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2万9,980円てマジ!ルーキー絵師におすすめな最強コスパ液タブ。プロ漫画家も仕事に使えるほどとは……

~XPPen「Artist 12 3rd」でプロにイラストを描いてもらった結果

XPPenの新型液タブ「Artist 12 3rd」。価格は2万9,980円と超安い。11.9型のフルHD(1,920×1,080ドット)液晶にダイヤル2つ、ファンクションボタン8個を装備。スタイラスペンは新開発のX4スマートチップ搭載で筆圧分解能1万6,384段階、傾きも検知する

 これからpixivデビューを目指す絵師ルーキー、すでにコミケにサークル参戦し“お誕生日席”を目指すクリエイターの悩みと言えば、通称“液タブ”と呼ばれる「液晶ペンタブレット」だ(最近は有機ELのもあるけど)。

 液タブは定番的なものだと10万円以上するだけでなく、画面を拡大・縮小したり、各種ツールを割り当てるのに必須の「左手デバイス」が別売なので、かなりお金がかかってしまう。

 しかし、そんな高価な液タブを価格崩壊させたのがXPPenだ。これまででは考えられなかった価格帯で、プロ用途でも通用する液タブを投入している。そして今回XPPenの最新モデル「Artist 12 3rd」が登場した。 Artist 12 3rdは液タブ本体にダイヤルやファンクションボタンが付いているので、実質左手デバイス込み。それでいて2万9,980円という破格値なのである。

 この価格なら、いきなり液タブで絵を描き始めてもいいし、とりあえずデジタル作画環境を導入したいという人にもピッタリだ。

  でも怪しいぞ!この安さには裏があるのでは!? ということで、TVアニメ化もされた「宇宙人ムームー」の原作者である、漫画家の宮下裕樹先生にプロ目線からどこまで使えるかを、忖度なしでガチ検証してもらった。

漫画家の宮下裕樹先生に検証依頼!
少年画報社から刊行されている「宇宙人ムームー」。文明を失ったネコ?ムームーが、地球人の女の子と家電の知識を学びながら、テクノロジ復興の道を探る!? 毎月30日発売のヤングキングアワーズにて連載中。コミックス1~9巻まで好評発売中
©「宇宙人ムームー」宮下裕樹/少年画報社

セットアップは簡単!アマからプロまで使えるアプリ群に対応

 Artist 12 3rdのパッケージに同梱されているものは、以下の写真の通り。

Artist 12 3rdの同梱物一式
Artist 12 3rd(液タブ本体)、X4スマートチップペン、USB Type-C ⇔ HDMI,USB3in1ケーブル、USB Type-C ⇔ USB Type-C(Thunderbolt対応)ケーブル、折り畳み式スタンド、標準替え芯10本、フェルト替え芯5本、芯抜き、2本指グローブ、クリーニングクロス、マニュアルなど
Artist 12 3rdの本体
本体の左側にある操作系。ダイヤルとボタンがある
USB Type-Cのインターフェイスなど
X4スマートチップを内蔵するスタイラスペン
折りたたみ式のスタンド

 OSはWindows、macOS、Android、ChromeOS、Linuxにまで対応しているので、ノートPC、デスクトップPC、スマホまで、ほとんどのデバイスで使える。

 セットアップは簡単だ。PCがUSB Type-Cで映像出力できるDisplayPort Alt Mode対応のコネクタであれば、付属のUSB Type-Cケーブルを1本接続するだけ。映像信号も液タブの情報も電源もすべてケーブル1本で賄える。

USB Type-Cケーブル1本で
最近のノートPCとかなら、DisplayPort Alt Modeに対応したUSB Type-Cコネクタを備えているので、その場合はケーブル1本で済んでラク。液タブ側のUSBコネクタはL字なので、持って使ったときにも邪魔にならない

 一方で、デスクトップPCであるとか、USB Type-Cから映像出力ができなくても大丈夫。付属の3in1ケーブルを使い、USB Type-Cコネクタを液タブ本体に接続、HDMIケーブルをPCに接続、残り2本のUSB Type-AケーブルもPCに接続すればOKだ。

HDMIでの画面出力も可能
PCのUSB Type-Cが映像出力できないコネクタの場合でも、HDMIとUSB Type-Cが2本からなる3in1ケーブルでスッキリと接続できる。コネクタは右側にあり、ケーブルが手に引っかかることもない

