やじうまミニレビュー
サンワサプライ「200-CD029」
~充電して繰り返し使える電動エアダスター
2017年2月2日 12:05
エアダスターと言えば、シュッと一吹きすることで隙間のホコリを勢いよく吹き飛ばせる、清掃時に何かと重宝するアイテムだ。製品の多くは缶スプレーサイズで、フロンガスを採用しないタイプや逆さにしても噴射が可能なタイプが追加されたことを除けば、90年代からほとんど形を変えず、PCクリーニング用品売場で販売され続けている定番のアイテムである。
そんなエアダスターの欠点は、使い切ったら缶に穴を開け、ガスを抜いて廃棄しなくてはいけないことだ。消費ペースが早い場合、こうした廃棄の手間が意外とかかる上、価格も1本あたり500円前後するので、コスト的にもかなりの額になる。
今回サンワサプライから発売された「200-CD029」は、これらの欠点を解消した充電式の電動エアダスターだ。繰り返し使えるため缶を廃棄する手間がかからないのはもちろん、ガスを使わないため引火などの心配もなく、匂いもない。さらに逆さにした状態でも使えるほか、噴射先を照らすLEDライトをノズルの根元に内蔵するなど、さまざまな工夫が凝らされた製品だ。
今回は発売されたばかりのこの製品を入手したので、同社の一般的なエアダスターと使い比べつつ、その特徴を見ていこう。
充電式で繰り返し使える。ノズルは折りたたみが可能
パッケージは無地の白箱で、エアダスター本体のほか、ノズル、ACアダプタと説明書が同梱されている。筐体を見る限り、昨年(2016年)秋にサンコーから発売された充電式エアダスター「SHUっとね」と酷似しており、おそらく同じ供給元の製品だと考えられる。
外見はやや頭でっかちだが、構造そのものは一般的なエアダスターと同じで、引き金を引くことでノズル先端からエアを噴出する仕組みだ。市販のエアーダスターには上部を押し込むタイプと引き金タイプがあり、割合としては前者のほうが多いが、本製品は後者ということになる。風量調節機能は用意されていない。
ノズルの先端からエアを噴出する仕組みは一般的なエアダスターと同じだが、このノズルは根本から90度折り曲げることができる。それゆえ角度の調整も自在なほか、片付ける時も場所を取らずに済む。一般的なエアダスターは片付ける際にノズルを根本から抜かなくてはならず、紛失するケースもよくあるので、本製品は親切な印象だ。
また本製品は電動ということで、本体下部に電源ボタンを搭載しているのも、一般的なエアダスターにはない特徴だ。長押しすることで電源がオンになり、使い終わったら電源ボタンを再び長押ししてオフにする仕組みだ。オンの状態ではLEDが2色に点灯するので、ステータスを判別しやすい。またノズル取付口の上に配置されたLEDを使えば、エアの噴射先を照らすことができる。暗い場所で使う際に重宝するだろう。
風量および騒音がネック。向きを気にせず使えるのはメリット
さて、実際に使ってみた限りでは、本製品でネックになるのは風量だ。瞬間的に強い勢いで吹き出す一般的なエアダスターと違い、モーターを高速回転させることで平均的に強い風を連続して送る仕組みなので、隙間に入り込んだホコリを勢いに任せて吹き飛ばすといった使い方には向かない。そうした用途であれば、まだカメラ用のゴムブロアーのほうが重宝しそうだ。
そもそもエアダスターのメリットは、瞬間的に強い風をピンポイントで送れることだと筆者は思うのだが、その点本製品は、口で勢いよく息をフッと吹きかけるのと、それほど風量が変わらない。引き金をひいたままにすればその風量を長時間維持できるのは利点なのだが、どちらかというとエアダスターというよりも、持ち歩きが可能なポータブルブロワーという表現のほうがしっくりくる。形状こそエアーダスターに似ているが、実際にはかなり性質の異なる品だ。
もう1つのネックは、何といっても騒音だ。引き金を引くとけたたましく響き渡るモーター音は非常に甲高く、壁を超えて隣の部屋にも響きかねないレベルだ。ストロボや照明の排熱ファンが常に回っている撮影用のスタジオなどでは、これらの音はかき消されるかもしれないが、自宅で使うのは少々ためらわれる。夜間などはほぼ絶望的だ。音の大きさに加えて、耳障りな高い帯域の音というのもネックだ。詳しくは動画で確認してほしい。
充電時間の長さも気になるところだ。実際に引き金を引いたままにしているのは数秒程度なので、連続使用時間が3分というのは十分すぎるほどだが、使用可能時間20分に対して充電時間が約4時間というのは少々バランスが悪い。汎用的なUSB給電に対応しておらず、専用のACアダプタを使わなくてはいけないのもマイナスだ。
逆にメリットとして挙げられるのは、上下を逆さにしても問題なく使用できることだ。一般的なエアダスターでは上下を逆さにすると噴射が止まってしまったり、製品によっては液化ガスが噴出することもあるが、本製品はそうした心配はなく、角度を90度変えられるノズルと合わせて、噴射の向きを自在に変えられる。またガスを使わないことから匂いもせず、引火の危険性もない。使い方によってはこれらは大きな利点となることだろう。
一般的なエアダスターの代替にはなりづらい製品
以上ざっと見てきたが、モーターの騒音が気にならず、また瞬間的に強い風量が必要なければ、缶のガス抜きや廃棄が発生せず繰り返し使える本製品は重宝しそうだ。例えば掃除機と組み合わせて、本製品を使ってホコリを追い出しつつ、それらを掃除機ですぐに吸い取る使い方であれば、掃除機の運転音にかき消されてモーターの騒音も気にならず、また片手で持てる小型ということで機動力も活かせるだろう。このほか車載用としても悪くないはずだ。
ただ、PCをはじめとするデジタル機器の隙間に入り込んだホコリを追い出すという、エアダスター本来の使い方においては、代替として使うのは難しい印象だ。筆者も普段からエアダスターは常備しており、製品の撮影を行なう際には欠かせない存在だが、本製品をそれらの代わりとして積極的に使おうとは思わない。せめてモーター音がもう少し静かなら……と思うが、風を送るために一定のパワーが必要であることを考えると、現状が精一杯なのだろう。
また7,980円という本体価格もなかなか悩ましい。標準的なエアダスターが1本500円だとして、およそ15~16本分という計算になる。せめて10本分、つまり5,000円を切るレベルであればまた違ったのかもしれないが、これだけの価格差があると、かなりのペースで消費するユーザーでないと元を取るまで何年もかかってしまう。これら全てをひっくるめて、かなりユーザーを選ぶ製品であることは間違いないので、購入を考えている人は、今回掲載している動画なども参考にしつつ、その是非を判断してほしい。