名刺サイズのメガピクセルデジカメ カシオ「EXILIM」
ファーストインプレッション

名刺入れにもすっぽり入る

6月21日購入

標準価格:オープンプライス



 カシオから21日、厚さ11.3mmの有効124万画素デジタルカメラ「EXILIM」が発売された。早速編集部でも購入したので、ファーストインプレッションをお伝えする。

 なお、購入価格は29,800円(税別)。大手家電量販店のオンライン通販を利用したため、10%のポイント(その家電量販店で現金同様に利用可能)が付いた。事前に予約しておいたところ、発売日の午前中に配達された。

■本体はもちろん、パッケージも質感高し

 EXILIMには音声記録/MP3再生機能付きの「EX-M1」と、デジタルカメラ機能のみの「EX-S1」がある。EX-M1が厚さ12.4mmなのに対し、EX-S1は11.3mm。

 編集部で購入したのは後者のEX-S1。EX-S1にはシルバーとパールホワイトの2色のボディーカラーが用意されているが、編集部ではシルバーを選択した。シックなデザインのパッケージから取り出したEXILIMは、写真で見るよりも小さく、薄く感じられた。手にとったときも、金属製らしい重みを感じることができる。

 金属ボディの質感は高く、本体上面や背面の小さな操作ボタンにも安っぽさが感じられない。各種スイッチにはちゃんとクリック感があり、がたつきはあまりなく、各パーツと本体の“合い”や、バッテリースロットの蓋の動作感もよいといった細かい作りこみが、さらに高級感をかもし出している。パッケージから出して手にとっただけでも、3万円弱の価格に納得できるだろう。

パッケージ。黒と赤でまとめたデザインで、高級感がある パッケージの内容。メモリーカードは含まれない 持ってみると、金属製らしい重量感を感じる。スペックシートの85gよりも重く感じられた
前面。「Fits Your Body」などと書かれている部分はシール 背面。スイッチ類は小さいが、操作しやすい。ただし、4方向に動くコントロールボタンの操作には慣れが必要 上面。左から電源スイッチ、シャッター。撮影中、シャッターを押したつもりで電源スイッチを押し、電源を切ってしまったことが何回かあった
底面にクレードルとのコネクタ(カバーを外してある)と、SDメモリーカードスロットがある。カードスロットには蓋は無く、出荷時にはダミーカードが刺さっている 左側面にはなにもない 右側面にはバッテリースロットとストラップホールがある

 ただ1点だけ残念なのは、底部にあるクレードルとのコネクタ部のカバーがいかにも“樹脂でできたパーツ”になっていることだ。また、このカバーは本体と完全に離れてしまう作りになっており、いずれゆるんで、気づかぬうちに落としてしまいそうな感じを受ける。

 さらに、このカバーを装着していると底面がフラットにならず、机の上などに置いても、自立しなくなってしまう。三脚に取り付けるためのネジ穴が無いため、セルフタイマー撮影時などには弊害となることもある。とりあえず編集部ではカバーを外したまま使うことにしたが、コネクタにゴミが入ったり、汚れたりするのが気になるユーザーもいるだろう。

クレードルコネクタにカバーをつけたところ。厚みが結構あるので底面がフラットにならず、EXILIMが自立できない カバーを外すと本体から離れてしまう。気づかぬうちに落としてしまいそうだ

■他機種と比較すると、薄さが際立つ

 撮影する前に、他の小型デジタルカメラと外観を比較してみよう。

 MDサイズの200万画素機、ミノルタ「DiMAGE X」と並べてみると、幅はほぼ同じだが、高さはEXILIMがDiMAGE Xの5分の4程度、厚みは半分程度だ。質感はどちらも高いが、EXILIMのほうがやや落ち着いた色合いになっている。

DiMAGE Xと並べてみたところ 下がDiMAGE X。どちらもレンズは下を向いている。どちらも電源ボタンとシャッターボタンが上面にあるが、位置関係が逆。DiMAGE Xのほうが、押し間違えを防げると思うのだが

 トイデジカメのChe-ez!シリーズのうち、Che-ez! SPYZとChe-ez! moni-meの2台とも並べてみた。幅と高さは当然Che-ez!シリーズのほうが小さいのだが、厚みはEXILIMが圧倒的に薄い。Che-ez!シリーズが市販の乾電池を電源とするのに対し、EXILIMで薄型リチウムイオンバッテリーを採用した効果が表れている。

左からChe-ez! SPYZ、EXILIM、Che-ez! moni-me 背面。Che-ez! moni-meの液晶はEXILIMのと同じくらいの大きさ 薄さはEXILIMの圧勝

■充電にはクレードルが必要

 ではバッテリを本体に入れ、充電し、撮影に出かけよう。バッテリは挿入方向がわかりにくいうえに、逆向きでも挿入できてしまう。予備バッテリーを持ち歩いて、外で交換する場合は注意が必要だ。

 充電はクレードルに載せて行なう。クレードルは樹脂製だが質感が高く、本体との違和感はない。ACコネクタが本体にないため、本体だけで充電することができない。付属のACアダプタは小型で持ち歩きもしやすいのだが、クレードルも持っていないと充電できないわけだ。クレードルとACアダプタ、USBケーブルをまとめると、EXILIM本体よりも体積が大きくなる。少しでも荷物を減らしたい旅行などには、ちょっと不便かもしれない。

 充電中はクレードルのインジケータが赤く点灯する。インジケータが緑になれば充電完了だ。フル充電までは2時間ほどかかる。

バッテリーは逆向きでも挿入できてしまう。スロット内とバッテリーのマーキングをよく確認して入れよう ACアダプタは小さくできているうえに、プラグ部分を折りたためるので持ち運びに便利なのだが…… クレードルがないと充電できない。USB経由でデータをPCに転送するのにも使う

