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イリノイ大、貫通する穴が空いても再生するプラスチックを開発

 米イリノイ大学は8日(現地時間)、スコット・ホワイト教授らの研究チームが、貫通するような穴が空いても自己再生するプラスチック素材を開発したと発表した。

 これまでも微少な傷を回復できる素材はすでにあり、NECのPCの一部にはひっかき傷などを修復できる「スクラッチリペア」技術が採用されている。一方、今回、同チームが開発したのは、大きな穴が空いても、生物のように再生するというもの。実際、その仕組みも生物の構造に似ており、プラスチック材料に、平行した2本の血管のような毛細管を通しておき、プラスチックが損傷した際に、その中を血液のように2種類の液体が流れる。この2種類の液体が損傷部分で混じり合うと、ジェル状になると共に、損傷部分に染み渡っていく。そしてそのジェルは、時間の経過とともに、堅い高分子になり、損傷部分を再生するという具合だ。

 ジェル化は2つの液体が混じるとすぐさま始まるので、液体が「傷口」からこぼれ落ちることはない。一方、固まるまでにはの時間は制御可能で、固まりきる前に傷口の小さな隙間にも浸透できる。

 自己再生能力を持ったプラスチックは、民生品はもちろんのこと、宇宙ステーションなど修理や部品の取り替えが困難な状況にも好適としている。

 この成果はScience誌の5月9日号に掲載された。

(若杉 紀彦)