【IFA 2012レポート】
ソニー、国内未発表の11.6型FHDのコンバーチブルPC「VAIO Duo 11」
〜VAIO TとVAIO Eのタッチ液晶搭載版も展示

ソニーが発表したVAIO Duo 11。液晶は11.6型で、フルHD。タッチ操作やスタイラスペンによる操作が可能

8月30日(現地時間) 発表



 ソニーは、8月31日から開催される予定のヨーロッパ最大の家電ショー「IFA 2012」の開幕に先駆けて記者会見を開催し、同社が今秋に発売を予定している新製品などに関する発表を行なった。

 この中でソニーは、10月末に発売が予定されているWindows 8の解禁に併せて出荷されるVAIOシリーズの新製品のいくつかを紹介した。中でも大きな注目を集めたのは「VAIO Duo 11」で、ヒンジ部分がスライドすることでクラムシェル形状とスレート形状のどちらの形でも利用できるコンバーチブルPCだ。

 プロセッサはCore i7ないしはCore i5で、タッチ操作および付属のペンでの操作に対応した11.6型のフルHD(1,920×1,080ドット)液晶ディスプレイを搭載しながら、厚さ17.8mmで重さ1.3kgと、薄型軽量を実現しているなどの特徴を備えている。

 このほかにも、ソニーは20型のタッチパネルを採用し、角度調整可能なヒンジで床と並行に設置できるテーブルトップPCの「VAIO Tap 20」、そして既存のモデルである「VAIO T」や「VAIO E」の液晶をタッチ対応にしたWindows 8搭載モデルなどが展示された。

●タブレットでもあり、UltrabookでもあるVAIO Duo 11

 今回ソニーが発表したVAIO Duo 11は、一言でいえば、タブレットにもなり、Ultrabookにもなるという1台で二役をこなすことができるコンバーチブルPCになる。

 一般的なノートPC、いわゆるクラムシェル(貝殻)型のノートPCでは、蓋を閉じると液晶パネルは閉じてしまわれる形となる。しかし、VAIO Duo 11では、ヒンジに工夫がされており、蓋が閉じた状態だと、スレート(板)型のタブレットとして利用できる状態になり、スライドして液晶を持ち上げると、クラムシェル型のノートPCとして利用できるようになっている。1台で2つの役割を果たすことができるためコンバーチブルPCと呼ばれている。

 例えば飛行機の中で飛行中にコンテンツを見るときにはタブレットとして利用し、PowerPointで資料を作るとなったときはクラムシェルモードにしてキーボードで高速に文章を作成する使い方が想定される。なお、VAIO Duo 11に採用されている液晶は11.6型で、フルHDの解像度を実現しており、書類などを作成するときにも高解像度を利用して楽々作業できるのは嬉しいところだ。

 しかも、VAIO Duo 11は、14型未満では18mm以下というUltrabookの定義に準拠しており、コンバーチブルPCでありながら同時にUltrabookでもあるのだ。より厳密に言うなら、IntelのUltrabookの定義ではこうしたコンバーチブルPCでは、ヒンジ部分などに工夫が必要なため、さらに2mm分の余裕があり20mm以下でいいのだが、18mmを切っているので余裕でクリアしていると言ってもいいだろう。つまりコンバーチブルPCで元々のUltrabook定義を満たしているというのは、それだけすごいことなのだ。

【表1】VAIO Duo 11のスペック(ソニーの発表資料に基づく)
プロセッサ Core i7-3517U、Core i5-3317U、Core i3-3217U
メモリ 4GB/8GB(DDR3L-1600)
ストレージ 128/256GB SSD
GPU Intel HD Graphics 4000
ディスプレイ 11.6型IPS液晶(1,920×1,080ドット)
/10点タッチ対応
無線 Wi-Fi+Bluetooth 4.0
I/O Ethernet
カードスロット
USB 3.0×2
HDMI出力
アナログRGB出力
カメラ フロント+リア
センサー NFC/GPS/加速度/照度/コンパス/ジャイロ
サイズ(幅×奥行き×高さ) 32×199×17.85mm
重量 1.3kg
OS Windows 8/Windows 8 Pro

徐々にスライドさせていくと、スレートモードへと移行することができる
ユニークなヒンジ構造。ソニーの説明員によれば、落下テストや開閉テストにより十分な強度は確保されているという ディスプレイの解像度はフルHD

