鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第62回:1月18日~1月22日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


1月19日

■■ビクター、静止画をMultiMediaCardに記録できるDVカメラ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990119/victor.htm

MultiMediaCard(MMC)
マルチメディアカード

 Siemensが考案し、SanDiskと共同で開発した小型のメモリカード規格。
 '97年に、フラッシュメモリ(およびROM)を使用したメモリカードとして登場。翌'98年には、日立、Motorola、NEC、Nokiaなどと共に、MMCA(MultiMediaCard Association)を設立し、規格の普及を推進している。

 フラッシュメモリを用いた同種の製品には、CompactFlash、SmartMedia、Miniature Cardなどがあるが、MMCは、32×24×1.4mm(縦×横×厚さ)の切手サイズと、ずば抜けたコンパクト性を誇り、携帯端末をはじめDVカメラやMP3プレーヤーなどに採用されはじめている。現行では、80Mbitのフラッシュメモリを使用した10MBのカードまでラインナップされているが、16MB(128Mbit)や20MB(160Mbit)の量産も予定されており、仕様上は512MB(4Gbit)まで対応することができる。カードバスは、シンプルなシリアルインターフェイスで(※1)、最大転送速度は20Mbps。マルチデバイスに対応しているのも大きな特徴で、最大30枚までのMMCを接続することができるほか、メモリカード以外のI/Oデバイスをサポートするためのプロトコル「SPI(Serial Peripheral Interface)」も規定されている。

(※1)物理的には7ピンで、クロック、コマンド、データの3回路を使ってコミュニケーションを行なう。SPIモードでは、コマンドラインとデータラインを使った双方向通信が可能。

□MMCA(MultiMediaCard Association)
http://www.mmca.org/
□SiemensのMMCのページ
http://www.siemens.de/semiconductor/multimediacard/index.htm
□SanDiskのMMCのページ
http://www.sandisk.com/oem/mmc.htm
【参考】
□フラッシュATAメモリカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971028/key4.htm#flashATAcard
□CompactFlash
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971105/key5.htm#cf_card
□SmartMedia
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971209/key10.htm#smartmedia
□Miniature Card
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980701/key36.htm#Miniature Card


1月20日

■■エー・アイ・ソフト、ディスク圧縮ツールほか6製品
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990120/aisoft.htm

MAPI(Messaging API)
マッピ、マピ

 Microsoftが開発した、Windowsに標準で搭載されているメッセージ通信用のAPI(Application Programming Interface)。

 各種メッセージングサービスを、統一された方法を使って利用できるようにするためのもので、具体的なサービスを提供する(サービスにアクセスする)プロバイダと、それを利用するクライアントアプリケーション間のインータフェイス(ファンクションやフォーマット)を規定。MAPI対応のアプリケーションは、通信相手や通信手段、データフォーマットなどを意識することなく、電子メールやFAXなどの送受信を行なうことができる。

 MAPIには、プロバイダとクライアントの全機能を網羅したフルセット版のほかに、基本的なメールの送受信機能のみをサポートする簡易版があり、後者をSimple MAPIと呼んでいる。

□Win32 Development - Messaging (Microsoft)
http://www.microsoft.com/win32dev/mapi/


1月21日

■■オムロン、自作ユーザー向け内蔵モデムカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990121/omron.htm

フラッシュメモリ(Flash Memory)

 電気的に内容を書き換えることのできるEEPROMの一種。
 電源を切っても記憶内容が保持される不揮発性メモリを総称して、ROM(Read Only Memory)という(※1)。ROMには、チップの製造時に記憶内容をパターンの中に組み込んでしまうタイプと、後から書き込むタイプとがあり、前者を特にマスクROM、後者をProgramable ROM(PROM~ピーロム)と呼んでいる。もっともオーソドックスなPROMは、バーナーあるいはライターと呼ばれる装置を使い、チップ内部のパターンを切断して内容を記録するタイプで、この方式での書き込みは1回だけに限定される。

 これに対し、繰り返し書き込みの行なえるタイプがある。Erasable Programable ROM(EPROM~イーピーロム)のチップの表面には窓が開いており(通常はシールを貼って塞いである)、ここから紫外線を照射することによって内容を消去。繰り返しプログラムできるようになっている。この消去を電気的に行なうタイプをElectrically Erasable Programable ROM(EEPROM~ダブルイーピーロムまたはイーイーピーロム)といい、ブロック単位の部分的な消去/書き込みを行なえるようにして、RAMのような使い勝手を実現したものをフラッシュメモリと呼んでいる。

 フラッシュメモリは、書き換えをソフトウェア的に実現することが容易であることから、マザーボードや拡張カードのBIOS、周辺機器のファームウェアなどに利用されているほか、PCカード(PCMCIA)をはじめとするメモリカードにも組み込まれ、リムーバブルな外部記憶装置として活用されている。ただし、繰り返し使用できる回数には制限があり(数万回から数十万回)、消去/書き込みに際しては比較的大きな電力を消費する。

