Hothotレビュー

まるでWindows版iPad Pro。ASUSの2in1「TransBook 3 T305CA」を試す

ASUS「ASUS TransBook 3 T305CA」直販価格75,384円~ ※スタイラスペンは別売り

 ASUSは9月13日、12.6型3Kディスプレイ搭載Windowsタブレット「ASUS TransBook 3 T305CA」を発表、9月15日より販売を開始した。

 本製品にはキーボードカバーが標準で同梱されており、1,024段階の筆圧感知機能に対応するスタイラスペン「ASUS Pen」(直販価格6,980円)をアクセサリとして用意。本体サイズや重量もアップルの12.9型iPad Proに非常に近く、その存在を強く意識したモデルとして開発されたと思われる。

グローバル向けの「ASUS Transformer 3 T305CA」の製品公式サイトでは、12.9インチiPad Proと比較する記述が複数見られる

 今回ASUSよりT305CAの実機を借用したので、詳細スペック、使い勝手、AV機能、性能などについてレビューしていこう。

Core i5/m3の2モデルを用意、Core i7モデルは日本未発売

 T305CAは日本向けに、第7世代(Kaby Lake)のCore i5-7Y54/メモリ8GB(LPDDR3-1866)/256GB SSD(M.2 Serial ATA 6Gbps)を搭載する「T305CA-7Y54」、Core m3-7Y30/メモリ4GB/128GB SSDを搭載する「T305CA-7Y30」の2モデルが用意されている。グローバル向けのT305CAに用意されているCore i7-7Y75、512GB SSD搭載モデルは販売されていない。

 iPad Proを強く意識したと思われるT305CAには、3K(2,880×1,920ドット、275ppi)、輝度450cd/平方m、NTSC比85%、sRGB比121%、視野角170度と、一般的なWindowsタブレットよりも高精細、高輝度、広色域のディスプレイが採用されている。またサウンド面においても、左右に2Wスピーカーを合計4つ搭載するなど、同社のほかのタブレット端末よりも強化が図られている。

 本体カラーはアイシクルゴールド(Icicle Gold)の1色のみ。グローバル向けに販売されているチタニウムグレイ(Titanium Grey)は残念ながら選べない。筐体はアルミニウム合金製で、1枚の板から100以上の工程を経て削り出されているとのこと。

 背面にはASUS製品でおなじみのスピン加工、エッジ部分にはダイヤモンド加工、側面にはサンドブラスト加工が施されている。またディスプレイ面には硬度9HのCorning Gorilla Glass 3が採用されている。

 本体サイズは303×202×6.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約695g。薄型・軽量に作られているが、端を持って強く揺さぶってもたわみなどはほとんど感じない。剛性はしっかりと確保されているという印象だ。

 ボタン・端子類は、指紋認証センサー一体型電源ボタン、ボリュームボタン、USB Type-C/Thunderbolt 3×1、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャックのみ。一般的なWindowsタブレットのようにmicroSDカードスロットは用意されていない。

 その代わりにUSB Type-C/Thunderbolt 3端子に接続する「ASUS ユニバーサル ドック」(直販価格13,980円)がアクセサリとして用意されている。これを接続すれば、SDメモリカードリーダ、Ethernetポート、ミニD-Sub15ピン、HDMI端子、USB 3.0 Type-A×2、USB 3.1 Type-C×1を利用可能だ。

 なおASUS ユニバーサル ドックは付属のACアダプタを接続しなければ利用できない。つまり電源を確保できる場所で据え置き利用するための周辺機器であることに注意してほしい。電源供給なしに屋外で使用するなら、コンパクトなUSB Type-Cハブを別途用意したほうがいい。

