山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

アップル「iPad mini」で電子書籍を試す
~7.9型スクエア画面で見開きでも快適な読書が可能



iPad mini

発売中
28,800円~



 アップルの「iPad mini」は、7.9型の薄型軽量タブレットだ。GoogleのNexus 7など人気製品が渦巻く7型タブレットの市場に、ひとまわり大きい画面サイズを引っさげて参入した、注目の新製品である。かつてより噂は絶えなかった製品ではあるものの、タブレットのトップシェアであるiPadの小型版ということで、注目度はひときわ高い。本稿ではこのiPad miniを、電子書籍端末として見た場合の使い勝手を紹介していく。

●とにかく薄く、そして軽い

 まずはハードウェアの特徴を軽くおさらいしておこう。

 iPad miniNexus 7Kindle Fire HD
サイズ(幅×奥行き×高さ)134.7×200×7.2mm120×198.5×10.45mm137×193×10.3mm
重量約308g(Wi-Fiモデル)、約312g(Wi-Fi+Cellularモデル)約340g約395g
OSiOS 6Android 4.1独自(Androidベース)
解像度/画面サイズ768×1,024ドット/7.9型800×1,280ドット/7型800×1,280ドット/7型
ディスプレイカラー液晶カラー液晶カラー液晶
通信方式802.11a/b/g/n802.11b/g/n802.11a/b/g/n
内蔵ストレージ16GB、32GB、64GB16GB、32GB16GB、32GB
メモリカードスロットなしなしなし
バッテリ持続時間(メーカー公称値)10時間(無線LANオン)最長8時間11時間(無線LANオン)
電子書籍対応フォーマットアプリに依存アプリに依存Kindle (AZW3), TXT, PDF, 保護されていないMOBI、PRC、DOC、DOCX、JPEG、GIF、PNG、BMP、HTML5、CSS3
電子書籍ストアiBooks StoreほかGoogle PlayブックスなどKindle Store
価格(2012年11月5日現在)28,800円(Wi-Fi 16GBモデル)、36,800円(Wi-Fi 32GBモデル)、44,800円(Wi-Fi 64GBモデル)
39,800円(Wi-Fi+Cellular 16GBモデル)、47,800円(Wi-Fi+Cellular 32GBモデル)、55,800円(Wi-Fi+Cellular 64GBモデル)
19,800円(16GB)、24,800円(32GB)15,800円(16GB)、19,800円(32GB)
備考 量販店向けの8GBモデルも用意。国内未発売のHSPA+モバイルデータ通信対応モデルも存在する 

 画面サイズは7.9型。最近人気のGoogle Nexus 7などの7型タブレットに比べてひとまわり大きく、またワイドではなく4:3のスクエア比率なので横方向に広い。ただ左右のベゼルの幅が狭いため、画面の広さの割には本体が極端に幅広といった印象がない。

 もともと7型というのは、片手で持って基本的な操作はできるが、少し補助的な操作をする際は両手を使わなくてはいけないサイズである。電子書籍で言うと、本を支えてページをめくるだけなら片手でできるが、特定のページにジャンプしたり、閉じて別の本を表示したりする時は、必ずもう一方の手が必要になるのと同じ。9~10型クラスのように常時両手で持って操作したり、あるいは置いて使うわけではないが、スマートフォンのように常に片手で使えると言うのは無理がある。

 本製品はその7型を上回る7.9型なわけだが、もし本製品のベゼルが広く、それなりに横幅を取っていれば、8.9型タブレット「Optimus Pad L-06C」のように上位の9~10型タブレットにひっくるめられていたかもしれない。しかし本製品はベゼル幅を狭くして7型タブレットの横幅になるべく近づけることで「7型タブレットに比べて横幅が少ししか変わらないのに、画面は圧倒的に広い」というイメージを作り出すことに成功している。なかなか絶妙というか、巧妙であると感じる。

