ゲーミングPC Lab.

デル「Alienware M15x」
~15.6型ワイドのハイエンドゲーミングノート



Alienware M15x

発売中


 ド級スペックノート「M17x」の投入で国内ゲーマーへの認知度も一気に高まったデルのゲーマー向けブランド「Alienware」。今回紹介する「M15x」はこれの15インチモデルだ。17インチサイズの大きさに躊躇していたユーザーには朗報であるとともに、ちょうど同時期に発表されたインテルのCore i7 モバイルプロセッサを採用したハイパフォーマンスノートとして仕上がっている。

●ひとまわり小さなAlienノート
デスクトップの壁紙だけでなく、ログオン画面もAlienwareオリジナル。Alienwareの細かなところまでの統一感を感じることができる

 まずはスペックから紹介していこう。M17xも触ったことがあるが、これと比べるとM15xはひとまわり小さい印象は受ける。それでも約378×309×48.7mm(幅×奥行き×高さ)というサイズは、標準的な15.4型ワイドノートと比べると大きい。15型ワイドというよりは一般的な17型ワイドノートのサイズという感覚だ。重量は最小構成で4.08kgと、こちらもM17xの最少構成と比べ1.2kgほど軽くなっている。持ち上げた際の感覚は確かに軽く、その気になれば持ち運ぶことは十分に可能だろう。とはいえ、実際のところ4kg超のノートを気軽に持ち運ぶ人は少数派だろう。

 液晶ディスプレイは15.6型ワイド。一般的な15.4型ワイドパネルではなく、16:9アスペクトのパネルを採用したことでこのような型になっている。解像度は1,600×900ドットまたは1,920×1,080ドット表示のいずれかを選べる。どちらもホワイトLEDバックライトを採用している。

 本体にはAlienware M17xを同様に各所の発光ギミックも備えている。光るパーツはキーボード面がキーボード、電源ボタン、マルチメディアキー、タッチパッド、そして液晶面のAlienwareロゴに液晶天板のグレイのフェイスマーク、前面の吸気口などだ。

傾斜したフロントフェイスによるものか、奥行きは一般的な17インチワイドノート並。設置面積も一般的な15型ワイドノートよりひとまわり広いスペースが必要となる液晶天板にはヒンジ側にラバー、中央にAlienwareのロゴでもあるリトルグレイのフェイスマークを備える。カラーバリエーションは、写真のルナ・シャドウのほか、コスミック・ブラック、ネブラ・レッドの3色液晶ディスプレイは15.6型ワイド(16:9アスペクト)。1,600×900ドットまたは1,920×1,080ドットパネルが選択可能。どちらもホワイトLEDバックライトを採用しており鮮やかな発色だ
左右にエアインテークを装備した前面。M17xのデザインをそのままにひとまわり小さなモデルと言って良さそうだこのインテーク部分にも発光ギミックが仕込まれている背面には前面のインテークよりも開口部の広いダクトが左右に装備されている

●最新のCore i7に高性能GPUなど、充実スペック

 CPUの選択肢は、Core i7 720QM(1.6GHz)、820QM(1.73GHz)、そしてExtreme Edition 920XM(2GHz)が用意されている。Core i7は、現在のラインアップでは全てクアッドコア。これにHyper-Threadingが加わることで、タスクマネージャからは8コアCPUとして認識される。標準動作クロックはCore 2シリーズよりも低いが、Core i7はTurbo BoostによってTDPの枠内で最大3.2GHz(920XM)までクロックが自動的に上がるので、シングルスレッドパフォーマンスは高くなる。

 メモリはDDR3 SO-DIMMが2スロット用意されている。評価機に搭載されていたのはPC3-10600規格の2GBモジュール×2枚で計4GB。カスタマイズでは最大8GBまで搭載できる。これに合わせ、OSもWindows 7の64bit版が搭載されており、もはや32bit版はカスタマイズメニューに用意されていない。

 グラフィックスは、NVIDIA GeForce GT 240MとGeForce GTX 260Mが用意されている。M17xではデュアル構成が可能だが、M15xはシングル構成止まり。とはいえ、GeForce GTX 260Mはハイエンドに近いGPUであり、十分にゲームに通用するスペックだ。

