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鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第138回:9月25日~9月29日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


9月26日

■■ラトック、SCSIドライブをFireWireで接続するアダプタを事前公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000926/ratoc.htm

シングルエンド(single ended)

 2本の信号線がグランドに対して平衡していない、不平衡(unbalanced)の伝送方式。

 信号を電気的に伝送するためには、2本の信号線が必要である。この2本のうちの一方だけをドライブする方式をシングルエンド、両方をドライブする方式をディファレンシャル(differential)という。

 シングルエンドの場合は、例えば一方だけに5Vをかけるという形でドライブする。2本の信号線は、電気的には非対称のバランスがとれていない形になるため、不平衡と呼ばれることが多い。ディファレンシャルの場合には、一方が+5Vならもう一方は-5Vという様に、2本の信号線それぞれを対称にドライブする。いうまでもなく、こちらはバランスがとれた平衡回路である。

 信号の検出は、シングルエンドではグランドに対する電位差を、ディファレンシャルはその名の通り2本の信号線の差をとる。外部からのノイズは、2本の信号線に同じようにのるので、ディファレンシャルの場合はノイズが相殺され、シングルエンドよりも優れた耐ノイズ特性を得ることができる。

 古くからあるPCのインターフェイスは、比較的低速だったりケーブル長も短かったりするため、ほとんどがシングルエンドで設計されているが、最近の設計であるUSBやIEEE-1394は、このディファレンシャル伝送を使用する。SCSIの場合には、当初からシングルエンドとディファレンシャルの両方を規定しており、シングルエンドのケーブル長6mに対し、ディファレンシャルは25mという長い引きまわしが可能だった。

 しかし、コストのかかるディファレンシャルは、一般市場ではほとんど受け入れられず、もっぱらシングルエンドが使われて来た。SCSI-3のSPI-2から、新しい低電圧駆動のディファレンシャル「LVD(Low Voltage Differential)」も導入され、いわゆるUltra2 SCSI(8bitバスで40MB/秒の転送速度)以上の転送モードは、ディファレンシャルのみでのサポートとなった。

【参考】
□USB
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971014/key2.htm#usb
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000706/key126.htm#USB2
□IEEE-1394
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971118/key7.htm#ieee1394
□Ultra2 SCSI
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980407/key25.htm#ultra2scsi
□LVD
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990128/key62.htm#LVD


デイジーチェーン(daisy chain)

 デバイスからデバイスにケーブルを渡し、順につないでいく接続方法。

 ディジーチェーンを直訳すると「ヒナギクの花輪」だが、「芋づる式」とか「数珠つなぎ」といった方が日本人にはピンとくるだろう。1つのインターフェイスに複数のデバイスを接続する際に用いられる方法の1つで、デバイス間を個別のケーブルで1台ずつ順に接続していくスタイルをデイジーチェーン接続。1台から複数台に分岐するスタイルをブランチ接続。1本のケーブルに各デバイスをつなぎ込んでいくスタイルをバス接続という。

 デイジーチェーンの代表例としてSCSIが挙げられる。SCSIデバイスには、たいていコネクタが2つあり、一方に別のデバイスを連結できるようになっている。しかし、接続形態はデイジーチェーンなのだが、2個のコネクタは実際には内部で直結されており、電気的にはバス接続である。

 IEEE-1394の場合には、一方から受信した信号を、そのままもう一方に再送信する仕様になっており、電気的な接続形態もディジーチェーンである。ちなみに、このような再送を行なうデバイスをリピーター、複数のポートに再送するタイプをマルチポートリピーターといい、マルチポートリピーターに特化したデバイスがHUBである。3ポート以上のポートを持つ1394デバイスは、このマルチポートリピーターとして機能しており(PCのアダプタの場合には独立した個別のインターフェイスであることも多い)、ブランチ接続も可能だ。

□IEEE-1394
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971118/key7.htm#ieee1394
□SCSI
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980407/key25.htm#ultra2scsi


■■ダイジェスト・ニュース (9月26日)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digest/

NAND型フラッシュメモリ
ナンドがたふらっしゅめもり

 東芝が開発した、メモリセルをビット線に直列に接続した構造のフラッシュメモリ。

 フラッシュメモリは、電気的に浮遊したゲートに電子を注入/流出することによって電気的に内容を書き換えることができるメモリで、電子がフローティングゲートに閉じ込められてしまうため、電源供給なしで記憶内容を保持することができる。通常は、1つのトランジスタが1bitの状態を記憶し、これをメモリセルと呼ぶ。メモリチップは、碁盤目のように縦横に張りめぐらした線(ビット線とワード線)の交点にメモリセルを配置し、特定のセルを読み書きする仕組みになっている。

