■Windows 8カウントダウン■
Windows 8も、いよいよ今週の発売を控えている。だが、多くの読者は、タッチスクリーン搭載のWindows 8 PCをいち早く入手するというよりも、まずは、現環境の移行にチャレンジすることになるだろう。今回は、Windows 8を快適に使うためのマウスとキーボードについて考えてみよう。
●MicrosoftからWindows 8対応デバイス登場 Microsoftが、Windows 8の発売を前に、いくつかのハードウェア製品を発売した。また、そのコントロール用ソフトとして、「Mouse and Keyboard Center」の配布も始まっている。
とりあえず、
・Sculpt Touch Mouse
・Wedge Touch Mouse
・Wedge Mobile Keyboard
の3製品を入手してみた。すべてBluetooth対応製品となっているのは、これから出揃ってくるピュアタブレットとの併用を強く意識してのことだろう。
それぞれの特徴をみていこう。
・Sculpt Touch Mouse
Sculpt Touch Mouse |
従来のマウスのホイールがあった部分がタッチストリップと呼ばれる振動フィードバック機能つきのタッチセンサーに置き換わったマウスだ。センサーは上下左右の4方向のスクロールが可能で、素早く指を動かせば加速し惰性でスクロールし続けるフリックとなる。また、このセンサー自体もボタンになっていて、上ボタン、中ボタン、下ボタンの3つのボタンとして機能する。
・Wedge Touch Mouse
Wedge Touch Mouse |
くさび形状をしたポインティングデバイスで、表面が左右ボタンとしても機能するタッチセンサーになっている。もちろん、本体の底部にはBlueTrack Technology採用の読み取りセンサーが用意され、本体そのものを移動させることで、マウスのように使うことができる。センサー中央部には区切り線があり、左側を押すと左ボタン、右側を押すと右ボタンとなる。この区切り線を指でなぞることで上下左右のスクロール、フリックができる。
・Wedge Mobile Keyboard
モバイル用途に最適な軽量キーボードだ。本体の重量は電池込み実測約250gで、ラバー製のカバーが付属し、それを使ってタブレットを立てかけることができる。カバーの重量は実測約205gで、ちょっと重いが、カバーをかぶせることでキーボードの電源がオフになる。ただし、Fnキー+Escでも電源はオン/オフできるのでカバーなしの運用も可能だ。軽量タブレットとの組み合わせでは今のところ最強のキーボードだと評価したい。
Wedge Mobile Keyboard。軽量コンパクトながらキーピッチも打鍵感もきちんと確保されていて入力しやすい。最上段に新しい4つのキーが確認できる。 | キーボードカバーは真ん中で2つに折り曲げることができ、タブレットを立てかけるスタンドになる | タブレットと併用するには今のところ最強か |
●新しいキーはチャームのショートカット
これらのデバイスをBluetoothでペアリングして接続すると、Microsoftマウスキーボードセンターがダウンロードされてデバイスドライバと共にインストールされる。呼び出しは、コントロールパネルの「マウス」、「キーボード」から行なえる。
これらのアプレットから呼び出されるモジュールは同じMicrosoft マウスキーボードセンターなのだが、キーボードに関しては、ここから呼び出しても表示されず、マウスのような詳細な設定はできないようだ。
マウスキーボードセンターでボタンのカスタマイズなどができる。同様にBluetoothで接続したキーボードは、このユーティリティ内には表示されない |
Wedge Mobile Keyboardだが、Windows 8対応ということで、新たなキーが増設されている。最上段、つまり、一般的なキーボードで、ファンクションキーが並んでいる部分だが、ファンクションキーの入力についてはFnキーとのコンビネーションになっていて、単独で使った場合は刻印通り、メディアの再生/一時停止、ミュート、音量調整といった機能を実行する。
新たに追加されたキーは、
・検索