 ドライバはXPPenのホームページからダウンロードしてインストール。すんなりArtist 12 3rdを認識してくれる。

 対応するアプリは、CLIP STUDIO PAINT(通称クリスタ)、Photoshop、Illustratorなど。これらは絵師にド定番のアプリなので使えて当たり前と言ってもいいだろう。ほかにも昔からのユーザーの多いSAI、CorelDRAWから、フリーウェアのGIMP、Krita、MediBang、FireAlpacaなどでも利用できる。

 また、アニメ制作ツールのToon Boom、Maya、背景のパースを合わせるのに便利なBlender3Dなどにも対応している。ペイント系でもドロー系でも、アニメーション制作ツールでもOKというわけだ。

 なお、漫画家の宮下先生がArtist 12 3rdを使ったファーストインプレッションは「これでいいじゃん!」だ。

宮下先生の作業場にお邪魔した
宮下先生のいつもの作画環境に「Artist 12 3rd」を置いてもらった。関係ないけど奥の献本用の段ボールとか漫画家のリアルな生活感がすごい

宮下先生 僕はフルデジタル環境で月刊サンデーの『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』と月刊ヤングキングアワーズの『宇宙人ムームー』を連載しているのですが、いつもはクリスタと定番の16型4K液タブ(18万円くらい)を使っています。

 しかし、今回の企画のためにArtist 12 3rdに変えて作業をしてみました。フルHDで11.9型なのでいつもの液タブより画面が小さく、分解能が4K→フルHDになったという点を除いて、今使っているものと遜色ない点にビックリです。

 マンガ原稿も全然イケますし、カラー原稿もゼロから描いてみたのですが、これで2万9,980円ってホントか!?って疑いたくなります。

お値段控えめの液タブだけどプロ用途でも通用
宮下先生も驚きの2万9,980円という価格。でも問題なく絵を描けるとのこと

 月刊誌の連載を2本抱える宮下先生も、パフォーマンスの高さと、破格値に驚きを隠せない様子だった。実際の操作環境などについても詳しく聞いていく。

一体化された左手デバイスが快適

 Artist 12 3rdは、基本的にダイヤルやファンクションが左側に来る右利き用になっている。しかし付属の設定ソフトで左右反転できるので、左利き用の右側にダイヤルとファンクションにもできる。また縦位置で作画することも可能だ。

左利きの人も問題なく使える
XPPenのアプリで画面を180度回転すれば……
本体のロゴは反対向きになるけど、左利きの人もダイヤルやスイッチ類を使用できる

 ダイヤルは2つあるので回転と拡縮用に使い、8個あるファンクションはペンの切り替えや新規レイヤーの追加など、付属ツールでショートカットを登録できる。

 宮下先生は、3万円を切る液タブ本体に最初からダイヤルがついてるなんて!と、驚きを隠せない。

左手の操作系が本当に便利
左手のボタン類を使いながらに作画する宮下先生

宮下先生 ダイヤルやファンクションボタンの付いた左手デバイスは高機能なものなら別売で1万円以上しますよ。それが本体に付いてるんだから液タブ本体は1万円そこそこなの?って……。

 普段は液タブと分離された左手デバイスを使っているんですが、本体に付いてても違和感なく使えます。特にダイヤルは金属製で適度なカチカチというクリック感があるので使いやすいです。

 僕は左手デバイスから手を放したくない質なんで、手の移動が必要な上側のファンクションより、下側によく使う機能を集中させました。

ショートカットを設定
宮下先生のクリスタを使う場合のショートカットの設定。ここで設定すれば、Artist 12 3rdの左側にあるダイヤルやボタンに割り当てられる

筆圧1万6,384段階で遅延・グラつきなしのスタイラスペン

 液タブの使い心地を左右するペンは、新開発されたX4スマートチップ内蔵のスタイラスペン。2つのボタンがあり、好きな機能を割り当てられる。

 筆圧ももちろん変更可能で、自分好みの力加減と線の強弱を適用できる。筆圧の分解能は1万6,384段階もあるので、筆圧の振り切りが発生することはほとんどないという。また、ペンを傾斜させてマジックや筆のように線をより太くすることなども可能だ。