 特に読書端末としての競合になりうるKindle Fire HDは、画面が7型であるにもかかわらず、7.9型である本製品に横幅で負けてしまっている。ワイド比率という事情もあるが、それだけベゼル幅に違いがあることに変わりはなく、解像度の違いはともかくとして、見た目ではかなり不利だ。

下方向から見たところ。見るからに薄い。コネクタはLightningを採用側面やや上から見たところ。エッジの角度など、新しいiPadよりもむしろiPad 2に近い印象左から、iPhone 4S、本製品、iPad
左から、本製品、Nexus 7、Kindle Fire HDNexus 7(手前)と幅を比較したところ。Nexus 7の本体幅と、本製品の画面の横幅がほぼ同等Kindle Fire HD(奥)と幅を比較したところ。高さはKindle Fire HDの方がコンパクトなのだが、横幅はiPad miniの方が狭いという逆転現象が起こっている。ベゼル幅は3倍近くは違う

 さらに、現行の7型タブレットと比較した際に強力な訴求点となるのが、薄さ、そして軽さだ。本体の厚みは約7.2mmで、Nexus 7(約10.45mm)、およびKindle Fire HD(約10.3mm)に比べて圧倒的に薄く、また国産の薄型軽量タブレットとして知られるMEDIAS TAB UL N-08D(約7.9mm。最厚部は約9.9mm)よりも薄い。そればかりか、E Ink端末である6型のKindle Paperwhite(約9.1mm)よりも薄いのだ。初代iPadがiPad 2になった時、その薄さに感動したものだが、それを超えるカルチャーショックがある。

他端末との厚み比較その1。いずれも左側が本製品。上から、iPhone 4S、iPad(第3世代)、初代iPad。中でも初代iPad(厚み13.4mm)と比較すると、その薄さがよく分かる他端末との厚み比較その2。上から、Nexus 7、Kindle Fire HD、Kindle Paperwhite。ちなみにいま国内で現行製品として販売されているE Ink端末で、本製品よりも薄い製品は存在しない

 さらに、その重量は約308g(Wi-Fi+Cellularモデルは約312g)。Nexus 7の約340gでも十分軽い印象だったのが、一気に下回ってきた感がある。かつてのKindle 2が約289.2gだったので、E Ink端末の軽さに追いついてきた格好だ。画面サイズはこちらの方が2型分近く大きいことを考えると、驚異的と言っていいだろう。

 唯一といっていいネックは、画面の解像度だ。いわゆるRetina解像度ではなく、標準的な768×1,024ドットということで、iPhone 4以降および第3世代のiPadに慣れてしまっていると、高精細な文字などの表示では、やはり解像度不足を感じてしまう。ホーム画面やアイコン類は最適化されているせいかあまり気にならないのだが、スキャンしたドキュメントを表示するなどするとやはり顕著だ。

 それでもピクセル密度はiPad 2などに比べると高いので、トータルでは十分魅力のある製品ということになるのだが、解像度がまったく気にならない、と言うのは言い過ぎのように思える。もっとも、本製品がもしRetinaを採用していれば、競合他社は(価格は別にして)太刀打ちできる余地がほとんどなかったはずで、今後の他社の巻き返しが楽しみではある。「Retinaだったらよかったのに」というのはまったくその通りだが、次世代のiPad miniに向けて楽しみができたと考えておくくらいの方がよいかもしれない。

PFUのドキュメントスキャナ「ScanSnap S1500」を用い、グレーモードでスキャンした本のページを表示したところ(最低限の補正は施している)。上段が第3世代のiPad、下段がiPad miniで、左から順に150/200/300dpi。第3世代のiPadは150→200→300dpiと上がるにつれて明らかに高精細になっていくが、ピクセル密度が高くないiPad miniではそれほどの違いは見受けられない。同じ300dpiで第3世代のiPad(上)とiPad mini(下)を比較するとその差は歴然