 NAND型は、このメモリセルがビット線に対して直列に接続されているタイプで、並列に接続する方はNOR(ノア)型という。構造的には、NAND型の方が高集積化に適しており、同じ技術で2倍程度の容量を確保することができる。電子の注入には、NAND型がトンネル方式(※1)、NOR型がホットエレクトロン方式(※2)を採用しており、NAND型の方が少ない消費電力で高速な書き込み、消去が行なえる。ただしNAND型は、256または512バイトのページ単位でのアクセスしかできず(※3)、バイト単位のアクセスが可能なNOR型に比べると、ランダムな読み出しは遅い。仕様的には、メモリというよりもディスクに近い存在で、小型大容量化が進むメモリカード(MMCを除く)には主にNAND型が、ファームウェアなどのプログラムの格納にはNOR型が用いられている。

(※1)一定の電圧を加えると電子が薄い絶縁膜を通りぬけてしまうトンネル効果を利用した注入方式。

(※2)電界で加速することによって、電子に高いエネルギーを持たせ(ホットエレクトロン)、絶縁膜の壁を乗り越えて注入する方式。

(※3)チップ内には1ページ分のバッファがあり、読み出しの場合には、1ページ分をバッファにセンスアップした後、メモリインターフェイス上はシリアルに伝送する。ちなみに消去は、16ないし32ページをひとまとめにしたブロック単位で行なわれ、ブロック単位で一括消去するところからフラッシュメモリと呼ばれる。

【参考~フラッシュメモリを使ったメモリカード】
□メモリースティック
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990218/key65.htm#Memory_Stick
□MultiMediaCard(MMC)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990128/key62.htm#MMC
□SmartMedia
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971209/key10.htm#smartmedia
□Miniature Card
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980701/key36.htm#MC
□SDメモリカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000323/key113.htm#SD


9月28日

■■ソニー、無線LAN搭載のインターネット液晶TV「エアボード」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000928/sony.htm

TCP(Transmission Control Protocol)
ティーシーピー

UDP(User Datagram Protocol)
ユーディーピー

 TCP/IPで使われる、トランスポートプロトコル。

 インターネットのプロトコルとしてお馴染みのTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)は、IP、TCP、UDPという3つのコアプロトコルと、それを支える様々なプロトコル郡から成る。

 IP(Internet Protocol)は、機器間をネットワーク的に接続しパケットを配送する仕組みを提供する、主にネットワーク層を支えるプロトコル。このIP上で実際にコミュニケーションを行なう仕組みを提供するのが、TCPとUDPという2つのトランスポート層のプロトコルである。

 UDPは、最低限の通信サービスを提供するシンプルなプロトコルで、パケットには、アプリケーション(上位プロトコルを含む~以下同様)間の通信に必要な送受双方のポート番号(※1)を付加して、一方的に送り出す。プロトコルレベルでは、パケットが届いたことの確認やエラーが生じた際の再送処理などは一切行なわない送りっぱなしのプロトコルなので、一般的なアプリケーションではあまり使われない。しかし、プロトコルのオーバーヘッドや遅延が少ないため、ストリーム系のアプリケーションには、このUDPがよく使われる。

 TCP(Transmission Control Protocol)は、信頼性のある通信サービスを提供するプロトコルで、パケットには、シーケンス番号やウィンドウサイズなども付加される。シーケンス番号は、パケットに付けられた一連の番号(連番という意味ではない)で、プロトコルレベルでパケットの重複や欠落のチェック、パケットの整列が行なわれる。TCPは、このシーケンス番号を使って送信元に確認応答を返す様になっており(※2)、アプリケーションには、正しく受信されたデータが順に渡される。ウィンドウサイズは、受信可能なバイト数を相手に知らせるもので、相手は、通知された範囲内でパケットを送り出す様にして、フロー制御を行なう。TCPは、プロトコル自身にこの様な信頼性を確保する機構が備わっているので扱いやすく、アプリケーションの多くはこれを使ってコミュニケーションを行なっている。

(※1)複数の機器が1つの通信経路を共有できるようにするために、IPプロトコル上ではIPアドレスと呼ばれる固有の数値(一般に使われているIPv4では32bit)を使って相手を識別している(物理層のEthernet上では、ノード固有のMACアドレス)。機器内ではさらに、複数のアプリケーションが通信経路を利用できるように、TCPやUDP上で同様のアドレス付けが行なわれている。送受信用のアドレスとなるこの16bitの数値をポート番号といい、HTTP(80番)などのよく使われるアプリケーションプロトコルには、予め決められたポート番号が用意されている。

(※2)受信側は、次に受信したいシーケンス番号をセットしてACK(ACKnowledgment~肯定応答)パケットを返す。すなわち、シーケンス番号未満は正しく受信されたということであり、既に送ったパケットが要求されれば送信側は再送し、エラーや欠落をリカバリーする。

□Protocol Numbers and Assignment Services(IANA)
「Port Numbers」のリンクに、登録されているポート番号の一覧がある
http://www.iana.org/numbers.htm

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp