Hothotレビュー

手のひらサイズの超小型プリンタ「RICOH Handy Printer」を試す

~重量315g、垂直面にも印刷できるモノクロのインクジェットプリンタ

「RICOH Handy Printer」。ホワイトを含め全3色のラインナップ。ちなみにニックネームはなく、「RICOH Handy Printer」が正式名称とのこと

 リコーの「RICOH Handy Printer」は、さまざま場所への印刷が可能な、手のひらサイズの超小型プリンタだ。アプリ上でテキストを入力し、印字したい位置に本体を載せて横に動かすことで、プリンタに通らない紙や布などに、インクジェット方式での印刷が行なえる製品だ。

 発表以来ネットで大きな話題となったこの製品、実売5万円台とそこそこ高額とはいえ、過去に存在したこのクラスのハンディプリンタは基本的に業務用で、個人ユースを想定した製品はほぼなかったこともあり、個人で興味を持って購入しているユーザーも少なくないようだ。

 今回はメーカーから実機を借用できたので、なにができてなにができない製品なのか、具体的にどのような用途に使えるのかをチェックしていく。なお専用アプリ「Handy Printer by RICOH」は本稿執筆時点ではAndroidアプリのみがリリースされており、本稿ではそれを用いてレビューを行なっている。

片手で持って動かす超小型インクジェットプリンタ

 まず外観と構造を紹介しよう。筐体を横から見た面積は121×81mm(幅×高さ)で、官製はがき(148×100mm)よりもふたまわりほど小さく、一方で厚みは46mmとそこそこある。大雑把にたとえるならば「縦にしたハガキの束をつかんで横に動かす」というのが感覚的に近いように思う。重量は約315g、スマートフォンおよそ2台分ということで、片手でも十分に持てる。

奥行きはCD-ROMと同程度
片手でも余裕で持てるサイズだ。手前はストラップホールもある
上面。電源スイッチと印刷スイッチの2つがある
左側面。給電用のMicro USBポートがある。ちなみに下半分は本体を覆うインクヘッドカバーだ。反対側の右側面はポート類はない
カバー底面にはスライドスイッチがあり、テキスト類をまっすぐ印刷するローラーモードと、画像類の印刷に適したスライダーモードに切り替えられる
利用時にはインクヘッドカバーを取り外す

 プリントヘッドを搭載した底面はインクヘッドカバーで覆われており、使用時に取り外す仕組みだ。この底面にはスライドレバーがついており、カバーを取り外すときにこれをどちらにスライドさせているかによって、直線的な移動(テキストやバーコード向け)か、あるいは上下左右の自由移動(画像向け)かを選択できる。

カバー裏のスイッチを「ローラーモード」にして取り出すと、直線的に移動するためのローラーが露出した状態になる。たいていの場合はこちらのモードを使うことになる
カバー裏のスイッチを「スライダーモード」にすると、自由移動のためのスライダー(黒いパーツ)がローラーの上に取りつけられた状態で取り出される。おもに画像印刷のときに使われるモードだ

 インクカートリッジは顔料インクを採用している。カラーは黒一色で、インクジェット方式のモノクロプリンタという扱いだ。将来的にカラー対応製品が出てくる可能性はあるだろうが、まずは今回のモデルがきちんと売れなければ、事業的にも先の展開はしにくいだろう。個人的には、ハードウェアを新しく用意しなくてはいけない4色カラーのモデル以前に、赤一色のカートリッジなどはニーズがありそうだと感じた。

本体上部を開いてインクカートリッジを挿入する。本体の容積のほとんどをカートリッジが占めていることがわかる
インクカートリッジ。ブラック一色で、顔料インクを採用している。いずれカラー展開もあるかもしれない
印刷にあたっては、本体側面の印刷ガイドを目安に位置合わせを行なう
本体上部、印刷ボタンを押して印刷を開始する。LEDは、バッテリ残量不足の場合などは赤に変わる
横書きの場合は、本体右側面の印刷ガイドを開き、左から右に向かって本体を動かす
縦書きの場合は、本体左側面の印刷ガイドを開き、上から下に向かって本体を動かす