●日本語コンテンツ「坊っちゃん」を用いてiBooks Storeを試す

 前置きが長くなったが、電子書籍端末としての使い勝手について見て行こう。

ひっそりと掲載されている「坊っちゃん」。ちなみに公開日とされている1992年1月20日は青空文庫の底本となった「ちくま日本文学全集版」の発行日

 ご存知の通り、アップルの電子書籍ストア「iBooks Store」はいまだ日本語コンテンツが皆無に等しいわけだが、最近になって、いよいよ日本語コンテンツ投入かと思わせる動きが見え隠れしている。具体的には、iBooks Storeの無料コンテンツとして、夏目漱石「坊っちゃん」が10月下旬に追加されたことだ。

 この坊っちゃんは、iBooksでの縦書きに対応するほか、右綴じでの見開き表示もサポートしている。今回はこれを用いて、iBooks Storeにおける日本語コンテンツの表示についてチェックしていく。

 本棚に並ぶアイコンをタップすれば、ページが表示される。見た目はこれまでiBooksに収められていた英語コンテンツと大差なく、ページ上段には左にライブラリおよび目次へのリンク、中央にタイトル、右にフォントサイズなどの調整メニューと検索/ジャンプ機能、しおり機能がある。ページ下段には既読位置を示すバーと、数字によるページ表示がある。これまでと違うのは縦書きかつ右綴じ表示になっていることくらいだ。

 画面をタップするとこれら上下段のメニューの大部分が消え、上段はタイトルだけ、下段はページ表示だけというシンプルな画面表示になる。本をモチーフにした上下左右の装飾がわずらわしければ、フォント関連のメニューから「テーマ」→「フルスクリーン」を選択して装飾を消し、全画面表示に切り替えることができる。

ダウンロードすると本棚に表示されるので、タップして開く開いたところ。右綴じになっている。タップもしくはフリックでページをめくる本文。縦書きになっており、ルビや禁則処理もざっと見た限りでは正確
画面中央をタップすると上下のメニューの多くが非表示になり、読書に没頭しやすくなる。もっともこの状態では上下左右の本を模した装飾はそのまま左上のメニューからは目次のほか、ブックマークやメモが呼び出せるフォント関連のメニュー。サイズの大小のほか、フォントそのものを変更できる。ヒラギノ角ゴと明朝がプリインストールされており、その他3種類のフォントはダウンロードできるようになっている
テーマを「フルスクリーン」にすると上下左右の本を模した装飾が消える。シンプルに使いたければこちらの設定がよいだろう。背景色は白のほかセピア、黒が選べるテーマを「スクロール」にするとページ単位で上下にスクロールする。これはさすがに縦書きコンテンツに適用すべきメニューとは違うだろう

 機能や操作性も申し分なく、フォントの種類やサイズを変えたり、背景色を白から薄い茶色に変えたりと、さまざまなカスタマイズが施せる。ページ間の移動も容易で、しおりもワンタップで付けられる。辞書連携やハイライト、メモ、検索といった機能もあるほか、目立たないがソーシャル共有の機能もあり、一般的な読書アプリと比べても遜色ない。あとはとにかく日本語のコンテンツを用意するだけ、といったところだろう。これからの展開に大いに期待したい。

色を指定して本文にマーカーなどを付けることができる。傍線を引ける機能は珍しいマーカーを付けた箇所にメモを書き込むことができるソーシャルに投稿したり、メールで送ることが可能
範囲選択をして、辞書検索やハイライト、メモ、検索、共有などができる。前述のマーカー機能とよく似ているが別物。範囲選択の操作性も良好だ辞書検索したところ。日本語辞書にも対応している。Wikipediaと連携した検索も可能本を読み終えると評価やレビューの投稿ができる。このあたりの仕組みはKindleなどに通ずるところがある

 ところで、今回試用して感じたのは、本製品を用いてのテキストコンテンツの見開き表示は、非常に実用的だということだ。7型タブレットは基本的にワイド比率であるため、横向きにして見開き表示にしても、正方形が横に並んだようになってしまい、かなり不恰好だ。その点、スクエア比率の本製品を横向きにして見開き表示にすると、文庫本より二回りほど小さいものの、本のページと近い縦横比で可読性も高く、また端末自体が軽いので持っていて違和感がない。見開き表示にこだわりたいが、9~10型のタブレットは重すぎると悩んでいる人は、ぜひ試してみてほしい。