 なお、付属のペンは反対側にすると消しゴムツールになるといった機能はなく、ペンのボタンに登録する必要がある。

ペンの傾き検知も優秀
立てたり寝かせたりとペンを傾けてもしっかりと認識

 宮下先生は、力の入り抜きをしっかり線に反映できる点と電池不要のペンが便利という。

宮下先生 僕は筆圧が強いので、筆圧カーブをこんな曲線にしてあります。筆圧の分解能も高いので、髪の毛を描くときの力の入り抜きをシッカリ表現できます。連続線の輪郭なども力の入れ方ひとつで、線の細太が付けられるのでGペン感覚です。設定を変えれば硬く均一の太さのボールペン感覚にもできます。

筆圧カーブを自在に調整
設定アプリから好みに応じた筆圧カーブの調整が行なえる

 あと電池が不要なので、電池切れで充電のために作業が中断されないってのもイイ。紙から液タブに乗り換えた人で、ペンの滑りが良すぎるという場合は、紙と同じような描き心地になる貼り付けフィルムがあるのでおすすめです。といっても、フィルムはペン先の減りが激しいんで一長一短なんですが……。標準芯以外にフェルトの芯も添付されているので、好みや作風で使い分けるといいと思います。

 さらに芯がしっかりして安定した書き心地と評価する。

宮下先生 ペンによっては液タブに触れると少し沈むものがあるんですが、実際のペンにはない反応なので僕は気になるんです。でもコイツはまったく沈まないし、ペン先もしっかりブレないんで、紙に描くのと同じ感覚で書きやすい。それとペンが磁石で液タブにくっ付けられるんです。これ細かなことだけど、すごく便利です。

マグネットでペンを固定
液タブの上部にはマグネットでペンを固定するギミックが

実際にカラー原稿を描いて“本当”に使えるかを見極める!

 宮下先生には検証の一環として、「宇宙人ムームー」のカラー原稿をArtist 12 3rdで描いてもらった。

描き下ろしイラスト
今回の企画のために宮下先生が描いてくれたイラスト。普段は肌の露出が多いものを描かないとのことだが、PC Watchの編集担当の「とにかく女の子を描いて」という要望を尊重しつつ、サービスしてくれたようだ
©「宇宙人ムームー」宮下裕樹/少年画報社

 宮下先生の話では、Artist 12 3rdの画面は視野角が広く、どこから見ても色が変わりにくいのがいい!という。

宮下先生 Artist 12 3rdは視野角が広く、見る角度によって色が変わりにくいので描きやすいですよ。画面は非光沢(アンチグレア)になっているので、部屋の照明の映り込みも気になりません。

 ただ、iPadやスマホの光沢(グレア)画面を見慣れていると、色が淡いって感じるかもしれないなぁ。印刷物の色を画面でも確認したい場合は、メインのモニターにプレビューを映して確認するといいと思います。僕はそれほど色味に関しては気にしないので問題ないですけど。なにせRGBで作業して、入稿データをそのままCMYKに変換して入稿しちゃいますから(笑)。

※【CMYK変換】印刷所に入稿するデータは、インクで出せる色空間のCMYK(Cシアン(水色)、Mマゼンタ(赤紫)、Y黄色、K黒)データに変換する。色にこだわる原稿の場合は作業中からCMYKにする人もいる。

頭を動かしても画面が見やすい
デッサン人形や資料を見ながらの場合に、視野角が広いと作業しやすいという

 書き味について聞いてみると、遅延も視差(ペン先と液タブのカーソルの誤差)もなくストレスなく描けるとのこと。

宮下先生 すばやく〇を描いても、しっかりついてきます。遅延も感じないし、線がカクカクになるなんてこともない。力の入り抜きをしながら、線を払ってもキレイな曲線で太さもシッカリ再現してくれるのでビックリです。ペン先で狙った液タブの位置に線が描けるので、はみ出しもなく、閉領域もストレスなく作業できますよ。

ラフから主線を拾っているところ

 普段は4Kの16型液タブを使っている宮下先生だけに、Artist 12 3rdのフルHDはかなり狭く感じないか?と尋ねると、作画領域を工夫すればいいとのこと。

宮下先生 クリスタは画面の左右にツールボックスが表示されるんで、Artist 12 3rdだと作画領域はさすがに狭いですね。なので普段使っている4Kの液タブに比べると拡縮が多くなるのが唯一のストレスかな?

