COMPUTEX TAIPEI 2002開幕レポート

AMD、Opteron/次世代Athlonに関する発表会を開催
~Hammer対応チップセット/マザーボードを多数展示

4ウェイのOpteron搭載マルチプロセッササーバーがデモされる模様

会期:6月3日~7日(現地時間)

会場:Taipei International Convention Center(TICC)
   TWTC Exhibition Hall
   TWTC Exhibition Hall 2



 3日(現地時間)より開催されているCOMPUTEX TAIPEI 2002が行なわれている世界貿易中心の近くのホテルにおいて、AMDは記者会見を開催し、コードネーム“Hammer”ことOpteronおよび次世代Athlon(ClawHammer)のプラットフォームに関する発表を行なった。

 この中でAMDは、Opteron/次世代Athlonのプラットフォームを35社を超えるベンダーがサポートすることを明らかにし、マザーボードベンダーによるHammer搭載のマザーボードや、サードパーティによるチップセットなどを公開した。また、この中で4ウェイのOpteronプロセッサ搭載サーバーを公開し、64bitのLinuxサーバーが動作するデモが行なわれた。


●「35社を超えるパートナーがHammerを支持」とリチャード・ハイ副社長

AMD コンピュテーションプロダクトグループ プラットフォームエンジニアリング&インフラストラクチャ担当副社長のリチャード・ハイ氏
 壇上に立ったAMD コンピュテーションプロダクトグループ プラットフォームエンジニアリング&インフラストラクチャ担当副社長のリチャード・ハイ氏は、「4月にMicrosoftとのパートナーシップを明らかにし、当社の64bit命令セットをMicrosoftのOSでサポートすることを発表した。また、Linuxコミュニティとも64bit命令のサポートで協力しているなど、x86-64のサポートの輪は広がっている」と述べ、x86-64のサポートが確実に進展していることをアピールした。

 さらに、「Microsoftによる64bit命令のサポートはAMDにとってかなり大きなマイルストーン(道標)となったが、今日はもう1つのマイルストーンを明らかにしたい」とし、Opteronと次世代Athlonのマザーボードベンダー、チップセットベンダーなど35社以上が対応製品を開発していることを明らかにした。

ハイ氏が公開した、Opteron/次世代Athlonをサポートするベンダーの一覧
 また、「マザーボードベンダーでいえばASUSTeK、FIC、GIGA-BYTE、MSI、ECS、チップセットベンダーではVIA、SiS、ALi、NVIDIA、ATI、BIOSメーカーではAMIとPhoenix、ビデオチップベンダーではNVIDIA、ATI、Matrox、SiS、S3、3DLabsなどがOpteronや次世代Athlonのサポートを計画している」と続け、ご当地となる台湾のベンダーを含めPC業界の主要なベンダーがサポートする計画であると述べた。

 「これらのサポートにより、エンドユーザーはもちろんのこと、エンタープライズユーザーに関しても満足がいく環境を提供することができる」とし、立ち上げが順調に進んでいると強調した。


●会場にはVIA、ALi、SiSのHammer対応チップセットが展示される

NVIDIAのシールが貼られたマザーボードだが、シールをはがすと裏にはAMDのチップセットが……
 ハイ氏の言葉を裏付けるように、会場にはOpteron/次世代Athlon対応チップセットや、マザーボードなどが展示されていた。

 チップセットを展示したのはALi(Acer Laboratories Inc)、SiS(Silicon Integrated Systems)、VIA Technologiesの台湾チップセットベンダーとNVIDIAだ。ただし、NVIDIAはAMDのAMD-8000シリーズチップセットにシールを貼っただけのダミー製品で、実際の製品という意味ではALi、SiS、VIAの3社の製品ということになる。

ALi M1687+M1653
ALiのHyperTransport対応AGPトンネルのM1687 ALiのI/OハブとなるM1653

 ALiのM1687はHyperTransportに対応したAGPトンネルで、策定中のAGP Specification 3.0で規定されるAGP 8Xモードをサポートする。HyperTransportはCPU側が双方向16bitで、I/Oハブ側が双方向8bitになる。CPU側のHyperTransportはデータレートで、400M/800MHz/1.2/1.6GHzの可変となっており、ピーク時の帯域幅は6.4GB/secとなる。I/Oハブ側のデータレートは400/600/800MHzとなっており、ピーク時の帯域幅は1.6GB/secとなっている。

 現在では、サウスブリッジに相当するI/OハブはM1563で、Ultra ATA/133、USB 2.0×6ポートをサポートし、Ethernetコントローラやメモリースティックコントローラなどを内蔵する。

SiS755
SiSのAGPブリッジSiS755 SiS755を搭載したサンプルマザーボード

 SiSのSiS755はAGP 8XモードをサポートするAGPブリッジで、AGPのほか、SiSオリジナルのI/OバスであるMuTIOL(マルチスレッドI/Oリンク)へのブリッジチップとなっている。サウスとしては、まもなくSiSがリリースするSiS963をサポートする。SiS963は、ピーク時帯域幅1GB/secを実現するMuTIOL 1Gをサポートし、USB 2.0コントローラ(6ポート)を内蔵している。