【表1】TransBook 3 T305CAシリーズの主要スペック
T305CA-7Y54T305CA-7Y30
OSWindows 10 Home 64bit
CPUCore i5-7Y54(1.2~3.2GHz)Core m3-7Y30(1~2.6GHz)
GPUIntel HD Graphics 615(300~950MHz)Intel HD Graphics 615(300~900MHz)
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 8GBLPDDR3-1866 SDRAM 4GB
ストレージ256GB SSD(M.2 Serial ATA 6Gbps)128GB SSD(M.2 Serial ATA 6Gbps)
ディスプレイ12.6型ワイドTFT液晶(2,880×1,920ドット、275ppi、光沢、タッチ対応、輝度450cd/平方m、NTSC比85%、sRGB比121%、視野角170度)
通信IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2
インターフェイスUSB Type-C/Thunderbolt 3×1、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャック、1,279万画素背面カメラ/491万画素前面カメラ
バッテリ容量39,039mWh(Battery reportで表示された設計上のバッテリ容量)
バッテリ駆動時間本体:約5.5時間、本体+キーボードカバー:約4.6時間本体:約5.1時間、本体+キーボードカバー:約4.3時間
バッテリ充電時間本体:約2.6時間、本体+キーボードカバー:約2.6時間本体:約2.4時間、本体+キーボードカバー:約2.5時間
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)/重量本体:303×202×6.9mm/約695g、本体+キーボードドック:303×210×17mm/約1235g
セキュリティ指紋認証
Microsoft Officeなし
直販価格96,984円75,384円
本体前面。ディスプレイは、3K(2,880×1,920ドット、275ppi)、輝度450cd/平方m、NTSC比85%、sRGB比121%、視野角170度
本体前面上部アップ。左からアレイマイク、アンビエントライト(環境光)センサー、491万画素前面カメラ、カメラインジケータ、アレイマイク
本体背面。アルミニウム筐体にはスピン加工が施されている
本体背面には1,279万画素背面カメラを搭載。1,200万画素前面カメラを搭載するiPad Proより解像度は上回るが、フラッシュやマイクは用意されていない
T305CAの背面カメラで撮影。スマートフォンメーカーとしての技術が活かされているのか、タブレット端末としては素直な発色で解像感も高い
本体上面。上がディスプレイ面。左からボリュームボタンと指紋認証センサー一体型電源ボタンが配置されている
本体下面。中央にあるのはキーボードカバーと接続するためのドックポート
本体右側面。左からUSB Type-C/Thunderbolt 3、バッテリインジケータ、オーディオスピーカー×2が配置。バッテリインジケータは、ACアダプタ接続時に充電レベル100~95%時にホワイト、95%未満でオレンジに点灯。また、ACアダプタが接続されていないときに充電レベルが10%を下回ると、オレンジで点滅する
本体左側面。左からオーディオスピーカー×2、マイクロフォン/ヘッドフォン・コンボ・ジャックを配置
本体はラッチフックでキーボードカバーに固定する。キーモードカバーに埋め込まれた磁石で吸着するので、本体を握って持ち上げても、キーボードカバーが落ちることはない
キーボードカバーは背面カバーのたたみ方によって、2段階に角度をつけられる。これは約54度
これは約24度。スタイラスペンを使うさいにちょうどいい角度だ
同梱物一覧。左上から本体、ACアダプタ、キーボードカバー、マニュアル類、クリーニングクロス
ACアダプタはUSB Type-C/Thunderbolt 3端子に接続する。ケーブルの長さは実測約230cm
ACアダプタは入力100-240V、出力20V/2.25A、12V/2A、5V/2A、容量45W。USB PD(Power Delivery)に対応している
本製品はスタイラスペン「ASUS Pen」に対応しているが別売り
ASUS Penは単6アルカリ電池を使用する
本体の実測重量は約678g
キーボードカバーの実測重量は約558.5g
ACアダプタの実測重量は約188.5g
ASUS Penの実測重量は約21.5g
システム情報
主要なデバイス
初回起動時のディスク情報。空き容量は205.55GB
「CrystalDiskInfo 7.0.5」で表示したストレージ情報。サンディスクのM.2形状Serial ATA 6Gbps接続SSD「SD8SNAT256G1002」が搭載されていた

ノートPCと遜色ないキーピッチ、ストロークを備えたキーボードカバー

 前述のとおり、T305CAにはキーボードカバーが同梱されている。このキーボードカバーは87キーの日本語仕様で、キーピッチは19.24mm、キーストロークは1.4mm。

