東西ジャンク袋対決!



 我々はジャンク袋が大好きです。ここで言うジャンク袋とは、通常の販売ルートから逸れた電子部品を集めた詰め合わせ商品のこと。秋葉原や大阪日本橋の部品屋さんで時折見かけますね。数百円の出費でさまざまな部品に触れることができる貴重なチャンスです。

 今回は秋葉原と日本橋で入手したジャンク袋を紹介します。封を切るところから始めて、中身を1つずつ見ていきましょう。形や色が特徴的な部品を見つけて楽しむことが主な目的です。正体不明の部品がたびたび現れますが、そういう場合も素性を深く調べることはしていません。我々と一緒に「これは何だろう?」と想像してください。

1つ目のジャンク袋は秋葉原産です。日米商事の商品で250円でした
日米商事の看板には「秋葉原のスーパージャンク」と書かれています。ジャンクへのこだわりが感じられる貴重なお店です。オープンな店舗構造のためか、定休日(月曜)のほかに雨の日もお休みなので注意しましょう
ジャンク袋を楽しむのに特別な準備は不要ですが、いくつか道具があると便利です。部品をより分けるためのお皿とピンセット、型番等を確認するためのルーペ、そして動作状態をチェックするためのテスターなどがあるといいでしょう
部品の素性をより正確に知りたい人にはLCRメータがオススメです。コンデンサやコイル類のスペックがわかります。写真はA&DのAD5827。シンプルで使いやすい製品です
中身を机の上に広げ、ざっと分類しているところです。汚れている部品はキムワイプで拭きました

 ジャンク袋を買う動機はいくつかあると思いますが、大きく分けると「好奇心」か「実益」に該当すると思います。我々の場合は、珍しい部品を見てみたいという好奇心が主で、まだ使える部品を格安で手に入れるという実益に関しては「運が良ければ」くらいの捉え方です。

 それでは、日米のジャンク袋の内容物を1種類ずつ見ていきましょう。順番は撮影したときの流れのままです。

もっとも体積を占めていたのがミニDINジャックです。4ピン、6ピン、9ピンのものが入り交じって50個以上入っていました。4ピンはS端子、6ピンはPS/2キーボードで使われてますね。9ピンの用途は、すぐには思い当たりませんでしたが、PC-98シリーズのマウス端子がこの仕様だったようです
たぶんセメント抵抗です。リードが板状になっているのは、放熱のためでしょうか
RCAジャック。端子がピカピカなものが多かったです
謎の部品。ネジでとめてストラップを通す構造に見えます。どういう目的の部品なんでしょうか
ターミナル。このジャンク袋は端子類が豊富でした
さまざまな狭ピッチの端子。数量的には一番多く入っていた部品です
オーディオジャックとDCジャックと思われます。色がキレイですね
TO-33という金属パッケージのトランジスタと組み合わせて使用するシートと思われます
見たことのない形状のプラグです。CN-60という型番を調べると、通常は500円以上する部品だということがわかりました
4ピンのミニDINジャックの中には、このように端子の角に穴があいているものがありました。どういう機器で使われるのでしょうか
かわいい部品。使い方はよくわかりません
オシロスコープのプローブをつなぐためのチェック端子と思われます。簡単な形ですが、1個単位で買うと50円くらいします。2個しか入っていなかったのが残念です
プラグですね。いい色です。用途は分かりません。DDKという刻印が見えますね。検索すると、第一電子工業というコネクタメーカーがヒットしました
その他のコネクタ・ソケット類です。右端のソケットはたぶん電球用です。これを使って、(Lチカではなく)球チカはどうでしょう
このジャンク袋で一番の「アタリ」はこのLED用スペーサということで、我々の意見は一致しました。数は40個ほど。普段の日米商事価格は105円のようです
LEDを一定の高さに固定できるこの部品は、ブレッドボーディングで使っても便利です
ジャンク度の高い部品。使用痕があるものもちらほら。どういう経路をたどってここへやってきたのでしょうか
ビーズのようなこの部品は表面実装用のツェナダイオードのようです
プラグのカバーと思われます
ヒューズですね
ツマミだと思うのですが、どういう部品と組み合わせるのかわかりません。普通の可変抵抗器に使えると良かったのですが
ブリッジダイオードD5FB10。新電元社のロゴがとてもイカしています
トーキンのACジャック型ノイズフィルタ
謎の部品。バリコンのように見えますが、これで機能するのでしょうか
豆球の入ったランプ。球が切れているようで、光りませんでした。LEDに換装しようかと考えています
一番わからない部品がこれです。透明なパッケージの中に電極らしきものがあり、それらは1mmほど離れた状態で向き合っています。その隙間はなにもない空間に見えます。どういう機能なのでしょう
LEDも少し入っていました
Hewlett-Packardのロゴが入ったミニチュアLED。とても気に入った部品です
ネジやベアリング(?)といった機械系の部品もいくつか入っていました
スター精密のブザーではないかと思いますが、確認できませんでした
ステレオイヤフォンが混じっていました
スイッチ類。手前のマイクロスイッチはハンダ付けの跡があり、取り外したものであることがわかります
振動モーター
可変抵抗器は3種類
水晶発振器。5.12MHzと35.3899MHz(?)。5.12はなんとなくわかるのですが、35.3899という数値はどこから来たのでしょうか
これも見た目からは見当がつかなかったのですが……
LCRメータにかけたところ、コンデンサの可能性が高いと判断しました。
ラグ板が出てきました
N10 Xと刻印された2端子のデバイス。最初はダイオードかと思ったのですが、テスターで調べたところ違うようです。正体不明。いっぱい入っていたのに残念です
表面実装用の電解コンデンサですね
表面実装部品はテープを短く切った状態で入っていました。MA121はパナソニックの3素子入りダイオードのようです。型番が表に書いてあると助かりますね
これはなんなのか、まったくわかりません。柔らかくて細い素材が並んでいます。電気を流して使うものではないのかもしれません
テキサス・インスツルメンツのICが何種類か入っていました。74LS148や74ALS10Aなどです
トランジスタも何種類か
形からフォトインタラプタと判断しましたが、詳細は不明です
トランジスタや3端子レギュレータを挿して使うタイプの放熱器ですね

