やじうまミニレビュー

中二病全開! デザインで選ぶマウス【第1回】

~2,199円の「CW90 Gaming Mouse」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
CW90 Gaming Mouse

 世の中にある無数にある製品の中から、1つの製品を選んで買う理由は複数存在するが、中でもデザイン、つまり視覚で選ぶことは重要な要素の1つである。例えば洋服などはその最たる例で、機能や性能が重視されることはほとんどない。どんなに機能性に優れた洋服であっても、デザインが気に入らなければ(業務などで使う場合を除けば)買うことはまずないだろう。

 ところがPCの世界で最重要視されるのは性能や機能であって、デザインは二の次である。例え今日、MacBookのデザインにi486やメモリ8MB、540MBのHDDとWindows 3.1を詰め込んで売ったとしても売れるはずがない。例え購入者がPCに詳しくない一般ユーザーであったとしてもだ(騙して買わせた、もしくはネタで買ったかは別だが)。

 しかしPCの世界でも、マウスはちょっと事情が違う。もちろんシビアなゲーマーなどにとって見れば、性能が最重要であることに変わりはないし、有線か無線か、持ち運び用かデスクトップ用かで機能が大きく異なるのは確かだが、それらは洋服で言うところの半袖か長袖か、下着か上着かぐらいの違いであり、単なる用途別バリエーションであると言っても差し支えない。メーカー間の最大の差別化要素は、むしろデザインである。

 そのため、ロジクールやRazer、エレコムやバッファロー、サンワサプライと言った大手のみならず、海外の参入メーカーは非常に多く、まさに洋服ばりにバラエティに富んでいる。とりわけAmazon.co.jpが取り扱っているマウスは、輸入品などもあるため、実に多く存在し、百花繚乱を極める。

 そこでやじうまミニレビューでは、短期ながらいくつかのデザイン重視のマウスをピックアップし紹介していきたい。とは言え、何も面白くない無難なデザインのマウスを紹介してもナンセンスなので、筆者の中二病視点で選んだ製品を紹介しよう。第1回は“Combaterwing”ブランドを冠するゲーミングマウス、「CW90 Gaming Mouse」である。購入価格は2,199円だった。

 ゲーミングマウスにちょっと詳しいユーザーなら、本製品を見た最初の感想は「うわぁ」だろう。そう、CW90のデザインはロジクール(Logitech)のゲーミングマウス「G502」にそっくりなのだ。まあ、そもそもボタンが少ないとか、ホイールの色が違うとか、溝の位置が違うとか、薬指を置く窪みがあると言った、“まあLogitechに意匠権で訴えられたら、「違うモノっす」と主張できるね”ぐらいの違いはあるが、横に並んでいたら姉妹品だと思えるぐらい似ているのは確かだ。

 デザイン上の特徴はG502似である以外に、金色のサイドボタンとDPI変更ボタン、そして金属削り出し風の金色のホイールが挙げられる。ブランドロゴに加え、ホイールにも一筋のLEDイルミネーションを備える点も特徴で、このLEDの色はDPIとともに変化し、ゆっくり点滅するが、残念ながらカスタマイズする機能を備えていない。

 サイドは光沢のあるプラスチックに滑り止めのような加工が施されているが、G502のようなラバー素材ではなくプラスチック成形のため、チープさがある。一方、手のひらを置く部分と左右クリックボタンは滑り止め加工がされている。時間経過とともに加水分解しそうで怖いが、加水分解するまで使い込んだのなら、2,000円の元は取れたと思う。

 デザインがG502そっくりなため、握った感触などもG502に近い。指先と付け根でマウスをホールドする“爪立て持ち(いわゆるClaw)”では両者ともに変わらないが、CW90の方が薬指を置く窪みがあるので、手のひら全てをマウスに委ねる“かぶせ持ち(いわゆるPalm)”なら、CW90の方がゆったりできる印象だ。ただし、CW90は公称重量が166gと重いため、指だけでマウスを動かすつまみ持ちには向かない(この点はG502も同じ)。なお、実測はケーブル込みで162g、ケーブルを重量計からおろした状態で129gだった。