タスクマネージャからは8コアとして認識されるCore i7モバイルプロセッサを採用評価機に搭載されていたのはCore i7-720QM(1.60GHz)。Turbo Boostオンの状態で2.8GHzにまでクロックが上昇しているメモリはDDR3-1333動作。2GBモジュール2枚で計4GBだが、6GBや8GBのオプションも用意されている
GeForce GTX 260Mのシェーダー数は112基。これがGeForce GT 240Mの場合シェーダー数が48基となる。GeForce GTX 260MはDirectX 10、GeForce GT 240MはDirectX 10.1と、対応APIではGeForce GT 240Mが上となるが、ゲームパフォーマンスを求めるならGeForce GTX 260Mを選択したい3Dアプリケーション実行時はコアが550MHz、シェーダーが1,350MHz、メモリが950MHz駆動となるカレント項でアイドル時のGPU動作クロックを調べるとコアが200MHz、シェーダーが400MHz、メモリが120MHzまで引き下げられる
Windows エクスペリエンス インデックスのスコアは5.5。HDDが足を引っ張っている様子で、他のスコアは6.8以上であるほか、CPUとメモリは7.0以上と相当に高い

●豊富なインターフェイスとメンテナンス性の高い底面スロット

 Alienware M15xは本体が大きいだけあり、インターフェイスも豊富に搭載している。なかでも、次世代のディスプレイ出力インターフェイスであるDisplayPort、USB 2.0/eSATA共用端子、そして最近搭載例が減りつつあるIEEE 1394端子の搭載は特徴に挙げられるだろう。また、光学ドライブはスロットインタイプ。最近のデルのノートブックではデザイン性の高いスロットインタイプが多用されており、M15xも同様だ。

 キーボードは、テンキーこそ無いものの、大きめのものが搭載されており、左右には余裕がある。上部のマルチメディアキーはタッチセンサー式でフラット。大きなタッチパッドには滑り止めのパターンが刻まれている。各所には発光ギミックも搭載されており、暗がりのなかでゲームを楽しむ際、ムードを高めるとともに、キーポジションを把握することが可能だ。

左側面には、セキュリティロックスロット、ACアダプタジャック、ミニD-Sub15ピンアナログディスプレイ出力、Gigabit Ethernet、DisplayPort、USB 2.0端子、IEEE 1394(4ピン)、8-in-1メモリカードリーダを装備右側面には、ExpressCard/54スロット、スロットイン光学ドライブ、オーディオ出力×2、マイク、USB 2.0/eSATA共用端子、USB 2.0端子を装備。光学ドライブにはBlu-ray Discも選択可能だキーボード左右にも余裕がある。テンキーこそ備えないものの、キー配列は他のデルのノートブックと同等で、右端にHome、End、PageUp、PageDown等を配置している。また、キーボードやその他さまざまな場所に発光ギミックが搭載されており、明かりを落とした室内では相当なインパクトだ
ゲーマーのホームポジションであるSキーにも突起が設けられているタッチパネルはかなり大きい。ゲームでは主にマウスを用いることになると思われるが、こちらの操作感も良好だ。青い発光ギミックにより、暗い室内でもはっきりと場所がわかるキーボード右上にはタッチセンサー式のマルチメディアボタンも装備。右端のメーターマークはステルスモード、UFOマークはAlien Command Centerという設定アプリケーションが起動する
Alien Command CenterはM15xの電源オプションや各所発光ギミックのカラー設定、タッチパッドの感度や挙動、ウェブカメラを使ったセキュリティ設定等が可能

 底面のベイは、ネジ2個を外した後、スライドさせてオープンする。内部中央付近にCPUとGPUが搭載され、そこからヒートパイプが左右に分かれ、後部のファンで排気する仕組みであることがわかる。やや特殊であるのがHDDのSATAインターフェイス。トレイごと上に引っ張ることで着脱可能だが、この仕組みのためにHDDには変換コネクタが装着されている。評価機に搭載されていたHDDは、WesternDigitalのWD250BEKT。容量250GB、回転数7,200rpmのScorpio Blackシリーズの製品だ。ただし末尾がBEKTというモデルは、落下センサーを搭載していないモデル。M15xを起動させたまま持ち歩くことは考えづらいが、頭の隅にとめておこう。

