4K修行僧

PS4には無理でも、PCなら4Kでゲームのプレイ、録画、配信ができるか!?

~ちょっとしたお知らせもあり

いつも形から入る4K修行僧(虚弱体質)

 前々回(4K HDR対応のPS4 Proと30万のAVアンプを買ってみた。そして、また罠にはまった)お伝えしたとおり、PlayStation 4 Proを購入し、4Kでゲームをプレイする環境が整った。PS4 Proは、最新世代のゲーム機らしく、プレイしている間も自動的にプレイの様子が録画されており、うまくいったシーンを即YouTubeやFacebookにアップロードしたり、あるいはプレイ全体を生配信する機能も標準搭載されている。

 筆者もたまに録画したものをYouTubeにアップしたりしているが、ちょっと不満がある。それは、ゲームを4Kでプレイしても、録画・配信の解像度はフルHD止まりとなっている点だ。録画においてはフレームレートも30フレームに留まる。格闘ゲームは60フレームが標準なので、30フレームだとだいぶかくついて見える。

 4K TVを買って、YouTubeもTVだけで観られるようになったけど、解像度がフルHD止まりだったり(4K TVをフル活用すべくPCを繋いでみたけど、割と八方ふさがりだった件参照)、PS4 Proを買って4Kでゲームができるようになったけど、HDRだとやはりフルHD止まりだったり(4K HDR対応のPS4 Proと30万のAVアンプを買ってみた。そして、また罠にはまった参照)と、なかなかバシッとフル4Kになってくれない。まあ、まだ移行期なのでそんなものなのだろう。

 ただ、4Kでのゲームプレイ、そして録画、配信ということについては、PCならできる可能性がある。もちろんPCは4Kでゲームプレイができる。録画については、最近のGPUのエンコーダはなかなか高性能なので、4Kで録画もできそうだ。また、YouTube Liveは配信も4K60pまで対応しているらしい。

 と言うことで実際に、PCでの4Kゲームプレイ、録画、配信がどれくらい現実的なのかを試してみることにした。

 検証にはパソコン工房からお借りしたゲーミングPC「LEVEL-C122-LCi7-VNR」を利用した。本製品は、CPUにCore i7-7700K、メモリ8GB、SSD 240GB、HDD 1TB、GeForce GTX 1080、OSにWindows 10を搭載するハイエンドながら、水冷を採用することで、コンパクトな筐体に収めることに成功している。税別価格は169,980円。今回はこのマシンをメモリ16GBにBTOしたものをお借りした。

 また、PS3/PS4/PCに対応する、日本ではまだ発売されていないRazer製アーケードコントローラ「Panthera」をRazerから特別にお借りできた。Razerでは、日本国内発売の準備を進めている段階という。米国での価格は約200ドル。発売当初はPS3/PS4用だったが、現在はPC用のXInputドライバも用意され、PCでも利用できる。3月には、遅延を抑えた新ファームウェアも公開されている。

 今回は、この環境にて、PCでPS4 Proを超える4Kゲーム体験ができるかを試してみる。また、その高い性能を活かした動画編集などについてもみてみたいと思う。

お借りしたパソコン工房の「LEVEL-C122-LCi7-VNR」とRazerの「Panthera」を自宅に設置してみた。撮影用にあえてローテーブルの上に置いているが、本体はコンパクトなので置きっぱなしにしていても意外と邪魔にならない
PCの側面
CPUクーラーに液冷を採用することで、GeForce GTX 1080も収納可能としている
上部にはPS4用のタッチパッドや各種ボタン、側面にOption、Shareボタンを装備
Razerロゴのボタンを押すと、ボンネットのように開き、ボタン類をメンテナンスできる

4KネイティブでストリートファイターVをプレイ

PC版ストリートファイターV

 一口に「4Kでゲーム」と言っても選択肢はいろいろあるが、すでにPS4版を個人的に所有している「ストリートファイターV」を選んでみた。同タイトルはPC版とPS4版があり、クロスプラットフォームでネットワーク対戦もできる。ただし、PCとPS4とでそれぞれアカウントは別扱いとなるので、実績などは異なるし、PS4版を持っている筆者も新規購入が必要となる。もちろん追加キャラクターパスなどのDLCも共有できない。

