瀬文茶のヒートシンクグラフィック

Thermalright「Archon IB-E X2」

~拡張スロットやPCケースとの干渉回避を図った第3世代Archon

Archon IB-E X2

 今回は、11月に登場したThermalrightブランドのハイエンドCPUクーラー「Archon IB-E X2」を紹介する。購入金額は11,340円だった。

Thermalrightの薄型サイドフローCPUクーラー最上位モデル

 Archon IB-E X2は、2012年に発売されたArchon SB-E X2の後継製品であり、Thermalrightの薄型サイドフローCPUクーラーの最上位モデル「Archon」の第3世代製品である。

 140mm径の大口径ファンを2基搭載した薄型サイドフローCPUクーラーである点は、前モデルのArchon SB-E X2と同じだが、Archon IB-E X2では、ヒートシンクの全高を170.2mmから165.2mmに低くしたほか、左右非対称のオフセット設計を採用。これにより、PCケースや拡張スロットとの物理的な干渉の低減を図っている。

 Archon IB-E X2のヒートシンクは、8本の6mm径ヒートパイプと、接地面に純銅(C1100)板を採用したベースユニット、42枚の放熱フィンを備える放熱ユニットにより構成されている。ヒートシンクの全面には、光沢のあるニッケルめっきが施され、CPUとの接地面は美しい鏡面に仕上げられている。

 標準で付属する2基の140mm径ファンはは、ThermalrightブランドのTY-141。PWM制御に対応しており、回転数を900~1,300rpm(±15%)の範囲で調整可能。ヒートシンクには、防振ゴムを配置した上で、専用の金属製ファンクリップを用いて固定する。なお、このファンクリップは、120mm角ファンとネジ穴互換のあるリブなしフレームの冷却ファンであれば、TY-141以外の取り付けも可能。

Archon IB-E X2 本体
リテンションキット
放熱ユニットの中心からベースユニットの位置をずらしたオフセット設計を採用。拡張スロットとの干渉回避が図られている
標準搭載の冷却ファンThermalright TY-141
2対のファンクリップ、PWM制御対応のファン電源分岐ケーブル、サーマルグリスなども付属する
冷却ファン取り付け時。条件を満たせばThermalrightブランド以外の120mm角、140mm径ファンも固定可能だが、クリップ形状の関係で、あまりに薄いファンは搭載できない
メモリスロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE搭載時)
拡張スロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE搭載時)
VRM用ヒートシンクとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE搭載時)

 周辺パーツとの干渉具合については、今回テストに用いたASUS MAXIMUS V GENEにおいて、メモリスロット、拡張スロットとも物理的な干渉は回避された。薄型の放熱ユニットと、ベースユニットをずらして配置したオフセット設計が功を奏した結果と言えよう。

 ただし、オフセット設計については、VRM用ヒートシンクとのクリアランスが厳しくなる点に注意が必要だ。ASUS MAXIMUS V GENEでは辛うじて干渉せず取り付けられたものの、VRMに背の高いヒートシンクを搭載している場合や、CPUソケット側にヒートシンクがせり出しているような場合、Archon IB-E X2のヒートパイプがVRM用ヒートシンクと干渉してしまう可能性は高い。

 旧モデルのArchon SB-E X2では、荷重調整機能付きの高機能リテンションキットを採用していたが、Archon IB-E X2では、荷重調整機能の無い廉価仕様のブリッジ式リテンションキットに変更された。荷重調整機能付きリテンションの方が、取り付けの再現性が高く、扱いやすいリテンションキットであるため、ダウングレードとも言えるリテンションキットの変更は大変残念だ。

冷却性能テスト

 それでは、冷却性能テストの結果を紹介する。今回のテストでは、マザーボード側のPWM制御設定を「20%」、「50%」、「100%(フル回転)」の3段階に設定し、それぞれ負荷テストを実行した際の温度を測定した。

【グラフ】テスト結果

 3.4GHz動作時の結果では、Archon IB-E X2は52~57℃を記録。CPU付属クーラーを28~33℃下回る結果となった。PWM制御を20%に設定した際の回転数(約630rpm)が、900~1,300rpm±15%というファンのスペックに比べ、かなり低くなっているが、極端な冷却性能低下は見られない。

 発熱が増加するオーバークロック動作時の結果を見てみると、4.4GHz動作時に67~76℃、4.6GHz動作時に77~86℃をそれぞれ記録。全ての条件で負荷テストを完走した。純粋な冷却性能では、ミッドシップレイアウト採用のハイエンドサイドフローCPUクーラーに及ばないが、ファンの回転数を絞った状態でも、安定した性能を発揮している点を評価したい。

 動作音については、50%制御時の約830rpm動作までは大変静かに動作していた。ファンの回転数が1,000rpm程度になると風切り音が目立ちはじめ、フル回転動作時の約1,380rpmになるとケースに収めても気になる程度に大きな風切り音が生じる。ファンの回転数を絞っても一定の冷却性能を維持できるArchon IB-E X2の場合、PWM制御を低めに設定し、静粛性重視で運用してみるのも良いだろう。

拡張スロットとの干渉回避で、より自由な組み合わせが可能に

 Archon IB-E X2は、空冷最上級の冷却性能を持っているわけではないが、大型ヒートシンクを搭載したメモリや、CPUと拡張スロットの距離が近いゲーミングマザーボードなどと組み合わせることができる。VRM用ヒートシンクとの干渉には注意が必要だが、冷却性能一辺倒で大型化したミッドシップレイアウトのサイドフローCPUクーラーなどに比べ、自由な組み合わせが可能なことこそ、Archon IB-E X2の魅力であると言える。

 CPUソケットの両側にメモリスロットを備えるLGA2011-v3プラットフォームなど、薄型サイドフローCPUクーラーの特性が活かせる環境で自作をするのなら、Archon IB-E X2はCPUクーラーの候補にぜひ加えたい製品だ。

Thermalright「Archon IB-E X2」製品スペック
メーカーThermalright
フロータイプサイドフロー
ヒートパイプ6mm径8本
放熱フィン42枚
サイズ(ヒートシンクのみ)155×53.66×165.2mm(幅×奥行き×高さ)
重量(ヒートシンクのみ)750g
付属ファン140mm径26.5mm厚ファン「TY-141」×2基
電源:4ピン
回転数:900~1,300rpm±15%
風量:28.3~73.6CFM
ノイズ:17~21dBA
サイズ:140×152×26.5mm
対応ソケットIntel:LGA 775/1150/1155/1156/1366/2011/2011-3
AMD:Socket AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2/FM2+

(瀬文茶)