見開き表示にしたところ。縦横比など、実際の文庫本の雰囲気をよく再現できており、文字も見やすい見開き表示の状態で実際に手に持ってみたところ。文庫本より二回りほど小さいが、文字サイズを調整すれば、見開きでも快適に読める。ただし漫画コンテンツなどでは、やや小さく感じられるかもしれない

●iPadの読書アプリがそのまま利用可能。自炊にも向く

 続いて、iBooks Store以外の主要な電子書籍ストアについて見ていこう。といっても「iPad向けのアプリは全部使える」とアップルが公言するだけのことはあって、どのアプリについても、インストールできない、起動しないといった根本的な問題は、今回試用した限りでは見られなかった。

 今回試したストアの具体名をざっと挙げると、Kindle、BookLive!、紀伊國屋書店BookWeb、GALAPAGOS、Google Playブックス、ニコニコ書籍、BookWalker、honto。このうち、表示においてめずらしく不具合らしい不具合が出たのがGoogle Playブックスで、画面の縦横比が狂い、横につぶれた状態で表示された。元々ワイド解像度を前提に設計してあったのが、スクエア比率の画面に表示されたことで、横に引き伸ばされてしまった格好だ。

Google Playブックスでは横に引き伸ばされて表示される。実はiPadでも同じ問題があるのだが、解消されないまま現在に至っているこのほか、Kindleではハイフンの向きがおかしかったり、縦書きの中で2桁の数字を横組みにする「縦中横」が正しくないケースが見られた。ちなみにこれらは専用端末のKindle Paperwhiteではきちんと表示できた

 自炊データについては、スクエア比率ということもあり、極めて快適に読める。冒頭でも述べたように7型でワイド比率だと横幅がかなり狭く、しかも上下に余白ができてしまうが、7.9型でスクエア比率というのは、それより一回りどころか二回りは大きく見える。カードスロットが使えない問題は別にして、自炊データのビューアとしては極めて適した端末だと言えるだろう。ただし解像度が高いわけではないので、スキャン設定を300dpiにしても、あまりキレイに見えない。

 ちなみに本製品の特徴の1つに、左右のベゼル部に触れた際、タップしたのか、うっかり触れただけなのかを判断してくれる機能がある。片手で端末を持って読書していると、親指あるいは親指の付け根が画面に触れてしまい、あらぬ動きが発生しがちだが、それが起こりにくくなっているというわけだ。今回試用した限りでははっきりとした違いは分からなかったが、たしかに誤動作めいた症状はなかったので、これらの機能の恩恵なのかもしれない。

7.9型ということで、全画面表示すれば単行本がおおむね原寸で表示できるこの持ち方のように、親指の付け根が画面にあたってしまう場合でも、これをタッチと認識しないインテリジェントな機能を実装している

●現段階で十分に「買い」。ストアの同時利用可能台数には注意

 以上ざっと見てきたが、iBooks Storeが日本語に本格対応していない現状でも、電子書籍端末としてはかなり“使える”製品であることが分かる。電子書籍を楽しむにあたって、解像度はかなり重要な要素であるにもかかわらず、軽さや薄さによる取り回しのよさ、画面サイズ、そしてスクエア比率による使い勝手の良さが、解像度の低さによるマイナスを上回っている格好だ。

 おそらくRetinaに対応してくるであろう次期モデルを待つという手もあるが、トータルの汎用性を考慮すると、現段階で十分に「買い」だろう。すでに購入済みという人は、ブラウジングなどさまざまなアプリに加えて、ぜひ電子書籍アプリを試してみてほしい。これまでとは違う使い勝手を体感できるはずだ。

 ところでiPad miniとは直接関係ないのだが、今回試用していて、わずらわしい思いをした点が1つあるので、最後に書き残しておきたい。それは電子書籍ストアが設けている、端末の台数制限についてだ。