 さて、先ほど筆者宅にてPS4 Proで4Kでのゲームプレイ環境が整ったと書いたが、これはより正確には「ゲームによって」というただし書きがつく。と言うのも、ネイティブ4Kレンダリングには非対応のものも多くあるからだ。ストリートファイターVもまさにそれで、PS4 Proで4K TVにつないだ場合、画面はフルHDレンダリングしたものが4Kにアップスケールされた状態で表示される。

 一方、PC版ストリートファイターVには、ネイティブ4Kの設定がある。「オプション」を開くと、PS4版にはない「グラフィック設定」があり、4Kディスプレイ利用時はここに「3,840×2,160ドット」の選択肢が表示される。また、レンダリングの品質も、「アンチエイリアス」、「ポストプロセス」、「シャドウ」、「テクスチャー」、「エフェクト」の5つの項目に対して、低~最高の4段階で設定が可能となっている。

 ひとまず、4K解像度で、品質はすべて最高の設定でプレイしてみたところ、通常時はだいたい60fpsを維持できていた。4Kネイティブでは、アップスケールされたPS4版と違い、キャラクターはもちろんのこと、背景の潰れがちな細かい線まで緻密に描かれている。4Kでプレイした後では、4KにアップスケールしたフルHDですら、DVDを観ているかのような画質の落差を感じる。なお、体力ゲージやVゲージなどはPC版でもフルHDのものをアップスケールしたものが表示されるので、ここは常にややぼやけたものとなる。

 ただ、フルHDではまったく60フレームを切らないのに対し、4Kの最高画質設定ではときおり56フレーム程度になることがある。それだけならゲーム性にはほとんど影響ないのだが、クリティカルアーツと呼ばれる、いわゆるスーパーコンボ利用時は、キャラの顔が大写しになり、グラフィック的にも特殊効果が表示され、このときフレームレートががくっと落ちたり、スローモーションにもなってしまう。

 試した結果、全ての品質を「中」にしておくと、4Kでもフレームレートは安定するが、どれか1つでも「高」にするとコマ落ちやスローモーションが発生する。4Kで快適にプレイするには、中設定がお勧めだ。終始ユーザーが視点を向けているキャラクターについては、ぱっと見では最高設定と中設定の区別がつかない。中にすると、陰影表現がやや簡易的で荒くなるほか、アンチエイリアスがかかってない、HDR効果がかかってないなどの技術的な違いは多くあるが、キャラクターの印象はプレイ中ほとんど意識できない程度。そもそも、PS4版はおそらくPC版の中画質相当なので、PC版で中にすると、レンダリング品質は同等で、解像度は4倍ということになる。

 もう少し低スペックなPCでは、低設定も検討しなければいけないかもしれない。そのときは、シャドウとポストエフェクトは中でほかを低にするのがお勧めだ。テクスチャーが低だと、背景が一気に低品質になるが、キャラクターへの影響はほとんどないアンチエイリアスも低にしても気にならない。だが、シャドウが低だと、キャラが動く度にちらついてバグかと思うほど気になる。そして、低ポストプロセスは、低シャドウほど気にはならないが、アンビエントオクルージョンが無効になって、全般的にキャラが本来より明るくなるので、雰囲気が変わってくるからだ。

解像度4K、すべて低画質設定。背景のテクスチャがかなり低品質。キャラの影表現も相当端折られている。アンビエントオクルージョンが効いておらず、キャラが全体的に明るい
解像度4K、すべて中画質設定。背景の品質は一気に上がる。このキャラクタではわかりにくいが、右のウエイトレスなどを見ると、洋服の影やお盆などの陰影処理が粗い
解像度4K、すべて高画質設定。アンチエイリアスがかかり、陰影はグラデーションで表現されている。電灯や月など明るい部分にHDR的な表現もされている
解像度4K、すべて最高画質設定。フレームレートが下がる点からも、諸々の点で高画質よりも高度な処理がされていると思われるが、どこが変わっているのかはちょっと不明

 ちなみに、1ゲーム終了時の決めぜりふのシーンも顔の大写しになるが、高画質設定では、やはりフレームレートが極端に落ちる。ストリートファイターVがここまで重いとは意外だった。GeForce GTX 1080でこれなのだから、PS4版がネイティブで4Kレンダリングに対応しないのもうなずける。

ゲーム画面と見紛う品質の録画が可能

 次に、ゲームの録画について見てみよう。

 GeForce用の純正ユーティリティ「GeForce Experience」を利用すると、ゲームプレイ時の録画と配信ができる。「Alt」+「Z」を押すと、そのメニューが表示される。

