Windows 10ユーザーズ・ワークベンチ
安定したプレビュービルドのもとでEdgeの拡張機能を試す
2016年6月17日 06:00
Windows 10は、この夏のリリースが告知されているAniversary Update(Redstone 1)に向けて着々と準備が進められている。最新のInsider Preview Build 14366の発表でも、しばらくの間は新機能の追加はないと言い切られている。とにかく安定を求めているのだろうか。だが、それだけとは思えない、あの女史の言うことだけに…。
あと1カ月ちょっとで満1歳
5月11日リリースのInsider Preview Build 14342はひどかった。1日に10回以上のブルースクリーンとの対面は精神的にもつらかった。だが、5月27日のBuild 14352でクラッシュはピタリと止まり、6月8日の14361、今回の14366では超安定した状態が続いている。普通に常用できる環境だ。
もちろんこれらのビルドの間で、こちらは何も環境を替えていないし、そもそもブルースクリーン頻出でそれどころではなかった。でも新ビルドでそれが落ち着いた。つまり、Windows側が変わったはずなのに、リリースの告知では、そのことについて何も触れられていない。いったい何があって何が対処されたのかが気になるところだ。
このブルースクリーンについての悩みの声は日本のマイクロソフトが開催した開発者向けのカンファレンス de:codeの展示会場で話した同社担当者からも聞こえてきた。だから、特別な不具合ではなかったはずなのだ。de:codeの各セッションデモンストレーションでは、その危ない14342が使われていたが、担当者氏は、よくあんな怖いことができるものだと漏らしていた。だから、特別な環境のみに起こる事例ではないはずなのだ。
いずれにしてもとにかく安定した。今回の最新ビルドについても手元の環境では6台のPCをアップグレードしてみたが特に問題はなさそうだ。ただ、7台目にチャレンジしたデスクトップ機は、ダウンロードが100%になったきり更新が行なわれないので、そのままの状態になっている。何度か再起動してみたり、Windows Updateサービスを停止させ、キャッシュや履歴を消してから再開したりもしてみたがうまくいかない。
Windows 10がリリースされた7月29日まで、あと1カ月とちょっと。つまりWindows 10は丸1年を迎えようとしている。その誕生日にRS1がリリースされると決まったわけではないが、おそらくはそれに近いタイミングとされている。
また、この日は、Windows 7以降からの無償アップグレード期限でもある。アップグレードを強要するMicrosoftのやり方には、賛否両論あるようだが、該当PCをこの先も使っていこうと思っているなら、一度アップデートしてしばらく使ってみるのがいいだろう。だめならだめで元に戻せばいい。一度でもアップデートしておけば、ハードウェアを特定する情報がMicrosoft側に保存され、あとで再インストールする時にも無償でアクティベートできる。
ただしアップデートの作業は時間がかかるのを覚悟し、余裕のある時にやるべきだ。古いPC、特にHDD内蔵のものは思いのほか時間がかかる。手元の環境では3時間はかかっている。また、高速なSSDでも残り容量の少ないものは要注意だ。これまでに経験した中では、128GBのSSD内蔵PCで、残り容量が5GBを切っているものがあり、それをアップグレードしようとしたら、残り容量不足でできなかったことがある。
Edgeに拡張機能を組み込む
さて、ここのところのビルドでは、新ブラウザEdgeの完成度が高まってきたように感じられる。ブックマークやリーディングリストの同期についてもうまくいっているようだ。以前は、一度、同期を停止して再開しなければ同期が始まらないような挙動も見受けられたので、ここは着実に進化しているように見える。
また、拡張機能についても、少しづつ充実していているようだ。最近ではPocketが対応している。Pocketは、いわゆる「あとで読む」系のサービスで、かつて「Read it later」として知られたものだ。今見ているページをアーカイブし、ほかのデバイスで文字通りあとで読むことができる。
Edgeのリーディングリストは、それとほぼ同等の機能を提供するものだが、残念ながらEdgeが提供されているのは今のところWindows OSだけなので、iOSやAndroidデバイスとの連携は不可能だ。でも、Pocketを使えばそれが可能になる。
拡張機能のインストールはストアから行なう。Edgeの設定メニューに「拡張機能」があり、それをタップすると、現在組み込まれている拡張機能の一覧が表示されるが、「ストアから拡張機能を取得する」のコマンドリンクを開くと、拡張機能の紹介ページに遷移する。英語のページだ。そのページで欲しい拡張機能を見付け、「Open in Store」ボタンを押すと、ストアアプリが当該アプリのエントリを開き、そこからインストールする形だ。
組み込んだ拡張機能はEdgeの設定の「拡張機能」で一覧でき、そこで組み込まれた拡張機能をオン/オフすることができるほか、アドレスバーの隣にボタンを表示するかどうかを指定でき、オプションでさらに細かい設定が可能だ。
Pocketの場合、オプションページにはiOSやAndroid向けのアプリの取得ボタンも用意されている。ただし、iOSアプリを手に入れるために、ボタンを押した場合、ストアのページが開くのだが、そこで、view in iTunesボタンをクリックしても、iTunesをインストールした環境であるにもかかわらずiTunesがストアの該当ページを開かない。
以前は、Internet Explorerを使って同じページを開いて、ストアで開くボタンを押すことで、そこからiTunesと連動させることができたのだが、今はそれもできなくなってしまっている。
一方、今回の新ビルドでのみ利用できる拡張機能として、Office Onlineが新たに公開されている。こちらは、各種Office文書をEdgeで開くための拡張で、ローカルにOfficeがインストールされていなくても、Edgeを使ってWordやExcel、PowerPointのドキュメントを編集することができる。
インストールして最初の起動時に、OneDriveへのアクセス許可を求めるページが表示される。拡張機能を起動すると、新規作成、開く、アカウント、設定のタブを持つペインが表示され、最近使用したドキュメントが表示される。
ただ、これはブラウザでOneDriveを参照し、そこからOfficeアプリを開いた時に使われるOffice Onlineと同じもので、今ひとつ、その存在意義が分からない。
Windows InsiderとDona Sarkar女史
今、気が付いている不具合は、タイムゾーンを自動的に設定する機能をオンにできないことだ。また、まれに設定アプリそのものがストンと落ちてしまうことがあるが、再び開けば正常に使えるのでそれほど大きな不自由はない。
手元の環境では遭遇しなかったのだが、日本語IMEにおいて予測モードをオンにしていると、PCがフリーズしてしまうという不具合にも手が入り修正されているようだ。
このように、新機能はほとんど追加されていない代わりに、細かい不具合が数多く修正されている。だからこそ、あのブルースクリーンに悩まされた日々は何だったのかと思う。1台だけではなく異なる構成の複数のハードウェアで起こっていた現象だけに疑問が残る。
Windows Insiderの担当が、これまでのGabe Aul氏から、Dona Sarkar女史に代わり、公式ブログのエントリーも彼女が担当するようになっている。Twitterアカウントの@donasarkarからも随時情報が発信されているので、フォローしておくといいかもしれない。
彼女はソフトウェアエンジニアでありながら、自分のWebページも持っていて、経歴を見ると、実に9つの人生を同時に歩んでいる人物のようで、本なども出版している。Micrsoftとの関わりは、ホログラムの制作だという。いずれにしても、ちょっと風変わりな人物のようで、詳細は、このページで楽しんで欲しい。