 一般的なノートPCと遜色ないキーピッチ、キーストロークを備えているので、多くの人にとってはiPad Proのキーボードカバー「Smart Keyboard」より入力しやすいはず。ディスプレイ面の角度を2段階に変更できる点、バックライトを内蔵している点も、Smart Keyboardに対するアドバンテージだ。

 ただし、1つ注意したいのがキーボード面に傾斜をつけられないこと。同社の「TransBook T304UA」やSurface Proシリーズとは異なり、背面も保護する構造のT305CAのキーボードカバーは角度をつけられない。キーボード面の傾斜自体、そして傾斜をつけているときの独特のたわみを好んでいる方は、慣れるのに多少の時間は必要だ。

 スタイラスペン「ASUS Pen」での書き心地は、2in1 PCとしては標準的だ。第2世代のiPad Proや新型Surface Proに比べればレイテンシーは大きいし、傾き検知機能も搭載されていないが、その差に不満を感じる人はごく一部だろう。

 しかし本気でイラストを描きたい方たちにとっては、物足りないスペックであることも事実。そろそろASUSをはじめとするPCメーカーには、21msのレイテンシ、傾き検知機能、4,096段階の筆圧感知機能に対応した「新型Surfaceペン」と同等のスタイラスペンを採用してほしいところだ。

キーボードカバーは87キーの日本語仕様
キーピッチは19.24mm、キーストロークは1.4mm
バックライトは3段階で明るさを調整可能
タッチパッドは実測105×62mm(幅×奥行き)
タッチパッドはWindows 10の「高精度タッチパッド」に対応している
T305CAのキーボード面には傾斜をつけられない
T305CAとASUS Penを組みあわせたときの書き味はやや硬め
上がASUS Pen、下がSurfaceペン。ASUS Penには、Surfaceペンと同じく「Microsoft Pen」プロトコルが採用されている
自己責任での利用となるが、T305CAでSurfaceペンを流用可能だ。Surfaceペンは異なる硬さのペン先を選べるので、書き味を調整できる

7万円台スタートのタブレット端末としては文句なしのAV性能

 次にAV性能をチェックしていこう。まず3K(2,880×1,920ドット、275ppi)解像度については文句は出ないはずだ。Windowsのスケーリングは200%が推奨されている。100%に設定すれば広大なデスクトップスペースを確保できるが、字が小さすぎて見づらいし、それほどの広さを必須とするアプリケーションも存在しない。

 色域については、T305CAのICCプロファイルをディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」で作成して、色度図を作る「ColorAC」で確認してみた。

 結果は、NTSC比が83.7078%、sRGBカバー率が99.6%、sRGB比が118.2%、Adobe RGBカバー率が84.2%、Adobe RGB比が87.6%と、ほぼスペックシートどおりの値が得られた。

 ノートPCやタブレット端末のディスプレイであればsRGBカバー率は90~95%が平均的だ。T305CAのsRGBカバー率99.6%という結果は、7万円台スタートのタブレット端末としては相当優秀な部類に入る。

 サウンド機能も非常に高いレベルだ。T305CAには2Wスピーカーが左右側面に合計4つ内蔵されており、端末の向きに応じて上側のペアが高域を、下側のペアが低域を再生する。実際さまざまなジャンルの音楽を聴いてみたが、薄さ6.9mmのタブレット端末から再生しているとは思えないほど音に厚みと広がりがある。

 音質には定評のある12.9インチiPad Proと比較してみても、正直甲乙つけがたいレベルだ。音の伸びやかさや解像感はiPad Proが勝っているが、音場の奥行きや迫力はT305CAのほうが優れているように感じる。もちろん、そもそも音の味付けに違いがある両者だが、どちらを選んでもイコライザーで調整できるレベルの差だ。

3K(2,880×1,920ドット、275ppi)解像度では200%のスケーリングでもデスクトップに十分な広さが得られる
標準の発色にとくに不自然な傾向は見られない
正面から見た場合
斜め45度から見た場合
斜め60度から見た場合。深い角度から見れば階調は失われるが、色や形は十分確認できる
実測したNTSC比は83.7078%
実測したsRGBカバー率は99.6%、sRGB比は118.2%
実測したAdobe RGBカバー率は84.2%、Adobe RGB比は87.6%
サウンド設計にはオーディオメーカーHarman Kardonの技術が盛り込まれているという
YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大84.1dBA