●タッチ、スタイラスペン、キーボード+スティックの3つの操作が可能

 VAIO Duo 11の操作は、基本的にタッチ、付属のスタイラスペン、そしてキーボード+光学式のスティック型ポインティングデバイスの3つのデバイスを通して行なえる。

 VAIO Duo 11の液晶ディスプレイは10点式のタッチパネルになっており、Windows 8のタッチ機能を利用してさまざまな操作ができる。製品によってはWindowsデスクトップに降りたときのタッチ操作にはタッチパネルの精度がイマイチでイライラすることも少なくないが、VAIO Duo 11ではそうしたこともなく、快適に操作できていた。なお、スレート状態にした場合でも操作しやすいように、キーボードの裏側にボリュームボタンなどが用意されており、大きさはやや大きいもののタブレットと同じような感覚で利用することができるのは嬉しいところだ。

 また、VAIO Duo 11では付属のスタイラスペンを利用しても操作できる。このスタイラスペンを利用することで、例えば文字入力などを快適に行なえる。このスタイラスペンはそのままでは本体に内蔵する場所はないのだが、オプションとして提供される予定の拡張バッテリに格納する穴が用意されるとのことだ。

 キーボードは一般的なノートPCのQWERTY配列で、いわゆるアイソレーション型となる。キーボードバックライトが標準で用意されており、暗いところでもキー入力できるようになっている。加えて、キーボードのG、H、Bの中央に、光学式のスティック型ポインティングデバイスが用意されており、クラムシェルモード時にはタッチしなくても操作できるように配慮されている。ただし、現在の状態では、強く押してもポインターはあまり高速で動かず、あまり快適に操作できる状態ではなかった。展示員によれば、現在最適化中ということで、製品出荷までには改善される予定だという。

 ただ、正直に言って、クラムシェル状態でも、タッチ+キーボードでの操作が十分すぎるほど快適で、ポインティングデバイスのニーズはさほど感じなかった。

このようにクラムシェルモードでももちろんタッチ操作が可能で、むしろこの方が快適に操作できた 付属のスタイラスペン
付属のスタイラスペンを利用すると、文字入力はより快適になる。このように検索時に手書き入力などを利用してなどの利用方法が考えられている アイソレーション型のキーボードと光学式スティック型ポインティングデバイス。光学式ということもあるのか、反応はイマイチだった

●標準バッテリでMM07で5時間、大容量バッテリで10時間の駆動が可能に

 プロセッサはIntelの第3世代Coreプロセッサ・ファミリーだ。CPUはモデルにより異なるが、選択肢としてはCore i7-3517U、Core i5-3317U、Core i3-3217U(いずれもいわゆるUシリーズ=かつてのULV版)が用意されている。メインメモリは4GBか8GBとなる。

 メモリスロットは用意されていないので、購入時のスペックがすべてで、購入後に増設などはできない。このため、より大容量のメモリが必要な場合にはCTOで選択ないしは、購入時に高いスペックのグレードを選ぶ必要がある。ストレージは、HDDの選択肢はなく、SSDのみの選択しか用意されいない。これも、モデルやCTOにより128GBないしは256GBから選択となる。なお、展示されていたモデルにはSamsungの256GBのSSDが採用されていた。

 用意されているポート類もフルPCとして十分なものが用意されている。左側面にはUSB 3.0×2とHDMI出力、電源スイッチ、右側面にはSDカード/メモリスティック共用のカードスロットとアナログRGB出力、音声出力、後面にEthernetとACアダプタ端子が用意されていた。USBポートがもう1つぐらいは欲しかったところだが、フルPCとしては十分合格点を与えられるポート類と言っていいだろう。

 無線関連は、Wi-Fi(アンテナは2本)とBluetooth 4.0が用意されている。ワイヤレスWANに関してはオプションでも用意されないということなので、おそらく内部に用意されているPCI Express Mini Cardスロットが1つしかないということなのだろう。日本のユーザーとして気になるところは、WiMAXがオプションとして用意されるかどうかだが、現時点では日本で発表されるかどうかも含めて言及できないということだった。しかし、Wi-Fiなどは地域によりニーズが異なるので、基板に完全に実装ということではなく、PCI Express Mini Cardでの実装だと予想されるため、日本モデルにだけCentrino Advanced-N+WiMAX 6250の内蔵オプションを用意するということは可能なはずで、日本モデルではその選択肢が用意されることに期待したいところだ。

