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JEITA、ノートPCのバッテリ動作時間測定法を改訂
~2001年以来のアップデート
(2014/2/20 14:00)
- 2月20日 発表
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)のパーソナルコンピュータ(PC)事業委員会は20日、多くの国内メーカーが採用しているノートPCのバッテリ動作時間測定法「JEITAバッテリ動作時間測定法」を改訂することを発表した。
ノートPCのカタログスペックなどに記載するバッテリ駆動時間を測定する方法として、2001年6月20日にJEITAが公開した「JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver.1.0)」が今日に至るまで広く使い続けられている。簡単にまとめると、指定されたMPEG-1(320×240ドット)動画をHDDから読み出して20cd/平方m以上の画面輝度で再生し続けた場合の「測定法a」の駆動時間と、画面輝度最低でデスクトップ画面を表示し続けた場合の「測定法b」駆動時間を足し、2で割った値を算出するものだ。
近年のCPUや画像処理性能向上や、無線通信が一般的になるなどの使用環境の変化に伴い、この測定法をおよそ13年ぶりに見直し。「JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver.2.0)」(JEITA測定法2.0)として発表した。
都内で行なわれた説明会では、JEITA PC事業委員会 委員長の加茂朗氏が挨拶し、「13年前に取りまとめられて以降、今回が初めての改訂。21日よりJEITAのWebサイトで計測法も公開し、周知していく」と紹介した。また、説明会の最後で行なわれた質疑応答の場では、なぜ13年間変更がなかったものが今になって改訂されるのかについて問われ、「近年は使用環境が非常に変わったこと」と「ガイドラインなので頻繁に変えることはお客さんにとっても良くない」の2つの理由であるとした。
改訂内容の解説は同バッテリ動作時間測定法TG 主査の米田清一氏が説明。JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver.1.0について「2001年に当時の社団法人電子情報技術産業協会が取りまとめた方法で、ユーザーがノートPCを購入する比較の目安として一定の役割を果たしたと思っている」とコメント。
また、本測定法の目的として「搭載デバイスやOSを問わず、さまざまな機器で比較できることを目的とした、目安にできる共通の測定法。あくまで目安なので、ユーザーの使用状況における実使用時間ではない」という点についてもはっきりと言及している。
なお、現状はバッテリを搭載したノートPCを対象としており、タブレットについては別途、JEITA内のタブレット委員会で検討が進められているという。特にAndroidについては、画面輝度を維持したままアイドル状態で放置することができないなどの制約から、本測定法をそのまま適用することは難しいという。
JEITA測定法2.0でも、従来と同様、動画再生をし続けた場合の測定法aと、アイドルを続けた場合の測定法bを実施し、2つの動作時間を足して2で割ったものを、本測定法の駆動時間とする点は同様だ。
ただし、測定方法が見直されている。大きな違いは以下に示す通りだが、画面輝度を150cd/平方mへ引き上げることや、無線LANをアクセスポイントへ接続した状態で行なうこと、動画ファイルがH.264/AVC形式のものへ変更され、フルスクリーン再生することが定義される。また測定法bについても、従来は画面を最低輝度にして表示し続けるものだったが、こちらも150cd/平方mの輝度で維持するよう変更された。画面輝度は白の輝度であることも定められている。
使用する動画ファイルは、21日にもJEITAのWebサイトにアップロードされる見込み。映像は「ITE/ARIBハイビジョン・システム評価用標準動画像第2版 Aシリーズ」を用いており、映像コーデックH.264/AVC、映像ビットレート10Mbps、フレームレート29.97fps、音声コーデックAAC、音声ビットレート160kbpsで、2分21秒の動画ファイルになっている。
ちなみに、無線LANについてはオンにすることを定めているが、実際の通信を測定において行なわない。これについては、電波環境などを統一した環境で測定を行なうことが難しいためで、統一された測定方法での動作時間を提供する本来の目的を優先したものとしている。
本測定法に基づいて測定した駆動時間をカタログなどに記載する場合は、「JEITA測定法2.0準拠」であることを示すことが定められる。
また、Ver.1.0では測定条件を併記することについて定められておらず、「問い合わせがあったら答えられるようにする」程度のガイドラインになっていたが、Ver.2.0では、「OSの輝度設定で約150cd/平方mへ設定する方法」、「使用する動画ソフト」、「動画ファイルの格納場所」、「出荷状態から測定環境までの設定変更内容」の4点について、「情報公開すべき項目」として定めている。例えば、測定の安定性を高めるためにバックグラウンド処理の停止やアプリケーションのアンインストールなどは認められるが、その場合は出荷状態からの変更内容として記載しなければならない。
本測定法の施行は2014年4月1日で、現時点でASUS、NECパーソナルコンピュータ、エプソンダイレクト、東芝、日本ヒューレット・パッカード、パナソニック、富士通、マウスコンピューター、ユニットコムが採用を予定しており、4月1日以降に発売される製品のカタログなどに、新測定法による駆動時間が順次掲載されるとしている。
なお、JEITA測定法2.0で測定した場合、Ver.1.0で測定した場合に比べて「機器にもよるが、おおむね7~8割程度」(米田氏)の駆動時間になるという。4月1日から全てをVer.2.0での記載に切り替えてしまうと従来製品との比較が難しくなるなどの観点から、“施行から1年程度を目処に新旧測定法による動作時間を併記することは妨げない”とされている。
ただし、優良誤認に繋がる表現は避けるよう、どちらの測定法による結果なのかを明記し、「Ver.1.0の結果のみを単独記載しない」、「併記の際は左側または上側にVer.2.0の結果を表示する」、「Ver.1.0の結果をVer.2.0の結果より大きく記載してはいけない」といったガイドラインを定めている。