit
メモリ帯域幅448GB/s448GB/s448GB/s448GB/s
パワーリミット240W221W215W220W
GeForce RTX 3070 Founders Edition
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080

 各ビデオカードを搭載するベース機材として、「ASUS ROG CROSSHAIR VIII HERO (WI-FI)」に16コア32スレッドCPU「Ryzen 9 5950X」を搭載したAMD X570環境を用意。グラフィックスドライバには、GeForce RTX 3060 Tiがレビュアー向けの「457.40」、それ以外のGPUには「457.30」を導入した。

【表3】テスト機材一覧
GPUGeForce RTX 3060 TiGeForce RTX 2080GeForce RTX 3070
CPURyzen 9 5950X
CPUパワーリミットPPT:142W、TDC:95A、EDC:140A
CPUクーラーASUS ROG RYUJIN 240 (ファンスピード=100%)
マザーボードASUS ROG CROSSHAIR VIII HERO (WI-FI) [UEFI:2502]
メモリDDR4-3200 16GB×2 (2ch、22-22-22-53、1.20V)
システム用SSDCORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
アプリケーション用SSDCORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
電源CORSAIR RM850 CP-9020196-JP (850W/80PLUS Gold)
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 457.40 (27.21.14.5740)GeForce Game Ready Driver 457.30 (27.21.14.5730)
OSWindows 10 Pro 64bit (Ver 20H2 / build 19042.630)
電源プランバランス
室温約26℃
ASUS ROG CROSSHAIR VIII HERO (WI-FI)
16コア32スレッドCPU「Ryzen 9 5950X」

ベンチマーク結果

 それではベンチマーク結果を見ていこう。

 実施したテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「Forza Horizon 4」、「DIRT 5」、「フォートナイト」、「レインボーシックス シージ」、「VALORANT」、「オーバーウォッチ」、「Call of Duty: Black Ops Cold War」、「モンスターハンターワールド : アイスボーン」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「ウォッチドッグス レギオン」、「Godfall」、「Horizon Zero Dawn」、「Microsoft Flight Simulator」、「V-Ray Benchmark」、「Blender Benchmark」。

 今回のテストにおいて、画面解像度を自由に変更できるゲームでは、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3通りの画面解像度でテストを実施している。

3DMark

 3DMarkでは、DirectX 12テスト「Time Spy」、DirectX 11テスト「Fire Strike」、Vulkanテスト「Wild Life」、DirectX Raytracing(DXR)テストの「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を実行した。

 Time Spyでは、GeForce RTX 3060 TiがGeForce RTX 2080に13~21%の差をつけて上回っており、そのスコアはGeForce RTX 3070比で約90%となっている。

 Fire Strikeでも、GeForce RTX 3060 TiはGeForce RTX 2080に10~19%の差をつけて上回った。上位のGeForce RTX 3070との差は12~15%。

 グラフィックスAPIにVulkanを用いるWild Lifeでは、GeForce RTX 3060 TiがGeForce RTX 2080に7~12%程度の差をつけて上回り、トップのGeForce RTX 3070との間には14~20%の差をつけられている。

 GeForce RTX 3060 TiはDXRテストのPort Royalでも、GeForce RTX 2080を11~12%差で上回り、GeForce RTX 3070に17~18%差をつけられている。一方、もう1つのDXRテストであるDirectX Raytracing feature testでは各GPUとの差が拡大しており、GeForce RTX 2080には31~33%上回り、トップのGeForce RTX 3070との間には23~25%の差がついている。

【グラフ01】3DMark v2.15.7088「Time Spy」
【グラフ02】3DMark v2.15.7088「Time Spy Extreme」
【グラフ03】3DMark v2.15.7088「Fire Strike」
【グラフ04】3DMark v2.15.7088「Fire Strike Extreme」
【グラフ05】3DMark v2.15.7088「Fire Strike Ultra」
【グラフ06】3DMark v2.15.7088「Wild Life」
【グラフ07】3DMark v2.15.7088「Port Royal」
【グラフ08】3DMark v2.15.7088「DirectX Raytracing feature test」

VRMark

 VRMarkでは、DirectX 11テスト「Orage Room」、DirectX 12テスト「Cyan Room」、5K解像度テスト「Blue Room」を実行した。

