イベントレポート
Intelの記者会見でSkylake搭載のスティックPCをチラ見せ
~世界で10億台のPCが買い替えの時期に差し掛かる
(2015/9/4 13:08)
Intelは、9月4日(ドイツ時間)から開幕するデジタル家電の展示会IFAの会場内で記者会見を開催し、第6世代Coreプロセッサ(開発コードネーム:Skylake)を搭載したOEMメーカーの製品などを多数紹介した。
記者会見に登壇したIntel 上席副社長 兼 クライアント・コンピューティング事業本部 本部長のカーク・スコーゲン氏は「第6世代Coreプロセッサは、Intel史上最高のマイクロプロセッサだ」と述べ、第6世代Coreプロセッサの完成度に自信を見せた。
OEMメーカーの記者会見にも引っ張りだこだったスコーゲン氏
IFAは9月4日に一般公開し正式にスタートする。9月2日と9月3日は、プレスデーとされており、出展各社による記者会見などが行なわれ、新製品などを発表する場となっている。9月2日は、早朝のIntel記者会見を皮切りに、昼前にAcer、午後一にASUSが、そして夜にはLenovoがといった具合に、PCメーカーの記者会見が目白押しで、スコーゲン氏はその全部の会見に顔を出し、実に忙しい1日を過ごすこととなった。
そんな1日を過ごしたのは、スコーゲン氏だけではない。Windows 10を7月にリリースしたばかりのMicrosoftも同様だ。9月4日に基調講演を予定しているMicrosoft 副社長 兼 OEMビジネス統括 ニック・パーカー氏も、Acer、ASUS、Lenovoの記者会見を“はしご”していた。今PCメーカーにとって、Windows 10と第6世代Coreプロセッサが重要なキーワードになっており、だからこそ両社の幹部に晴れの場である記者会見に来て華を添えて欲しいわけだ。
Skylakeは史上最高の出来、PCを買い替えるタイミングは“今”
Intelの記者会見では、主に第6世代Coreプロセッサの解説に時間が割かれた。スコーゲン氏は1990年代のWindows 3.1とPentiumの組み合わせ、さらには2000年代の前半のCentrino Mobile TechnologyによるWi-Fiの普及などについて触れ、「2010年代のブレークスルーになるのが2-in-1デバイスだ」と述べ、2-in-1がプレミアムなPCセグメントで成長を続けていくだろうとした。
その2-in-1デバイス向けとしてリリースされたのが、正式にフルラインナップが発表された第6世代Coreプロセッサだ。「第6世代Coreプロセッサは、Intel史上最高傑作のマイクロプロセッサだ。Core m、Core i、Xeonが用意され、後にPentiumやCeleronも追加される。世界中で800を超えるシステムが今日出荷開始され、50の異なるSKUが投入される」とし、製品を正式に発表した。
なお、今回のSkylakeのリリースは供給の問題から段階的になっており、まずアジア太平洋地域向けに即時出荷開始され、それ以外の地域に関しては第4四半期以降となるという。つまり、現実的にはOEMメーカーに大量に行き渡るのは、年末商戦向けの製品を生産する頃となる可能性が高い。
スコーゲン氏は「2010年の製品に比べるとCPU性能で2.5倍、グラフィックス性能に至っては30倍と大きく向上している。その一方で消費電力が削減されたことで、バッテリ駆動時間は3倍になっている。現在、5年以上前に購入されたPCは全世界で10億台あるとされており、それらを買い替えるのにいい時期になった」と述べ、第6世代CoreプロセッサとWindows 10がリリースした今こそPCを買い替えるのに最適な時期だとアピールした。
Core mにも松竹梅のブランドスキームを導入、Core n搭載スティック型PCをデモ
続いて、第6世代Coreプロセッサを搭載したOEMメーカーの製品などを紹介した。最初に紹介したのは、Lenovoの「MIIX 700」。MIIX 700はCore mを搭載した2-in-1デバイスで、無段階のキックスタンドとマグネットで固定されるUSBキーボードなどから構成されている。このMIIX 700に内蔵されているRealSenseのカメラを利用して、自分の3Dモデルを作成しそのモデルでゲームをプレイする様子などをデモした。このほか、東芝の4Kディスプレイ搭載モバイルノートPC、HPの2-in-1デバイスなども併せて紹介された。
また、第6世代Coreプロセッサでは、Core mのブランド名をm7、m5、m3と、Core iのi7、i5、i3と同じ“七五三”システムを導入したことに触れ「Core iと同じように、どの製品が最も素晴らしいタブレット体験を提供するか、分かりやすいようにした」と述べ、日本語で言えば松竹梅のブランディングスキームをCore mに導入したとした。
そして、Intelが開発中の第6世代Core m搭載スティックPCも公開した。現在発売されているスティック型PCは、いずれもAtomベースのSoCの製品となっている。もちろん、最近のAtomは、Windowsを使うのに十分な性能を持っているが、より高い性能が欲しいというユーザーも少なくないだろう。この第6世代Core mを搭載したスティックPCが登場すれば、そうしたニーズに答えられる可能性があるだけに要注目だ。
SkylakeとWindows 10はベストコンビネーションとIntel
話題は、最近Intelが力を入れてアピールしているPCゲーミングの話題に移っていった。「世界中には18億人のゲーマーがおり、そのうち12億人がPCゲーマーで、約7億人が1カ月に1回ゲームを買うようなアクティブユーザーだ」と述べ、Intelとしてそうした大きな市場のニーズに応えるような製品展開をしていると述べた。「第6世代Coreでは、全てのIris GraphicsがeDRAM搭載になっており、15WのUプロセッサでもIris Graphicsを選択できるようにしている」とし、内蔵GPUでもハイエンドゲームがプレイできるようにGPUの強化を行なっているとアピールした。
最後にスコーゲン氏は第6世代Coreプロセッサと、Windows 10の組み合わせについて触れた。「MicrosoftとIntelのパートナーシップは30年以上に及んでいる。モダンスタンバイ、DirectX 12、Continuum、Cortanaなどの新しい機能は、第6世代Coreプロセッサと組み合わせて利用することで、より良い体験が得られる」と述べ、Continuumのデモ、Windows Helloの生体認証をRealSenseの3Dカメラで行なえる様子などをデモした。
RealSenseで生体認証を行なう時には、よく似ている相手、例えば双子で認証にチャレンジした時にはどうなるのかというデモも行なわれ、双子の女子うち片方でしか認識できない様子が紹介された。アップグレード可能なWindows 10ではあるが、より素晴らしい体験を得たいのなら、ハードウェアのアップグレードも必要だとアピールした。