.biz

PC Watch .bizでは、法人向けの製品やサービスを取り上げます。

バッファロー、リモートで業務NASを保守/管理する無償サービス

TeraStationは15周年を迎えた

 株式会社バッファローは4月12日、都内にて同社NAS「TeraStation」シリーズ誕生15周年を記念した発表会を開催するとともに、法人用途での管理/保守/メンテナンスといった使い勝手を向上させる新サービス「キキNavi」についての説明を行なった。

 初代TeraStation(HD-HTGL/R5シリーズ)は2004年12月より販売が開始され、シリーズのなかで唯一のシルバー筐体として登場した。同社で取締役兼ストレージプロダクト&サービス事業部長を務める石丸正弥氏は、当時の外付けHDDとしては300GBモデルが4万円ほど、160GBモデルが1万円台半ばというなかで、1TBで10万円切りという価格は相当割安であり、大きな反響を呼んだという。日本だけでなく、米国や欧州でも販売され、年間3万台以上の販売実績を誇るヒット商品となった。

初代TeraStation
1TBモデルで10万円切り
バッファロー 取締役兼ストレージプロダクト&サービス事業部長を務める石丸正弥氏

 ただ、反響を呼んだとともに、不満も多く寄せられた。とくに内部のHDDを交換するために高度な分解/組み立て技術を要し、実質的に交換が不可能という製品だった。故障が起きやすいHDDにおいては致命的な仕様であり、石丸氏は「当時のこの“銀テラ”を見ると苦い思い出が蘇る。かなりのお叱りをいただいた」と語った。

 そうした反省点を次世代製品に活かしつつ、2006年のTeraStation PRO、2008年のTeraStation Xの第4世代にいたるまで、積極的に機能改良を図っていった。2011年からはこれまでLinuxモデルだったTeraStationに、Windows Storage Serverモデルを追加するなど、さまざまなユーザーニーズに応える製品群を投入。

 2014年には親会社のメルコホールディングスを通して、RAID製品などを手がけている株式会社バイオスを買収し、RAIDコントローラ技術を手に入れたほか、ファームウェア二重化や、10GbE搭載製品を投入するなど、製品に幅を持たせていった。

TeraStationの変遷

 石丸氏はTeraStationにおいて大切なことはユーザーのデータを守ることであるとし、2017年にデータ復旧サービスを開始することで、これまでのものを売るだけのNASの業態から、サービスも売る業態へと転換したことにも言及した。

 2018年には累計出荷台数が100万台を突破し、TeraStationはNASの定番製品として君臨。現在では120TBまでのモデルが用意されているが、近いうちに144TBモデルといったさらなる大容量モデルも追加していくという。

 そして今回、管理者の負担を大幅に軽減するリモート管理サービス「キキNavi」を発表し、TeraStationの新たな展開を図っていく意向を示した。

SIerの負担を軽減する無償提供の「キキNavi」

キキNavi
対応モデル
4月17日より無償で提供

 同社ストレージプロダクト&サービス事業部 NASマーケティング課長の磯畑明彦氏は、TeraStationのキキNaviの導入背景について説明。近年では企業におけるシステムの保守管理の負担が増えているわりには、人員削減や働き方改革による超過労働を避けるための作業時間の制限がのしかかり、会社に出入りするSIerにある程度の業務委託をしなければならない状況という。

 これまでのTeraStationではなにかトラブルがあったさいに、実機のある現地にSIerが赴いて状態を確認する必要があり、そのための訪問が大きな負担になっていた。また、死活監視についてはメールで行なえたものの、数十台数百台の管理となるとその分のメール内容を確認しなければならず、これにも大きな時間が割かれてしまっていた。

NASの保守/管理の負担例
バッファロー ストレージプロダクト&サービス事業部 NASマーケティング課長の磯畑明彦氏

 キキNaviでは、「稼働状況の把握」、「遠隔簡易操作」、「稼働状況の共有」、「設定情報の保存」といった4つの機能を実現しており、TeraStation利用者に無償で提供される。

 Webブラウザを介して、複数のTeraStationの死活監視/CPUやメモリ使用率/HDD情報/ぶらさがっているUSB HDDの状況などができ、メールでの障害通知発信や、復旧ガイダンスの表示も行なえる。また、リモートでのシステムのシャットダウンや再起動、ファームウェアのアップデートにも対応する。

 これまでSIerは障害が発生したTeraStationについて、現地でログを回収し、バッファローに送って検証を進めてもらうといった方法が必要だったが、ログは定期的にAWS(Amazon Web Services)のサーバーにアップロードされ、簡単に共有ができるようになる。設定情報についても常に最新のものがクラウドに保存されるため、TeraStationのデータ移行が発生しても、再度めんどうな個々のユーザー設定を行なわずに済むようになる。

キキNaviの機能
キキNaviの画面

 磯畑氏は、クラウドにデータを上げるといっても、あくまでNASのハードウェアの情報のみであり、ユーザーは安心して利用できると強調した。

 TeraStationは、新製品として「TS6000」シリーズが今夏出荷予定とのことで、2/4/6ドライブのデスクトップモデルと、4ドライブのラックマウントモデルを用意。スナップショットバックアップに対応するほか、PCサーバーを介したiSCSI接続NAS間バックアップで、NAS同士のみでデータコピーを実行し、PCサーバーに負担をかけない機能が提供される。

TeraStation TS6000シリーズ
スナップショットに対応
サーバーに負荷をかけずにiSCSI接続NAS間のバックアップが可能に

 以下、会場に展示されていたTeraStationシリーズの写真を掲載している。

キキNavi稼働の様子
これまでのTeraStation