(※1)この定義も少しあやふやになって来ており、フラッシュメモリをEEPRAMと呼ぶこともあるし、メモリセルに強誘電体を用いた不揮発性メモリ(EEPROMよりもはるかに高速、高耐久、低消費電力で、ICカードに使われはじめている)は、Ferroelectric RAM(FeRAMあるいはFRAM)と名付けられている。

【フラッシュメモリを用いた小型メモリカード】
開発元(年)横×縦×厚(mm)製品容量推進団体
CompactFlashSanDisk('94)43×36×3.3(*A)4~96MBCFA
SmartMedia東芝('95)37×45×0.762~32MBSSFDCフォーラム
Miniature CardIntel('95 *B)38×33×3.564MB(*C)MCIF
MultiMediaCardSanDisk('97)
Siemens
24×32×1.42~10MBMMCA
Memory Stickソニー('98)21.5×50×2.84,8MB
(*A)'98年に5mm厚のType2カードをリリース
(*B)標準化は'96年
(*C)仕様上の上限(他はリリース製品の容量)

□CFA(CompactFlash Association)
http://www.compactflash.org/
□MCIF(Miniature Card Implementers Forum)
http://www.mcif.org/
□SSFDCフォーラム
http://www.ssfdc.or.jp/
□MMCA(MultimediaCard Association)
http://www.mmca.org/
□ソニー
http://www.sony.co.jp/ProductsPark/Consumer/MS/
【参照】
□フラッシュATAメモリカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971028/key4.htm#flashATAcard
□CompactFlash
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971105/key5.htm#cf_card
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980428/key28.htm#CFtypeII
□SmartMedia
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971209/key10.htm#smartmedia
□Miniature Card
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980701/key36.htm#Miniature Card


1月22日

■■アイ・オー・データ、SCSI関連製品3機種
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990122/iodata.htm

Single-Ended
シングルエンディッド、シングルエンド

LVD(Low Voltage Differential)
エルブイディー

アクティブターミネータ(active terminator)

 SCSIバスおよび終端抵抗の種類。
 SCSI(Small Computer System Interface)は、米Shugartが開発したSASI(Shugart Associates System Interface)というハードディスクインターフェイスをもとに、ANSI(American National Standards Institute:米国規格協会~アンシ(ー)あるいはアンジ)で標準化された汎用インターフェイスである。'86年に承認された最初の規格では、バスにSingle-EndedとDifferentialという2つのタイプが規定されていた。前者は、アースに対する電位差(電圧)で信号を検出する(一定レベル以上か以下かで判定)いわゆる不平衡型で、回路を簡素化できるため、PCではもっぱらこのタイプが用いられていた。後者は、2本の信号線の電位差で信号を検出する(どちらが高いかで判定)平衡型で、Single-Endedよりも伝送特性が優れており、ケーブル長は、Single-Endedの6mに対して25mまで延長することが可能である(※1)

 LVDは、俗にいうUltra2 SCSIから採用された新しいバスインターフェイスで、従来の5Vに対し3.3Vで駆動。平衡型のみの規定で、最大12mのケーブル長を実現している。なお、これらバスはいずれも下位互換の設計になっているので、混在環境でも下位のモードで動作する(下位の仕様の範囲内での使用に限定)。

 SCSIのようなバス型の配線では、バスを開放したままにしておくと信号の反射が発生し、その干渉による波形の乱れを生ずる。このため、バスの両端にターミネータ(終端抵抗)を取り付け終端しておく必要がある(しなければ伝送特性が落ちる)。ターミネータには、単純に抵抗を取り付けて分圧するだけのタイプと、レギュレータとシリーズ抵抗を組み合わせた回路を設けるタイプとがあり、前者をパッシブ(passive)型、後者をアクティブ型と呼んでいる。アクティブ型は、電圧変動に対する補償とインピーダンスマッチングに優れており、伝送特性の劣化を最小限に抑える目的でSCSI-2から規定。高速伝送時には必須となっている。

(※1)コネクタの物理的な仕様はどちらも同じで、Differentialのマイナス側が、Single-Endedでは全て共通のグランドになる。

【バスインターフェイスの種類と接続台数/ケーブル長の関係】
通称転送速度バス幅バスインターフェイス(接続数/ケーブル長)
Single EndedDifferentialLVD
SCSI-15MB/秒8bit8台/6m8台/25m8台/12m(*A)
Fast SCSI10MB/秒8bit8台/3m8台/25m8台/12m(*A)
Fast Wide SCSI20MB/秒16bit16台/3m16台/25m16台/12m(*A)
Ultra SCSI20MB/秒8bit8台/1.5m
or 4台/3m
8台/25m8台/12m(*A)
Ultra Wide SCSI40MB/秒16bit8台/1.5m
or 4台/3m
16台/25m16台/12m(*A)
Ultra2 SCSI40MB/秒8bit-(*B)8台/25m8台/12m
Wide Ultra2 SCSI80MB/秒16bit-(*B)16台/25m16台/12m
Ultra3 SCSI80MB/秒8bit-(*B)8台/25m8台/12m
Wide Ultra3 SCSI160MB/秒16bit-(*B)16台/25m16台/12m
*A 旧規格にLVDの規定はないが利用可能
*B 利用不可

□SCSI Trade Association
http://www.scsita.org/

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp