イベントレポート
ASUS、ZenWatch2と世界初の水冷ゲーミングノートPC
~スティック型PCや世界最速ルーターも
(2015/9/3 17:54)
ASUSは9月4日(ドイツ時間)、ドイツ共和国ベルリン市のベルリンメッセで開催されるIFAの会場近くで記者会見を開催し、同社が年末商戦に向けて発売を予定している製品の発表を行なった。
ASUSのスティック型PCはVivoStick PC、Windows 10初期導入
記者会見に登壇した、ASUS 会長のジョニー・シー氏は同社のブランドの中心がZenとROGが中心になりつつあると述べ、今回の発表会では主にその2つの製品を中心に説明するとした。
そうした中で最初に説明されたのは、近年ASUSが力を入れているルーター製品だ。同社のルーターは日本でも販売されており、特にアンテナ数が多いハイエンド製品が人気を集めている。今回紹介された「RT-AC5300」もその延長線上にある製品。3つの帯域を同時に扱うことが可能で、最大1,000Mbpsの2.4GHz帯が1つ、最大2,167Mbpsの5GHz帯が2つとなっており、「それぞれを足すと、合計で5.3Gbpsの通信速度を実現する」(シー氏)とのことで、3つの帯域の同時利用によって家庭用ルーターとしては最高速を謳っている。このため、アンテナが3帯域分(5GHzが3×2、2.4GHzが2)となり、合計で8本のアンテナを備えている。
このほか、Zen関連では、COMPUTEX TAIPEIで発表された「ZenPad」、「Zen AiO」に関する説明が再び行なわれた。これはZenPadがまだ欧州では正式に販売されていないからで、今回のIFAで値段が発表され、販売開始が明かされた。COMPUTEX TAIPEIで発表された4K液晶一体型PCの「Zen AiO S」に関しては、価格が決定され、23.5型(4K液晶)、第6世代Coreプロセッサ(Core i7-6700T)、GeForce GTX 960M/2GB、32GBメモリ(DDR4-2133)、2TB HDDのモデルは1,499ユーロに、23.5型(4K液晶)、第6世代Coreプロセッサ(Core i5-6400T)、GeForce GTX 950M/1GB、8GBメモリ(DDR4-2133)、1TB HDDのモデルが1,049ユーロとなる。
また、シー氏はASUSがCOMPUTEX TAIPEIの会場で公開したスティック型PC、VivoStick PCを紹介した。VivoStick PCはWindows 10が動作するスティック型PCで、蓋を取るとHDMI端子があり、ほかの類似製品と同じようにディスプレイやTVなどに接続して利用する。本体サイズは137.9×34.0×14.9mm(幅×奥行き×高さ)と、スティック型PCとしてはやや大きめの部類だが、重量は68gとなっている。多くのスティック型PCでは、USB端子が1つだけ搭載しているが、本製品は充電用のMicro USB端子のほかにフルサイズの端子が2つ用意されている。ただ、今回はどのプラットフォーム(Core mかCherry Trailか)などは明らかにされなかった。
2サイズ/3カラバリになったZenWatch2、18種類のストラップが用意される
シー氏に変わって登壇した、ASUS モバイルマーケティング部長 エリック・ハーマンソン氏は、同社のZen製品ベースのモバイル製品を紹介した。
最初に紹介されたのはCOMPUTEX TAIPEIで発表されたZenPadシリーズで、基本的な内容はその時と同じ。まだ販売が開始されていない欧州地域でのZenPadの製品展開についての説明から入った。
続いて話は、スマートフォンのZenFoneに移り、1月のCESで発表され既に日本などでも販売されているZenFone2のバリエーションモデルが、既に発表済みのモノも含めて多数紹介された。ダイヤモンドカット風の裏蓋を採用した「ZenFone2 Deluxe」、5,000mAhのバッテリを内蔵している「ZenFone Max」、オートフォーカスのスピードが改善されている「ZenFone2 Laser」、セルフィー用の1,300万画素のカメラが表/裏の両面に用意されている「ZenFone Selfie」、さらには、飛び出さない形の3倍光学ズームを採用している「ZenFone Zoom」などが紹介された。
そして、ASUS製スマートウォッチの最新製品となる「ZenWatch2」が紹介された。ZenWatch2はZenWatchの後継製品で、ZenWatchと同じようにOSとしてAndroid Wearが採用されている。Android Wearは先日iOS対応も発表され、日本に多いiPhoneユーザーでも使えるようになっており、日本のユーザーにとってもより身近な製品になっている。
従来は1サイズだった本体が、ZenWatch2では49×41mm(幅×奥行き)と45×37mm(同)という2サイズになったほか、本体のカラバリがそれぞれ3つ、それに加え18種類のストラップが用意され、より多くのユーザーの好みに対応できるようになった。
また、Watch Face(時計のデザイン)をユーザーが簡単にカスタマイズできるAndroidアプリを利用することができるようになっている。なお、SoCはQualcommのSnapdragon 400、メモリは512MB、ストレージは4GBのeMMC、1.63型ないしは1.45型のGorilla Glass 3のカーブ液晶というスペック。バッテリは400/300mAhを搭載し、2日間は利用できるとのこと。
ハーマンソン氏によれば、欧州では10月から販売開始予定で、価格は149ユーロから。ほかの地域でも順次発売されるようだ。
世界初の水冷ゲーミングノートPCとなるGX700、アンドックすると普通のゲーミングノートPCに
続いてASUS ROGマーケティング部長 デレック・ユー氏が登壇し、ROGブランドの新製品を紹介した。主に既に販売されている製品やプロトタイプなどの紹介が多かったものの、ゲーミングノートPCの説明に特に時間をかけ、「G752」といった第6世代Coreプロセッサを搭載した製品が多数公開された。
それを受けて再度登壇したシー氏は、ASUSが開発中の新型ゲーミングノートPCとなる「GX700」を紹介した。シー氏いわく「世界初の水冷ゲーミングノートPC」とのことだが、水冷のノートPC自体は既に日本のPCメーカーなどが過去に製品化しており、それ自体は世界初ではない。しかし、“ゲーミングPC”というカテゴリに限るなら、世界初という表現に適うのだ。
ユニークなのはその構造で、ドッキングステーションのような水冷ボックスが用意されており、背面にあるレバーを使ってノートPCをドッキングさせることで、ノートPCに内蔵されているサーマルヒートパイプが水冷ボックスと接続され、冷やされるようになる(このため、取り外した時は普通の空冷のノートPCとして動作する)。水冷ボックスに接続された時には、熱設計の枠に余裕ができるため、より長時間Turbo Modeで動かしたり、オーバークロック状態で動かすなどの使い方ができる。
スペックの詳細は現時点では未公開だが、17型/4KのIPS液晶ディスプレイを採用しており、CPUは第6世代Coreプロセッサ、NVIDIAのGPU(どのGPUかは不明)を搭載していることなどが公開された。なお、現時点では開発意向表明で、販売時期や価格などは未定ということだった。