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防弾性の「液体アーマー」。宇宙服向けにNASAが開発

 映画「オデッセイ」(原題:火星の人)では、主人公である火星探索を行なうNASAの研究者の体に、嵐で飛んできた鉄柱が突き刺さる場面から始まる。主人公の場合は、さいわいにして血液が宇宙服に空いた穴の隙間を埋めて固まったため、九死に一生を得たが、このたび「液体アーマー」を用いて、宇宙服にモノが貫通することを防ぐ素材をNASAとデラウェア大学のチームが開発した。

 「STF-Amrmor」と呼ばれるこの素材は、急激に力を与えると硬化する剪断減粘液体を染みこませた布地でできている。コーンスターチを混ぜた水の表面をゆっくり押すと、普通の液体のように指が入っていくが、強い力で殴ると液体が硬化し、拳が表面で跳ね返されるような実験を観たことがある人もいるかと思うが、原理的には同じようなモノである。

 液体を素材に染みこませるという仕組み上、宇宙服に対する重量の追加はわずかで済み、普通の行動においては固くならないので、行動の制約にもならないという特徴を兼ね備える。

 この素材は、ほかの惑星に建設する建物の外壁や、警官、消防員の防護服などにも応用される見込み。

 余談だが、「火星の人」については、原作の小説の方が、主人公の科学者としてのより緻密な計算や、さらなるトラブルなどが描かれており、映画を気に入った人は、小説も読むことをおすすめする。