最新液晶ディスプレイ ピックアップ

ベンキュージャパン「XL2410T」
~ピボット回転可能な3D Vision対応機



 XL2410T
液晶サイズ23.6型
パネル方式TN方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.2715×0.2715mm
表面処理ノングレア
バックライト方式LED
応答速度5ms(中間色2ms)
コントラスト比1,000:1(最大1,000万:1)
視野角上下160度/左右170度
輝度300cd/平方m
表示色約1,677万色
走査周波数水平:15kHz~83kHz(VGA、HDMI)
30kHz~140kHz(DVI-Dデュアルリンク)
垂直:24~120Hz(VGA、HDMI)
56Hz~120Hz(DVI-Dデュアルリンク)
チルト角度下5度、上20度
高さ調節約130mm
スイベル左45度、右45度
ピボット機能あり
入力端子DVI-D デュアルリンク(HDCP対応)×1
HDMI 1.3×1
ミニD-Sub 15ピン×1
出力端子ヘッドフォン出力×1
スピーカーなし
VESAマウント対応(100×100mm)
電源内蔵
消費電力最大40W、標準33W、エコモード28W
付属品DVI-D デュアルリンクケーブル
ミニD-Sub15ピンケーブル
電源ケーブル
ドライバーCD
本体サイズ570×181.3×347.4~477.4mm(幅×奥行き×高さ)
重量約6.37kg

 ベンキュージャパンから、NVIDIAの3D立体視技術「3D Vision」に対応した液晶ディスプレイ「XL2410T」が登場した。元プロゲーマーが開発協力した表示モードを搭載するなど、ゲーマー向けの色合いが濃い製品となっている。オープン価格で、実売価格は4万円前後。

 

●本体デザイン

 XL2410Tは、ゲーマー向け液晶ディスプレイという位置づけだが、ゲーマー向け製品にありがちな、目立つロゴや奇抜なデザインといったものは一切ない。操作ボタンの集められているベゼル部右下の部分が少々飛び出している部分が若干目立つと言えなくもないが、全体的には落ち着いた印象が強い。本体部分はプラスチックの素材感が強く感じられることもあって、高級感はあまり感じられない。

 本体サイズは、570×181.3×347.4~477.4mm(幅×奥行き×高さ)。パネルサイズを考えると、十分コンパクトにまとめられている。LEDバックライトを採用しており、本体部は薄型軽量で、スタンド部を含めても奥行きは181.3mmと短く、重量も6.37kgと十分に軽い。

 スタンド部は、約140mmの高さ調節と左右45度ずつのスイベル機構に加え、液晶を縦で利用するピボット機構を備える高機能タイプとなっている。これらは、強い力を入れずとも設定/調節でき、ぐらつきもそれほど大きくない。ただ、高さが最も低い位置でのみストッパーが働くようになっているが、ストッパー解除ボタンがスタンド部背面側にあり、少々扱いづらい。珍しい点として、スタンド下部に皿状の凹みが用意され、小物などを置けるようになっている点は便利だ。

 電源ボタンやOSD操作用のボタンなどは、下部ベゼル右側の、やや飛び出した部分に集められている。ただ、ボタン自体が正面から見えない、ベゼル底面側にあるため、やや扱いづらく感じる。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の、23.6型ワイド液晶を採用。パネルの方式はTN方式。視野角は、上下160度/左右170度となり、上下左右に視点をずらすと、若干の色合いの変化が感じられる。応答速度は5ms、中間色で2msと、TNパネルらしく十分に高速。また、120Hz駆動に対応しており、NVIDIA 3D Visionをはじめ、リフレッシュレート120Hzの映像信号を入出力できる。バックライト輝度は300cd/平方m、パネル表面は非光沢処理が施されている。

●接続端子

 映像入力端子は、デュアルリンクDVI-D×1、HDMI 1.3×1、ミニD-Sub15ピン×1の全3系統が用意される。端子類は、液晶裏面下部に下向きに配置されている。スピーカは搭載しておらず、音声入出力端子も用意されないが、HDMI経由で入力された音声を出力するためのヘッドフォン端子を本体左側面に用意している。

●OSD

 OSDは、画質調節関連機能はなかなか充実している。輝度やコントラスト、色合い調節といった基本的なものはもちろん、ガンマ調節、色相、彩度調節なども用意されている点は嬉しい。

 OSDの操作は、本体に用意されているボタンを利用するが、ボタンが本体ベゼルの底面側に用意されているため、正面からボタンが見えず、手探りでの操作となってしまう。また、画面に操作ガイドが表示されるものの、直接ボタンが見えないこともあり、サブメニューへの移動やメインメニューへの復帰など、操作に戸惑うことも多く、操作性はあまり高くない。ボタンを本体正面側に移動させるなどの改善を期待したい。

●画質

 XL2410Tは、120Hz駆動の液晶パネルを搭載し、NVIDIA 3D Visionに対応するゲーマー向けの液晶ディスプレイだ。ただ、製品としては3D Visionに対応していることをそれほど大きくアピールしていない。それよりも、リフレッシュレート120Hzの映像信号を入力でき、ゲームを高リフレッシュレートでプレイできるという点を大きくアピールしている。

 プロレベルのゲーマーは、高いリフレッシュレートの映像でゲームをプレイすることを重要視している場合が多い。それは、リフレッシュレートが高いほど、画面描画がスムーズになり、FPSなど瞬時の判断が求められる対戦ゲームなどで有利にプレイできるからだ。そのため、現在でもブラウン管ディスプレイにこだわっているプレーヤーもいるほどだ。XL2410Tなら、PCのパフォーマンスが許す限り、高リフレッシュレートでゲームがプレイできる。

 実際に、リフレッシュレートを60Hzよりも高めてゲームをプレイしてみたが、やはり60Hz時よりも描画がかなりスムーズになることがはっきりわかる。特に、FPS系のゲームなどで視点を高速に移動させた場合でも、敵キャラクターなどが飛び飛びに描画されているように感じることが大幅に減少。これなら、確かにゲームプレイが有利になると言って良さそうだ。

 また、応答速度も中間色で2ms、黒白黒で5msと高速なため、残像もほぼ気にならないレベル。動画再生はもちろん、ゲーム画像もくっきりと表示される。ただし、TN方式の液晶パネルを採用しているため、視野角はそれほど広くなく、特に上下の視野角の変化で色合いや明るさが変化する点は少々気になる。また、パネル表面がノングレア処理となっているため、発色の鮮やかさもグレア液晶にやや劣る。だが、映り込みは全く気にならないため、むしろゲームプレイには最適と言える。

 ところで、XL2410Tには「FPSモード」と呼ばれる、FPS系ゲームを快適にプレイするための表示モードが用意されている。このFPSモードは、ガンマ値を高めるなどして、画面表示の明るさを高め、暗いシーンの多いFPSの映像を見やすくするためのモードのようで、遅延を最小限に抑えるモードというわけではないようだ。とはいえ、XL2410Tはもともと表示遅延が少ないようで、遅延に関してはほぼ気にする必要はないだろう。実際に、入力のシビアなゲームをプレイしてみたが、特に違和感を感じることなくプレイできた。

 XL2410Tは、120Hz駆動の液晶パネルを搭載する製品の中でも、4万円前後と最も安価な部類に入る製品だ。見た目こそ、ボディがプラスチック感むき出しで高級感は感じられないが、高さ調節やピボット機構を備えるスタンドが標準で付属しているなど、機能面も優れている。特に、FPSなどの対戦ゲームを快適にプレイできる液晶ディスプレイを探している人におすすめしたい。

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(2010年 12月 16日)

[Text by 平澤 寿康]