 ACアダプタは150Wという容量にしてはコンパクトなものが付属している。最近のデルのノートブックでは薄型タイプが採用されており、こちらもコンパクトにしようとしてるのかもしれないが、それなりに設置面積はとる。バッテリは装着すると本体にチルトが付くやや大きめなものが搭載されている。このため真っ平らなデスクに設置したとしても十分な通気性が確保される。このほかには、IEEE 802.11a/b/g/n対応の無線LAN、Bluetooth V2.1+EDR等の機能が搭載されている。そしてAlienwareの特典として、豪華なマニュアルとキャップ、マウスパッド等が付属する。

9セルの大容量バッテリは装着することでチルト角が付く。ほか6セルタイプのバッテリも選択可能。6セルバッテリでは一般的なノートと同様ほぼフラットな底面底面カバーはネジ2個を外した後、スライドすれば開けられる。中央にメモリ、CPU、GPUが搭載され、パームレスト側中央にHDDが搭載されている。このサイズだがHDDベイは1基であるようだ一般的なモバイル向けHDDはスライド式にインターフェイスの接点がかみ合うのだが、M15xではSATA HDDにアダプタが装着され、引き上げ式に装着することになる。これにより若干のスペース削減に貢献していると思われる
豪華なマニュアルに、リカバリメディア、キャップやなど(写真にはないがマウスパッドも)が同梱されている容量150Wだが、スリム型で一見コンパクトに見えるACアダプタ。とはいえ一般的なノートと比べればかなり大きいのである程度の設置スペースは必要となる

●ベンチマークで見るAlienware M15xのパフォーマンス

 Alienware M15xの評価機は、Core i7-720QM、GeForce GTX 260Mというグラフィック強化構成。ゲーム向けモデルということで、今回は3Dパフォーマンスを中心にベンチマークを計測した。今回用いたベンチマークは、システム系にPCMark 05、PCMark Vantage、3Dベンチマークに3DMark 06、3DMark Vantage、そのほかゲームテストとしてUnrealTournament3、World in Conflict、FarCry2、THE LAST REMNANT、BIOHAZARD 5とした。

【ベンチマーク結果】
PCMark051,920×1,080ドット
PCMarks7439
CPU6796
Memory7626
Graphics11762
HDD5830
PCMarkVantage1,920×1,080ドット
PCMarks5751
Memories4112
TV and Movies3884
Gaming5688
Music5949
Communications3786
Productivity4568
HDD3523
3DMark063DMark
1280×720ドット12055
1280×1024ドット11157
1600×900ドット10837
1920×1080ドット9639
3DMarkVantageGraphics Score
1280×1024ドット4867
1920×1080ドット2930
UnrealTournament3AverageFPS
1280×720ドット161
1920×1080ドット118
World in ConflictAverageFPS
1280×720ドット(DX9:Medium)79
1280×720ドット(DX10:High)48
1280×720ドット(DX10:Very High)32
1920×1080ドット(DX9:Medium)64
1920×1080ドット(DX10:High)33
FarCry2AverageFPS
1280×720ドット(DX10:High)49.59
1280×720ドット(DX10:VeryHigh)47.71
1280×720ドット(DX10:UltraHigh)40.01
1920×1080ドット(DX10:High)33.29
1920×1080ドット(DX10:VeryHigh)32.13
1920×1080ドット(DX10:UltraHigh)28.49
THE LAST REMNANTAverageFPS
1280×720ドット99.69
1920×1080ドット53.49
BIOHAZARD 5AverageFPS
1280×720ドット 4xAA 画質オプション:高69.9
1920×1080ドット 4xAA 画質オプション:低57.6
1920×1080ドット 4xAA 画質オプション:中47.9
1920×1080ドット 4xAA 画質オプション:高42.2

 ノートブックとはいえCore i7-720QMとGeForce GTX 260Mとの組合せによって、Futuremarkの4つのベンチマークはなかなか良好なスコアを出している。また、ゲームテストで分かったのは、比較的古いタイトルやライトタイトルは1,920×1,080ドットでも楽しめること。比較的新しいタイトルに関しても、画質オプションを変更したり解像度を引き下げることで十分に対応できそうな印象だ。

 これ以上のグラフィックパフォーマンスを望むのであれば、やはりSLIやCrossFireXもサポートするAlienware M17xを選ぶべきだろうが、M15xにはコンパクトさと価格という2つのメリットがある。また、ゲーム以外の目的であっても、Core i7ノートと個性的なデザインを手にすることができる魅力的な製品と言えるだろう。

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(2009年 12月 11日)

[Text by 石川 ひさよし]