■最新液晶ディスプレイ ピックアップ■
MDT-231WG | |
液晶サイズ | 23型 |
パネル方式 | IPS方式 |
表示解像度 | 1,920×1,080ドット |
アスペクト比 | 16:9 |
画素ピッチ | 0.265×0.265mm |
表面処理 | ノングレア |
バックライト方式 | LED |
応答速度 | 5ms(GTG) |
コントラスト比 | 900:1(最大5,000:1) |
視野角 | 上下/左右とも178度 |
輝度 | 350cd平方m |
表示色 | 約10億6,433万色中約1,677万色 |
走査周波数 | 水平:31.5kHz~82.3kHz 垂直:56~76Hz |
チルト角度 | 下5度、上20度 |
高さ調節 | 約60mm |
スイベル | 70度 |
ピボット機能 | あり |
入力端子 | DVI-D(HDCP対応)×1 HDMI×2 ミニD-Sub 15ピン×1 D5端子×1 Sビデオ×1 コンポジットビデオ×1 ステレオミニジャック×2 ステレオピンジャック(L/R)×2 |
出力端子 | S/PDIF光デジタル音声出力×1 ステレオミニジャック×1 ヘッドフォン出力×1 |
スピーカー | 3W+3W、サブウーファー5W |
VESAマウント | 対応(100×100mm) |
電源 | 内蔵 |
消費電力 | 標準79W |
付属品 | DVI-Dケーブル HDMIケーブル ミニD-Sub15ピンケーブル オーディオケーブル 電源ケーブル リモコン 単4形乾電池2本 ユーティリティーディスク |
本体サイズ | 543×226×387~447mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約11kg |
【お詫びと訂正】初出時に画面のピボット回転の動画を掲載しておりましたが、回転方法がメーカー推奨のものでなかったため、削除いたしました。
三菱電機の液晶ディスプレイの中で、マルチメディアモデルの最上位機種として位置付けられている「VISEO」シリーズ。その最新モデルとなる「VISEO MDT231WG」は、VISEOシリーズとして初となるIPS液晶とLEDバックライトを組み合わせ、かつ120Hz駆動倍速補間技術を取り入れるとともに、本体デザインも大幅に変更した、意欲的な製品となっている。オープン価格で、実売価格は118,000円前後。
●本体デザイン本体デザインは、これまでのVISEOシリーズから大きく変更されている。正面から見ると、狭額のベゼルには特徴のある装飾がなく、逆V字型のスタンドがあるため、なんとなくVISEOらしさは伝わってくるが、MDT231WGでは液晶パネル下部にスピーカーが搭載されているため、やはり雰囲気はかなり異なっている。
側面や背面から見ると、従来製品と完全に構造が異なっていることがさらに分かる。まず、スタンド部は、後方にやや斜めに伸び、上下の高さ調節機構が盛り込まれたアームが配置され、そこに液晶本体が取り付けられている。また、液晶パネル部はLEDバックライトを採用しているためにかなり薄くなっているが、その後方に各種接続コネクタやスピーカーユニットが取り付けられた、大きめの本体が配置され、液晶パネルと本体部分が分離構造となっている。また、全体的に直線的なデザインが採用されていることもあり、重厚なイメージだ。
新デザインを採用した最大の要因となるのが、これまでにない独自のピボット機構を採用しているためだ。ピボット機構を採用する液晶ディスプレイは、コネクタ部も含め液晶本体全体を回転させる構造を採用しているものが一般的だ。しかし、MDT231WGのようにスピーカーを搭載する液晶ディスプレイでは、本体全体を回転させてしまうと、スピーカーも縦位置になってしまい、正常なサウンド再生が行なえなくなってしまう。また、映像ケーブルや電源ケーブルが、本体回転時に邪魔になる。
それに対しMDT231WGでは、液晶パネルと後方の本体部分を分離し、液晶パネルだけを回転させる構造を採用している。これによって、スピーカーの位置や接続ケーブルを気にせず液晶パネルを縦位置に回転できる。ちなみに、液晶パネルを縦位置で利用する場合には、高さを最も低い位置に固定する必要がある。