 GPU負荷の軽いOrange RoomではCPUのボトルネックが生じるため、GeForce RTX 3060 Tiと各GPUの差はほとんどつかない一方、Cyan Roomでは18~20%、Blue Roomでは7~8%の差をつけてGeForce RTX 2080を上回っている。最高スコアを記録したGeForce RTX 3070との差は11~16%。

【グラフ09】VRMark v1.3.2020「スコア」
【グラフ10】VRMark v1.3.2020「平均フレームレート」

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に固定してテストを実行した。

 フルHDでGeForce RTX 3060 TiがGeForce RTX 2080につけて差は3~4%である一方、WQHDでは約14%、4Kでは17~19%と差が拡大している。同様に、トップのGeFoce RTX 3070とのスコア差もフルHDの4~5%から、WQHDで7~8%、4Kで10~12%へと拡大している。

【グラフ11】ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画品質を「高品質」に固定してテストを実行した。

 ここでのGeForce RTX 3060 Tiは、GeForce RTX 2080に8~15%の差をつけて上回り、トップスコアのGeForce RTX 3070との差は12~13%だった。

【グラフ12】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.3

Forza Horizon 4

 Forza Horizon 4では、描画品質を最高の「ウルトラ」に固定して、ベンチマークモードを実行した。

 ここでも2番手の結果を記録したGeForce RTX 3060 tiは、GeForce RTX 2080を11~16%上回り、GeForce RTX 3070との間には8~14%の差がついている。

【グラフ13】Forza Horizon 4 (v1.451.334.2)

DIRT 5

 DIRT 5では、描画品質をもっとも高い「Ultra High」に設定して、ベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3060 Tiは、GeForce RTX 2080を18~23%上回り、トップのGeForce RTX 3070には12~14%の差をつけられている。GeForce RTX 3060 Tiの平均フレームレートが60fpsを下回ったのは4K解像度のみで、WQHD以下であれば滑らかな描画でDIRT 5を楽しむことができる。

【グラフ14】DIRT 5 (v1.0.245225.133)

フォートナイト

 フォートナイトでは、グラフィックスAPI「DirectX 12」で描画品質を「最高」に設定。これをベースに、レイトレーシングを(DXR)を最高にした設定と、DLSSを「パフォーマンス」にした場合のフレームレートを測定した。

 GeForce RTX 3060 Tiの平均フレームレートはGeForce RTX 2080を15~23%上回り、トップのGeForce RTX 3070との差は11~16%だった。

 レイトレーシングを最高品質で有効にした場合、GeForce RTX 3060 TiはフルHD解像度でも30fpsを下回っており快適なプレイは望めないが、DLSSを活用すればフルHD解像度で80fpsを超えている。

【グラフ15】フォートナイト (v14.50) - DirectX 12
【グラフ16】フォートナイト (v14.50) - DirectX 12 + レイトレーシング
【グラフ17】フォートナイト (v14.60) - DirectX 12 + レイトレーシング + DLSS

レインボーシックス シージ

 レインボーシックス シージでは、描画品質「最高」をベースに、レンダリングのスケールを100%に設定してベンチマークモードを実行した。グラフィックスAPIは「Vulkan」を利用した。

 すべての条件で120fpsを超えるフレームレートを記録したGeForce RTX 3060 Tiは、GeForce RTX 2080を16~22%上回った。上位のGeForce RTX 3070との差は9~13%。

【グラフ18】レインボーシックス シージ (Y5S3.3.1)

VALORANT

 VALORANTでは、設定可能な描画品質を最高にして、フレームレートを測定した。

 GeForce RTX 3060 Tiは、動作モードを問わずすべての条件で360fpsを超える平均フレームレートを記録し、GeForce RTX 2080に6~15%の差をつけて上回った。最高スコアのGeForce RTX 3070との差は2~11%。

【グラフ19】VALORANT (v01.12.00.0492454)

オーバーウォッチ

 オーバーウォッチでは、描画品質を最高の「エピック」に設定しつつ、レンダー・スケールを100%に固定してフレームレートを測定した。

 GeForce RTX 3060 Tiは、GeForce RTX 2080に14~20%の差をつけて上回り、GeForce RTX 3070には11~15%の差をつけられている。

【グラフ20】オーバーウォッチ (v1.54.0.0.75895)

Call of Duty: Black Ops Cold War

 Call of Duty: Black Ops Cold Warでは、描画品質を設定できるかぎりもっとも高くした設定をベースに、レイトレーシングの有無と、レイトレーシングを有効にしつつDLSSを「パフォーマンス」に設定した場合の3とおりで、平均フレームレートの測定を行なった。

