COMPUTEX TAIPEI 2002レポート チップセットベンダ編VIA、ALi、NVIDIAなどから注目のチップセットが登場!会期:6月3日~7日(現地時間) 会場:Taipei International Convention Center(TICC) マザーボードメーカーが集中する台湾で行なわれるCOMPUTEX TAIPEIということもあり、膨大な数のマザーボードが展示されている。その中には、これまでの展示会には紹介されていない最新チップセットが含まれているほか、チップセットベンダ自身による最新チップセットの紹介もある。本レポートでは、そうしたCOMPUTEX TAIPEIの会場で見つけた最新チップセットを紹介していこう。なお、Opteron/次世代Athlon用チップセットに関しては、別レポートに詳しいので、そちらも併せて参照していただきたい。
●Edenやエンデベッド向けチップセットとなるApollo CLE266 VIA TechnologiesはCOMPUTEX会場のTWTC(世界貿易中心)において記者会見を開催し、同社の最新チップセットとなるApollo CLE266(以下CLE266)、C3プロセッサの1GHz、これまで“Zoetrope”のコードネームで呼ばれてきたグラフィックスコアを採用したAlphaChrome(モバイル向け)とSavage XP(デスクトップPC向け)が発表された。
CLE266は同社のP6バス(Pentium III、Celeron、C3)向けチップセットであるApollo Pro266に、新たに同社が開発した128bitの2D/3Dコアが統合された統合型チップセットだ。ビデオメモリはメインメモリの一部を利用するSMA(Shared Memory Architecture)で、MPEG-2のハードウェアエンコード機能、ビデオ入力ポート、CRT/LCD/TV出力のうち2つを同時に利用可能などの仕様となっている。 CLE266に内蔵されているグラフィックスコアは、これまでVIAが利用してきたTrident MicrosystemsのProshceコア(Blade 3Dと同等)でも、S3 GraphicsのSavage4コアでもない。今回のグラフィックスコアはVIAの独自開発で、VIAの内部で開発されたコアであるという。VIAに近い情報筋によれば「これはTridentからVIAに移動したエンジニアが作ったコア」ということで、一時TridentとVIAの間で問題になったTridentをやめてVIAに移ったエンジニアたちが作ったという。 この内蔵コアの特徴は、3D描画機能は必要最低限だけで、バーテックスシェーダやハードウェアT&Lなどのジオメトリエンジンは備えず、レンダリングエンジンも1パイプライン×2テクスチャユニット(1P2T)構成となっている。これは、CLE266がどちらかといえば、エンベデッド向けとして設計され、3Dの機能は必要最低限だけあれば十分という考えに基づいて作られているためだ。チップサイズは、もともとのApollo Pro266に比べても小さくなっており、Edenなどに適したチップセットとなっている。 なお、サウスブリッジはUSB 2.0コントローラを内蔵したVT8235がサポートされているが、V-Linkのクロックは266MHzに制限されており、ピーク時帯域幅は266MB/Secとなっている。
●C3 1GHzは8月に出荷、次世代のNehemiahコアは今年の終わり VIA Technologiesは同時にC3プロセッサ(以下C3)の1GHzの出荷を8月より開始することを明らかにした。 現在のC3は、Ezra-T(エズラティ)のコードネームで呼ばれるコアを採用しており、128KBのL1キャッシュ、64KBのL2キャッシュ、3DNow!/MMXサポート、100/133MHzのシステムバスなど、基本的にはSamuel2、Ezraコアと同じスペックになっている。VIAによれば、Pentium III 1GHzの熱設計電力(最悪の場合を想定した最大の消費電力)が34Wであるのに対して、C3 1GHzは9.7Wと3分の1以下であり、大幅な低消費電力を実現していることが大きなアピールポイントとなっている。
なお、VIAのポール・スー氏は「C3 1GHzは8月に出荷開始する。その後、すぐに1.1GHzを出荷し、今年の終わり頃には新コアとなるNehemiahコアを投入する」と述べた。Nehemiahコアは新たにストリーミングSIMD拡張命令(SSE)をサポートし、浮動小数点演算能力が従来のC3に比べて大幅に向上するという特徴を備えている。Nehemiahコアは1.2GHzからスタートし、最終的には1.4GHz程度までクロックが上げられる予定という。
●Zoetropeコアがついに製品化へ 昨年のCOMPUTEX TAIPEIにおいてその存在が明らかになったS3 Graphicsの最新グラフィックスコアZoetrope(ゾートロープ)コアだが、今回のCOMPUTEX TAIPEIにおいて、やっと製品化されることが明らかにされた。製品化されたのはモバイル向けのAlphaChrome、モバイル向け統合型のAlphaChrome333、デスクトップ向けのSavage XPの3製品で、VIAの子会社であるS3 Graphicsから発表された。
Zoetropeコアは、Savage4に利用されたSavage4/8コア、SuperSavageに利用されたParamountコアの後継となる最新グラフィックスコアだ。Zoetropeコアの特徴は2点ある。1つはParamountには搭載されていなかった、DirectX 7ベースのハードウェアT&Lを搭載していることだ。レンダリングエンジンも強化されており、Paramountが1パイプライン×2テクスチャユニット(1P2T)であったのに対して、Zoetropeでは2パイプライン×2テクスチャユニット(2P2T)となり、シングルパスで4テクスチャの処理が可能になっている。さらに、メモリコントローラが128bit幅のDDR SDRAMに対応し、64bitのDDR SDRAMにしか対応していなかったParamountに比べて同クロックで倍の帯域幅を実現している。これらにより、従来型のSavage4、SuperSavageなどに比べて大幅に3D描画能力が向上している。 【S3 Graphicsのグラフィックスコア】