3Kディスプレイ搭載の代償として少々物足りない連続動作時間

 最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は下記ベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.0.1275.0」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.7.613」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 7 v1.4.0」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.3.3732 64」
  • CPU、OpenCLのベンチマーク「Geekbench 4.1.1」
  • CPUのベンチマーク「Geekbench 3.4.1」
  • CPU、OpenGLのベンチマーク「CINEBENCH R15」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 5.2.2」
  • 「Adobe Photoshop Lightroom CC」RAW画像の現像時間を計測
  • 「Adobe Premiere Pro CC」フルHD動画の書き出し時間を計測
  • 「BBench」連続動作時間を計測

 比較対象としては同じく第7世代(Kaby Lake)の上位プロセッサー「Core i7-7500U」を搭載する「ASUS TransBook T304UA-7500S」のスコアを掲載した。

 TransBook T304UA-7500Sは、Core i7-7500Uのクロック周波数が2.7~3.5GHz、TDPが15W、T305CAの搭載するCore i5-7Y54のクロック周波数が1.2~3.2GHz、TDPが4.5Wとそもそも基本性能が異なるので、結果は明らかだ。しかし冷却ファン搭載スタンダード2in1 PCと、高さ6.9mmのファンレス2in1 PCでどの程度性能が異なるのかを見るために選出した。

 さて下記が検証機の仕様と、その結果だ。

【表2】検証機の仕様
ASUS TransBook 3 T305CAASUS TransBook T304UA-7500S
OSWindows 10 Home 64bit
CPUCore i5-7Y54(1.6~3.2GHz)Core i7-7500U(2.7~3.5GHz)
GPUIntel HD Graphics 615(300~950MHz)Intel HD Graphics 620(300MHz~1.05GHz)
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 8GBLPDDR3-1866 SDRAM 16GB
ストレージ256GB(Serial ATA 6Gbps)512GB SSD(Serial ATA 6Gbps)
ディスプレイ12.6型、2,880×1,920ドット(275ppi)12.6型、2,160×1,440ドット(206dpi)
サイズ(幅×奥行き×高さ)303×202×6.9mm298.8×210.1×8.85mm
重量約695g約830g
【表3】ベンチマーク結果
ASUS TransBook 3 T305CAASUS TransBook T304UA-7500SPCMark 10 v1.0.1275.0
PCMark 10 Score2,3033,212
Essentials5,8397,617
App Start-up Score7,2229,548
Video Conferencing Score5,4036,908
Web Browsing Score5,1046,701
Productivity4,1345,841
Spreadsheets Score4,6946,907
Writing Score3,6414,941
Digital Content Creation1,3742,023
Photo Editing Score1,6462,730
Rendering and Visualization Score8021,116
Video Editting Score1,9692,720
PCMark 8 v2.7.613
Home Accelarated 3.02,5893,311
Creative Accelarated 3.03,4854,448
Work Accelarated 2.03,5694,441
Storage4,8214,883
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score4,4015,466
3DMark v2.3.3732 64
Time Spy計測不可301
Fire Strike Ultra120187
Fire Strike Extreme253343
Fire Strike485860
Sky Diver2,0023,223
Cloud Gate3,2805,018
Ice Storm Extreme23,10132,739
Ice Storm34,13147,372
CINEBENCH R15
OpenGL30.00 fps43.08 fps
CPU179 cb273 cb
CPU(Single Core)95 cb110 cb
Geekbench 4.1.1
32-bit Single-Core Score2,9653,732
32-bit Multi-Core Score4,8437,521
64-bit Single-Core Score3,2694,163
64-bit Multi-Core Score5,3398,114
OpenCL15,70219,984
Geekbench 3.4.1 Intel(32-bit)
Single-Core Score2,6053,367
Single-Core Score Integer2,8083,490
Single-Core Score Floating Point2,2883,266
Single-Core Score Memory2,8333,323
Multi-Core Score4,8157,008
Multi-Core Score Integer5,3268,315
Multi-Core Score Floating Point5,1317,425
Multi-Core Score Memory3,1613,562
Geekbench 3.4.1 Intel(64-bit)
Single-Core Score2,7573,514
Single-Core Score Integer3,0273,729
Single-Core Score Floating Point2,4613,404
Single-Core Score Memory2,8123,306
Multi-Core Score5,0217,245
Multi-Core Score Integer5,7838,810
Multi-Core Score Floating Point5,2067,527
Multi-Core Score Memory3,1283,552
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット2,7943,954
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,280×720ドット3,7207,307
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)1,4142,048
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)1,4021,670
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)1,1081,359
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC)1,1191,597
1,920×1,080ドット 高品質(ノートPC)737
SSDをCrystalDiskMark 5.2.2で計測
Q32T1 シーケンシャルリード547.878 MB/s557.592 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト350.469 MB/s455.786 MB/s
4K Q32TI ランダムリード152.744 MB/s264.773 MB/s
4K Q32TI ランダムライト110.105 MB/s239.435 MB/s
シーケンシャルリード520.765 MB/s477.355 MB/s
シーケンシャルライト318.977 MB/s434.320 MB/s
4K ランダムリード21.885 MB/s26.303 MB/s
4K ランダムライト74.831 MB/s52.223 MB/s
Adobe Photoshop Lightroom CCで50枚のRAW画像を現像
4,912☓3,264ドット、自動階調5分13秒722分2秒24
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分のフルHD動画を書き出し
1,920×1,080ドット、30fps13分47秒699分3秒78
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%)
バッテリ残量5%まで5時間12分7秒8時間19分24秒