 GeForce RTX 3060 Tiが60fps以上を記録した設定で、GeForce RTX 2080につけた差は9~14%。同じ条件でGeForce RTX 3070につけられた差は11~15%だった。

 レイトレーシングを最高品質の「ウルトラ」で有効化しても、GeForce RTX 3060 TiはフルHDで60fpsを上回っている。また、DLSSを用いればWQHDまでの画面解像度で60fpsを超えており、GeForce RTX 3060 TiはCall of Duty: Black Ops Cold Warでレイトレーシングによる表現を楽しむことができそうだ。

【グラフ21】Call of Duty: Black Ops Cold War (v1.4.1.8305760)
【グラフ22】Call of Duty: Black Ops Cold War (v1.4.1.8305760)
【グラフ23】Call of Duty: Black Ops Cold War (v1.4.1.8305760)

モンスターハンターワールド : アイスボーン

 モンスターハンターワールド : アイスボーンでは、描画品質「最高」をベースにしつつ、テクスチャ品質を「High Resolution Texture Pack」に設定してフレームレートを測定した。グラフィックスAPIにはDirectX 12を利用している。

 GeForce RTX 3060 TiはWQHD以下で60fpsを上回るフレームレートを記録。GeForce RTX 2080に14~22%の差をつけて上回り、トップのGeForce RTX 3070との差は9~11%だった。

【グラフ24】モンスターハンターワールド : アイスボーン (v15.02.00)

アサシン クリード ヴァルハラ

 アサシン クリード ヴァルハラでは、描画品質を「最高」に固定してベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3060 Tiは、GeForce RTX 2080を9~13%上回り、トップのGeForce RTX 3070との差は7~12%だった。

 GeForce RTX 3060 Tiは、フルHD解像度で平均74fpsを記録しており、この解像度であれば最高画質設定でも多くの場面で60fpsを維持できそうだ。アサシン クリードは30fpsを超えていればプレイは可能なので、フレームレートを妥協して4K解像度でプレイしてみるのも良いだろう。

【グラフ25】アサシン クリード ヴァルハラ (v1.0.4)

ウォッチドッグス レギオン

 ウォッチドッグス レギオンでは、描画品質「最大」をベースに、レイトレーシングを「最大」にした設定と、DLSSを「バランス」で有効化した場合のベンチマーク結果を取得した。

 極端に重い設定を除けば、GeForce RTX 3060 TiはGeForce RTX 2080に2割弱の差をつけて上回る一方、GeForce RTX 3070には15%前後の差をつけられている。

 GeForce RTX 3060 Tiは、いくつかの設定で60fpsを上回っているのだが、今回の設定ではレイトレーシングを「最大」に設定するとVRAM使用量の目安が8GBを超過してしまっている。安定した動作を狙うのであれば、VRAM使用量が搭載メモリ容量を超えないように画質設定を妥協すべきだろう。

【グラフ26】ウォッチドッグス レギオン (v2.20) - レイトレーシング無効
【グラフ27】ウォッチドッグス レギオン (v2.20) - レイトレーシング有効
【グラフ28】ウォッチドッグス レギオン (v2.20) - レイトレーシング有効 + DLSS

Godfall

 Godfallでは、描画品質を最高の「エピック」に設定して、ベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3060 Tiは、GeForce RTX 2080を17~35%上回っており、トップのGeForce RTX 3070との差は13~16%だった。フルHDでの平均フレームレートは75fpsを超えているので、フルHDであれば多くの場面で60fpsの維持が期待できそうだ。

【グラフ29】Godfall (v2.1.17)

Horizon Zero Dawn

 Horizon Zero Dawnでは、描画品質を「最高画質」に設定して、ベンチマークモードを実行した。

 WQHD以下で60fpsを大きく超える平均フレームレートを記録したGeForce RTX 3060 Tiは、GeForce RTX 2080に14~19%の差をつけて上回った。トップのGeForce RTX 3070との差は9~13%。

【グラフ30】Horizon Zero Dawn (v1.32)

Microsoft Flight Simulator

 Microsoft Flight Simulatorでは、描画品質を最高の「ULTRA」にして、フレームレートの測定を行なった。測定は、羽田空港から関西国際空港へのルートをAIに飛行させ、離陸後3分間のフレームレートを測定している。使用した機体は「Daher TBM 930」。