■すべての動作が軽快

 電源を入れると、すぐに撮影可能になる。EXILIMにはスリープモードが無いが、これだけ高速に起動できるならスリープモードは不要だろう。電源ボタンは長押しするタイプではなく、ちょっと押し込めばすぐに電源が入る。不用意に電源が入る恐れもあるが、オートパワーオフ(2分で固定)も用意されているので、動作の軽快さを享受したほうがよいだろう。

 起動だけでなく、すべての動作が大変軽快なのが印象的だ。電源を入れ、シャッターを切り、記録を完了するまで、ほとんどタイムラグ無しに銀塩カメラ並みの感覚で扱える。画像の再生時も高速に表示される。

■見やすいモニタ、慣れが必要なコントロールボタン

 液晶モニタは1.6型で小さいのだが、デジタル接続らしく表示がクリアで見やすい。撮影可能枚数や解像度などの情報表示も、整理されていて見やすい。また、日中の屋外でもきっちり見える。追従性は現在の基準からはやや遅く感じられるが、撮影に支障を感じるほどではない。

 液晶に表示されるメニューは見やすく、わかりやすい。ボタンが少ないこともあって、操作はシンプルだ。が、メニューを操作するコントロールボタンがやや使いにくい。4方向に動き、中央で押し込むと「OK」の働きをするのだが、ボタンが小さい上に4方向へのストロークが小さいため、上方向に押し込んだつもりが左になったりすることがよくあった。画像の消去もこのボタンで操作するのだが、消去したくない画像まで消去しそうになってかなり慌てた。

 ボタンの突起を爪の先で操作するとうまくいくようになったが、どっちにしてもかなり使いにくい。このボタンにはホワイトバランスや露出補正を割り当てることができるので、操作感がよくなれば、より使い勝手がよくなるのだが。

 光学ファインダも用意されている。明るく、パララックスが少ないのでたいへん使いやすい。だが、液晶モニタのON/OFFをメニューの中でしか設定できず、ややわずらわしい。結果として光学ファインダは使わず、常時液晶モニタONで使うことになってしまった。

クリアな液晶の表示 メニューもわかりやすい

■シャープでクリアな画像、素直な発色

 撮影した画像は、解像感こそ画素数相応だが、クリアで見やすい。遠景よりも近くの物体の撮影に向いており、メモ用カメラとして使いやすくできている。

 以下の実写画像はすべて初期設定(1,280×960ピクセル、標準画質、露出/ホワイトバランス/フラッッシュはオート)で撮影したものを、ファイル名以外はそのままの状態で掲載している。

■弱点はマクロが無いこと

 遠景より近景を得意とするが、撮影可能距離はレンズ前1m~無限遠。マクロ撮影モードがないのが、メモ用途にはつらいところ。掲示などのメモ撮影を想定して、A4版の紙を1mの距離から画質を変えて撮影してみた。

標準画質 高精細 ちなみに50cmから撮るとこうなる

■ややクセのあるファイル管理

 EXILIMは12MBの内蔵メモリのほか、SDメモリーカード(またはMMC)を記憶媒体として使える。メモリーカードを装着しているときは、メモリーカードにしか記録できない(メモリーカードと内蔵メモリ間で画像をコピーすることはできる)。

 PCとはUSBで接続する。マスストレージクラスに対応しており、Windows XPとMac OS 9、Mac OS Xではドライバをインストールすることなく、リムーバブルドライブとして認識させることができる。この際、メモリーカードを装着していると、メモリーカード内のファイルのみが見えるようになっている。

 画像ファイルの連番情報は保存されない。一度、ファイルを全て転送してしまい、消去すると、また0001から記録されることになるので、注意が必要だ。DCFに準拠したディレクトリ構造で保存されるので、ディレクトリをリネームしてからコピーする、といった対処が必要になるだろう。

■ウェアラブルかつ実用的なデジタルカメラ

 ここまで紹介した以外にも、EXILIMは320×240ピクセルで30秒までの動画撮影機能(EX-M1は音声付、EX-S1は音声なし)を備えている。また、起動時に、指定したファイルを液晶に表示する、といった細かい機能も備えている。

 バッテリについては完全なテストができなかったが、ほぼ液晶モニタをONにしたまま、ストロボ撮影をまじえて80枚ほど撮影したところで、残量表示は半分程度。これでは1日はもたない可能性もあるので、光学ファインダを活用したほうがいいだろう。場合によっては予備バッテリの購入も検討する必要があるかもしれない。

 常に持ち歩ける小ささと引き換えに、操作性にやや難があるものの、動作が軽快で、画質がよい。マクロ機能が無いのが惜しいところだが、EX-M1の音声メモ機能で精細な情報を補うこともできるだろう。、日常の気軽なスナップや、ビジネスでのメモ用途に威力を発揮するデジタルカメラといえる。

□カシオ計算機のホームページ
http://www.casio.co.jp/
□EXILIMのホームページ
http://www.exilim.jp/
□関連記事
【5月13日】カシオ、厚さ11mmの世界最薄カード型デジカメ「EXILIM」を6月21日に発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0513/casio.htm
【3月14日】カシオ、厚さ11mmのカード型デジカメ「EXILIM」を発表
~上位モデルはMP3再生機能を搭載
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0314/casio.htm
【3月29日】厚さ6mmの世界最薄デジカメ「eyeplate」を買ってみました
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【2月7日】究極の散歩用デジカメ?
「DiMAGE X」ファーストインプレッション
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0207/dimage.htm
【4月23日】液晶付きトイカメラ「Che-ez! moni-me」を買ってみました
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0423/cheez.htm

(2002年6月21日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]

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