いま、ここにあるエッジAI

ファイル検索にもAIが活躍。クラウドも一括検索でき、写真解析も行なうQuikFynd

QuikFynd Desktop Searchの利用イメージ

 Windows 10にはローカルファイルを検索、その内容を見てインデックス(ないしはタグ)を自動で作成することで、ファイル検索を高速に行なえるようにする「Windowsの検索」という機能が用意されている。Windowsの検索は各種アプリがデータを検索するのに使われるほか、ローカルストレージの検索するもは便利な機能になっている。

 しかし、クラウドストレージに関しては、MicrosoftのOneDriveのようにキャッシュをローカルストレージ上に作成するファイルに関しては有効だが、DropboxやGoogle Driveなど、サードパーティのクラウドストレージ上のファイルを検索することはできない。そうしたクラウドストレージにだけファイルを置いているユーザーも多く、素早く目的のファイルを探すには別の手順を講じる必要がある。

 そこで、ローカル/クラウドを問わずファイル検索できるアプリを提供しているのが、QuikFyndの「QuikFynd Desktop Search」だ。加えて、写真についてはエッジAIを活用して、自動分類する機能も搭載している。価格は56ドルで、30日間は無償利用可能。

クラウドストレージ上のファイルも横串的に検索可能にするQuikFynd

 一般的にファイル検索というと、ファイル名を検索するというイメージを持たれている読者の方が多いだろう。そのため、ファイル名にはそのファイルの概要を示すような言葉を入れておく、それがPCを使いこなすテクニックの1つであることは間違いない。

 だが、Windowsの場合、ファイル検索にはもう1つの方法がある。それは、あらかじめファイルの内部を分析し、キーワードなどでインデックス作成(タグ付け)を行ない、より高度に検索をする方法だ。これは「Windowsの検索」と呼ばれる機能で、「設定」の「Windowsの検索」から、インデックスを作成しておくフォルダを指定することで、そのフォルダの検索を高度にかつ高速に行なえるようにしている。

 そうやって聞くと、いいことだらけのように思えるが、このWindowsの検索で検索するフォルダを増やせば増やすほど、Windowsは常時CPUの処理能力を使ってファイルの内部を解析し、インデックスをローカルストレージに作成するため、CPUとストレージに常時アクセスが続くことになる。

 デスクトップPCであればそれでもいいいのだが、ノートPCのようにリソースが十分でなかったり、バッテリ駆動時間へのインパクトということを考えるとあまり嬉しくないのも事実だ。

 また、もう1つの問題は、現代のPCユーザーがデータを置く場所はローカルストレージとは限らないという課題がある。Windowsの検索がインデックスを作成できるのはローカルストレージ上にあるファイルのみとなる。OneDriveのように同期ツールを利用してファイルのキャッシュコピーをローカルストレージに作成できるクラウドストレージに関しては、インデックスを作成できるのだが、そうした同期ツールを利用しないクラウドストレージにあるデータは検索できいない。

 そうしたOS側の検索機能を補うためのツールとして提供されているのがQuikFynd Desktop Searchだ。QuikFynd Desktop Searchはローカルのストレージ上にあるファイルはもちろんのこと、クラウドストレージ上にあるファイルのインデックスを作成し検索することができる。

 従来、「Core i7」というキーワードでファイルを探したい場合、ローカルストレージにあるファイルはWindowsの検索を利用して、クラウドにあるファイルはクラウドストレージが提供していているツールをして検索していたものが、QuikFynd Desktop Searchでは両方を検索対象にして検索できるようになる。

QuikFynd Desktop Searchでファイルを検索しているところ
検索だけでなく、分析をすることも可能

マシンラーニングを利用したエッジAI機能を実装、OpenVINOやIntel DL Boostで最大10倍の性能向上が可能に

写真をエッジAI推論を利用して自動インデックス(タグ)作成が可能に

 QuikFynd Desktop Searchの特徴は、横串検索ができることだけでなく、インデックスの作成もモダン化されていることだ。Windowsの検索のインデックス作成はファイルを解析してキーワードを抽出するという仕組みで、Word/Excel/PowerPointやPDFといったオフィスアプリで一般的に利用されているファイル形式に対応している。

 それに対してQuikFynd Desktop Searchでは、マシンラーニングベースのエッジAIが導入されている。それにより、画像の識別も可能となっている。また、人である場合には、顔認証の仕組みを利用して、それが誰なのかを認識する(もちろん最初はそれが誰なのかを学習させる必要があるが)。

 文字が含まれる画像については、文字認識をしてそれをインデックス保存できる。これにより、たとえば、プレゼンのスライドをカメラで撮影して保存している場合も、後でテキスト検索ができるのだ。

文章ファイルも自動でインデックス作成が可能

 これらQuikFynd Desktop Searchの画像認識、物体認識、文字認識は、ローカルのCPUやGPUを活用して行なわれる。このため、CPU/GPUのリソースを効率的に使うことが、高速にインデックスを作成するうえで重要になる。QuikFyndによれば、そうした高速化には2つの手法が使われている。1つはソフトウェア的な最適化であり、もう1つが最新のCPUで提供されている新しい命令セットへの対応だ。

 ソフトウェアの最適化という観点では、Intelがマシンラーニングを利用したAIソフトウェアの最適化のために提供しているOpenVINOツールキットが利用されている。QuikFyndによれば、OpenVINOを利用することで、性能の最適化が従来よりも迅速に行なうことが可能だったということだ。

 CPUの最新命令セットについては、Intel Deep Learning Boost(以下Intel DL Boost)に対応している。Intel DL Boostは、Intelのベクター系拡張命令の最新版となるAVX-512の追加命令として導入されたAVX512_VNNI (Vector Neural Network Instruction)という命令のブランド名となる。

 AVX512_VNNIを利用すると、FP32(32bit精度の浮動小数点演算)をINT8(8bitの整数)に置き換え、ディープラーニングの推論処理を行なうことが可能になる。FP32をINT8に置き換えることで精度は低下するが、推論の場合には大きく影響がないことがわかっているため、推論時の性能を上げるさいの手法として広く利用されている。

 このIntel DL Boostは、データセンター向けプロセッサでは第2世代Xeon Scarable Processors以降のCPU、クライアント向けCPUでは第10世代Coreプロセッサー(Ice Lake)と第11世代Coreプロセッサー(Tiger Lake)で対応しており、両CPUを利用しているノートPCで有効にして、検索やインデックス作成をより高速に行なうことが可能になる。

 QuikFyndによれば、OpenVINOによるCPU/GPUへの最適化、さらにはIntel DL Boostに対応した最新CPUを活用することで、使わない場合と比較して10倍の性能向上が実現されているという。

 このように、QuikFynd Desktop Searchは、最新の技術を活用することで効率的なインデックス作成を実現している。ファイル検索の新しい可能性を示すツールとして十分注目に値すると言えるだろう。

[制作協力:インテル]