 ベンチマークスコアはおおむねCPUの性能差が順当に現われた結果と言える。ただし実際の操作感としては両者に大きな差はない。体感スピードはストレージの速度に大きく依存する。ほぼ同等の性能のストレージを搭載しているので、ベンチマークスコアほど使用感に決定的な違いはない。

 意外な結果に終わったのが連続動作時間。T305CAはT304UAよりも連続動作時間が約3時間も短いのだ。バッテリ容量は、T305CAが38.5Wh、T304UAが39Whと大きな差はない。ディスプレイサイズも12.6型でまったく横並び。となると連続動作時間の大きな差が生じた原因は、T305CAがT304UAより高解像度な3K液晶パネルを採用しているので消費電力が多いためだろう。ここまで大きな差があるとは予想していなかった。

 なお、高負荷時の発熱をサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」でチェックしてみた。室温25℃の部屋で、「CINEBENCH R15」の「CPU」を連続で5回実行したさいの最大温度は、表面が41.4℃、裏面が37.3℃だった。発熱に関しては表面が43.2℃、裏面が43.3℃だったT304UAよりも明らかに低い結果となった。

ディスプレイ面の最大温度は41.4℃
背面の最大温度は37.3℃
ACアダプタの最大温度は31.3℃

かぎりなくタブレット端末寄りの2 in 1 PC

 T305CA最大の魅力はAV性能。高解像度、高輝度、広色域の3Kディスプレイと、2W×4のサウンド機能の組みあわせは、Windowsタブレットのなかで高いレベルにある。

 このAV性能を備えたWindowsタブレットが、キーボードカバーとセットで直販価格75,384円から入手できるのだから、直販価格93,744円からの12.9インチiPad Proに対してコストパフォーマンスは高い。

 もちろんiPad Proには豊富なアプリケーション資産があるが、T305CAにもWindowsアプリケーションが動く、ほとんどのWebサービスを利用できるというメリットがある。連続動作時間はやや物足りないが、その弱点はモバイルバッテリで補える。

 クリエイティブ系アプリケーションを利用するなど、PC寄りの用途におもに使うならT304UAや新型Surface Proのほうが選択肢としては有力だ。しかしタブレット端末としておもに活用するなら、T305CAはiPad Proと同じぐらい魅力的な候補と言える。