GeForce Experienceを呼び出したところ

 「録画する」をクリックし、「起動」を選ぶと録画が開始される。起動の下の「カスタマイズ」をクリックすると、録画画質を設定できる。「低」、「中」、「高」のプリセットもあるが、「カスタム」を選ぶと、解像度、フレームレート、ビットレートを個別に指定できる。解像度は4Kまで、フレームレートは30fpsか60fpsを、ビットレートは30~130Mbpsまで10Mbps刻みで選べる。

録画は最大で4K、60fps、130Mbpsまで指定可能

 LEVEL-C122-LCi7-VNRに搭載されるGeForce GTX 1080なら、4K/60fps/130Mbpsの最高設定で録画しても、ゲームの性能には大きな影響を与えないようだ。最高画質設定では、録画することでフレームレートが低下する場面が増えがちだが、そもそもこの画質では録画をしていなくても60fpsの維持ができない。グラフィック設定を中に落とせば、4K/60fpsでプレイしつつ、ビットレート130Mbpsでの録画が可能となる。

 この最高画質の動画の品質は、素晴らしいの一言に尽きる。圧縮によるアラがまったく見えないので、普通にプレイしている画面とまったくと言って良いほど区別がつかない。BDとUHD BDの比較では、ぱっと見で4Kによる画質向上を区別できないこともあったが、エッジのシャープなCGでは一目見ただけでアップスケールフルHDとネイティブ4Kの違いを明確に体感できる。

 YouTubeにその動画をアップロードしているが、YouTubeでは圧縮がかかってしまうので、元ファイルもダウンロードできるようにした。そちらもご覧いただきたい。フレームレートは60fpsを維持できていないが、ゲーム画面も最高画質にしたうえで録画したものも用意している。

4K低画質※オリジナルファイルはこちら
4K中画質。このあたりまでは60fpsをおおむね維持できる※オリジナルファイルはこちら
4K高画質。スーパーコンボを出すと、フレームレートが落ち、スローモーションになることも※オリジナルファイルはこちら
4K最高画質。最高画質で録画も最高画質設定だと、必殺技を出さなくても頻繁に60fpsを切ってしまう※オリジナルファイルはこちら
フルHD最高画質。録画は4Kなので、スケーリングされている

 GeForce Experienceには、録画以外に、「インスタントリプレイ」の機能もある。こちらも録画と同様の画質設定を選べ、0.5~20分の間で直近のプレイの様子を常時録画できる。

 なお、最高画質の場合、ファイルサイズは1分で約1GBほどになるので、SSDでは心許なくなる。LEVEL-C122-LCi7-VNRは、起動/インストール用のSSDに加えて、データ用の1TB HDDを搭載している。長時間録画をするならこういう構成のものを選びたい。

 アップロードした動画について、筆者が普段利用しているノートPCはなぜか、Edgeなら問題なく再生できるのに、ChromeでGPUの動画再生支援機能が働かないようで、フルHD60pや4K動画はコマ落ちしてしまう。Intel内蔵GPUとAMDのモバイルGPU搭載というハイブリッド環境が原因で、再生支援がうまく機能しないのかもしれない。一方、デスクトップ版Core i7-7700+GeForce GTX 1080なら、4K60pのYouTube動画も、再生時のCPU負荷は20%程度、GPUもハードウェアデコーダを利用しているので、コア自体の負荷は数%に留まる。このサイズの動画だと、むしろ回線帯域がボトルネックになることもある。

 ちなみに、YouTubeの4K60pはブラウザを選ぶ。基本的にはVP9コーデックをサポートしているブラウザなら行けるので、最新版のChrome、Firefox、Edgeは対応しているはずだが、筆者の環境ではChromeとEdgeでは4K60pが選べるものの、Firefoxでは同じ動画でもフルHD60pまでしか選べなかった。

YouTubeで4K60p動画再生時のシステムの負荷

 配信については、GeForce Experienceで「ブロードキャスト」をクリックすると、Facebook、YouTube、Twitchのいずれかで生配信ができる。

 こちらも、動画の品質を細かく設定できるが、最大のものはYouTubeでの1440p(2,560×1,440ドット)/60fps/18Mbpsまでだった。つまり、4Kでは配信ができない。