小さいので描ける領域は限られるが……
Artist 12 3rdにイラストを全体を表示した場合。ツール類が左右に展開されるので描ける場所は必然的に狭い

 でも商業誌レベルの原稿でテストしているので、仕上がりのB5判で作業したり、Web用のイラストだったりしたら、そんなにストレス感じないと思いますよ。全体像のプレビューは、別のモニターに表示しながら作業できるし、あとはツールボックスのサイズも調整すれば作業領域を少し広げられますしね。

ほかのモニターでカバーできる
外部モニターに全体のプレビューを表示しつつ作業

 また宮下先生は「好みになるけど」と付け加えつつ、タッチ操作に対応していないことが逆に助かるとも。

宮下先生 高価な液タブって便利な機能がある反面、それがウザイってのもあるんですよ。その代表が“タッチ”ね。拡縮や回転が左手のピンチでできるから便利っていう意見もあります。

 でもね、僕は手を左手デバイスから離したくないから余計なお世話(笑)。しかも右手が液タブに触れるとタッチ操作と間違われて、誤動作するってのがイヤなんですね(笑)。だから右手には誤動作防止用の2本指グローブして作業するんです。Artist 12 3rdはタッチがないので、僕にとっては推しポイントです。

タッチ操作が使えなくて逆にいい
手で触ってもまったく誤動作しない

 カラー原稿を描く上での総合評価は好評だ。

宮下先生 商業誌レベルの原稿でも全然描けちゃいます。画面の狭さはレイヤーを工夫するなり、拡縮の手間が増えるってのはあります。でもルーキーのクリエイターとして、そしてセミプロとして同人誌で活躍するなら、Artist 12 3rdは自分の才能を引き出してくれるツールとして申し分ないですよ。

 プロに転身するとか、本格的に壁サークルを目指すとか、ある程度お金が溜まってから4Kに買い替えればいいんです。才能に加えて“効率”が必要になったときが買い替えの時期です。それまではArtist 12 3rdで気楽に修行するといいでしょう。

解像度が高いマンガ原稿も描けるか?マジの原稿で試す!

 せっかくなので宮下先生がレビューするので、Artist 12 3rdで白黒のマンガ原稿を描くのにも使えるかを見てもらった。基本的にはカラー原稿と変わらないが、原稿の解像度がさらに高い600dpiでの作業になり、かなり拡縮を駆使することになる。

宮下先生 ラフの線画は紙に描いてデジタルで仕上げる方、白黒2値のトーンをキレイに出したいという方だと、1,200dpiで作業することもあるでしょう。この原稿での唯一の注意は、縮小したときに細い線が飛んでしまうかもしれない点。線が飛ばないところで縮小を我慢しなければならないかもしれません。ページ全体を見ながらコマ割りしたり、下書きにペン入れするのは問題なくできますね。

 あとはカラー原稿と同じですが、レイヤー数が多くなると大変なので、レイヤー分けを工夫したり、確定したら統合するなど作業の工夫も必要ですね。

白黒原稿でも十分使える
白黒原稿での作業場面。宇宙人ムームーでこういったシーンは稀だが、サービス精神でこのコマを選んでくれた。さすがです先生
©「宇宙人ムームー」宮下裕樹/少年画報社

 オフセット印刷などで線やトーンをシャープに見せたい場合は1,200dpiのカラーモード白黒2値で作業するといい。しかし宮下先生の言う通り、縮小すると線が飛んだりするので、拡大しての作業が多くなるというデメリットがある。

 逆にオンデマンド印刷の場合は、600dpiでグレースケールで作業するといいだろう。薄ズミのアミ点分解(スミの濃淡をトーン状のドットに変換)は、印刷所側にお任せしたほうがキレイに出る。ただ完全原稿で入稿する印刷所もあるので、入稿マニュアルに従ってほしい。

ちゃんと拡大して線の飛びを回避
先ほどのイラストの顔部分を拡大表示している

 最後にページ数的な限界はないかを先生に聞いてみた。

宮下先生 16ページ(1折)なら全然イケます。あとはアプリにもよりますが、32ページになると辛いかもしれないですね。4Kの液タブが欲しい!という欲求に駆られるかも?