アプリで入力したテキストを簡単印刷

 利用にあたっては、まずAndroidデバイスに専用アプリ「Handy Printer by RICOH」をインストールした状態で、本体の印刷ボタンを長押しし、Bluetoothのペアリングを実行する。完了すると、アプリの画面でテキスト/QRコード/画像のいずれかを選び、それを本体に送信して印刷できるようになる。

 では試しにテキストを印刷してみよう。アプリのメニュー画面を開き、テキスト/QRコード/画像のなかからテキストを選択し、印刷したい文言を入力。続いて「印刷」をタップし、枚数を指定して実行すれば、プリンタにデータが送信される。プリンタは自走式ではないので、画面の指示にしたがって、本体を手で持って動かしてやる必要がある。

専用アプリ「Handy Printer by RICOH」。本稿執筆時点ではAndroidアプリのみがリリースされている。iOSアプリは今年(2019年)夏、Windowsアプリは5月末に公開予定とのこと
テキスト/QRコード/画像の選択肢が表示される。今回は「テキスト」を選択
上段にはアプリに保存するための識別名を、下段には印刷するテキストを入力する。太字、斜体、取り消し線が指定できるほか、フォントサイズは最大32ptまで、フォントの種類は(Androidアプリの場合は)7種類から指定できる
入力を終えて確定させると、下段に「編集」、「印刷」、「削除」といったメニューが表示されるので「印刷」を選択。プリンタを選ぶよう促されるのでタップする(この時点でプリンタの電源はオンになっている必要がある)
プリンタの印刷ガイドを開き、印刷面に乗せて位置合わせを終えておく
印刷画面が表示される。走査方向と繰り返し回数が問題なければ「OK」をタップして印刷を実行する
印刷される内容と動かす方向が表示されるので、それにしたがってプリンタを移動させる。印刷が完了するとこの画面は消える
プリンタを指定された方向に動かす。今回は横書きなので左→右に動かす。なお印刷中に本体を浮かせるとその時点で印刷終了とみなされるので注意が必要だ
印刷完了。解像度は600×600dpiと十分だ。ちなみに濃度はAndroidアプリでは調整できないが、近日リリース予定のWindowsアプリでは調整できるとのこと
テキストを印刷する様子。Androidデバイスから印刷を実行したのち、本体の印刷ボタンを押し、本体を移動させる。印刷時は本体を押し付けず、あくまで自重で移動させるのがコツのようだ

位置合わせはややコツが必要

 実際に試してみて感じるのは、まず「位置合わせが難しい」ことだ。製品ページには「本体側面と、印刷ガイドが交差するところ」が起点と説明されているが、それが具体的にどこを指すのか、またフォントサイズの変更時や縦書きの場合はどうなるのか、やってみなければわからないというのが正直なところだ。

 というわけで、検証してみた結果が以下のとおりだが、印字はガイドのちょうど「左上」が起点となって印刷され、フォントサイズを変更した場合も左上を基準に拡大/縮小される。縦書きの場合も、ガイドの「左上」が基準になるようだ。

 ただし、こうした基準位置がわかっていても、ミリ単位での印刷位置の調整は難しい。印をつけた紙や方眼紙を使って狙ったところに印刷できるよう練習したり、紙の下にカッティングマットを敷いてズレないようにする対策を施しても、5mm程度のズレは起こりうる。そうした特性を踏まえて用途を逆算したほうがよいだろう。

正確な印刷位置を把握するために、本体と印刷ガイドが交差するところにマーカーで赤い印をつけてみる
上から見たところ。マーカーでつけた印に対してどの位置に印字されるかを試す
印刷結果。本体と印刷ガイドが交差した位置が、文字のちょうど左上に来るようだ
フォントサイズの拡大/縮小は、左上を基準に行なわれるようだ。ちなみにフォントサイズは6~32ptの間で調整できる
では縦書きの場合はどうだろうか。こちらも同様に、本体と印刷ガイドが交差するところにマーカーで赤い印をつけて印刷を実行してみる
印刷結果。縦書きの場合も同様に、本体と印刷ガイドが交差した位置が、文字のちょうど左上に来る