配信では、YouTubeの場合で1440p/60fps/18Mbpsまで

 それではと、配信用ソフトとして定評のある「XSplit Broadcaster」をインストールしてみた。4Kの画面全体を配信する設定にしてみるも、こちらも配信開始ボタンを押した時点で、強制的に1440pに縮小され、フレームレートも30fpsにされてしまった。「XSplit Gamecaster」でも、選べる解像度の最大は1440pとなっている。YouTube自体は4K60p配信もサポートしているが、これらの配信ソフト側が現状では1440p止まりとなっているようだ。とは言え、これでもPS4よりは高い解像度を実現できている。

 さて、PS4とPCとで比較できると言うことで今回はストリートファイターVを選んだが、このゲームは解像度でゲーム性や操作性が変わることはない。その点では、このゲームを4Kで録画/配信することにはあまり現実味はない。ただ、MMOなどでは、解像度が広いと、マップやチャットなどより多くのウインドウを開いたりして、より効率的にゲームを進められるし、高画質をウリにしているタイトルなら4K環境の恩恵を受けられる。そういったゲームで攻略動画などをアップしようと考えている人は、それがマルチプラットフォームなら、コンソール機ではなく、PCを選ぶ理由ができる。

高スペックPCなら動画の編集もサクサク

 撮影した動画は、できることなら編集もしたい。対戦格闘ゲームなら、特殊効果を入れたり、音楽トラックを加えたり、頻繁なカット編集を加えたりということはあまりしないでいいと思うが、タイトルやテロップなどを入れると、動画としての完成度が上がる。

 ただ、ソースが4Kだと、編集にはマシンパワーが求められる。筆者は動画編集に「Vegas Pro 14」を利用している。普段使っているCore i7-5500UのノートPCでは、以前書いたとおり(4Kという高みを目指していたはずが、気付いたら沼に嵌まってた参照)プレビューだけでかくつき、まともな編集はできないため、いったん低解像度でレンダリングしたプロキシを使うなどの対策が必要となる。

 しかし、Core i7-7700K+GeForce GTX 1080なら、プレビューでほぼフルフレームレートを維持できる。フルHDソースでも結構重い動画編集を普段やっている身としては、これだけでも結構な感動ものだ。さすがに、エフェクトを加えたりすると紙芝居状態になるが、先にも述べたとおり、ゲーム動画ならタイトルを入れるくらいの軽い編集で済むため、130Mbpsという重量級の4K動画でも、さほど苦労せずに編集作業できる。

 動画編集では、どちらかと言うとGPUよりCPUのクロックやコア数が効いてくる。今回のマシンはお借りしたものだが、業務用PCをすくなくとも4コア/8スレッドのものに変えなければならないと思っている。

 なお、当初このマシンでVegas Pro 14を使っていると、アプリが頻繁に落ちる問題があった。その後、GeForceドライバのバージョン381.65が出たので更新したところ、問題は解消された。

Vegas Pro 14。ハイスペックPCでは、編集内容にもよるが、4K動画も比較的スムーズに編集できる。とくに4K環境だとタイムラインなどを広く使えるのがメリット

 と言うことで、Core i7-7700+GeForce GTX 1080の4Kゲーム環境は、最高画質ではフレームレートが下がるということはあるが、4Kネイティブでプレイしつつ、超高画質録画もでき、編集までこなせるなどPS4のはるか上を行く環境になっている。もちろん価格が4倍くらい違うので、性能が高くて当たり前なのだが、それでもPCの面目躍如といったところだろう。快適度は、ひさびさの4 KAITEKIを与えたい。

4K PCでのゲームプレイ/録画/配信の使い勝手=4KAITEKI

ちょっと本気でゲームしてみようと思う

 さて、こんな感じで完全なる4K環境でゲームをプレイしてみた。一応、動画をアップするからには、多少はそれっぽいコンボを決めたりしないと、などと思い、そこそこ練習もした。

 そうするうちに、若い頃はまりまくっていた格闘ゲーム熱が再燃してしまった。格闘ゲームは、やはり、対人戦をしてなんぼ。ストリートファイターVは、オンライン対戦ができるが、昔のゲーセンのような雰囲気で、実際に対面しつつ対戦したら、さらに燃えるのでは?

 そんなことを周囲のスタッフと話している間に、「ならやっちまいなよ」ということで、東京・浅草橋にて5月3日~5日まで夜通し開催されるLANパーティイベント「C4 LAN 2017 SPRING」で、このPCを持ち込んでストリートファイターVの対戦イベントを行なうことになった。

 こちらについての詳細は、また別途お知らせする。