 一般的な電子書籍ストアでは、1つのアカウントに登録できる台数になんらかの縛りを設けていることが多い。特に国内のストアでは、特定の出版社の意向とみられる台数(3台ないしは5台など)に制限されているケースが複数ある。それを超えて端末を登録しようとするとエラーが出て弾かれ、先に登録されている端末を解除しない限り、使えない状態になってしまうわけだ。

台数上限を示すアラートの例。もちろん先に1台の登録を解除して新規登録すればよいのだが、事業者によっては1年間で解除できる台数の上限を定めているケースまであり、もうその時点でやる気をなくしてしまいがち

 しかも端末の登録解除は、ウェブ上からワンクリックでできるとは限らず、該当の端末から行なうことを必須としている場合も多い。つまりうっかり解除し忘れたまま端末を買い替えて手放してしまったら、永遠にその1台分が同期可能台数からマイナスになるわけだ(もちろんサポートに連絡して事情を説明した上で解除してもらう方法はあるが)。

 さて、今回のiPad miniはその製品特性上、すでにiPhoneやiPadを持っているユーザが購入して3台を並用するケースも少なくないと思われるが、この時点ですでに一部ストアの制限ギリギリの台数であり、ほかに1台でも別の端末に登録していると、もうお手上げになってしまう。専用端末ならいざ知らず、iPad miniのようにさまざまな電子書籍ストアが使える端末であれば、これはかなり致命的だ。これまでに購入した本の数が少なければ、利用をやめてしまうことも有りうるだろう。

 その点で秀逸なのは、先日サービスインしたばかりのKindleストアだ。Kindleは登録できる台数は無制限、その代わりに1つのコンテンツをダウンロードできる台数に制限がある(標準では6台)。端末ではなくコンテンツの側に制限をかけているので、端末の登録そのものが弾かれることはない。前述のように登録可能台数を制限する理由は、コンテンツが多数コピーされることで端末自体を回し読みされるフリーライド行為を懸念していると思われるが、このKindle方式であればコンテンツをダウンロードしようとした時点で上限エラーが出るだけだ。きわめて合理的な仕組みだと言える。

 しかもこのKindle方式は、上限台数の制限は出版社によって決定されるとのことなので、標準の6台が多すぎると考える出版社は上限3台にするなど、柔軟に対応できる。すでにiPhoneやiPadを持っているユーザーが本製品を新たに購入し、3台を並行して使う場合も、台数制限を気にしなくて済むというわけだ。新たにログインしようとして弾かれた場合、ユーザIDやパスワードが間違っているのか、それとも台数上限に達していて登録自体が受け付けられないのか、判断がつかずに困ることもない。

Kindleのサイトには「ひとつのコンテンツをダウンロードできる端末数は、出版社によって決定されます。通常、最大6台の端末にダウンロードできます」とあるGoogle Playの書籍におけるユーザーポリシーでは「一度に特定の書籍をダウンロードできるモバイルリーダーの台数を制限したり、コンテンツにつき同時に読み込み可能な件数を制限したりする出版社があります」とある

 従来であれば、1人で3台を超える端末を使うのかと問われると、確かにそれはレアケースだったに違いない。しかし今回のiPad miniの登場により、3台の並行利用というのは十分に起こりうるパターンになった。iPad miniでなくとも、従来のスマートフォンやタブレットとは異なるセグメントとして扱われる7型クラスのタブレットは、従来空白だったセグメントを埋める製品であり、筆者の周りでこれらを購入しているユーザも、すでに何らかのタブレットを使っている環境への買い足しであるケースがほとんどだ。

 こうした状況に国内ストアが対応できているかと言われると、現状では多くのストアが全くといっていいほど対応できていないのが実情であり、国内では後発にあたるKindleやGoogle Playブックスの後塵を拝する格好になっている。ひょっとするとこうした使い勝手が、電子書籍ストアが生き残る決め手になるかもしれないと、今回のレビューを通じて感じさせられた。遅くともこの1年程度のうちに、各社ともなんらかの対応を迫られることになるのではないだろうか。