山田祥平のRe:config.sys
インフラは存在を忘れるくらいがちょうどいい
2025年7月12日 06:12
壊れてはいないのに調子が悪い。そんなアナログなイメージのトラブルがある。壊れていないからトラブルの再現性も希薄だ。AIによる故障の予測や異常検知も注目されているが、止まっては困るのは製造ラインだけではない。一般家庭のネットワークも重要なライフラインだ。決して止まらず動き続けてほしい。
ONUの寿命に備える予防交換
前回は、11年超使い続けたプリンタのリプレースについて書いた。だましだまし使ってきたプリンタがついに復旧できなくなった話だ。プリンタであれば発注すればすぐに新品が届くし、緊急にはコンビニプリントでも代替できる。
だが、ネットワークはそうはいかない。電気やガス、水道などのネットワークと同じくらいに安定していてほしいのがインターネットなのだが、やはり止まるときは止まる。そして、多くの場合、原因は宅内の装置なのだが、原因究明が難しい。
自宅とオフィスを兼ねた宅内ネットワークはNTT東日本のフレッツ光ネクストに頼っている。その利用のために、光ファイバーケーブルを通ってきた光信号をデジタル信号のEthernetに変換する装置であるONU(Optical Network Unit)を同サービスのレンタルで宅内に設置している。光回線終端装置とも呼ばれる機器で、それより内側が自前の宅内ネットワークとなる。
そのONUがこの1年ほど安定しない。酷暑が続くというのもあるが突然ネットワークが止まるのだ。いったん電源ケーブルを抜いてしばらく待ち、再装着してリスタートすると何ごともなかったかのようにネットワークが復活する。
この機器はレンタルなので、自分で勝手に置き換えるわけにはいかない。うちは光電話も使っていないので、装置は純粋に光とEthernetの相互変換のみの単能機だ。
コンセントの抜き差しで復活するとはいえ、いつまでも放置するわけにはいかない。そもそも以前はこんなに頻繁に落ちることはなかった。
NTTに連絡し、事情を話すと、サービスマンが来てくれることになった。経年による不具合発生と見なされ費用もかからないはずだという。実際、訪問したサービスマンは装置を見て、それが1世代前の機器であるとし、持参した新機種に置き換えてくれた。サービス側の記録では、そのONUは17年間稼働し続けているという。
だが、2017年にBフレッツからフレッツ光ネクストに移行したときにもONUはそのままだったようだ。まあ、ちゃんと動いているだけえらいとも言えるが、さすがに17年というのは一般的な耐用年数を過ぎている可能性がある。何があってもおかしくない。
本当なら、こちらから依頼しなくても、耐用年数を過ぎた機器は、サービス側から置き換えを申し出てほしいものだ。
ONUの置き換えによって、ネットワークの不具合がなくなったかどうかは分からない。実は置換して2週間経過後に一度停止しているのだ。ぶらさがっている宅内ルーターは正常稼働しているのに、ONUだけが機能を停止した。これも電源の再投入で復帰した。
置換後2週間でトラブルはこれだけだ。本当は存在を忘れるくらいの安定を望みたいし、実際、導入時の17年前はそうだった記憶がある。新しいONUはGE-ONUという製品で、提供開始は2019年頃からのようだ。その置き換えで500Mbps程度だった下りは、安定して700Mbpsを超えるスループットが得られるようになった。
ただ、現在は約20GB/日のダウンロードトラフィックで、17年前のトラフィックとは比べものにならないはずだ。機器が音を上げるのも無理はないとも言える。
Amazon eeroへの置き換えでインフラを刷新
異なるインフラ機器を一度に取り替えると、トラブルが起きたときに何が悪いのかを調べるのがやっかいになるので、できれば避けたいとは思ったが、今回は、ONUに直結し、我が家のデフォルトゲートウェイとなるルーターも置き換えた。ちょうど、AmazonのWi-Fiルーター製品「eero」のシリーズが刷新されてIPoEをサポートするようになり、Wi-Fi 7にも対応したというので試させてもらうことにしたのだ。
「eero」は2014年にシリコンバレーで誕生したWi-Fiテクノロジーの専業スタートアップで、2019年にAmazonによって買収され、現在は、完全子会社として家庭での無線メッシュネットワークシステムを提供している。
既存のルーターはバッファローの製品でWXR-1900DHP3を使っていた。2017年に置き換えたものだ。今回はこれをeeroに置き換えた。接続方法は変わらずIPoEだ。
IPoE(IP over Ethernet)はISPとIPv6接続し、その上でIPv4の通信を行なうもので、プロバイダによってDS-Lite(Transix)とMAP-eの2方式が使われている。自宅のインターネット接続を担うIIJmioは、前者のDS-Lite(Transix)方式を使っている。
スマホにeeroアプリをインストールし、既存の全ネットワークを停止、アプリの指示に従ってセットアップを進める。eeroには2つの5Gbps Ethernetポートがあるので、その1つをWAN側としてONUを接続、もう1つのポートをLAN側として8ポートのハブを接続し、既存ルーターは電源を切断して取り外した。
このあと、eeroのファームウェアが更新され、再起動後、無事にインターネットに接続された。ただ、すべてオート設定なので、このルーターがどのような方式でどこにつながって、どのような状態でインターネット接続ができているのか具体的なことは分からない。
接続を確認した後、本来なら何もしなくてもいいのだが、eeroのDHCPサーバーのリース範囲を変更し、既存のプリンタのIPアドレスを予約固定した。やったことはそれだけだ。
気になるのはセットアップされる宅内のIPアドレスプレフィックスがオートで192.168.0.0/16になっていることで、これがクラスBネットワークなのだ。eero Pro 7は仕様として1ユニットで200台のデバイス接続をサポートするようだが、後日のメッシュネットワーク拡張に備えてとはいえ広すぎる。ちょっと気になるデフォルト値だ。
オートにすべてをおまかせ
eeroの各種機能の多くは封印されている。たとえば「インターネットバックアップ」という機能がある。これは、何らかの理由でWAN側のサービスが使えなくなった場合、代替する別のネットワーク、たとえば、スマホのテザリングなどにネットワークのルーティングを変更する機能だ。
この機能を使えば、家のインターネットが使えなくなったときに、自分のスマホのテザリングをオンにするだけで、いつものようにほかの機器からのインターネット接続ができるようになる。
さまざまな付加価値機能はeero Plusサービスへの登録による有料サービスの利用が必要だ。eeroの基本的な利用そのものは無料でできるが、ちょっとした管理機能の多くは有料サービスの利用が求められる。高度なネットワーク機能を自分の判断で有料で使うのか、何もせずにオート設定にまかせてしまうのか。
ほとんどの場合、どちらを選んでも、得られる環境はそう変わらない。ほとんどをおまかせですませることができ、それでも不満を感じない。それがこの製品のすごいところだと思う。これほど不満のないオート設定はなかなかない。
なお、既出荷済み製品のIPoE対応は順次、IPoE接続時のIPv6ネイティブ通信サポートについても今年の夏頃にはアップデートによって可能になるという。本当ならそのファームウェアの更新も勝手にやっておいてほしいというのが多くの一般市民だろう。











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