モバイル向けのAlphaChromeは統合型も含めて4製品が用意されている。単体タイプのAlphaChrome、16MBのビデオメモリを統合したAlphaChrome16、32MBのビデオメモリを統合したAlphaChrome32、さらにP4X333にZoetropeコアを統合した統合型チップセットのAlphaChrome333の4製品だ。 デスクトップPC向けのSavage XPは最大で64MBのビデオメモリを搭載可能で、モバイル向けにも用意されているマルチディスプレイ機能のDuoView+の機能を備えている。基本的にはメインストリームおよびバリュー向けで、Tyan Computer、GIGA-BYTE Technology、C.P.Technologyなどからビデオカードが出荷される予定となっていることが明らかにされた。
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●ALiはDDR400とHyperTransportに対応したPentium 4用チップセットを展示 チップセットベンダのALiはすでに出荷済みのAladdin-P4の後継となるPentium 4用チップセット「M1681」を展示した。M1681のもっとも大きな特徴はDDR400をサポートし、PC3200を利用することで最大で3.2GB/Secのメモリ帯域幅をサポートすることだ。つまり、SiSのSiS648に続くDDR400サポートPentium 4用チップセットということになる。
もう1つの特徴は、サウスブリッジを接続するチップ間インターフェイスとしてHyperTransportを採用していることだ。このため、サウスブリッジにはALiのHyperTransport対応I/OハブとなるM1563を利用することになる。また、システムバスは400/533MHzに対応し、AGPはAGP Specification 3.0で規定される8Xモードをサポートする なお、ALiによれば現時点では具体的な出荷時期は未定だが、業界筋の情報によれば今年の後半と説明がされている模様だ。
●CeBITに引き続きSiS648+Xabre400のデモを行なったSiS SiSは3月にドイツで行なわれたCeBITで展示したDDR400およびAGP 8Xに対応したPentium 4用チップセットのSiS648、さらには4月に発表したSiS330こと“Xabre400”を組み合わせたAGP 8Xのライブデモを行なっている。 基本的にはCeBITの時と大きな違いはないが、CeBITの時にはチップに刻印されているのは仮のマーキングだったのだが、今回は出荷版に近いマーキングとなっている。また、別レポートにもあるようにSiS648を搭載したマザーボードは多くのベンダで展示されており、だいぶ出荷が近づいてきた印象だ。
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●複数のベンダがCrush18Dを搭載したマザーボードを展示 また、別レポートでもふれているように、各マザーボードベンダはNVIDIAがnForceの後継として投入を計画しているCrush18Dを搭載したマザーボードを展示している。Crush18DはAthlon XP/Duronに対応したチップセットで、メインメモリとしてDDR400の2チャネルをサポートし、外部AGP 8Xに対応する。グラフィックスコアはGeForce4 MXに利用されているNV17相当で、従来のnForce 420/620に比べて3D描画能力が大幅に向上しているのが特徴だ。 また、サウスブリッジのMCPもMCP2Hへと強化されている。従来モデルのMCPに比べて、USB 2.0コントローラの統合、IEEE 1394ポート(3ポート)のサポート、Ultra ATA/133のサポートという点が強化されている。
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●IntelはこっそりGranite BayとPlacerでAGP 8Xのライブデモを行なう COMPUTEXにはIntelも出展しており、メイン会場のTWTCとは別会場になるTICCの4階にブースを出している。ブースには発表されたばかりのIntel 845E、Intel 845G、Intel 845GLを搭載した各マザーボードベンダのマザーボードがずらっと並べられている。このブースで注目の製品は、こっそり展示されているGranite BayおよびPlacerを搭載したワークステーションによる、AGP 8Xのライブデモだろう。
Granite BayはPentium 4のワークステーション向けチップセットで、2チャネルのDDR333、AGP 8Xをサポートするなどの特徴を備えている。PlacerはXeonのワークステーション向けチップセットで、2ウェイのマルチプロセッサ、デュアルチャネルのDDR SDRAM、AGP 8X、PCI-XサポートなどGranite Bayに比べてハイエンド構成となっている。OEMメーカー筋の情報によれば、両製品とも第4四半期に投入される予定。 Intelは、具体的にGranite Bay、Placerとは明らかにはしていないものの、“Intel Future Uni-Processor Workstation”、“Intel Future Dual-Processor Workstation”として、AGP 8Xビデオカードとのデモとされており、明らかにGranite BayとPlacerだ。利用されているのはATI Technologiesが提供したビデオカードで、ビデオチップの名前などは明らかにされなかった。 □COMPUTEX TAIPEI 2002のホームページ(英文) (2002年6月4日) [Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング] | I |
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