 もう1つ、画像の印刷についてもチェックしておこう。画像は、デバイス内にある画像ファイルを指定すればよく、操作方法はテキストと変わらないのだが、複数行に分割して印刷することが、テキストと大きく異なる。

 具体的には、ヘッダが通過する位置をずらしながら左→右、右→左へと移動させるのだが、インクが重なったり、あるいはスキマが発生したりと、微妙なズレはどうしても発生する。ベタ塗りではなく間隔が粗い点描などでは違和感も少ないが、いずれにせよ本製品の特性に合わせて絵柄の側を選ばなくてはならず、実用性はいまいちというのが正直な感想だ。

Androidデバイスに保存済みの画像を指定して印刷できる。サイズの調整も可能だが、印刷完了のたびにリセットされるのがやや難
印刷可能サイズは最大で127×182mm。A5サイズ(148×210mm)よりひとまわり小さい程度と、そこそこ大きなサイズまで対応する
冒頭で紹介した「スライダーモード」に切り替えた上で、ヘッダの高さだけ本体をずらしながら、左→右、右→左と往復させて印刷を行なう
典型的な失敗例。インクが重なって色が濃くなったり、あるいはヘッダの幅以上にずらしたことでスキマが空いたりと、かなりのコツを必要とする
実際に画像の印刷を行なっているところ。ヘッダの高さだけずらしながら、左→右、右→左と往復させることで印刷を行なう。蛇行しないようなるべくゆっくりと動かすのがコツのようだ

なにができてなにができないか

 本製品は非常に汎用性が高く、使い方もユーザーの創意工夫にゆだねられる部分が大きい。そうした意味では、本製品でなにができるのかに加えて、なにができないのかも知っておくことが望ましい。ここでは本製品で「できること」と「できないこと」を、理由とともに見ていこう。

 まず「なにに印刷できるか」だが、本製品が顔料インクを使用したインクジェット方式であることを知っておけば、おのずと特性は理解できる。つまり家庭用インクジェットプリンタと同じで、コピー用紙よりもインクジェット専用紙のほうがクオリティは上がる。またインクジェット印刷に対応したCD-ROMなどにも対応する。

 一方で、フィルムやセロハンテープなどは、インクを弾くので印刷が行なえない。段ボールへの印刷はできるが、段ボールに封をしているガムテープには印刷ができない。このあたりはまさしくインクジェットプリンタの特性そのままだ。

インクジェット印刷に対応したCD-ROMなどにも印刷可能。Androidアプリでは、ネットで人気(?)の創英角ポップ体も指定できる
セロハンテープを貼った中央部分のみインクが定着せず、指でこするとこのように汚れてしまう

 また、布への印刷は、不可能ではないが、目の粗い布はインクが乗らないことに加えて、布の上を一定のペースで動かすのが難しく、印刷時に本体を布に押し付けすぎると、布が引っ張られて縦横の比率がおかしな文字が印刷されてしまう。また布の素材にもよるが、洗濯するとインクが落ちてしまう(後述)。

布への印刷は、きめ細かい布地であれば可能だが、布が引っ張られるなどして文字の幅がおかしくなることもしばしばだ

 つまり、印刷できるか否かはあくまで素材によるので、インクが乗りさえすれば紙や布以外、たとえば壁紙などでも印刷は可能だ。バンクシーよろしく街中のあちこちに落書きをして回る用途にも使えるかもしれない(落書きは犯罪である。念のため)。

 もう1つ「印刷時の条件」についても、知っておいたほうがよい。本製品での印刷には、印字部の下に一定の余白が必要になる。ヘッドの下にある光学センサーレンズが印刷面を読み取る必要があるためで、具体的には、印字の基準となるガイド左上を起点に、その下に45~50mmの余白が必要だ。