 なお、今回のSiS755のサンプルマザーボードにはディスプレイ出力が装着されていた。これはSiS755のグラフィックス統合版としてSiS760が用意されていて、SiS755とピン互換であるためだ(SiS760とSiS755は同じPCB=基板を利用できる)。SiS760には、先日SiSがXabreとして発表したSiS330コアが統合されることになる。

K8HTA
VIAのAGPブリッジとなるK8HTA K8HTAを搭載したサンプルマザーボード

 VIAのAGPブリッジチップがK8HTA。やはりAGP 8Xをサポートし、533MHzのV-Link(ピーク時帯域幅は533MB/sec)も備えている。サウスブリッジとしては、VIAの最新サウスであるVT8235がサポートされる。VT8235ではUSB 2.0コントローラも統合されている。


●各社がAMD-8000チップセット搭載マザーボードを展示

 また、マザーボードベンダー各社は、AMD純正のOpteron/次世代Athlon用チップセットであるAMD-8000シリーズ・チップセットを搭載したマザーボードを公開した。マザーボードを展示していたのは、ASUSTeK、GIGA-BYTE、FIC、MSIの4社で、さらに発表会の会場ではないものの、展示会場においてABITがマザーボードを公開していた。

 いずれも、AMDがIntel Developer Forum Spring 2002の会期中に会場近くのホテルで公開したリファレンスマザーボードのSolo1と似たデザインになっているが、MSIの製品だけはユニークで、PCIバスの間にAGPスロットが挟まれる形状になっていた。いずれもメモリスロットは、184ピンのDDR SDRAM用DIMMスロットが2基搭載されていた。

ASUSTeK ComputerのK8M。184ピンのDIMMスロット×2、AGP(8X)×1、PCI×5、オンボードEthernetなどの仕様。ATX12Vのほかにデバイス用の電源供給コネクタを備える MSIのMS-6589。AGPスロットはPCIスロット(5本)の中央に配置されるというユニークなデザインとなっている。184ピンのDIMM×2、CNRコネクタを備え、オンボードEthernetを装備する
GIGA-BYTE TechnologyのGA-K8M。184ピンのDIMMスロット×2、AGP(8X)×1、PCI×6 FICは製品名不明。Micro ATXフォームファクタで、184ピンのDIMMスロット×2、AGP(8X)×1、PCI×2、オンボードEthernetを装備


●4ウェイのOpteron搭載サーバーやx86-64対応64bit Windows .NETサーバーが公開される

 また今回、4ウェイのOpteron搭載マルチプロセッササーバー、さらにはMicrosoftが開発中のx86-64対応64bit Windows .NETサーバーも併せて公開された。

 4ウェイのマルチプロセッササーバーは、SledgeHammerコアのOpteronを4つ搭載し、開発中の64bit Linuxを動作させたもので、実際に4つのCPUが動作している模様が公開された。これまで2ウェイは公開されていたが、実際に動作する4ウェイが公開されたのは初めてだ。

 さらに、2ウェイながらOpteronが動作する64bit対応Windows .NET Enterprise Serverのベータ版が公開された。ビルド番号は“3620.Lab01_N.020331-2000”となっている。番号からもわかるようにラボ内部で利用されるかなり初期の開発バージョンであるようだ。

 実際に、64bitアプリケーションなどが動作していたわけではないのだが、x86-64の立ち上げに向けて、ソフトウェア側の準備も徐々に進んでいることを印象づけた。

4ウェイのOpteronマルチプロセッササーバー。64bit Linuxで動作している Opteronが動作していた64bit対応Windows .NET Enterprise Server。ビルド番号は“3620.Lab01_N.020331-2000”


●今回はデスクトップPC版Thoroughbredはなし、ニューヨークに持ち越しか?

 ところで、今回もデスクトップPC版のThoroughbred(現行Athlon XPの製造プロセスルールを0.13μmに微細化したバージョン。より高クロックが実現される)は発表されなかった。

 この点について、AMD コンピュテーションプロダクトグループ ディビジョンマネージャのマーク・ボディ氏に確認したところ、「当社のロードマップでは、デスクトップPC向けのThoroughbredは今年の前半中に出荷となっている。今年の前半はあと1カ月あり、その間に発表されるだろう」と述べ、今月中にはThoroughbredが発表されるという見通しを明らかにした。

 最近、AMDは新しいプロセッサの発表を、何らかのイベントにあわせてくることが多い。たとえば、Athlon XP 2100+はCeBITにぶつけてきたし、Athlon XP 2000+はInternational CESに当ててきた。そういう意味では、次のITのビックイベントといえば、6月25日(現地時間)よりニューヨークで開催されるPC EXPOであり、そこにぶつけてくる可能性が高いといえるだろう。

□COMPUTEX TAIPEI 2002のホームページ(英文)
http://www.computex.com.tw/computex2002/2002default.asp
□COMPUTEX TAIPEI 2002のホームページ(和文、TCA対日輸出促進センター)
http://www.ippc.com.tw/computex2002/2002default.asp

(2002年6月3日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]

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