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20以上の機能追加や性能改善を盛り込んだ特別版Radeonドライバ

 米AMDは、20以上の機能追加や、幅広い性能改善を盛り込んだ同社製GPU用ドライバ「Catalyst Omega」を近日公開する。

 同社のGPUドライバは通常、Catalystという名称で提供されている。2002年にこの名前で登場し、2005年にCrossFire対応、2009年にOpenCL対応、2010年にEyefinity対応、2014年にMantle対応といったメジャーな機能追加を行なってきた。

 今回、新バージョンの投入にあたり、数ヶ月かけてRadeonコミュニティで幅広いヒアリングを行ない、実ユーザーが直面している問題や、希望する機能追加を調査し、それらを一挙に盛り込んだ。特に問題点については、寄せられた意見の上位10個については、全て対応を果たし、品質を向上させたという。

 そこで名称に「Omega」という特別な符号を付けて提供することとなった。ただし、これも従来のCatalystの新バージョンの1つであり、この次は今回のOmegaに通常の規模のバグ修正や機能追加、性能改善を盛り込んだものをCatalyst 15.1として提供する。具体的な予定は決まっていないが、今後も継続的にこういった大規模なバージョンアップを提供していくという。

 機能追加の主なものは、以下の通り。

・Fluid Motion Videoの拡張。PowerDVD 14でBD再生時の、フレームレート変換の高品質化、GPUコンピュートを用いたフレーム補間、フレームがたつき修正(35W以上のAx-7x00シリーズAPUとRadeon R7/R9シリーズで対応)

・圧縮動画のマッハバンド(グラデーションの不自然な変化)の除去(Athlon APU、Ax-7x00シリーズAPU、Radeon RシリーズGPUで対応)

・1080p動画のディテール拡張(Ax-7x00シリーズAPU、Radeon RシリーズGPUで対応)

・デュアルグラフィックス環境におけるフレームペーシングの拡張によるBatman Arkham Origins、Metro Series、TombRaider、Sniper Elite 3などのタイトルで性能向上(全APUとGPUで対応)

・1080pディスプレイでもゲームを4Kレンダリングして縮小+SSAAのシミュレーション表示することで、よりエッジの滑らかな高精細な画像を表示(Radeon R9 285/290で対応)

・ALIENWARE Graphics Amplifierへの対応。外付けGPUボックスにRadeonカードを装着し、内蔵GPUとして利用できる(Radeon HD 5000以降で対応)

・FreeSync対応により、2015年第1四半期以降登場予定の対応ディスプレイで動的なリフレッシュレートの変更が可能に(FirePro、Ax-7x00シリーズAPU、Radeon RシリーズGPUで対応)

・5Kディスプレイ対応(FirePro、Radeon RシリーズGPUでDisplayPort 1.2を2本使って60p対応)

・Eyefinityでの最大24ディスプレイ対応

・このほか、OpenCL 2.0、CodeXL 1.6、OpenGL ES 3.0、ディスプレイの入力切り替えの高速化、色域のリマップ、LinuxにおけるPhase 1デコードのビデオアクセラレーションAPI、Radeon R9 285でのEyefinityでの画面回転など

 ゲーム性能面では、APUで最大29%、GPUで最大19%の向上が図られた。また、現時点では対応タイトルは非公開だが、毛をより滑らかに描画する「TressFX」が3.0にバージョンアップしている。

マッハバンドの解消
1080p動画のディテール拡張
1080pディスプレイでの4Kレンダリング
ALIENWARE Graphics AmplifierにRadeonを搭載した時の性能向上
APUはゲーム性能が最大29%向上
TressFX 3.0が実装
GPUはゲーム性能が最大19%向上

(若杉 紀彦)