|
GeForce FXは、2003年1月に1ラインナップのみで登場
|
12月6日 発表
NVIDIAは6日、最新GPU「GeForce FX」の製品発表説明会を開催。その中でNVIDIA日本支社支社長の東正次氏はGeForce FX搭載カードは2003年の1月中に製品版が発売される見通しであることを明らかにした。
NVIDIA日本支社支社長の東正次氏 |
東氏によれば、当面のラインナップはコアクロック500MHz、メモリクロック1GHz(DDR II)の1機種のみという。価格については、「ボードメーカーが決定する」として明言を避けた。
GeForce FXは膨大な発熱を処理するため、「FXFlow」と呼ばれる大型の冷却機構を搭載。そのため、ケース収納時にAGPと隣接するPCIスロットも占有するという、コンシューマ向け製品としては異例の構成を採用している。
しかしながら、同社ハイエンドGPU担当シニア・プロダクト・マネージャのGeoff Ballew氏は、「将来的には小型の冷却機構を搭載しAGPスロットのみで利用可能なモデルもリリースする」とコメントし、低発熱/低クロック版の登場を示唆した。
「FXFlow」という巨大な冷却機構を搭載するGeForce FX。そのためAGPに加え隣接するPCIスロットまで占有する | FXFlowを外したボード。右上の白いコネクタは外部電源用 |
●高いパフォーマンスとプログラマビリティでシネマクオリティを追求
ハイエンドGPU担当シニア・プロダクト・マネージャのGeoff Ballew氏 |
本日行なわれた説明会は、18日(現地時間)にCOMDEX会場で行なわれたGeForce FX発表会のフォローアップとなるもの。主立った内容は共通だったが、上述の通り具体的な製品リリース時期など情報のアップデートも行なわれた。
GeForce FXは、1億2,500万トランジスタを内蔵したDirectX 9完全対応のGPU。0.13μmの銅配線、DDR IIなど様々な最新技術を搭載しており、パフォーマンスはGeForce4 Ti4600の2~3倍に達するという。
製品のプレゼンテーションを行なったBallew氏は、パフォーマンスもさることながら、GeForce FXでは、これまでオフラインでレンダリングされていた映画レベルのグラフィックがリアルタイムで描画できるようになることを終始強調した。
デモでは、車が時間とともに朽ち果てていくもの、滑らかかつ物理的にリアルな動きをするジャケットをまとった巨人のダンス、髪の毛に至るまで緻密にモデリングされた妖精が歩き回るもの、の3つがデモされた。
スライダーをスライドさせて、時間を進めると、みるみる車が朽ち果てていくデモ | ||
プログラマブルシェーダーにより、肌の質感をリアルタイムで変えられる | ||
同じくプログラマブルシェーダーでキャラクターの表情も簡単に変えることができる(写真左/中)。パフォーマンスの向上により微妙な肌の質感なども再現可能 |
いずれのデモも非常にポリゴン数が多く、一見しただけでGeForce FXのパフォーマンスの高さを伺わせる。だがBallew氏によれば、ここで着目すべきは柔軟な同GPUのプログラマビリティだという。
GeForce FXではバーテックス/ピクセルいずれのシェーダーもプログラムによって開発者が自由にパラメータを設定したり、特殊効果を作り出せる。
これらによって、映画レベルのクオリティを達成するだけでなく、リアルタイム3Dグラフィックで感情まで表現可能になり、ひいては新たなマーケットを創出するとした。
プログラム作業は、C言語に似た同社独自のグラフィック言語「Cg」を用いて行なう。Cgによって、開発者はアセンブラによる作業が不要となり、開発効率が高まるほか、異なるプラットフォームへの移植も簡単になるという。
●熱管理システム「FXFlow」
GeForce FXは0.13μm銅配線技術により、シリコンの小型化や低電圧化を実現したが、それでも発熱量は非常に大きく、AGPスロットに隣接するPCIスロットを占有するほどの空冷機構を搭載している。
同社が「FXFlow」と呼ぶ熱管理システムは、GPUの稼働状況を検知してファンの回転数を制御する。また、GPUの負荷が低い場合はコアクロックも自動的に引き下げられる。見た目が仰々しいために、ファンによる騒音が心配されるが、同社ではFXFlowにより、必要以上の発熱や騒音が発生するのを抑えられるとしている。
また、ボード上のダクトは、PCIブラケット部から外気を取り込み、そのままブラケット部からケース外に排出する。ヒートシンクはメモリも覆っており、カード上で発生する熱は、ケース内に漏れることなく全て外部に送り出されるという。
ちなみに、同GPU搭載カードは外部電源を必要とし、HDDなどに使われるのと同じ外部電源コネクタを搭載する。万一外部電源を接続しないで電源を入れた場合は、接続を促すメッセージが表示されるようになっているという。
●FINAL FANTASY XIなど実ゲームのデモも公開
続いて、ゲームによるデモも行なわれ、実際のアプリケーション上でのパフォーマンスや表現力の高さをアピールした。
「GUN METAL」はXboxですでに発売されているゲーム。PC版では解像度が高くなったほか、Xboxではできなかったキャラクターへの写り込みや反射などを実現した。
同社GPUは「FINAL FANTASY XI for Windows」の唯一の認定GPUとなるなど、NVIDIAとスクウェアは親密な協力関係にある。会場ではFINAL FANTASY XIのデモが行なわれたのだが、登場したプレイヤーキャラクターは今回のデモ専用に用意されたものという。こちらも高解像度でプレイステーション 2を上回る滑らかさで動いていた。
●今後はGPU+MCPでホームネットワーク化を実現
今後のGPUの方向性について、Ballew氏は具体的な技術などについての明言は避けたものの、シネマティック・コンピューティングへの進化がますます進むだろうとコメントした。
また、東氏は同社の今後の全体的な取り組みについて、現時点ではPC用のGPU、そしてXbox、と異なる分野で同社製品が採用されているが、ネットワーク機能を内蔵したMCP(サウスブリッジ)によって、それらの別々のデバイスを接続し、ホームネットワーク化を実現していくとの方針を明らかにした。
□NVIDIAのホームページ(英文)
http://www.nvidia.com/
□製品情報(英文)
http://www.nvidia.com/view.asp?PAGE=geforcefx
□関連記事
【11月20日】【海外】ついにベールを脱いだNVIDIAの次世代GPU「GeForce FX(NV30)」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1120/kaigai01.htm
【11月19日】【COMDEX】NVIDIAが次世代GPUのNV30をGeForce FXとして正式発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1119/comdex04.htm
(2002年12月6日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]
|