光学センサーレンズ(○印)は、印字面と同じ高さに載っている必要があるため、印字の上端を起点に45~50mmの余白がその下に必要となる。この写真のように余白はあっても段差がある場合、これ以上印字位置を下げられない

 このほか、印刷する部分をヘッドが完全に通過しなくてはいけないので、本体の移動方向、つまり横書きだと右側に障害物がある場合も、本体がそれ以上移動できなくなり、印刷がストップしてしまう。たとえば(そうした用途があるかは不明だが)段ボール箱の内側になんらかの印刷を行なう場合、端まで印刷するのは難しい。

 一方で、印刷面については自由度が高く、積み上げた段ボールの側面など、垂直面にも印刷が行なえるのは、本製品の強みだろう。また本体をひっくり返し、天井面に印刷することも可能だ。

 ちなみに本製品はバッテリで約2時間の駆動が可能だが、本体側面にある充電用USBポートから給電を行ないながら使うこともできる。同じ内容を大量に印刷する場合などは、バッテリの減りを気にせず利用できるこの使い方のほうが便利そうだ。

具体的にどんな用途に使えるか

 以上を踏まえて、具体的にどんな用途に使えるか考えてみよう。

 「既存のプリンタでは印刷できず、手書きもなるべく避けたい」用途として真っ先に思いつくのは、祝儀などの宛名だろう。まさに本製品の用途としてはおあつらえ向きだが、台紙中央への垂直の印字を一発で決めるのは、かなりの練習を必要とする。

 とくに祝儀袋のように、ミスをすると買い直しなどのコストが発生する場合は、事前の練習は欠かせない。台紙が動かないよう、テープで仮止めするなどの工夫も必要だろう(メーカーはカッティングマットに乗せることを推奨している)。

祝儀袋の宛名印字に適するが、位置合わせはある程度練習してからのほうがよい
ヘッダが汚れているとインクジェットプリンタにありがちなかすれが発生するので、重要な印刷を行なう前にはヘッド部をクリーニングしておきたい

 同じ理由で、封筒などの郵便番号の枠内に、ずれないように郵便番号を印刷するのは、かなり難しい。位置合わせの問題に加えて、アプリ側に文字間隔を調整するメニューが用意されておらず、半角スペースを間に入れて調整しなくてはいけないのもネックだ。

郵便番号のような微妙な位置合わせはかなり難しい。何枚も印刷することを考えると現実的ではないだろう
文字間隔の調整メニューがないので、半角スペースで間隔を微調整しなくてはならない

 一方で差出人や宛名の印字のように、厳密な位置合わせが必要ない印字は、本製品向きと言っていいだろう。相手のメールの署名欄から住所をコピーしてそのままアプリに貼り付ければ、手入力すら不要だし、いったんアプリに登録しておけば、いつでも呼び出して使える。専用封筒を発注するほどでもない小ロットの印刷は、まさにおあつらえ向きだ。

 ただし、封筒の裏面、折り目の段差にローラーがひっかかる場合があるのと、段差の部分はインクがうまく乗らないので、注意する必要はある。複数行の印刷にも対応するが、2行目以降の位置がずれると不格好なので、こちらもやはり事前のテストは欠かせない。

住所および宛名は、行数とフォントサイズにもよるが、複数行に分かれて印刷される。アプリ側の指示にしたがってプリンタ本体を動かす
これは住所部分を印刷したのち、続けて建物名と宛名を印刷しようとしているところ
開始位置を間違えると、このように最初に印刷した行とずれてしまうこともしばしばだ
住所や名前などを登録しておき、呼び出して印刷できるのはメリットだ
封筒の段差などにひっかかるとこのように文字が潰れるので要注意。ちなみに印刷方向を逆の右→左へと切り替えることはできないようだ

 同じく業務用途では、段ボールなどへのバーコード印刷や、管理ラベルの印刷はお手の物だ(バーコードの印刷には同社サイトで公開されているSDKが必要)。連番を印刷する機能もあるので、印字しながら在庫の個数をカウントすることもできる。

