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マイクロソフト、Windows Media 9日本語ベータを公開
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ニューメディア&デジタルデバイス本部マーケティング部部長 御代茂樹氏 |
12月3日公開
マイクロソフト株式会社は3日、報道関係者向けのセミナーを開催し、その中で同社の次世代デジタルメディアプラットフォーム「Windows Media 9」の日本語ベータ版を公開した。
セミナーではまず、同社ニューメディア&デジタルデバイス本部マーケティング部の御代茂樹部長が挨拶し、「ブロードバンド人口は今年中に700万人を超える。IP電話などさまざまなものに活用され始めているが、Webコミュニケーションを変えていくというのが、その大きなポイントだ。また、ハードウェア性能の向上によって、従来では難しかった3Mbpsや4Mbpsの動画配信も可能になっている」と、現在のブロードバンド環境について語った。
また、「米国ではPDPも昨年の6倍という勢いで売れている。現在ではそういった機材を利用したホームシアターがブームであり、それらのシステムに見合った高画質な映像を配信する技術が必要になってきた。また、5.1chオーディオの要望も強く、今回のWindows Mediaでは、そのストリーミング配信が可能になっている」などとも語り、Windows Media 9の有効性についても説明した。
今回のセミナーでは、初めてWindows Media 9の日本語ベータ版が公開され、ほとんどのデモはこのベータ版を用いて実施された。
5.1ch対応の高精細動画配信サービスのシステム概要 | 初公開されたWindows Media 9日本語版 | 同じく初公開となったWindowsムービーメーカー2日本語版 |
Windows Media 9は、バンド幅の減少による画質劣化の軽減や、高速な配信レスポンスで、すばやく簡単に映像を見られること、6Mbpsのビットレート、5.1chオーディオでのストリーミング配信がその特徴として上げられる。これらを実現することで、ホームシアターなどでの視聴にも十分耐える映像が配信できるという。
また、2003年3月から、日本初の「5.1chに対応した高精細動画像ライブ配信サービス」を、株式会社Jストリーム、日本ヒューレットパッカード(HP)との協業により開始することを発表した。5.1chオーディオに対応した映像をリアルタイムでエンコード、ストリーミング配信するサービスで、当初は3Mbpsでの配信となるが、将来的には6Mbpsでの配信も可能になるという。
各社の役割は、Jストリームがサービスの販売・提供、マイクロソフトがWindows .NET Server 2003、Windows Mediaなど配信ソフトの技術サポート、日本HPはライブエンコード用マシンとして「hp workstation x4000」や配信サーバーとして「hp ProLiant」など、ハードウェアの提供や技術サポートを担当する。
そのほか、Windows Media 9では、会員制メディアサービスとして、「プレミアサービス」が実施される。音楽や映画を会員向けに有料で配信するサービスで、米国ではすでに「PressPlay」、「FullAudio」、「CinemaNow」、「Intertainer」らのコンテンツプロバイダがベータテスター向けにサービスを開始している。ただし、これらのサービスは米国内限定のもので、日本国内向けのサービスについては、別途用意されるという。
Windows Media 9の発表と同時に、Windows XPに付属しているビデオ編集ソフト「Windowsムービーメーカー」も強化され、「Windowsムービーメーカー2」として提供されることも明らかにされた。
会場では、5.1ch対応ライブ配信サービスのシステムを実際に設置し、ライブストリーミング配信のデモも行なわれた。
デモは、12月4日より報道関係者およびパートナー各社向けに公開予定のコンセプトルーム「Microsoft eXPerience Room」内で実施された。eXPerience Roomは、マイクロソフトが提供する製品を中心としたライフスタイルのモデルルームとなっており、Windows Media 9のコンテンツ再生を始め、Smart DisplayやTablet PCなどが設置され、実際に体験できる。
デモでは、ゴスペルボーカルユニットの「Remedy」や、ギタリストの渡辺香津美氏らがそれぞれ3曲ずつ生演奏し、その様子がリアルタイムにエンコードされ、ライブストリーミング配信される様子が実演された。
なお、ライブエンコードに利用されたマシンは、Xeon 2.8GHzをデュアルで搭載したhp workstation x4000。
残念ながら、デモは順調に実施されたとは言い難く、当初は映像のみが配信され、音声が鳴らないというトラブルに見舞われた。また、実際に配信された映像は非常にクオリティの高いものであったが、6Mbpsの配信では時折コマ落ちするなど、若干不安定な面もみられた。今後製品版の開発が進むことによって安定することを期待したい。
セミナー終了後の質疑応答では、Windows Media 9のリリース時期について質問がされたが、「今年中のリリースは難しい。来年早々のスケジュールとなる」と説明された。日本語版については、英語版の公開後のスケジュールになるという。
また、日本でのプレミアサービスについては、「リリース時には4つほどのコンテンツプロバイダがサービスを提供する予定で、その後も増えていくだろう」と説明した。
ゴスペルボーカルユニット「Remedy」のスタジオ収録風景 | ミキシングルーム。ここでエンコード作業が行なわれる | Remedyのライブセッションは3Mbpsのビットレートで配信された。残念ながらデモ環境が不調だったため実際に歌が配信されたのは最後の曲のみ |
渡辺香津美氏の演奏は、6Mbpsのビットレートで配信された。時折コマ落ちが見受けられたが、映像や音声自体のクオリティは高い |
eXPerience Roomでは、Tablet PCやSmart Displaysなどを実際に利用する環境を再現して展示している。写真はキッチンに置かれたNECのSmart Displays端末 | オフィス環境でTablet PCを利用するケースを想定したもの | SOHO環境での利用イメージ。展示されている機材はすべて実際に動作するもの |
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/releases02/120302wm9.asp
□関連記事
【9月5日】Microsoft、Windows Media Player 9のβ版を公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0905/ms.htm
【6月6日】マイクロソフト、次期Windows Media「Corona」の詳細を発表
~画質/音質の大幅向上、即時/常時配信など新機能
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0606/ms.htm
(2002年12月3日)
[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]
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