Windows 8カウントダウン

エクスプローラーを操作してみよう



 一般ユーザーにとってのOSは、プログラムを使う基盤となると同時に、それによって作成したファイルを操作するための基盤でもある。前回に引き続き、Windows 8のエクスプローラーについて新しい部分を見ていくことにしよう。

●6月第1週にRelease Preview公開決定

 4月下旬、MicrosoftのCorporation Presidentで、Windows & Windows Live担当のスティーブン・シノフスキー氏が来日、東京で開催されたWindows Developer Daysにおいて基調講演を行なった。大の親日家で、Windows 7の時には、ウルトラセブンのテーマソングがお気に入りだったようだが、今回はエイトマンというわけにはいかなかったようだ。コンテンツとしてはちょっとマイナーなのかもしれないが、ぜひ、誰か教えてあげてほしいものだ。

 さて、基調講演でのスピーチの内容は、これまでの状況をなぞるものにすぎず、新しみはなかったのだが、若干ではあるが「コネクテッド・スタンバイ」について紹介された。これは、スリープ中もMetroStyleアプリが通信をしてデータ取得を行なうというもので、スマートフォンのように、ずっとPCを起動していたかのような体験が得られる。ただ、CPには明示的にその設定などをするためのメニューが用意されていなかった。

 その実装がどのようになるかは、現時点では不明だが、それも時間の問題だ。というのも、講演のサプライズとして、6月の第1週にRelease Preview(RP)の提供を開始することが発表されたからだ。このバージョンは、これまでのWindowsの開発過程におけるRelease Candidate(RC)に相当するもので、いよいよ、最終版に向かって完成の域に近づいたバージョンを試せることになる。

 RPでは、さまざまなGUIのデザインにも変更が加えられているだろう。今から楽しみではある。これまでのこの連載で紹介してきた各機能は「ふりだしに戻る」的な面もあるかもしれない。でも、そういった点を比較していけば、Microsftがこの新しいOSをどのようにしたいのかという姿勢が見えてくるはずだ。

 Windows 7の時は、RCが5月に提供され、10月に製品が発売されているので、今のところは1カ月遅れというイメージだ。

 というわけで、本題のエクスプローラーだが、前回紹介したように、リボンの採用など、さまざまな面で、ユーザーへの気付きのきっかけを与えていたことがわかる。ユーザーが望んだことをどうすれば実現できるのかを、機能に気が付きやすくすることで、操作習得までの時間を短くすると同時に、どのような機能が使えるのかをきちんと提示することを目指している。

 外国旅行をして言語がまったくわからないレストランに入ったとしよう。メニューのないレストランと、メニューがあったとしても文字だけが羅列されたものと、写真付きのメニューでは頼みやすさがまったく違う。新しいエクスプローラーは、まさに写真付きのメニューを用意したファミリーレストラン的な存在だ。

●ファイル操作の過程が一目瞭然

 実際の操作を試してみよう。ファイルの操作において、頻繁に行なう操作といえば、次のものになる。

・コピー
・移動
・名前変更

 たとえばコピーの操作では、実際のドラッグ&ドロップによる操作は従来と同様だし、新しくリボンを使ってのコピー操作もできる。

 目新しい機能として、Windows 8のエクスプローラーは、大量のファイルをコピーしようとしたときに、その過程が今どのような状態にあるのかを、わかりやすく表示するようになった。明示的に一時停止をすることができたり、また、コピー中にスリープなどへ移行した場合、復帰後に再開されるなど使い勝手は高まっている。

 コピーにしても移動にしても、コピー先、移動先に同名ファイルが存在するような場合は競合が起こるわけだが、その際も、1つ1つのファイルについて、どうするかを指定するためのダイアログボックスが表示され、柔軟に対応できるようになっている。もちろん、競合時には、両方を維持することも可能だ。

 ファイル操作のためには、当たり前の話だが操作に先立って必ずファイルの選択が必要だ。これについては頑固に従来のスタイルが踏襲され、ファイルを選択しなければ、リボンのコピーコマンドもグレーアウトしてコピー操作に移ることはできない。

ファイルのコピーに際してはコピーの状況がビジュアルに表示される
ファイルの競合については選択肢が提示される
競合したファイルについては、どちらのバージョンを保存するかを個別に指定できる

●大幅にビジュアルになったタスクマネージャー

 開いているアプリやサービスの稼働状況を確認するためのタスクマネージャーは、従来よりも大幅にビジュアル化され、状態を把握しやすくなっている。

 タスクマネージャーへのアクセスは、従来通りで、タスクバーの右クリックメニューやAlt+Ctrl+Delのメニューから開く。実行中のプログラムがおかしくなったような場合には、これでプログラムを終了させたりすることができるわけだ。

 さすがにWindows 8だけあって、クラッシックデスクトップ用アプリ以外に、MetroStyleアプリについては「アプリの履歴」という項目が用意され、だいたいの状況がわかるようになっている。MetroStyleアプリには明確な終了という概念は希薄なので、過去にどのくらいのリソースを消費したかを確認できるにすぎない。「従量制ネットワーク」といった項目が用意され、モバイル通信におけるトラフィック量を把握できることを歓迎するユーザーも多いかもしれないし、らしいといえばらしい。

現在起動中のタスクを表示するタスクマネージャ。簡易表示ではシンプルだ
詳細表示にするとタブで切り替えてさまざまな状況をチェックできる
タスクマネージャでネットワークの状況を確認してみると、スループットなどが確認できる。同様にCPUやメモリ、ディスク、イーサネットなどの状況に切替ができる
アプリの履歴では、MetroStyleアプリの稼働履歴を表示できる

●SkyDriveのさらなる統合に期待

 先だって、Windows LiveサービスのSkyDriveが刷新され、新たなクラウドストレージサービスとして再スタートを切った。もちろん、Windows 8では、その統合が以前から約束されていたが、現時点では、Windows 7などと同様に、ユーティリティをダウンロードして実行し、常駐させておくことで、個人用フォルダにSkyDriveというフォルダができて、エクスプローラーのお気に入りバーにショートカットが追加される程度となっている。

 実際の動きとしては、ローカルのSkyDriveフォルダの内容が、クラウド上にあるストレージと同期するだけだ。

 シンプルさを目指しているということで、SkyDriveフォルダに同期させるフォルダは選択することができない。「全部」か「何もしない」のどちらかなのだ。

 これでは不便だと思って、ジョイントやシンボリックリンクも試してみたが、フォルダそのものの同期はされても、その中にあるファイルについての同期は行なわれなかった。Microsoftでは、ライブラリの場所の指定や、ライブラリへのSkyDrive内フォルダの追加などで柔軟に対応してほしいとしているが、ここはひとつ、パワーユーザー向けに別の方法を用意してほしいものだ。SkyDriveについては専用にMetroStyleアプリも用意されているが、こちらについても、特筆すべき機能が用意されているわけではない。いずれにしても、提供開始間もないサービスであり、RPバージョンでの刷新を期待したいところだ。