 内蔵されているセンサーは、NFC、GPS、加速度、ジャイロ、デジタルコンパスとなっており、一般的なタブレットとほぼ変わらないセンサーが内蔵されている。今後Windows 8のタッチアプリケーションでそうしたセンサーを活用するアプリケーションが増えていけば(Windows 8ではOSレベルでそうしたセンサーをサポートしている)、iPadやAndroidタブレットと同じような感覚でWindowsタブレットも使うことができるようになるだろう。

 すでに述べたとおり、厚さは17.8mmと18mmを切っているのだが、唯一残念なのが重量で、タブレットとしては重量級の部類になる1.3kgになっている。キーボードを内蔵していること、そしてクラムシェルへ変形させるためのヒンジ部分を考えれば、無理もないのだが、それでもスレートのタブレットとして片手で持ってコンテンツを見るという使い方にはあまり向いていないだろう。このため、どこかにおいて見るというのが一般的な使い方ということになるのではないだろうか。

 なお、内蔵されているバッテリを利用した場合、MobileMark 2007による計測で5時間程度は利用することができるという。一般的にUシリーズのCoreプロセッサを利用したノートPCのシステムは6〜7W前後の平均消費電力になるので、30〜35Wh前後の容量のバッテリを内蔵していると考えることができる。今回はヨーロッパ向けの発表であるため、国内向けの発表でつきもののJEITA測定法によるバッテリ駆動時間は明らかにされなかった、一般的にJEITA測定法によるバッテリ駆動時間はMobileMark 2007の1.5〜1.6倍程度であるので、7〜8時間程度になることが予想されるのではないだろうか。

 すでに述べたとおり、オプションで拡張バッテリが用意されており、以前のVAIO Xと同じように本体の底面に取り付けると、本体が斜めに傾いてキーボードが打ちやすくなるという形状になっている。拡張バッテリの容量は本体に内蔵されているものと同一になっており、拡張バッテリを取り付けると単純にバッテリ駆動時間は倍になることが予想されるという。つまり、MobileMark 2007で10時間ということが予想される。MobileMark2007による測定はかなり実利用シーンに近いので、Wi-Fiを有効にして通信しながら使ってその程度は使えると考えることができるだろう。

 VAIO Duo 11の出荷時期は10月末、つまりWindows 8の出荷時期に合わせているということだった。現時点ではヨーロッパ地域での価格も未定だが、少なくともVAIO Tよりは上の価格帯で、VAIO Zよりは下の価格帯ということだったので、CTOでの最低価格が日本円で10万円台前半ぐらいに設定されると予想できる。なお、日本市場向けの製品があるかも含めて日本での価格や出荷時期なども未定とのことだったが、これまでの例からも考えて日本向けの製品がないとは考えにくく、おそらく日本でも同じ時期(Windows 8の出荷時期)に発表ないしは出荷される可能性が高いだろう。

本体の右側面。USB 3.0×2、HDMI、電源スイッチが用意されている 本体左側面。アナログRGB、カードスロット(SDカード/メモリースティック)、音声出力 タスク領域にはノイズキャンセリングヘッドフォン用のツールが用意されているので、VAIO Zなどでも用意されているノイズキャンセリングヘッドフォンがCTOメニューなどで用意されるものだと考えられる
本体の後面、Ethernetポートが用意されている。VAIO Xと同じ下側に飛び出す形のコネクタを採用 本体の前面の右側には下向きにボリュームスイッチや、ヘルプを表示するボタンなどが用意されている。クラムシェルモードだと触りにくい場所にあるので、スレートモード時に利用すると考えることができる。スピーカーも用意されている(ステレオ) 本体前面右側にはインジケータが用意されている
本体の底面に取り付ける形の大容量バッテリ。本体内蔵のバッテリと同じサイズのバッテリが内蔵されている オプションとして用意されるケース

●新しいテーブルトップPCという使い方を提案するVAIO Tap 20

 VAIO Tap 20は、同社が“テーブルトップPC”という呼び方で提案している新しい形のPCだ。一見すると、いわゆる液晶一体型(AIO)PCに見えるが、単なるAIOとは言い切れないところが、VAIO Tap 20の新しいところだ。

 従来のAIOとVAIO Tapの大きな違いは2つある。1つはVAIO Tapでは液晶の角度を垂直から水平まで自由に変更できる。地面と水平に設置した場合には、まるで20型のタブレットを机の上に置いているかのようにタッチ操作でさまざまなアプリケーションを操作できる。ただ、こうした使い方は、すでにLenovoが発売しているIdeaCenter A570でも訴求されている使い方であり、特に目新しいものではないが、PCとして新しい部類の使い方ではあるということができるだろう。