本体サイズは、543×226×387~447mm(幅×奥行き×高さ)で、23型パネルを採用する液晶ディスプレイとして一般的な大きさだ。それに対し、本体重量は約11kgと、LEDバックライトを採用する液晶ディスプレイとしては割と重い。これは、本体が先に述べたような特殊な構造となっているからだろう。
液晶パネル面は、先ほど紹介したように右に90度回転させ縦画面での利用が可能。チルト角は下5度から上20度の範囲で、高さは約60mmの範囲で調節できる。また、70度のスイベル機構も備える。
電源ボタンやOSD操作用のボタンは、スピーカーユニット下部に用意されている。正面からボタンが見えない位置にあるため、やや操作しづらい。ただ、MDT231WGには標準でリモコンが付属しており、入力切り替えやOSD操作など、全ての操作がリモコンで行なえるため、本体のボタンは緊急用と考えればいいだろう。
●液晶パネル1,920×1,080ドット表示対応の、23型ワイド液晶を搭載。パネルの方式はIPS方式を採用。応答速度は中間色で5ms。視野角は、上下/左右とも178度で、多少視野角が変化しても色合いの変化はほとんど感じられない。輝度は350cd/平方m。パネル表面は非光沢処理が施されている。
●接続端子接続端子は、従来モデルのVISEOとほぼ同等だ。映像入力端子は、DVI-D×1系統、HDMI×2系統、ミニD-Sub15ピン×1系統、D5×1系統、Sビデオ/コンポジットビデオ×1系統(排他利用)の全6系統。音声入力端子は、PC入力用としてステレオミニジャックが2系統用意され、それぞれDVI-DとミニD-Sub15ピンに対応。また、D5用とSビデオ/コンポジットビデオ用に、ステレオピンジャック L/Rが2系統用意されている。もちろんHDMI端子からの音声入力も可能なので、全映像入力で独立した音声入力が可能となっている。
従来通り音声出力も充実。ヘッドフォン出力に加え、ステレオミニジャックのライン出力とS/PDIF光音声出力が用意されている。
PC系の映像入力端子(DVI-DとミニD-Sub15ピン)と、PC用音声入力2系統、アナログ音声出力、光デジタル音声出力は本体底面に、HDMIやD5、Sビデオ/コンポジットビデオ、ステレオピンジャックなどのAV系入力端子は本体左側面にそれぞれまとめられている。なお、左側面端子のうち、HDMI 2系統以外はカバーで覆われ、利用時には外す必要がある。
スピーカーは、3W+3Wのステレオスピーカーに、5Wのサブウーファーを搭載。従来よりも力強い低音が再生されるようになり、サウンドの迫力も向上している。ちなみに、サブウーファーは液晶パネル裏の本体側に取り付けられている。
●OSDOSDの構成は、従来のVISEOシリーズとほぼ同等。映像モードの設定メニューが、「DV MODE 1」と「DV MODE 2」に分けられ、さらに「スタンダード」や「ネット」など、モードごとに細かく設定できる点は嬉しい。設定項目は、プロ用途の製品に比べると若干簡略化されてはいるが、個人のマルチメディア用途の製品としては十分豊富だ。
OSDメニューの操作は、全て付属のリモコンで行なえるため、操作性は非常に優れる。もちろん、本体側のボタンでも操作できるが、ボタンの位置がスピーカー部底面と、正面から見えづらい位置にあるため、こちらの操作性は良くない。本体側のボタンでの操作は緊急用で、通常はリモコンで操作するものと考えよう。
●画質MDT231WGの最大の特徴は、IPS方式の液晶パネルにLEDバックライトを組み合わせるとともに、120Hz駆動倍速補間技術「倍速クリアピクチャー」を取り入れている点だ。この倍速クリアピクチャーは、60Hzで入力された映像の連続する2フレームの映像から、中間となる映像を補間生成し、120Hzで表示させるというもので、RDT-233WM-Zで始めて実現されたものと同等だ。
さらにMDT231WGでは、従来のVISEOにも搭載されている、バックライトを順次点滅させる「バックライトスキャンニング」のLED版となる「LEDバックライトスキャンニング」も搭載。倍速クリアピクチャーとLEDバックライトスキャンニングの組み合わせで、240Hz相当の駆動を実現したとしている。
