Windows 10ユーザーズ・ワークベンチ
Anniversary Updateまで秒読みでも、残る多くの不具合!?
2016年6月29日 06:00
この夏の公開とされているWindows 10 Anniversary Updateの開発も最終段階に突入している。Insider Previewも、新機能の追加は一段落し、不具合の解消が最優先となっているようだ。今回は、仕様なのか不具合なのか分からないが、きっと完成させて提供されると信じたい期待の新機能について見ていこう。
インターネット共有がうまく機能しない
6月のInsider Previewは、5回も新ビルドが公開された。順を追ってみると次のようになる。
- 6月8日 - Build 14361
- 6月14日 - Build 14366
- 6月16日 - Build 14367
- 6月22日 - Build 14371
- 6月23日 - Build 14372
たった1しかビルド番号が上がっていないビルドがほとんど時間を置かずに公開されるなど、そのペースは速い。手元の環境でもっとも更新に時間がかかるのは、HDDのみのデスクトップ機だが、ゆうに約3時間はかかる。ちなみにSSD搭載のほかのノートPCは30分程度で終了する。これも仕事なので、常に7~8台は最新のビルドに更新するようにしているが、24時間未満で次のビルドが公開されてしまうと、ダウンタイムが長くなりすぎて日常作業に支障が出てしまうくらいだ。
それでも、Anniversary Updateが、より完全なものとしてリリースされて欲しいという思いも強いし、開発側もその気持ちは同様なのだろう。
そんな中で、ここのところのビルドで気が付いたのだが、いつのまにか、インターネット共有が標準機能として搭載されているようだ。
「設定」→「ネットワークとインターネット」→「モバイルホットスポット」を開くと、そのオン/オフのためのスイッチが用意され、共有するインターネット接続として「イーサネット」、「Wi-Fi」、「LTE」が選択できるようになっている。
ネットワーク名やネットワークパスワードは編集ボタンで任意のものに変更ができる。適切に設定し、この機能をオンにすると、確かに設定したネットワーク名がほかのデバイスから見えてWi-Fiで接続することができる。既に接続されていたWi-Fiはそのまま接続が維持されている。
つまり、そのデバイスをインターネットに繋いでいる各種の接続を、Wi-Fiで共有できるというのがこの機能だ。
手元の環境では、デバイスを選ぶようで、Surface Pro 4ではうまく機能するが、レッツノートRZ5はうまく接続できなかった。数台のデバイスで試してみたところ、レッツノートRZ5では一瞬接続してもすぐに切断されてしまう。これがうまく機能してくれるのなら、出張時にモバイルルーターを持っていく必要がなくなるかもしれないので正式リリースに期待したい。
InstantGoでのネットワーク接続維持のオン/オフがうまくいかない
Wi-Fi関連では、「設定」の「システム」→「電源とスリープ」に、「ネットワーク接続」という項目が表示されるデバイスとされないデバイスがある。これも腑に落ちない。手元ではSurface Pro 4では「スリープ中もネットワークに接続したままにする(バッテリ駆動時)」をオン/オフできるのだが、LAVIE Hybrid ZERO 11.6型ではこの表示がなく制御不可能だ。
どちらもInstantGo対応機で本来は表示されなければならないはずだが、何が影響しているのか分からない。
InstantGo機においては、スリープ中もWi-FiやWANを使ったネットワーク接続を維持し、ストアアプリの通信を継続して通知等を行なうことができるが、それではバッテリに対するインパクトが大きいため、それを嫌い、この機能をオフにしたいニーズがあって接続維持をオフにできるようにしたのだろう。
もしかしたらWANを搭載しているInstantGo機についてはオフにできないという仕様になっているのかもしれない。そうなると、バッテリはもちろん、スリープ時のパケット利用も制限したいユーザーはお手上げになってしまう。この辺りもはっきりさせて欲しいところだ。
タイムゾーンが自動設定できない
さらに「設定」→「時刻と言語」→「日付と時刻」における「タイムゾーンを自動的に設定する」機能がオンにできないビルドが続いている。これは、ネットワークから時刻を取得し、それをもとにタイムゾーンを自動設定するものだ。スマートフォンなどでは当たり前の機能で、海外に出かけた時なども、タイムゾーンを再設定することなく、ネットワークに接続すると自動的に現地の時間に切り替わるので、けっこう便利に使っていた。
もっともスケジュールなどを入力する際に、タイムゾーンに気を付けないと、日本の夜中にスケジュールを入れてしまうなど、思わぬミスを招いてしまうので、使い方には注意が必要だ。それでも、分かっていて使う分には重宝する。これも本番までにはなんとか復活させて欲しい。
RealSenseカメラの設定画面がおかしい
手元の環境では、IntelのRealSenseカメラF200を接続し、Windows Helloを使った認証でサインインできるようにしているが、このカメラが捉える映像がカメラは横位置に置かれているのに、フレームの表示が縦になってしまっている。表示が縦になっているだけで、フレーム内の画像も同方向に回転しているので、認識については問題がないのだが、ちょっと気持ちが悪い。
以前はこのようなことはなかったのだが、いくつか前のビルドから縦横が逆になってしまっているようだ。ドライバの再インストールなどもしてみたが改善されない。そもそも、RealSenseカメラを接続すると、Windows標準のドライバが組み込まれてデバイスマネージャなどでも正しく認識されるのだが、Intelのユーティリティを入れないとうまく動作してくれない。この辺りもどっちが正しいのかはっきりして欲しいと思う。
UWPはまだ道半ば
Microsoftがもっとも熱心に推進しているUWPだが、この時期になってもなかなかまともなものが出揃わない。特にひどいのがFacebookとそのMessengerで、フォントが中華系になっているほか、レイアウトアダプティブ的な面から見ても、ウィンドウのサイズを変更しても、まともな表示ができない。
これではまるで使う気になれない。この状態がかなり長く続いているので、よく開発の現場は恥ずかしくないと思うし、Microsoft側の開発支援部隊も積極的にリクエストしたり、先方に技術力がないならないで手厚いサポートで完成に仕向けるようなことはできないのだろうか。
Facebook関連アプリの完成度の低さに比べればTwitterアプリははるかにましだ。また、Insider Previewと一緒に配布されているSkypeプレビューもそれなりの完成度だ。とにかく常駐させておいて使う分には特に不自由しない。個人的には、フォントをもう少し大きくしたいとか、それ以前の問題としてひらがな/カタカナがプロポーショナルになるフォントを使うのをやめて欲しいといった希望はある。
SkypeはOffice 365 Premiumのユーザーに、毎月1時間まで無料で世界中の携帯電話や固定電話にダイヤルして通話できるという特典が用意されているが、このアプリからはダイヤルアウトはまだできない。その辺りの整合性についても、もう少しなんとかならないのかと思う。
がんばれ開発現場
とにかく、いろいろな不具合がまだ残っている。仮にAnniverssary Updateが7月29日だとすると、あと1カ月ちょっとで、これらの不具合が全て解消するのかどうかは、ちょっと不安な印象もある。しかもリストを見る限り既知のバグとしても認識はされていないようだ。
個人的には統合されたOneDriveももう少しなんとかならないものかと思う。手元の環境では、ファイルを更新してからそれがクラウドに反映されるまで、けっこうな時間がかかるからだ。
通常は、こうして書いている原稿が完成したら、画面キャプチャファイルとまとめてZIPファイルにアーカイブして、そのクラウドへの反映が完了し、ファイルのアイコンに緑のマークが付いたところで、それを右クリックして、共有リンクを取得し、それをメールで編集部に送る。だが、急いでいる時に限ってなかなか反映されないのだ。特にZIPファイルは遅い印象がある。辛抱できなくて、Google Driveにアップロードして、そのファイルへのリンクを送ることもあるくらいだ。そちらは一瞬でアップロードできるので、回線速度が遅いといったことはないはずだ。
そもそも、Windows 10の開発現場では、このOSを本当にいろいろな使い方で評価しているのだろうか。PCを持ち歩き、あらゆる現場で使い、さまざまなスタイルで活用しているのだろうか。電車に乗ったり、バスに乗ったりしながら、WANのハンドオーバーを繰り返しながら使ったりしているのだろうか。たった1人の個人が日常的に使っていても、さまざまな不具合や矛盾がすぐに見付かるのに、それらが放置されたままというのはどうかと思う。
残された時間はあまりない。でも、最後まであきらめずに、完成度の高いOSをリリースして欲しいものだ。