 フルHDではCPUのボトルネックが生じるため各GPUは僅差の結果となっているが、WQHD以上になるとGeForce RTX 3060 TiはGeForce RTX 2080に11~19%の差をつけている。WQHD以上でのGeForce RTX 3070との差は8~16%。

【グラフ31】Microsoft Flight Simulator (v1.11.6.0)

V-Ray Benchmark

 レンダリングエンジンV-Rayのオフィシャルベンチマークソフト「V-Ray Benchmark」では、GPUでレンダリングを実行する「V-RAY GPU」を実行した。

 ここでは、GeForce RTX 3060 TiがGeForce RTX 2080に約65%という大差をつけている。上位のGeForce RTX 3070との差は4~5%なので、ここはGeForce RTX 30シリーズが旧世代GPUに対して強さを見せた格好だ。

【グラフ32】V-Ray Benchmark v4.10.07「V-RAY GPU」

Blender Benchmark

 3DCGソフト「Blender」のオフィシャルベンチマーク「Blender Benchmark」では、OptiXを用いてGPUレンダリングを実行した。

 GeForce RTX 3060 TiはGeForce RTX 3070に次ぐタイムを記録しており、そのレンダリング速度はGeForce RTX 2080を15~57%上回っている。GeForce RTX 3060 TiとGeForce RTX 3070との速度差は13~25%。

【グラフ33】Blender Benchmark

消費電力とモニタリングデータ

 ワットチェッカーを用いて、ベンチマーク実行中のピーク消費電力とアイドル時消費電力を測定した結果が以下のグラフだ。

 GeForce RTX 3060 Tiのアイドル時消費電力は64~65Wで、GeForce RTX 3070の62Wより2~3W高く、GeForce RTX 2080より2~3W低い。GeForce RTX 3060 Tiのアイドル時消費電力が上位モデルより高いのは、GPUそのものの特性というわけではなく、ビデオカードが豪華仕様のオーバークロックモデルであるためだろう。

 ベンチマーク実行中のピーク消費電力については、368~430Wを記録したGaming ModeのGeForce RTX 3060 Tiが、いくつかのテストでGeForce RTX 3070を上回る数値を記録している。同モードでは比較製品中最大の240Wの電力消費を許容されているうえ、GPUコアは大幅にオーバークロックされているので、この数値はとくに不自然なものではない。

【グラフ34】システムの消費電力

 続いて、ROG-STRIX-RTX3060TI-O8G-GAMING(GeForce RTX 3060 Ti)でベンチマークテスト実行したさいに、モニタリングソフト「HWiNFO」を使って取得したデータをグラフ化した。使用したベンチマークテストは「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」で、テスト時の室温は約26℃。

 Gaming Modeで動作中のROG-STRIX-RTX3060TI-O8G-GAMINGは、ベンチマーク中はつねに約1,970MHzのGPUクロックで動作しており、最大動作温度58℃、最大消費電力236Wを記録した。ファンスピードは最大でも1,600rpm弱で、終始静粛性に優れた動作を維持していた。

 Silent Modeでの動作中のGPUクロックは1,900MHz前後で推移しており、最大動作温度は61℃、最大消費電力は220Wを記録した。ファンスピードは最大1,360rpmで、Gaming Mode以上に静粛性に優れていた。

【グラフ35】GeForce RTX 3060 Ti (Gaming Mode) のモニタリングデータ
【グラフ36】GeForce RTX 3060 Ti (Silent Mode) のモニタリングデータ

前世代のハイエンドGPUを凌駕する新世代ミドルレンジGPU

 今回のテストにおいてGeForce RTX 3060 Tiは、前世代のハイエンドGPUであったGeForce RTX 2080に明確な差をつけて上回って見せた。これだけ差がついていれば、ROG-STRIX-RTX3060TI-O8G-GAMINGほど尖ったモデルでなくとも、GeForce RTX 3060 TiにはGeForce RTX 2080に勝るとも劣らない性能が期待できる。

 GeForce RTX 3060 Tiの市場推定価格である399ドルは、前世代のGeForce RTX 2060 SUPERと同額だ。GeForce RTX 2060 SUPERと同じように、5万円前後でGeForce RTX 3060 Ti搭載ビデオカードが発売されれば、フルHDやWQHDでの性能に期待しているゲーマーにとって有力な選択肢となるだろう。

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