 なおQRコードについては、一辺のサイズが最大12.7mmまでと、1行で印刷できるサイズに抑えられている。おそらく2行以上に分けて印刷すると読み取りの精度が下がって使いものにならないためだろう。実質的には、名刺などに追加でQRコードを入れる用途くらいではないだろうか。

段ボールなど垂直面への印刷もお手の物。段ボールは相性の悪い素材がある可能性もあるので、事前にテストはしておきたい
連番を印刷する機能もある。棚卸時に連番を打っていき個数をカウントするなどの用途にも使えそうだ
QRコードの印刷にも対応する。ちなみにバーコードはSDKが必要となり、アプリ単体では出力できない
QRコードの作成画面。誤り訂正レベルを4段階、セルのサイズを3段階から指定できる。一辺の最大サイズは12.7mmとあまり大きくない

 兄弟姉妹が多い家族で、肌着などに名前を書く用途に使えると便利そうだが、前述のように布の素材を選ぶのと、印刷時に横方向に変倍がかかりがちなのがネックだ。また素材にもよるが、洗濯を繰り返すとじょじょに消えていき、1~2回の洗濯でほぼ見えなくなることもある。

 ただし洗濯が不要か、もしくは洗濯の頻度が少ない用途であれば、使いみちはある。たとえば、上履きに名前を書く場合や、あるいはコスプレや学芸会の衣装、スポーツイベントなどで単発で使うゼッケンのように、1回使ってそれっきりになる用途であれば、役立つこともありそうだ。

布への印刷はこのように蛇行したり、文字が引っ張られて横長になることもしばしば
洗濯を繰り返すと色落ちする。これはポリエステル100%の布の場合で、上から順に印刷直後、洗濯(1回目)、洗濯(2回目)
もっとも素材によっては一定レベルからは色落ちしないことも。これは綿100%のタオルだが、洗濯の1回目と2回目(中段と下段)で、色はほとんど薄くなっていない。素材に依存するところが大きいようだ

 余談だが、ちょっと変わったところでは、肌への印刷もできてしまう。強くこすればすぐに取れてしまうほか、石鹸水で洗い流せば簡単に落ちてしまうレベルだが、なにかしら使いみちはあるかもしれない。ちなみに同社のFAQでは肌へのプリントについてはっきりと「できません」と記されているので、あくまで非推奨ということになる。

般若心経を肌にプリントすると耳なし芳一の気分になれる。ただし前述の印字位置下の余白がないことから、耳への印刷は難しそうだ

汎用性は抜群、価格なりの価値はある一品

 以上のように、単に印刷するだけならば誰にでも簡単に扱える一方で、位置合わせなど特性を理解してしっかりと使いこなすには、相応の慣れが必要になる製品だ。

 とくに複数行の印刷や画像印刷など、すでに印刷済みの行と位置を合わせての印刷は難易度が高く、これをマスターするには、とにかく数をこなすのが手っ取り早いだろう。本製品の使い方をいち早くマスターした人が、ハンディプリンタ要員として社内で引っ張りだこになる(酷使されるとも言う)光景が目に浮かぶようである。

重量は約315gと、片手で持てる軽さは本製品の大きな利点だ

 競合と呼べる製品はあまり見当たらないが、強いて挙げればラベルプリンタだろう。本製品であれば、わざわざラベルに出力して貼りつけるという二度手間をかけなくても直接印刷でき、見栄えもよい。また直接印字できない素材であっても、インクジェットプリンタ用のラベルに印字してから貼り付ければ、実質的にラベルプリンタの代替にもなる。そうした意味で、汎用性は非常に高い。

ともあれ、しっかり使い込んでモノにしさえすれば、5万円台という価格なりの価値は十分にあり、一家に1台、オフィスに1台あるときわめて便利だろう。過去のハンディプリンタとは似ているようでまったく異なる製品ゆえ、今後ユーザーの手でどのような用途が生み出されるのか、じつに楽しみである。入手した人は、今回紹介したような特徴も踏まえつつ、自分なりの使い方を探してみてほしい。