 日米商事のジャンク袋の中身は以上です。続いて、大阪日本橋のデジットで購入したジャンク袋を見てみましょう。デジットについては、本連載の第9回で詳しく紹介しています。新品部品がメインのお店ですが、ジャンク品が目当ての人も必ずチェックするのではないでしょうか。

 なお、この記事で紹介するジャンク袋は大阪在住のarms22さんの協力により入手することができました。

デジットは日本橋の老舗パーツショップ。ジャンク袋は兄弟店のシリコンハウスや通販部門のエレショップからも入手できる場合があります
デジットのジャンク袋は200円。中身は袋によってかなり違うようです。3つ選んで、1つずつ開けていきました
1つ目の袋に入っていたキット。糸ハンダと名札が一緒になっていました。どういう用途なのでしょうか
メタリックなケースがかっこいい液晶ディスプレイです。これがこの袋の目玉ですね
かわいいコンデンサ
8本足のIC。NECのC1656Cはステッピングモータドライバのようなのですが、正確な情報はまだ見つかっていません
太いダイオードと光沢がキレイなトランジスタ
パナソニックの電気2重層コンデンサ「ゴールドキャパシタ」と思われます
残りの部品はこんな感じ。コンデンサとコイル系がいっぱい入っていました
2つ目の袋へいきましょう。まずスピーカーが出てきました
リレーが2個
そのほかの部品はこんな感じ。グレーの部品は水晶でしょうか
3つ目の袋には大型の電解コンデンサがいくつも入っていました
WIMA MKC4 ポリカーボネイトフィルムキャパシタ。オーディオ機器やエフェクタが好きな人にはお馴染みかもしれません。とってもキュートです
そのほかの電子部品。LEDがけっこう入っていました
インナーイヤーヘッドフォン用のスポンジが入っていたので……
日米のジャンク袋に入っていたイヤフォンにつけてみました

 この記事のタイトルは「東西ジャンク袋対決!」でしたね。中身を精査した結果をもとに、比較してみましょう。

 まず、グラム単価を見ると、日米=1gあたり0.25円、デジット=1gあたり0.79円となり、日米ジャンク袋の圧勝です。実際、すごい量で、分類も撮影も大変でした。実益の観点では、デジット製ジャンク袋に分がある印象で、とくにコンデンサや半導体の種類が多かったので、作るための材料として活用できそうです。内容物の面白さについては甲乙付けがたいですね。どちらのジャンク袋も面白く、意外性がありました。引き分け。

 というわけで、両者ともに1勝1敗1分ということでいかがでしょう。

今回のジャンク袋に入っていた部品だけを使って作った無安定マルチバイブレータ方式のLEDチカチカ回路です。HPの小型LEDと大型電解コンデンサのちぐはぐな感じが気に入っています。この回路はブレッドボーダーズの第6回で紹介したものをもとに、手に入った部品に合わせて変更したものです