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エンプラから居酒屋まで「誰もが使えるAI」で競合に勝てる、と日本マイクロソフト平野社長
2017年1月18日 15:40
25年におよぶAIのノウハウ、安価でありつつ人間を超える精度の認知技術、そして日本独自のアプローチで、エンタープライズだけでなく、個人向けの居酒屋でも導入が始まりつつある日本マイクロソフトのAI展開戦略などについて、同社代表取締役社長の平野拓也氏が説明を行なった。
Microsoftの会計年度は7月に始まり、この12月で上期を終えた。今期のテーマは「顧客のデジタルトランスフォーメーション(デジタルへの移行)の支援」だったが、平野氏は、その移行速度はますます加速しており、ビジネスの環境も変化し、ユーザーの関心も高まっているのを実感したと、上期を振り返った。
それに合わせて、日本マイクロソフトでも体制を見直し、営業に臨んでいるが、デジタルトランスフォーメーションの鍵となるのがAI(人工知能)だ。米国本社では5,000人規模のAI組織を構成するなど、大きく力を注いでいる。
AIについては、AlphaGoで人間のトップ棋士を打ち負かしたGoogleや、CES 2017で会場を席巻したAmazonのAlexaなど競合の存在感が強い。
そういった中、平野氏は、「当社はAIについては25年もの間、開発を行なってきたノウハウがある。実際、AIに関する当社の特許数は1,100あり、2位のGoogleの2倍以上。認知技術(コグニティブ)についても、人間を超える精度を実現しており、Botにも取り組んでいる。
技術面では他社に後れを取っておらず、独自の強みもあり、勝てる。また、AIや認知技術は、利用したくとも高価というイメージがあるが、当社は“誰もが使える”価格設定にしている。課題となるのは、そういった事実を広く知らしめていくことだろう」とした。
実際、同社の技術は金融機関や大学でのガン治療研究などの領域ですでに国内で採用が進みつつある。また、居酒屋やラーメン店での利用という、おもしろい事例もある。認知技術では、顔認識の実用化が進んでおり、神田のチェーン居酒屋では、来客の顔認識を行ない、年齢や性別、あるいはリピーターかどうかといったことを認識し、それに応じて最適なメニューを表示するといった実証実験を行なっている。今後は、言語解析も導入し、より高度なものにしていく。
日本マイクロソフトが旗振り役となって推し進めている「働き方改革」にもAIを持ち込み、第2段階へと昇華させる。これまでは、デジタルを活用した社員同士のコミュニケーションに注力してきたが、AIがメールや予定表などの情報を理解、解析し、例えば「AさんとBさんは多くの会議に同席し過ぎているので、片方だけが参加した方が効率が上がる」といった提案を行なうレベルにまで持って行きたいとする。こういった取り組みについては、近く、正式な発表を行なう予定だ。
本日より日本での出荷が始まった「HoloLens」については、初動の予約数が、米国を除く、6カ国の合計の3倍に達したとのことで、平野氏は大きな手応えを感じているとした。日本は、他の国よりも開発者を中心に、先進技術に対する関心が高く、その現われだろうとする。セミナー開催や、専任者の設置で、国内対応を加速していく。
一方で、その実装・実用については他の地域より時間がかかるとも指摘。パブリッククラウドの利用も日本は1~2年遅れているが、その分、日本での売上拡大の余地があるとの見方を示した。
下期については、「デジタルトランスフォーメーションにサプライズを加え、我々の技術でこういった新しいことができるという提案を積極的に行なっていきたい」とした。