 もう1つはバッテリを内蔵していることだ。このため、ACアダプタを外して部屋と部屋を移動して持ち運んで利用するということが可能。普段は書斎などでお父さんがPCとして利用して、ACアダプタをはずしてリビングに持って行き、テーブルトップモードにして子供達がゲームで遊ぶといった使い方になるだろう。

 スペックそのものは、CPUが第3世代Coreプロセッサ(Core i7-3517U、Core i5-3317U、Core i3-3217U)、メインメモリは4GBか8GB、ストレージは750GBか1TBのHDD、GPUはCPU内蔵のIntel HD Graphics 4000となっている。液晶の解像度はHD+(1,600×900ドット)となっており、10点のタッチ操作に対応しているほか、動画などの描画に関してはソニーが自社開発した映像デコーダ(モバイルBRAVIAエンジン)を経由して行なわれるため、Intel HD Graphics 4000を利用して映像を表示させる場合に比べて高品質で再生することが可能になっている。

 ただ、VAIO Tap 20ではヨーロッパ向け、アジア向けにかかわらずTVチューナを内蔵したモデルは用意されないという。基本的にはTVチューナはnasneのようなネットワークを利用した製品と組み合わせて利用することを考えているとのことだった。TVチューナがあると据え置きになってしまい、部屋間を移動するというコンセプトが実現できないため、こうした形になっていると考えることができるだろう。

 なお、こちらに関しても現時点ではヨーロッパでの価格も発表されていないほか、日本での投入時期、価格などについては未定とのことだった。

【表2】VAIO Tap 20のスペック(ソニーの発表資料に基づく)
プロセッサ Core i7-3517U、Core i5-3317U、Core i3-3217U
メモリ 4GB/8GB(DDR3L-1600)
ストレージ 750GB/1TB HDD
GPU Intel HD Graphics 4000
ディスプレイ 20型液晶(1,600×900ドット)/10点タッチ対応/
モバイルBRAVIAエンジン採用
無線 Wi-Fi+Bluetooth 4.0
I/O Ethernet
カードスロット
USB 3.0×2
スピーカー 2.1ch
アナログRGB出力
Webカメラ 131万画素
サイズ(幅×奥行き×高さ) 504×312×312mm
重量 5.2kg
OS Windows 8/Windows 8 Pro

VAIO Tap 20は、タッチ操作が可能なテーブルトップPC
このように、無段階でユーザーの望みの角度に設定でき、最終的には地面と水平にすることができる 想定される使い方としてはこの例のように10点タッチを活用してお絵かきソフトなどを利用したりする
本体の左側面。カードリーダ、USB 3.0×2、音声入出力が用意されている 本体の右側面。EthernetとACアダプタのポートが用意されている

●多数のタッチ対応のPCを登場させ、タッチによる操作をアピールするVAIOシリーズ

 このほかソニーは、2つのタッチ操作が可能なVAIOノートブックを展示した。1つは、夏モデルとして発表されたVAIO T 13型の13.3型液晶ディスプレイをタッチにしたもので、それ以外の仕様(プロセッサ、メモリ、ストレージ、解像度など)に関しては、従来版とほぼ同じだ。同じように、タッチ版が発表されたのはVAIO Eシリーズ 14Pで、VAIOノートの普及価格帯モデルにもタッチ搭載モデルが登場することになる。

 このように、今回のVAIOノートブックはかなりタッチに振ったモデル構成になっており、VAIOシリーズ全体としてタッチを訴求する計画があるものと考えることができる。おそらく10月末に登場することになる日本の冬モデルのラインナップでもそうした製品が登場することになるだろう。

VAIO T 13型のタッチ対応版 展示された製品のCPUはCore i7-3517U、メモリ8GB、128GB SSD、Intel HD Graphics 4000というスペックだった
本体の左側面、USB×2 本体の左側面、オーディオ出力、カードスロット、HDMI、アナログRGB、Ethernet 液晶は13.3型で、解像度は1,366×768ドット
VAIO Eシリーズ 14型のタッチ対応版 液晶は14型で、解像度は1,600×900ドット ディスクリートGPUも搭載されておりAMD Radeon HD 7570Mないしは7670Mが搭載されていた

(2012年 8月 30日)

[Reported by 笠原 一輝]