実際に、倍速クリアピクチャーとLEDバックライトスキャンニングを組み合わせて動画やゲーム画像などを表示させてみたところ、確かにブレや残像が大幅に低減された、非常にクリアな映像が楽しめた。ただ、LEDバックライトスキャンニングを動作させると、従来モデルと同じように、やや明るさが下がる。
IPS方式の液晶パネルを採用している点も大きな利点の1つ。初めて倍速クリアピクチャーを採用したRDT-233WM-Zは、TN方式の液晶パネルを採用していたため、視野角の違いによる色合いの変化が大きいなど、表示品質で若干気になる点があったのも事実。しかしMDT231WGでは、視点が上下左右に大きく移動しても、常にクリアな映像が楽しめる。
LEDバックライトに関しては、LEDバックライトスキャンニングだけでなく、「LEDバックライトブリンキング」という技術も搭載している。こちらは、60Hzの入力映像を、中間画像を生成することなく120Gzに増幅し、60Hzの1フレーム分を120Hzの2フレームに連続表示。その上で、2フレーム目の描画が始まり、液晶パネルの応答が終了下段階で始めてLEDバックライトを点灯し、次のフレームに移る瞬間にバックライトを消灯させるというもの。連続する2フレームでバックライトが点灯するのは、2フレーム目の後半のみとなる。これによって、描画時の液晶応答過程が見えなくなり、残像感が大幅に低減される。実際に試してみたが、見事なまでに残像感が低減された。当然、映像はかなり暗く見えることになるが、残像感をほとんど感じないクリアな映像となるため、用途に応じて使い分けると良いだろう。
また、超解像技術の「ギガクリア・エンジン」も、「ギガクリア・エンジンII」に進化。超解像アルゴリズムを改善するとともに、入力映像の解像度を自動判定し最適な処理を行う「解像度判定」、映像全体のコントラストを判断し、白つぶれや黒つぶれを低減する「エリアコントラスト」、Web動画などのブロックノイズを低減する「ブロックノイズリダクション」などによって、より高品質な超解像を実現。実際に、解像度の異なる動画で試してみたが、従来の超解像のような、境界線部分がやけに強調されたように見える違和感はほとんどなくなっており、見やすい映像が再現されていた。もちろん、VGAサイズ以下のWeb動画がHDクオリティになるというわけではないが、ブロックノイズが減るなど、見やすい映像になることは間違いない。デスクトップ上の任意のエリアだけで超解像処理を行なう「ギガクリア・ウィンドウ」もサポートされている。
ただし、倍速クリアピクチャーやギガクリア・エンジンIIを利用すると、映像表示の遅延がかなり大きくなる。実際に、入力にシビアなゲームをプレイしてみると、ボタンの入力から映像の表示までにかなりのタイムラグが発生し、快適なゲームプレイが阻害された。これは動画再生用と考えた方がいいだろう。従来同様、ギガクリア・エンジンIIなどによる映像処理をパスし、遅延を低減させる「スルーモード」も用意されているので、ゲームプレイ時などにはこちらを活用すればいいだろう。
MDT231WGは、VISEOシリーズの特徴をさらに進化させつつ、120Hz倍速補間駆動やLEDバックライトスキャンニング、LEDバックライトブリンキングなどを盛り込むことで、完成度がさらに増している。また、液晶パネル面を回転させて縦画面でも利用できるようになったことで、縦画面のゲームをプレイするのはもちろん、DTPなどのビジネス用途にも柔軟に対応できる。残念なのは、NVIDIAの3D表示技術「3D Vision」に対応していない点。せっかく120Hz駆動に対応しているのだから、できれば3D Visionにも対応してもらいたかった。
価格は118,000円前後と、IPS方式の液晶パネルを採用する液晶ディスプレイが2万円前後から購入できるようになった現在では、かなり高価に感じるかもしれない。ただ、その価格に見合う価値は十分にある。静止画だけでなく映像の表示品質にもこだわりたい人なら、確実に満足できる製品と言っていいだろう。
(2010年 12月 3日)