 さて、本製品のスペックだが、Avago(PixArt)の光学式センサー「ADNS-5050」を使用しているとされ、フレームレートは4,500fps、トラッキング速度は30ips、最大加速度は8Gとなっている。スペックシートから分かる通り、ADNS-5050は決してゲーミング向けのセンサーではなく、あくまでもメインストリーム向けの製品だ。そのため、本製品でシビアなFPSなどをプレイするのはオススメできない。

 また、本製品の解像度は800dpi(赤)→1,500dpi(緑)→2,500dpi(青)→3,800dpi(紫)の4段階に切り替えられるが、ADNS-5050自身は125dpiから1,375dpiまで125dpi単位でしか調節できないとされている。もしそうだとすれば本製品の解像度はソフトウェア補完によるもので、ハードウェアネイティブではない可能性が高い。この点もゲーミング用として謳うには厳しいところだ。

 光学式センサーであるゆえ、使用できる面も限られており、例えば筆者が普段使っているやや光沢のある木製事務机の上では、カーソルが全く反応しなかった。マウスパッド上では問題ないが、リフトオフディスタンスが若干長い傾向が見られる。ゲーミング向けセンサーではないので、致し方ないところだ。

 ちなみに本製品にはソフトウェアなどが一切用意されておらず、ボタンの機能は固定である。

製品パッケージは素っ気ない
CW90 Gaming Mouse本体
どこかで見たようなデザインだと思ったら……
ロジクールのG502だった
本体左側面の比較。ボタン数が全然違うことが分かる
とは言え、薬指のくぼみなど、違いはある
左右クリックボタンやホイールは、G502の方が若干高い
本体左側面。滑り止めはプラスチック成形で、ラバー加工などはされていない
本体右側面。薬指を置くための窪みがあり、かぶせ持ちに向く
本体後部から見たところ。親指をサポートするスカートが特徴的
本体底面
PCに繋いで光らせたところ。赤は最低の800dpi
緑は1,500dpi。筆者はこの解像度が一番使いやすかった
青は2,500dpi
紫は3,800dpi
ホイールの中央ラインが光っており、なかなかカッコイイ
ケーブル込みで162g
ケーブルをどかした状態で129g

 内容が内容だけに中身も気になったので分解してみた。センサーは公称通り、Avagoの5050を搭載していた。近くにある「HSAG01」の刻印のICは、検索してみても引っかからなかったが、マウスコントローラの類だろう。

 左右クリックとホイールクリックのスイッチはともにHuano製のマイクロスイッチで、左右クリックがピンクトップ、ホイールクリックがレッドトップだった。筆者が普段使っているマウスはオムロン製スイッチ採用品が圧倒的に多いのだが、それらと比較と重いものの、シャープな感覚が得られる印象だ。サイドボタンはタクトスイッチだった。

 それよりも気になったのは、上部シャーシにネジ止めされたオモリだ。1個あたり15g、2個で約30gの重さがある。おそらく高級感を出すための仕掛けだと思うが、購入してから重いと思ったユーザーは、(保証外とはなるが)分解して外した方が幸せになれるだろう。

分解したところ。低価格品だけあって作りはシンプル
ADNS-5050センサーを搭載
コントローラ部
メインスイッチはHuano製のピンクトップ
ホイールクリックもHuano製でレッドトップ
サイドボタンはタクトスイッチ
上部シャーシにネジ止めされたオモリ
2個で30gもある
オモリのネジ2つ合わせて約31gあるため、外せば約98gを実現できる

 ちなみにZOWIEが公開している、Web上でマウスのポーリングレートをチェックできる「Mouse Rate Checker」で試したところ、最大500Hz前後となった。この辺りは若干ゲーミングっぽい仕様だ。

 ガチなゲーミングマウスを探しているユーザーにとって、本製品は選択肢になりえないが、ロジクールのG502のデザインとフォルムが気に入ってるものの、フリースピンホイールやそこまでの高機能/高性能が必要ないユーザー、またはG502に慣れていて、会社で同じマウスが欲しいが、G502では高いと思っているユーザーにとって、選択肢になり得る製品ではある。

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