 それ以上の大作でも描けないってことはないんですが、作業効率が厳しくなるので“根性があれば”って条件付きになります(笑)。Webマンガなら32ページでも楽勝で行けちゃいますけどね。作画は1コマ単位なので、作画領域ぐらいに拡大して作業していました。大ゴマだと話は別ですが……。

 宮下先生の作業場にお邪魔したときは、ちょうど月刊サンデーの作業中だったが、スイスイ描いてらっしゃるのが印象的だった。

結論!高解像度のマンガもイケる
トーンを貼った完成原稿の1コマ
©「宇宙人ムームー」宮下裕樹/少年画報社

 なお、宮下先生は液タブの左右数mmに発生するペン先とカーソル位置のズレを指摘している。

宮下先生 画面の左右端の数ピクセルなんですけど、視差が出るのでレイヤーを選ぶのにコツがいるかも?左右端はペン先と画面上のカーソルがわずかにズレるんですよね。僕はあとで直せるように、レイヤーをたくさん作って作業するんです。だから必然的にレイヤーを選択する操作が増えるし、ツールボックスを小さく表示してるんで、そのあたりは少し気になりました。

 逆に液タブのフチ(ベゼル)部分は、液タブと高さが同じで、液晶部分がへこんでいないのでペンの引っかかりがない点はいいですね。

画面端はペンとカーソルで位置ズレが生じている

携帯性を生かし打ち合わせなどにも便利

 イラストにもマンガにも使えるArtist 12 3rdだが、ほかの液タブにはないポータビリティという特徴がある。サイズは少し大きなA4判(327×189×12mm)といったところで、重さは719g。

 このコンパクトさは、打ち合わせで便利に使えると宮下先生が太鼓判を押す。

コンパクトなので気軽に持ち運べる
打ち合わせ時に持ち込んでラフに説明を書き込んだりも

宮下先生 マンガって編集さんと一緒に作るんで、イメージを共有するために、ストーリーや構図を紙に描いて打ち合わせすることが多いんです。新キャラが登場するなら、その場でサッとラフを描いて確認します。

 普段は紙を使って打ち合わせしているんですが、Artist 12 3rdならタブレットPCと合わせて、デジタルでラフを描きながら打ち合わせできますね。何度でも書き直しできるし、メモした紙もなくさない。ラフはその場でメールして共有できるから便利ですよ。

 先生は液タブをスマホの大型モニターとして使うのもアリという(画面出力に対応する機種なら)。

宮下先生 液タブとはいえ、サブモニターの一種なので、打ち合わせのときにスマホで検索した写真や動画を、液タブに映せば大きいモニターとして使えるのもいいですね。USB Type-Cケーブルを1本つなぐだけで、スマホのサブモニターとして使えるんですから便利ですよ。作業用の4KのXPPenとArtist 12 3rdの2台使いになれば最強じゃないかな?

 ほかにも、オンラインミーティングや会議で以下のようなさまざまな使い方ができるだろう。

  • 図やイラストで説明したいとき、マウスで描くより100倍便利
  • 化学式や数式など文字で打ちづらいものでも簡単に表記できる
  • フロント業務や契約のデジタルサインデバイスとして

 ちょうどいいサイズと価格は、イラストやマンガだけでなく、手書きが必要な数々のシーンで屋内外問わずに利用できそうだ。

3万円を切る液タブが自身のスキルを100%引き出す

 漫画家の宮下裕樹先生に実際に仕事で「Artist 12 3rd」を使ってもらい、忖度なしに性能を評価してもらった。Web用のイラストやマンガから、同人誌のフルカラー表紙とマンガもこなせるという、先生のお墨付きだ。

 これだけオールマイティな液タブなのに、通常は別売の左手デバイスが本体と一体化。さらに新開発のX4スマートチップ搭載のスタイラスペンで遅延もなく、筆圧の分解能も1万6,384段階あるので、力の入れどころと抜きどころをダイナミックに反映できる。

 そして破格の2万9,980円という安さ。安かろう悪かろうということはなく、プロもうなずく高性能と安定性に驚かされる。

 冒頭でも紹介した通り、これから絵師やデジタルクリエイターとしてデビューする人はもちろん、pixivで1,000users超えを目指すルーキーやコミケでお誕生日席を目指すセミプロまで、幅広いクリエイターにおすすめできる液晶タブレット。それが「Artist 12 3rd」だ。

 「Artist 12 3rd」があれば、画力や想像力を100%作品に反映できる。アナログの時代から言われ続けている「良い仕事は良いツールから」はデジタル時代になっても変わらないのである。