・共有
・デバイス
・設定
の4つだ。つまり、チャームの表示をショートカットし、チャーム内の各種機能を直接実行できるキーとなっている。これらは、実行中のアプリケーションごとに呼び出される要素が異なる。Windows+Cでチャームを呼び出せるということがわかっていたとしても、それなりに便利に使えそうだ。
●ジェスチャをサポートしない外付けデバイス戻るボタンがないと極端に効率が落ちるのはあきらめるとしても違和感を感じる点がある。たとえば、通常のマウスを使っている場合、モダンUIのアプリはホイールの回転によって、横方向にスクロールする。また、ホイールのチルトに水平方向のスクロールが割り当てられている場合も同様に横方向にスクロールする。新しい両マウスも同様で上下左右のスワイプ両方で、横方向にスクロールするのだ。
基本的にモダンUIのアプリは横方向のスクロールのみなので、上下でも左右でも横にスクロールするのは理にかなっているともいえる。
ところがIE10やメールなど、縦方向のスクロールが必要なアプリの場合は、上下のホイール回転やフリックのみが受け付けられる。つまり、横にしかスクロールしない場面で、ホイール回転など上下方向のスクロール操作が横方向に機能するのはUI的には例外的なものであり、便宜上残されているにすぎないのかもしれない。
Sculpt Touch Mouseについては、マルチタッチをサポートしていそうに見えるがそうではない。だから2本指のズームや回転には対応していない。
Windows 8のタッチスクリーン対応では、2本指でのスクロールや戻る、進むといったジェスチャ操作を想定していないので、こちらも混乱を招かないという点では悪くないデザインなのかもしれない。ちょっと複雑な操作を上下左右のエッジ外側からのスワイプインに割り当てたことで、タッチしている指の本数による挙動の違いにまどわされなくしたのはアクセシビリティを考えても正しいように思っている。
ただ、タッチスクリーンではスクロールを1本指でできるようにしたことで発生する副作用もある。それは、文字列等の選択やドラッグによる範囲選択の際だ。実際には、1本指でこれらの操作を行なうには、起点でタップ&ホールドして終点で指を離すのだが、ちょっとばかり操作が難しい。
また、多くのファイルやフォルダが存在し、スクロールしないと全体を見渡せないフォルダでは、エクスプローラの操作も煩雑だ。というのも、ウィンドウが開いたときに、スクロールさせようとすると、最初のタップでホールドと検知され、タップ位置にあったファイルをドラッグしようとしていると見なされるからだ。しかも、それを取りやめるEscキーが、ピュアタブレットにはないのでにっちもさっちもいかない。これによって、意図せぬファイルやフォルダの移動が起こってしまうことがある。だから、タッチスクリーンの操作だけでエクスプローラの操作をする際には相当の注意をしたほうがよさそうだ。
●Windows 8ユーザーズワークベンチをよろしくどうぞそんなわけで、この連載も16回目となった。毎月2回のペースで8カ月続けてきたわけだが、カウントダウンは今週で終了としたい。それにともなって、この連載も終了となる。ご愛読いただきありがとうございました。
というわけで、次回からは、Windows 7のときと同じように、「Windows 8ユーザーズワークベンチ」として新連載を始める。
Windows 8は、これから進化を遂げるOSだ。今はまだ、使いにくいWindows 7だと感じる面もたくさんある。なんといっても、Windows 95以来、17年ぶりのUI刷新とあり、乱暴なことはなかなかできない事情もある。
10月26日の発売日以降、新しい機能に対応したハードウェア、ソフトウェアも揃っていくだろう。謎の多いConnected Standbyについても追求しなければならない。もちろん、新しいモダンUIについても、まさにこれからといったところだ。新連載では、こうしたホットな話題を取り上げつつ、Windows 8をいかに快適な環境に進化させていくかを追求していきたい。リクエストやヒントなどを、Twitterのアカウント宛てにメンションとしてお送りいただければうれしい。どうか、引き続き、よろしくお願いします。